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【毎週更新】2023年パレスチナ人道危機で必要な支援は?被害状況やオススメの寄付先も紹介

  • 2023年10月20日
  • 2023年12月4日
  • 寄付

「パレスチナ・イスラエルの間でどんなことが起きているの?」
「パレスチナの人々を救うためにどのような活動が行われているの?」

と思うものの

現在も混乱の中にあるパレスチナ・イスラエル間の紛争。現地で何が起こっているか、どのような支援が求められているのかだけでなく、私たちにできることも解説します。

この記事を読めば、パレスチナへの理解が深まるだけでなく、今すぐ支援活動に参加できます。

>>今すぐおすすめの寄付先一覧を見たい方はこちら

パレスチナ人道危機に関する現状(2023年11月27日更新)

(イメージ画像)

2023年10月7日、パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向け2000発以上のロケット弾などによる大規模な攻撃を開始しました。

イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争状態にある」として8日、空爆による報復作戦を始動します。1ヶ月以上経過した現在も、イスラエル軍によるガザ地区の攻撃は続いています。

ガザ地区では、人口の半分以上にあたる180万人が空爆や退避によって自宅を追われたとみられます。

パレスチナ保健当局によると、10月7日以降ガザ地区のパレスチナ人の死者は約15,000人で、その内6,150人が子ども、4,000人が女性だとされています。

また、OCHA(国際連合人道問題調整事務所)によると、ヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人の死者は238人(うち子ども63人)です。

さらに、イスラエルでの死者は外国人を含め約1,200人ほどとのことです。

多くの民間人が被害を受けています。また、ガザ地区への唯一の人道ルートとされているエジプトのラファ検問所の出入りが制限されていることにより、物資の搬入が思うように進んでいません。そのため、水や燃料など最低限の生活に必要なものが、十分にガザ地区に届いていないのです。

出典:UNRWA SITUATION REPORT #43 ON THE SITUATION IN THE GAZA STRIP AND THE WEST BANK, INCLUDING EAST JERUSALEM

パレスチナの被災地で必要とされている支援

パレスチナの被災地では、厳しい状況の中、NPOなどの民間団体ができる限りの物資配給や医療提供などを行っています。

主に以下の支援が必要とされています。

  • ・食料、飲料水、衛生用品などの物資支援
  • ・医療物資や医療サービスなどの医療支援
  • ・避難場所の提供
  • ・心理社会的ケア
  • ・学校に行けなくなってしまった子どもたちへの教育支援
  • ・パレスチナ難民支援の継続

詳しく紹介します。

食料、飲料水、衛生用品などの物資支援

空爆により物流が滞り、食料や生活必需品、衛生用品が急速に底を尽き始めています

特に水に関しては非常に危険なレベルとされています。ガザ地区において、最後1か所だけ稼働していた、海水から真水をつくるための施設も停止しました。給水施設を稼働させるために必要な燃料の供給をイスラエルが打ち切ったためと言われています。

ガザ地区の人々は、農業用の井戸の不衛生な水を使わざるをえず、感染症のリスクも高まっています

医療物資や医療サービスなどの医療支援

ガザ地区では、医療・保健機関の建物や救急車が爆撃の被害を受けています。

病院は停電し、燃料を使用して発電をしている状態です。しかしその燃料も間もなく底を尽きます。また、医療物資の蓄えも急速に減っており、病院機能の維持が非常に難しくなっています

避難場所の提供

ガザ地区の人口の半分の約100万人が自宅を離れ、避難生活を送っています。

風雨にさらされず、また、情報や支援物資が比較的入手しやすい、安全な避難場所が必要とされています。

心理社会的ケア

爆撃のトラウマ、続く爆撃への恐怖、先の見えない戦禍など、パレスチナの人々は心理的に非常に不安定な日々を過ごしています。

深刻な精神的苦痛を受けている人々に対する、心理的ケアが必要です。

特に、保護者と離れ離れになってしまったり、周囲の大人が様々な対応に追われる中「助けてほしい」と言い出せない子どもたちは大きな不安を抱えています

学校に行けなくなってしまった子どもたちへの教育支援

多くの子どもが自宅を離れているため学校に通うことができません。また、爆撃を受けた学校や避難所となっている学校もあるため、子どもたちが学ぶ場所がありません。

緊急支援がひと段落した段階で、早急に子どもたちの学びを再開する教育支援が必要になります。

パレスチナ難民支援の継続

今回の攻撃による混乱は非常に大きいため緊急フェーズは長く続くと考えられます。

混乱が一旦収まっても、元々支援を必要としていたパレスチナ難民に対しては、今後も継続的な支援活動が必要になります。

パレスチナの人々の支援活動をしている団体を紹介

ここでは、「パレスチナで被災した人々へ寄付したい」と考えている方へ向けて、被災地域で支援活動をしている団体を紹介します(団体紹介は随時追加していきます)。

【寄付先1】認定NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン

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ワールド・ビジョンは、貧困や紛争、自然災害等により困難な状況に置かれた子どもたちのために活動する国際NGOです。

