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高齢者の貧困の現状は?男女の違いや格差の原因について解説

高齢者の貧困の現状は?男女の違いや格差の原因について解説

日本では高齢者の貧困が年々大きな問題となっています。
少子高齢化が進む中で働く層が薄くなる一方、高齢者が増えていることが原因となっており、これはさらにひどくなっていくことが予想されています。

この記事では高齢者が貧困になる原因や男女の格差について紹介します。

高齢者世帯の貧困率


2016年時点で「65歳以上の高齢者がいる世帯」の貧困率(所得が国民の平均値の半分に満たない人の割合)は27%ほどです。
つまり高齢者がいる世帯の4世帯に1世帯が貧困状態に陥っているということになります。

そしてこの数値は単身世帯になるとさらに上がります。

  • 男性の単身世帯の貧困率:36.4%
  • 女性の単身世帯の貧困率:56.2%

つまり男性の単身世帯では3世帯に1世帯、女性の単身世帯では2世帯に1世帯以上の割合で貧困になっているということになります。
65歳以上では年金で生活をしているという世帯が多いですが、現在の年金では足りていないということがわかります。

日本では高齢者世帯の貧困率が高くなってきているものの、夫婦世帯だけの数値をみると「10.3%」ほどとそこまで高くはなっていません。
つまりこの高い数値は単身世帯が大きく引き上げているということになります。

また、以下の理由も高齢者の貧困につながっていると考えられる要因です。

(出典:総務省統計局公式サイト)
 

世帯の少人数化が進んでいる

昔の家庭のように大家族で住んでいるという世帯が減ってきており、老夫婦のみ、単身のみで生活をしている高齢者が増加してきています。

高齢者だけで生活をしている世帯は勤労収入がある子ども世帯からの援助を受けにくく、その生計は年金に頼っていることがわかります。

厚生労働省の年金制度基礎調査によれば65歳以上の収入に占める公的年金の割合は78.8%と約8割にのぼっています。
そしてその公的年金の平均受給額は単身世帯で年間136万9000円。
また、夫婦世帯では241万1000円と、単身世帯より75%以上多く受給していることになります。

1人で生活していると家賃や水道光熱費などのコストがかかりますが、世帯の人数が増えるほど一人当たりのコストは低下していきます。
つまり単身世帯はもらえる年金は少なくなっていき、1人あたりの生活コストが高くなるために貧困につながりやすいということになります。

(出典:厚生労働省公式サイト)

高齢者世帯の男女による貧困率の違いとは


日本では高齢者の貧困が拡大傾向にありますが、そのなかでも特に「女性単身高齢者世帯」
の貧困率が非常に高くなっていることが問題となっています。

そして日本では男性よりも女性の方が平均寿命が長いことからもこの傾向はさらに強くなっていくことが予想されています。

高齢単身女性の貧困率が高い背景とは

ではどうして高齢者の女性単身世帯は貧困になりやすいのでしょうか。
その理由をみていきましょう。

基礎年金のみを受給している

年金はよく「二階建て構造」と言われます。

これは全員が基本的に受け取ることができる「一階部分」にあたる「基礎年金」と、「二階部分」にあたる「厚生年金や共済年金」から成り立っています。

高齢単身女性の中にはこの一階部分の基礎年金だけを受給しているということがあるのです。

基礎年金は月額満額で6.5万円ほどとなるため(2019年9月時点)、これだけでは貧困に陥ることが多くなってしまいます。
年間でも80万円前後にしかならず、貯蓄を切り崩すなどしなければ全ての生活費を賄うことは困難です。

