子ども(貧困)

社会的養護とは?親と暮らせない子どもの現状や課題を簡単に解説

社会的養護という言葉を知っているものの、具体的にどういう意味なのか、なぜ社会的養護を必要とする人が発生するのか詳しく知らない人もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、社会的養護とはどういう意味なのか簡単に解説しつつ、現状の課題や問題解決のために私たちができることなどを紹介します。

社会的養護とは、簡単に説明すると「親と一緒に暮らせない子ども」および「子どもの養育に困難を抱えている、親を含めた家庭そのもの」のことです。こども家庭庁が公開している資料によると、社会的養護の対象となる児童は約4万2000人*にのぼると言われています。

なぜ日本で社会的養護が必要になる人が発生するのか、詳しく見ていきましょう。

*出典:社会的養育の推進に向けて|こども家庭庁

社会的養護とは何か簡単に解説

まずは社会的養護とは何か、定義を確認してみましょう。こども家庭庁によると、社会的養護は下記のように紹介されています。

社会的養護とは、保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。

引用:社会的養護|こども家庭庁

具体的には、下記のような子どもが社会的養護の対象となります。

  1. 親がいない、もしくは何らかの理由で親に育てられなかった子ども
  2. 虐待が行われているなど、親が育てるのが適当でないと判断され保護された子ども
  3. 障害があり、親だけでは十分に支えきるのが難しい子ども

かつては1番目の「親がいない子どもへの支援」が社会的養護の主な役割でした。しかし近年では2〜3番目のような「何らかの理由によって親が子どもを育てるのが難しい」場合も、社会的養護の対象となりつつあります。

最近では子どもへの支援だけでなく、親への支援も社会的養護の対象とする動きもあります。たとえば父親がDVを行っている場合、子どもだけでなく母親も社会的養護の対象となる場合があるのです。また障がい児そのものを支援するだけでなく、その子の両親への支援を行う動きがあります。

つまり、社会的養護とは「親がいない子ども」「親と一緒に暮らせない子ども」「支援を必要している親子」を社会的に支えていく取り組みのことを指します。

社会的養護が求められている背景

そもそもなぜ社会的養護を必要としている子どもや親子が発生するのでしょうか。背景をいくつかご紹介します。

  • ・親と死別してしまった
  • ・親から虐待を受けている
  • ・親が育児放棄している
  • ・経済的な問題により、親と一緒に暮らせない
  • ・障がいを持っており、親と一緒に暮らせない
  • ・親が介護を必要としている状態であり、周りに頼れる大人がいない

上記はあくまで一例です。社会的養護を必要とする人には様々な個別事情があり、問題の原因や解決策も人によって異なります。

ただし上記の問題を放置すると、様々な社会問題を引き起こしかねません。たとえば親と一緒に暮らせない子どもの中には精神的に不安定な状態に陥る子もいます。また塾に通ったり大学に進学したりするのが経済的に難しく、親と暮らしている子どもと比べて十分な教育を受けられない、いわゆる教育格差につながる恐れもあるのです。

また近年では「ヤングケアラー」と呼ばれる、親の介護を未成年の子どもが行っている場合があるなど、社会問題としても注目されています。ヤングケアラーの現状や問題については下記記事を参考にしてください。

>>ヤングケアラーとは?子どもが家族の世話を担う実態・事例を解説

社会的養護を受けている子どもの現状

社会的養護を必要とする子どもの数は決して少なくありません。社会的養護が必要な児童(要保護児童数)の推移は下記のとおりです。

出典:社会的養育の推進に向けて|こども家庭庁

児童養護施設や乳児院に入所している子どもは減少傾向です。一方で里親、ファミリーホームの委託児童数は増加傾向にあります。これは、社会的養護の基盤である「家族養護優先原則」が徹底され、家庭的な形態での養育が優先されている結果だということが伺えます。

「児童養護施設や乳児院を必要とする子どもは減少傾向だから、問題は改善に向かっているのではないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、こども家庭庁が公開している資料によると、虐待を受けた児童の数は増加の一途をたどっています

出典:社会的養護|こども家庭庁

虐待を受けて育つと、下記のような問題が発生しかねません。

  • ・子どもの心に傷やトラウマが残る恐れがある
  • ・子どものコミュニケーション能力や学習能力に悪影響を及ぼす恐れがある
  • ・虐待を受けて育った子どもが家庭を持ったときに、自分の子どもに虐待を行ってしまうなど悪循環が発生しかねない

このような背景から、社会的養護を必要としている人は多く存在し、重要性は依然として高いのが現状といえます。なお虐待を受けている子どもを支援するために私たちができることについては、下記記事で紹介していますので、参考にしてください。

>>児童虐待されている子どもへの支援にはどのようなものがある?

