支援とは「支えること」「援助すること」といった意味合いで使われる言葉です。似た言葉に「援助」や「サポート」もありますが、基本的にどちらも同じ意味です。ただし「援助」は「支える側が前に出る」、支援は「支える側はあくまで裏方」といった、微妙なニュアンスの違いもあります。
本記事では「支援」という言葉について、意味だけでなく実際に行われている支援活動の具体例まで紹介します。
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支援とはどういう意味?
広辞苑によると、支援とは「ささえ助けること。援助すること」と記載されています。
たとえば親や子どもに仕送りを送ったり、遠い国で困っている人を助けるために寄付をしたりすることも「支援」といえます。またボランティア活動に参加したり、災害時の救助・復興活動に関わることも支援の一つです。
援助との違い
一般的には「支援」も「援助」も「助ける」といった意味合いで使われる言葉です。広辞苑によると、援助は「たすけること」と記載されています。
あくまで補助的に助けることを「支援」、助ける側が全面的に前へでてくることを「援助」と、使い分ける場合もあります。たとえば一時的に孫の子育てを引き受けたり家の掃除をしたりすることは「支援」といえますし、子どもの生活費の大半を親が出してあげる場合は「援助」と表現した方が良いでしょう。
サポートとの違い
サポートとは、「支援」を英語にした言葉です。
一般的には「支援」も「サポート」も同じ意味合いで使用されます。ただしサポートは「支援する側は脇役」といったニュアンスもあります。
たとえばサッカーの「サポーター」は、あくまで主役は選手であり、サポーター自身がメインになることは基本的にありません。また膝や足首にある関節の動きをサポートしてくれる「サポーター」も、メインは着用者であって、商品そのものは機能を補助するものです。
日本で行われている支援の例
ここからは「支援」という言葉の具体的なイメージを持ちたい方に向けて、日本で行われている支援活動の一例をご紹介します。
- ・子どもへの支援
- ・母子家庭(シングルマザー)への支援
- ・災害支援
子どもへの支援
日本で行われている主な子どもへの支援は、以下の3つが挙げられます。
- ・教育支援
- ・虐待問題の解決を支援
- ・親のいない子どもの支援
比較的豊かな国であるはずの日本でも貧困、特に子どもの貧困は大きな社会問題となっています。政府は幼児教育の無償化や就学援助、公的職業訓練など、若者が貧困に陥らないようさまざまな施策に取り組んでいます。
2023年4月1日には「こども家庭庁」を発足するなど、子どもへの支援に力を入れている様子がうかがえます。
また行政による支援の手が行き届きにくい範囲をカバーするように、支援団体もさまざまな取り組みを行っています。
教育支援
2019年から幼児教育が無償化されたり、経済的に苦しい家庭が利用できる「就学援助の支援」制度を実施したりと、行政も子どもの教育支援を行っています。団体もさまざまな支援活動を行っています。
たとえばカタリバという支援団体では、放課後学校「コラボ・スクール」を通じて、さまざまな課題を抱える子どもに対して勉強習慣をつけてもらえるよう支援を行っています。
またこども食堂では、家庭的な雰囲気の中で複数の人と栄養バランスのとれた暖かいご飯を共に食べる、いわゆる「食育」を行っています。
虐待問題の解決を支援
政府はこどもへの虐待を防ぐため、匿名で通報できる専用ダイヤルを用意したり子育てに関する悩みを相談できるLINEの窓口を用意しています。これはあくまで一例で、他にも悩みを相談しやすい体制構築の推進を行ったり、虐待が発生した場合の迅速・的確な対応を行えるよう体制の整備を行ったりしています。*
また支援団体「3keys」では、虐待をはじめとした問題を抱える子どもたちが相談できるサイト「Mex(ミークス)」を運営し、支援につなげる仕組みを作っています。
児童虐待の現状や実施されている支援について詳しく知りたい方は下記をご一読ください。
>>児童虐待されている子どもへの支援にはどのようなものがある?