ワールド・ビジョンは1975年にパレスチナ自治区で活動を開始し、2023年には、ヨルダン川西岸地区の150カ村に住む13万6,000人に支援を届けました。

今後の支援活動については、パレスチナ自治区における日々変化する状況とニーズを注視しつつ、緊急援助物資の配布・心理社会的支援・安全な居場所の回復・コミュニティに根差した減災などの支援を予定しています。

寄付金控除の対象団体です

【寄付先2】公益財団法人 日本ユニセフ協会

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大規模な軍事衝突による被害が続くパレスチナ・ガザ地区では、多くの子どもと家族が安全を求めて避難施設に身を寄せています。砲撃により各地でライフラインが破壊され、食料や安全な飲み水、医薬品などが不足する中、命をつなぐための緊急人道支援が急務となっています。

ユニセフはガザの南部地域にとどまり、事前に備蓄していた医療物資、医薬品などの緊急支援物資の配布を進めるとともに、安全な飲み水の供給を続けるため、ガザ地区で唯一機能している海水淡水化プラントの稼働を支えています。

増え続ける避難民に対する医療サービスや安全な飲み水の提供、教育の機会や心に傷を負った子どもに対する心理・社会的支援の確保にも全力を注いでいます。

寄付金控除の対象団体です

【寄付先3】認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン

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ピースウィンズは、日本で設立された国際NGOです。これまで世界38の国と地域で紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人びとに対して支援活動行ってきました。

パレスチナ・ガザ地区では2015年から支援を行っており、これまでガザの人々とともに、子どもや若者のための支援、紛争被害世帯への緊急物資支援等に取り組んできました。

現在、ガザ地区は外とのアクセスが遮断され、水や食料、燃料や電力など様々な物資が不足しています。

ピースウィンズは、危機にあるガザ地区の市民への食料配布など、緊急支援を開始しました。

寄付金控除の対象団体です

【寄付先4】公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン

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2023年10月7日以降、恐ろしい規模の暴力により、ガザ地区とイスラエルに暮らす数え切れない人々の命が奪われています。大勢の子どもたちが悲惨な形で命を落とし、何十万人もの子どもたちが家を追われている状況です。

プラン・インターナショナルは、未曾有の人道危機に際し、子どもを保護するための取り組みを最優先に寄付募集を開始しました。

寄付金控除の対象団体です

2023年パレスチナ人道危機の経緯

(イメージ写真)

2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃以降の、民間人の被害に関わる出来事をまとめました。

2023年10月7日
パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向け2000発以上のロケット弾などによる大規模な攻撃を開始。

10月8日
イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争状態にある」として、空爆による報復作戦を開始。

10月13日
国連が、ガザ地区北部に住む110万人に対し24時間以内に南部に移動すべきとの通告を、イスラエルから受けたことを明らかにした。イスラエル軍がガザへの地上侵攻の準備を進める中、緊張が一層高まる

10月15日
イスラエル軍が、ガザ住民の南部への退避を継続させるためとして15日午後1時まで、退避ルートへの攻撃は行わないと発表。ロイター通信は北部の110万人の住民のうち60万人以上が南部に避難したと伝える。

10月17日
ガザ地区北部の病院が空爆を受け500人以上が死亡(ハマスによる発表)。

10月21日
人道支援の鍵となっていたガザ地区とエジプトとの間にあるラファ検問所に、物資をのせたとみられるトラック20台が入る。

10月22日
第二弾の14台のトラックがガザ地区に入る。

10月23日
支援物資を積んだトラック20台がラファ検問所を通過して、ガザ地区側へと入る。

10月26日
国連パレスチナ難民救済事業機関が「ガザ地区の人道危機は悪化。燃料の備蓄はほぼ枯渇し、命を救う活動を続けられなくなっている」と訴える。

10月27日
イスラエル軍がガザ地区での地上部隊の作戦拡大を実行。戦闘機約100機で大規模な空爆を行ったうえで、戦車がガザ地区内に入り、ハマスの地下施設やインフラなど、150の標的を攻撃したとした。

