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シングルマザー(母子家庭)の貧困率が高い理由とは?子どもの貧困の実状や原因、利用できる支援など

この記事を要約すると

ひとり親世帯は、母子家庭(シングルマザー)と父子家庭(シングルファーザー)に分けられます。
厚生労働省の調査によると、平成28年11月1日時点での母子世帯は123.2万世帯※、父子世帯は18.7万世帯※となっており、母子世帯が父子世帯よりも6倍近く多いことがわかります。

日本ではシングルマザーの貧困率が高いと言われます。
残念なことに、これは単なる噂や偏見ではなく、一定の根拠がある事実です。シングルマザー家庭が貧困に陥りやすい理由は何なのか。
ここでは、シングルマザーの実態や公的な救済制度などを紹介しながら、その理由を見ていきます。

(出典:厚生労働省「平成28年 全国ひとり親世帯等調査結果の概要」)

貧困に悩むシングルマザーの食事や生活とは?自己責任と言われる風潮から脱出するには

ひとり親世帯に子どもの貧困が多い理由


顕在化しているシングルマザーの貧困問題ですが、父子家庭を含めた「ひとり親世帯」は、そもそも貧困に陥りやすい傾向があります。
その要因は一つではなく複数あるのです。

収入が少ない

当然ですが、親が1人しかいないということはその分収入が減ります。特に夫婦どちらかの収入に頼ってきた家庭では、離婚後に極端な貧困に陥る家庭も少なくありません。
また、共働きの家庭が増えている現状もあり、周りの家庭と比べて生活に格差が出る「相対的貧困」に陥る世帯もあります。日本は、欧米をはじめとした先進国の中でも、この相対的貧困率が高いことで問題となっています。

子育てと仕事の両立が難しい

子どもが幼い家庭では、子育てや家事に追われてフルタイムで仕事ができない現状があることも、貧困に陥りやすい要因です。正規雇用と非正規雇用の格差はニュースなどでも多々取り上げられていますが、この問題は、ひとり親世帯の貧困にも密接に連関しています。

給与や待遇面が充実していない

正社員と同じくらい働いているひとり親の場合でも、給与面や待遇面が充実せず、貧困に陥っている場合があります。この問題はワーキングプア(働く貧困層)と呼ばれます。
夫婦2人いれば、両方の収入で補うことができますが、ひとり親世帯では難しいのです。

病気・ケガになると収入がゼロになる

急な病気やケガで働けなくなると、収入がゼロもしくは激減します。緊急時に収入を補える環境がない点は、ひとり親世帯の大きな弱点と言わざるを得ません。

特にシングルマザーの貧困率が高いといわれる理由は?


シングルマザーとシングルファーザーの家庭では、前者の方が、貧困率が高い傾向にあります。「女性が働ける場が少ないからだ」という意見もありますが、先に紹介した厚労省の調査では、母子世帯の就業状況は81.8%、父子世帯では85.4%となっています。就業率にそれほど大きな差はなく、この数字は先進国でもトップクラスです。
では、なぜシングルマザーの方が、貧困率が高いのでしょうか。

正規雇用が少ない

就業率に課題があるのではなく、その中身に理由があります。母子世帯では81.8%のうち44.2%が正規雇用です。
一方、父子世帯は85.4%のうち68.2%が正規雇用となっています。パート・アルバイトなどの非正規雇用は、母子世帯が43.8%であるのに対して、父子世帯は6.4%に留まっています。
このように、正規雇用で働けているシングルマザーが少ない現状は、母子世帯の高い貧困に深く結びついています。

末子が幼い時点での離婚が多い

子どもが小学校に上がるまでは、子育てに時間と労力がかかります。シングルマザー世帯では、未子が小学校以前に離婚するケースが多く、仕事で十分な収入を確保できる環境にはない(フルタイムで働きにくい)のが実態です。事実、「ひとり親になった時の末子の年齢」は、父子世帯が6.5歳であるのに対して、母子世帯は4.4歳という調査結果です。

養育費をもらっていない

シングルマザーの中には、離婚の際に養育費の取り決めをしていない人もいます。調査によると、「取り決めをしている」のは42.9%で半分にも満たないのが実態です。

取り決めをしない理由として多いのは、以下の3つです。

  • 相手と関わりたくない・・・31.4%
  • 相手に支払う能力がないと思った・・・20.8%
  • 相手に支払う意思がないと思った・・・17.5%

夫からのDVやハラスメントで離婚に至ったケースも多く、「これ以上一切関わりたくない」と強く望むシングルマザーが少なくないようです。
ちなみに、父子世帯で取り決めをしていない理由のトップは、「相手に支払う能力がないと思った」で22.3%です。