*参考:児童虐待防止対策|こども家庭庁
親のいない子どもの支援
さまざまな理由から親がいない、一緒に暮らせない子どもが日本にもいます。このような、いわゆる社会的養護を必要とする子どもに対する支援が日本では行われています。
たとえば乳児院や児童養護施設といった施設があり、親がいない子どもが自立できるよう支援を行っています。また「里親」や「ファミリーホーム」など、家庭的な雰囲気の中で親がいない子どもが育つ仕組みも用意されているのです。
また支援団体「フローレンス」では、親がいない子どもとの養子縁組を支援するための活動も行っています。たとえば育ての親に対して研修や悩みを相談する場所を提供したり、生みの親に対して良い選択ができるようサポートを行ったりしています。
親のいない子ども、いわゆる社会的養護を必要とする子どもについては下記記事でも取り上げています。社会的養護の現状や課題、私たちにできる支援の方法について知りたい方はご一読ください。
>>社会的養護とは?親と暮らせない子どもの現状や課題を簡単に解説
母子家庭(シングルマザー)への支援
ひとり親、特に母子家庭(シングルマザー)は経済的に厳しい状況に追い込まれやすいです。
政府は1人で子育てをする母親を支援するため児童扶養手当や医療費の助成、住宅手当といった制度を用意して支援を行っています。また支援団体の「フローレンス」では、訪問型病児保育を行うなど、ひとり親でも働き続けられるよう支援を行っています。
シングルマザーが抱えている困難や支援制度については下記記事でも取り上げていますので、ぜひご一読ください。
>>シングルマザー(母子家庭)の貧困率が高い理由とは?子どもの貧困の実状や原因、利用できる支援など
災害支援
地震や台風など、日本では毎年何らかの自然災害が発生しています。災害救助法に基づいて、被災地の自治体に発生する費用は国により負担されています。ただし災害救助法は復興に関する費用については対象外となっています。
被災地の復興を支援するため、ボランティアや支援団体がさまざまな活動を行っています。たとえば食糧や現地で必要としているモノを供給したり、災害によって発生したゴミの撤去などを行っています。
災害に関する法律や私たちにもできる支援の具体例については下記記事で解説していますので、参考にしてください。
>>災害が多い日本、地震や豪雨など近年の災害について学び直し、支援や対策をしよう
海外で行われている支援の例
ここからは海外で行われている支援活動について見てみましょう。
- ・人道支援
- ・難民支援
- ・医療支援
具体的にどのような支援が行われているのか解説します。
人道支援
人道支援とはどういう意味なのか、外務省の言葉を引用します。
人道支援とは、紛争の被害者や自然災害の被災者の生命、尊厳、安全を確保するために、援助物資やサービス等を提供する行為の総称です。
引用:人道支援|外務省
つまり、紛争や災害などによって困っている人へ行う支援のことを「人道支援」と言います。人道支援の具体例としては、下記の3つが挙げられます。
- ・教育支援
- ・食料支援
- ・紛争・災害発生時の支援
具体的にどのようなことを行っているのか見てみましょう。
教育支援
海外では、子どもが家事の手伝いや親の仕事を手伝わなければならず、学校に通えず教育を受けられない子どもがいます。そもそも教育サービスの質が悪い・アクセスしにくい、といった問題点もあるのです。
各国政府も教育問題の解決に取り組もうとしているものの、自国内にノウハウやリソースが十分になかったり紛争中のため教育問題は後回しになっていたりするケースがあります。
こうした教育格差の問題を少しでも解決しようとする活動する支援団体のひとつに「e-Education」があります。e-Educationでは、教育サービスが行き届きにくい国や地域で映像教育を提供しています。教育の質が高くない国の若者はもちろん、田舎に住んでいるため良質な教育サービスにアクセスしにくい人たちが教育を受けやすくなりました。
食料支援
国内で十分な食糧を自給自足できなかったり紛争に巻き込まれて十分な食糧を得られなかったりする国があります。世界では飢餓で苦しむ人がおり、現在も多くの人が飢えに苦しんでいるのです。
日本はODAを通じて支援を行ったりWFP(国連世界食糧計画)も拠出を通じた支援を行ったりしていますが、問題の解決にはほど遠いのが現状です。また支援団体も、十分な食糧を確保できない人たちへの支援を行っています。
飢餓の現状と行われている支援の詳細は下記をご一読ください。
>>飢餓とは?原因や世界の現状を知り、私たちにできることを考えよう
紛争・災害発生時の支援
人種や政治などさまざまな理由から紛争に陥ったり自然災害が発生したりすることがあります。このような危機的な状況を改善すべく、紛争の解決に向けて各国が仲裁に入ったり災害支援として物資や人を通じた支援を行っています。
民間の支援団体も多くの活動を行っています。たとえば紛争が発生した場合、現地で人命救助や医療支援、食糧支援といった幅広い支援活動を行ったりする団体があります。具体的な活動内容については下記記事を参考にしてください。
>>【2023年パレスチナ人道危機】必要な支援は?被害状況やオススメの寄付先も紹介
>>【緊急支援】トルコ・シリア大地震への寄付はどこが良い?支援方法や支援団体を紹介!