ガザ地区では、通信施設が攻撃を受けインターネットや携帯電話が使えなくなっているとされている。

10月30日
イスラエルの地上部隊が、ガザ地区ガザ市郊外に到達、と現地有力メディアが報道。イスラエル国防省の報道官は、戦車などの部隊がガザ市郊外で「大規模」な地上作戦を実施していると認めた。

国連パレスチナ難民救済事業機関の事務局長が「ガザの通りには汚水があふれ始めている。これにより間もなく大規模な健康被害を引き起こすだろう」と訴えた。

10月31日
イスラエル軍が、パレスチナ自治区ガザ地区最大の難民キャンプ、ジャバリア難民キャンプを空爆。多数の民間人が犠牲になり、少なくとも50人以上が死亡したとみられる。

59台のトラックが支援物資をガザ地区に搬入。

11月2日
ガザ地区北部のジャバリアを、イスラエル軍が3日連続で空爆し、難民キャンプ内で避難所となっている学校も被害を受ける。

11月3日
ガザ地区内で救急車の車列が空爆される。

11月4日
ガザ地区内で、数千人あまりの避難所となっている学校がイスラエル軍による空爆を受ける。また、ガザ市の病院の入り口も空爆を受ける。
イスラエルの国防相はが、ガザ市の市街地に進軍したと明らかにした上で、改めて住民に退避を呼びかける。

11月5日
ハマスの支配下にあるガザ保健当局が、イスラエル軍が中部のマガジ難民キャンプを空爆したと主張。

11月9日
イスラエル軍が、エジプトとの境界にある検問所で、支援物資を積んだトラックを公開。支援物資はほぼ毎日ガザ地区に搬入されており、人道危機は起きていないと主張。国連側は物資が不足していると強く訴える

国連開発計画(UNDP)と西アジア経済社会委員会(ESCWA)が、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突がパレスチナにもたらす被害や経済的な影響をまとめたリポート*を発表。
・ガザ地区ではこの1ヶ月で雇用の61%が失われた
・衝突が3か月続いた場合、パレスチナ自治区の貧困率がおよそ45%上昇する
と報告。

11月10日
9日から10日にかけて病院3か所と学校が攻撃されたとパレスチナ当局が発表。

WHO(世界保健機関)の事務局長が、ガザ地区では半数の病院が機能停止に陥り、「医療崩壊寸前だ」と訴える

11月11日
最大の医療機関であり、数千人の患者や避難民が残されているシファ病院が、燃料切れで機能を停止したとロイター通信などが伝える。

11月12日
イスラエル軍、軍事作戦を4時間にわたって一時停止。

ガザ地区で2番目に大きいクッズ病院の機能停止が伝えられた。

11月13日
WHOの事務局長、連絡が取れなくなっていたシファ病院と連絡が取れたことを明らかにした。「病院ではこの3日間ライフラインが止まり、必要な医療の提供に深刻な影響を及ぼしている」とし「シファ病院は、もはや病院として機能していない」と訴えた。

UNRWAは、ガザ地区で人道支援物資の運搬などを行う国連のトラックの燃料が全てなくなり、人道支援活動は2日以内に停止する見込みだと発表。

11月14日
ハマスは、ガザ地区内にある35の病院のうち、25の病院が使用不能になったと発表。未熟児も一般のベッドに寝かされており命が危機にひんしているとのこと。

国連機関は、ガザ地区北部で、機能している病院が1か所のみになったと明らかにした。

11月15日
イスラエル軍が、シファ病院内に突入

11月18日
イスラエル軍がガザ地区北部を空爆。避難所となっていた学校と国連が運営する学校、2か所が被害を受け多数の死傷者が出た。

今までガザ地区北部から南部へ避難するように勧告していたイスラエル軍が、南部のハンユニスなどでも空爆を行った。

11月19日
イスラエル軍に制圧されたシファ病院から、31人の新生児が救急車で脱出したとロイター通信が報じた。

11月24日
カタールの仲介によりガザ地区での最低4日間の戦闘一時休止が成立。ハマスが24人の人質を解放した。

エジプト側から援助物資を載せた約150台のトラックがガザ地区へ入った。これは10月21日のトラックの第一陣がラファ検閲所を通過して以来最大の数。

11月25日 
ハマスが新たに人質17人を解放。

11月26日
ハマスが新たに人質17人を解放。また、イスラエルがパレスチナ人39人を釈放。

一時戦闘休止期間中、ガザ市民は燃料や援助を求め、長い列を作っています。また、家族を探したり、自宅の様子を確認したり、海辺を散歩したりと一時休止を最大限に利用しようとしています。