シングルマザーの貧困家庭の苦悩

シングルマザーの方は、貧困によりさまざまな壁に悩まされているのが現状です。
代表的な例として4つご紹介します。

貯蓄ができない

貯蓄ができない点も、貧困で苦しむシングルマザーの悩みです。
実際、母子世帯で「貯蓄がある」世帯の割合は、全体の59.6%となっています。数字だけを見ると少なくないように感じるかもしれませんが、「高齢者」や「児童のいる世帯(夫婦と子どもから成る世帯)」などを含めた、「全世帯」の割合が80.3%であることを見れば、20%ほど少ないことが分かります。
さらに、「貯蓄がある」と答えた母子世帯でも、貯蓄高は50万円未満が14.4%で最多です。全世帯は500〜700万円が9.4%で最多ですので、雲泥の差です。

食事が困る

仕事で時間が取られたり疲れが溜まったりすることで、子どもへの食事がコンビニ弁当やジャンクフードばかりの家庭もあります。栄養バランスが崩れるだけでなく、自炊よりもお金がかかってしまうというマイナス点もあるため、なかなか貧困から抜け出せない要因にもなり得ます。
近年は、こうした問題を解決するために、無料で食事を提供する「こども食堂」のような取り組みが普及しています。しかし、運営するNPO法人やボランティアの資金・人数は不足しており、苦しい運営を強いられている団体がほとんどです。

習い事や旅行ができない

経済的な余裕がない状態は、衣食住以外の場面にも影響します。子どもに、「好きな習い事をさせてあげられない」、「ゲームやおもちゃを買ってあげられない」といったことや、「友人との食事会や旅行に行けない」などです。友達やご近所さんなど、周りの家庭と比べてしまい、日々辛い思いをしているシングルマザーも多いのです。

協力を仰ぎにくい

周りから厳しい言葉をかけられたシングルマザーは少なくありません。シングルマザーに対する偏見的な意見によってストレスを抱える方もいます。
貧しいというだけではなく、誰かに「助けて」と言えない孤立感によって貧困さは悪化すると考えられています。

シングルマザーが受けられる支援、制度は?


日本には経済的に困窮するシングルマザーを支援する制度がいくつかあります。代表的なものが「手当て」です。ただし、それぞれ、条件によって支給額が変わります。
名称とともに、その条件もご紹介します。

児童扶養手当

母子家庭や父子家庭を対象にした制度で、「所得」と「子どもの数」に応じて手当が支給されます。支給者は地方自治体で、0歳から18際に達して最初の3月31日(年度末)までの子どもがいる世帯が対象です。

世帯に児童一人の場合、以下の額が基準です。

  • 全額支給 42,500円
  • 一部支給 42,490円〜10.030円までの10円きざみの額

児童二人以上の場合は、上記金額に10,040円〜5,020円の加算、三人目以降は6,020円〜3,010円ずつさらに加算されます。
所得に応じた支給額となっているため、正確な金額はお住いの自治体窓口で確認することが必要です。

児童手当

日本に住み、0歳から15歳(中学校修了まで)に達して最初の3月31日(年度末)までの間の子どもがいる世帯が対象です。旧称は「子ども手当」と呼ばれていたものです。
支給額は以下のようになっています。

  • 3歳未満の児童 15,000円/月(一律)
  • 3歳以上小学校終了前 10,000円/月
    (第3子以降は15,000円/月)
  • 中学生 10,000円(一律)

児童手当には所得制限限度額が設定されており、制限以上の所得の世帯は、特例給付として児童一人につき5,000円/月が支給されます。

医療費助成制度

ひとり親世帯への支援制度で、0歳から18歳に達して最初の3月31日までの間の子どもがいる世帯が対象です。
医療費のうち、保険診療の自己負担分の一部または、全部を助成してくれます。
さらに、所得制限などで医療費助成制度の資格を喪失した場合は、「子ども医療費助成制度」を利用できる場合があります
保険診療の自己負担分の一部を助成してくれる制度です。対象となる世帯は、「小学校卒業まで」、「中学校卒業まで」など自治体によって違いがあります。
医療費助成・子ども医療費助成ともに、自治体によって詳しい内容は異なるので、窓口で確認するようにしましょう。

母子家庭・父子家庭の住宅手当

ひとり親世帯で、民間の賃貸住宅に住んでいる場合に利用できる、住宅手当の制度です。支給額の相場は5,000円〜10,000円です。市町村によって、「そもそも制度がない場合がある」、「児童の年齢範囲や所得制限の条件に差がある」といった特徴を持つ制度なので、やはり、まずはお住いの自治体窓口で確認することが必要です。

これら5つの他にも、税金が控除される寡婦控除保険料・年金が免除・減免される制度、教育訓練を受講し修了した場合に支給される自立支援教育訓練給付、といったひとり親世帯に向けた制度があります。

制度とともに価値観を変えることが重要

シングルマザー(母子世帯)の貧困には、就業しているか否かだけではない、様々な要因があります。
不本意ながら非正規雇用で働かざるを得ないケースや、養育費の取り決めをしていない(もらえない)ケースなどが、代表的な要因です。
また、社会からのシングルマザーに対する偏見的な意見・見方は、貧困をさらに悪化させてしまう要因です。
国による公的支援をはじめとした制度を充実させることはもちろん重要ですが、私たち一人ひとりがシングルマザーに対する価値観を変えていくことも、シングルマザーを貧困の連鎖から救うために必要な課題だと言えるでしょう。

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