>>ウクライナのために私たちができることは?支援方法を解説!
難民支援
海外ではやむを得ない理由で自国を離れた、難民と呼ばれる人たちがいます。母国で迫害を受けた、命の危機を感じたなど、難民になる理由はさまざまです。
ただし難民となって行く先が無くなった人たちが集う「難民キャンプ」では、食糧の不足や不衛生な環境、十分な教育を受けられないなど、さまざまな問題を抱えています。また他の国へ渡航できた難民も、移住先の国で不当な扱いを受けているケースもあるのです。
こうした問題に対して各国政府は対策を講じていますが、十分とはいえません。そこで民間の支援団体では、海外で発生している難民を支援したり日本に来た難民の生活支援などを行ったりしているところがあります。
難民問題は根深い問題で、支援の内容も多岐にわたります。難民問題の詳細は下記記事で取り上げていますので、気になる人はご一読ください。
>>世界の難民問題の原因や解決策とは?受け入れ国での生活や日本の対応、支援団体5つを紹介
医療支援
その国の医療レベルが低かったり紛争が発生していたりなど、さまざまな理由から適切な医療を受けられない人がいます。しかし、理由はどうあれ十分な医療を受けられず命を落とす人が発生しているのが現状です。
このような現状を改善するため、WHOはさまざまな支援活動を行っています。たとえばロシアによるウクライナへの侵攻では、ポーランドに支援のハブ拠点を設立し、医療物資の支援などを行っています。
また「ジャパンハート」という民間の支援団体では、現地で医療支援活動を行うだけでなく、将来的に自立できるよう現地で医療人材の育成を行っています。
私たちにもできる支援
ここまで、日本や海外で行われている支援のテーマや国連・国が行っている支援、支援団体の活動などをご紹介しました。さまざまな分野の問題を解決しようと支援を行っていますが、まだ問題の解決には至っていないのが現状です。
ここからは「支援の意味や具体例だけでなく、実際に支援を行ってみたい」という方に向けて、おすすめの支援方法をご紹介します。
- ・団体を支援する
- ・ボランティアで支援活動に参加する
- ・社会課題について理解を深めて情報発信する
手軽にできるものから本格的な支援の方法まで紹介しますので、ぜひご一読ください。
団体を支援する
私たちができる手軽な支援の一つに「支援団体に寄付する」ことが挙げられます。
支援を行っているNPO団体は、民間と異なりサービスを受けている人(支援が必要な人)から対価となるお金を取ることができません。政府からの助成金で活動をしている団体もありますが、使途が限定されているため、現場の実情を反映した柔軟なサービスの提供ができません。
しかし、私たちが寄付したお金は支援活動へ柔軟に活用できるため、きめ細やかなサービスの提供や継続的な支援を実現しやすくなります。
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「継続的に寄付による支援を続けて行きたい」という方は、下記記事が参考になるのでご一読ください。
>>寄付とは?寄附や募金、義援金との違い、おすすめの寄付先を紹介
ボランティアで支援活動に参加する
ボランティア活動への参加も、私たちができる支援の一つです。
現地で実際に手を動かして支援を行うため「自分の行動が誰かの役に立っている」という実感を強く持てるでしょう。支援団体の中にもボランティアを募集しているケースがあるため、ホームページを確認してみるのがおすすめです。
「そもそもどのようなボランティア活動をしようか決めていない」という方は、ボランティア募集をまとめているWebサイトが参考になるでしょう。
社会課題について理解を深めて情報発信する
社会課題について情報発信をするのも、私たちにできる支援の一つです。
世の中には悩んでいる人がいるのに、多くの人がそれを問題として気づいていないため支援の輪が広がらないことがあります。たとえばシングルマザー支援を訴えても「なぜシングルマザーへの支援が必要なのか」について理解が広まらないと、支援が集まりにくいでしょう。
興味関心のある社会課題について理解を深めて、周りの人に伝えたりネットで発信したりすることが世論の理解につながり、結果的に支援の役立つ可能性があるのです。ただしデマを発信してしまわないよう、問題への理解や発信時の表現には注意が必要です。
世界で行われている支援について理解を深めよう
本記事では「支援」という言葉の意味や、実際に世界で行われている支援の具体例についてご紹介しました。
支援は「誰かを支えること/援助すること」といった意味合いで使われる言葉ですが、実際の事例を見ることで言葉のイメージや現実の支援活動について理解が深まったのではないでしょうか。
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