11月27日
ハマスが11人の人質を解放。
カタールが、戦闘休止を2日間延長することでハマスとイスラエル軍双方が合意したと明らかにする。

11月28日
イスラエル側はパレスチナ人30人を釈放。

11月30日
イスラエル軍とイスラム組織ハマスは、戦闘休止をさらに1日、延長することで合意

8人のイスラエル人が解放される。

12月1日
イスラエル軍、戦闘再開を発表

パレスチナ自治区ガザ地区などを空爆。ガザ地区の保健当局によると死亡者は184人。

12月2日
イスラエル、多くの避難民がいる南部の主要都市ハンユニスでも大規模な空爆を行う。

12月3日
イスラエル軍が、地上作戦をガザ地区の全域に拡大していると発表。南部への地上作戦を開始

一時停戦中にトラックがガザ地区に入りましたが、まだまだ医療機器、燃料、食料、そして衛生用品などが足りていません避難者の生活環境は引き続き懸念されています。

*出典:UNDP Poverty in the State of Palestine set to soar by more than a third if war continues for a second month

【パレスチナ人道危機に関するよくある疑問】


パレスチナ人道危機に関して、よくある質問をまとめました。

パレスチナ人道危機に関するよくある疑問

  1. パレスチナ自治区ってなに?
  2. パレスチナってどこにあるの?
  3. 日本政府はどのような支援を行っているの?

1. パレスチナ自治区ってなに?どこにあるの?

(外務省HPより)

パレスチナ自治区は中東にあります。ヨルダンに接する「ヨルダン川西岸地区」と、地中海に面しエジプトに接する「ガザ地区」からなるパレスチナ人の自治地区です。

パレスチナを国家として認めている国もあれば、認めていない国もあります。国連には国家としては加盟していませんが、138の国連加盟国が国家として承認しています(2021年時点)*。そのため「パレスチナ自治区」と呼ばれることが多いです。

行政は、パレスチナ解放機構(PLO=Palestine Liberation Organization)が母体となったパレスチナ自治政府が行っています。

*出典:外務省 国連におけるパレスチナの地位に関する総会決議の採択と我が国の対応(概要)

2. パレスチナ難民とは?

パレスチナ難民とは、1948年のアラブ・イスラエル戦争で住む場所を失った、パレスチナ地域に住んでいた約75万人のパレスチナ人とその子孫を指します。現在は3-4世代目になっています。

2022年末時点、パレスチナ難民は約590万人で*、世界最大の難民グループだと言われています。多くのパレスチナ人が、近隣のアラブ諸国に避難しています。

パレスチナ自治区においては、ヨルダン川西岸地区に約83万人、ガザ地区に約140万人が居住しています(2019年12月時点)**。

アラブ・イスラエル戦争から70年以上経った今も解決の見通しは立っていません

参考:国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を通じたパレスチナ難民に対する無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換

*出典:UNHCR(国連難民高等弁務官事務所) 数字で見る難民情勢(2022年)

**出典:JICA ODA見える化サイト 難民キャンプ改善プロジェクトフェーズ2

3. 日本政府はどのような支援を行っているの?

日本政府は、10月17日、総額1,000万ドル(約15億円)の緊急人道支援を実施すると発表しました。

国際機関を通じ、水や食料、医療物資などを支援する予定です。

パレスチナの人々の支援は今すぐ簡単にできる


この記事では、パレスチナで必要とされている支援、地震の被害に遭った人々のために私たちができること、支援活動をする団体の概要を紹介しました。

記事の内容をまとめます。

  • ・物資が底を尽き始めている。特に水は早急な支援が必要
  • ・被災地では物の支援だけでなく心理サポートや教育支援が必要とされている
  • ・パレスチナの人々を支援するには支援団体に寄付をする方法がある

「戦禍のパレスチナで不安な日々を送る人々のために、今すぐ自分にできることをしたい」と考えている方は、ぜひ紹介した団体のホームページを確認してみてください。

この記事を書いた人
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