これに厚生年金や共済年金を加えると、高齢単身女性の平均額は180万円ほどにまで上昇します。

基礎年金のみを受給している理由

では基礎年金のみを受給しているとはどういった条件の人になるのでしょうか。

例えば結婚していて夫が会社勤めをしていた場合、多くの妻は夫側の厚生年金に加入することになります、この場合は、妻も厚生年金も受給できることになります。

しかし、夫が会社勤めではなく自営業、農業、漁師などをしていた場合に夫と死別などにより女性が一人になった場合、基礎年金のみの受給となります。

また、結婚をしておらずに厚生年金を支払わない非正規雇用の仕事をしてきた場合、そのまま高齢者になると基礎年金のみの受給ということになります。

そのほか、若い時に安い賃金で働いていたり、働いていた期間が短すぎたりして厚生年金の支払いをそれほどしていなかった場合は厚生年金を受給できたとしても金額が低いものとなります。

男性の場合は若い時に仕事をして厚生年金を支払っていた可能性が女性よりも高いために高齢者になったときに厚生年金も受給できる場合が多く、女性よりも貧困率が低くなる原因となっています。

(出典:厚生労働省公式サイト)

高齢者の貧困に対する課題や必要な対策とは


高齢者になったときに貧困にならないためにはどうすれば良いでしょうか。
貧困状態にある高齢者の支援や援助なども行われていますが、自分たちで対策を立てていくということも重要です。

いくらお金が必要かを計算する

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によれば、夫婦で老後生活を送るために必要とされる日常生活費は最低でも月22万円とされています。

旅行やレジャー、子どもや孫との付き合いや世話などを楽しむ「ゆとりある老後生活」を送るためには、さらに12万8000円を上乗せして35万円ほどが必要となります。

そうなると定年後に25年間を夫婦で生活していくためには6,600万円、ゆとりのある生活を送るには1億円以上が必要ということになります。

しかし退職金やその25年間の間に受給する年金などを合わせると、老後にもらえる金額は8,000万円前後になるとされています。
ゆとりのある生活を送るためには足りないことになりますが、これは民間企業や公務員の平均退職金で計算した金額です。

公務員では安定して退職金などが支給され、計算もしやすいですが民間企業では退職金が支払われないという企業も増えてきています。
退職金の額も少しずつ下がってきているため、現役時代からある程度の貯蓄をしておくことが大切です。

(出典:公益財団法人生命保険文化センター公式サイト)

高齢者の雇用環境を改善・整備する

現在国により進められている対策は「退職年齢の引き上げ」「高齢者の再雇用」などです。

例えば公務員の教師などでも60歳で定年退職となり、希望者は65歳まで再任用という形で継続して勤務することが可能です。

また、高齢者が仕事を探すことができるツールが拡大中です。
ハローワークでもシニア向けの求人を検索することができますし、遠くではなく近隣で仕事を探す場合などは街中で手に入る求人誌にもシニア特集が組まれたりしています。

そして最近増えているのがインターネットでの求人募集です。
求人サイトは大小合わせて数百あると言われていますが、その中でも60代以上を対象としたサイトがいくつかあります。
そういったサイトを利用し、自分の経験を活かしたり希望に合った仕事を探すということが可能です。

現在の公的年金制度では少子高齢化が進むたびに給付金額が低下していくという制度になっています。
そのためこれから年金が給付される高齢者は今よりも支給金額が減少していくことが予想されるのです。

しかし定年後も働き続けて年金の受給開始を65歳以降にすることで割増しで年金を受給できるという繰り下げ受給制度があります。
高齢者が働きやすい環境を作って、就労期間を長くしていくことができれば給付額が減少することをある程度抑えることが可能となるのです。

また、勤労が困難な高齢者に対しては生活保護などのセーフティネットを強化していくことが求められています。

(出典:総務省統計局公式サイト)
(出典:公益財団法人生命保険文化センター公式サイト)

貧困な高齢者への対応を考えよう


以前は日本の高齢者は豊かであると言われていましたが、少子高齢化が進む日本では主要先進国の中でも高齢者貧困率が高い国になってきています。
高齢者になっても健康的で豊かな暮らしを送るために、セーフティネットの充実や社会環境の整備、改善などが求められています。

また、自分自身でも今からできる対策を考え、行動していくことも重要です。

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