社会的養護の形

社会的養護の形としては、下記の2つに分けられます。

  1. 施設養護
  2. 家庭的養護

具体的にどのような支援が含まれるのか、詳しく解説します。

施設養護

施設養護には下記のような支援施設が含まれています。

  • ・児童養護施設
  • ・乳児院
  • ・母子生活支援施設
  • ・情緒障害児短期治療施設
  • ・児童自立支援施設 など

子どもへの支援はもちろん、母子生活の支援や障がいを持った家庭への支援など、親も含めた支援が行われる場合もあります。各施設ではどのような支援が行われているのか見てみましょう。

児童養護施設

児童養護施設とはどのような施設なのか、厚生労働省の文言を引用してご紹介します。

児童養護施設は、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童に対し、安定した生活環境を整えるとともに、生活指導、学習指導、家庭環境の調整等を行いつつ養育を行い、児童の心身の健やかな成長とその自立を支援する機能をもちます。

引用:社会的養護の施設等について |厚生労働省

つまり、死別や虐待など何らかの理由によって親と暮らせない子どもを保護して育てていくのが児童養護施設の役割です。

保育士や栄養士、心理療法担当職員など専門職員が働いており、様々な事情を持つ子どもを支援しています。看護師や嘱託医も働いているため、何らかの障がいを持っている子どもも支援することができる施設です。

乳児院

乳児院とはどのような施設なのか、厚生労働省の文言をチェックしてみましょう。

乳児院は、保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する施設です。乳幼児の基本的な養育機能に加え、被虐待児・病児・障害児などに対応できる専門的養育機能を持ちます。

引用:社会的養護の施設等について |厚生労働省

つまり、何らかの理由によって親が育てられない乳幼児を支援する施設が乳児院です。1歳前後まで入所することを前提とはしていますが、実際には2〜3歳まで支援しているケース*も多いようです。

乳幼児に適切な生活環境を提供しているのはもちろん、親向けに育児相談を行っていたり里親を希望する人への相談に乗っていたりするなど、様々な活動を実施しています。

*出典:乳児院運営指針|厚生労働省

母子生活支援施設

生活に困っている母子家庭に対して住居を提供しているのが、母子生活支援施設です。母子生活支援施設は、児童福祉法によって定められています。

第三十八条 母子生活支援施設は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。

引用:児童福祉法 | e-Gov法令検索

DV被害を受けているなど、何らかの理由で母子家庭になった、あるいは離婚の届出ができない人が多く利用しているのが母子生活支援施設です。最近では退所した人向けの支援活動も行っています。

情緒障害児短期治療施設

情緒障害児短期治療施設(通称:情短施設)は、心理的・精神的な問題を抱えている子どもに対して生活支援、心理治療を行っている施設です。施設に入所するだけでなく、家庭から通う場合もあります。

具体的には下記のような困難を抱えている子どもに対して医師、看護師などが対応に当たっています。

  • ・緘黙(かんもく:押し黙って何も喋らないこと)
  • ・登校拒否
  • ・非行(暴力・窃盗などの犯罪行為)
  • ・拒食症
  • ・夜尿症 など

児童自立支援施設

児童自立支援施設はかつて、非行に走る子どもに対応する施設でした。しかし最近では家庭環境など様々な理由により、指導が必要な子どもに対応するための受け皿としても機能している施設です。

生活指導や学習支援だけでなく、18歳を超えて退所した元児童へのアフターケアも実施しています。

家庭的養護

家庭的養護には下記のような支援方法が含まれます。

  • ・里親
  • ・ファミリーホーム

どのようなことを行っているのか見てみましょう。

里親

里親とは、保護者に代わって子どもを一時的もしくは継続的に、家族の一員として育てていく人のことです。実は里親には以下4つの種類があり、それぞれ目的が異なります。

  • ・養育里親:保護者がいない、もしくは保護者に養育させることが適切ではない子どもを育てる
  • ・専門里親:虐待を受けた、非行問題がある、何らかの障がいがある子どもを育てる
  • ・親族里親:何らかの理由によって親が子どもを養育できない場合に、親族もしくは扶養義務者が子どもを育てる
  • ・養子縁組希望里親:将来的に養子縁組になることを前提として子どもを育てる

子どもは実際に家族の一員となって里親の元で育つため、里親から愛情を受けて家庭的な雰囲気の中で育つことができます。親のいない子どもの中には精神的に不安定になる子もいますが、里親であれば実際の家庭環境に近いため、心の安定も期待できます。

ファミリーホーム

ファミリーホームとは、様々な理由によって親元で暮らせなくなった子どもが、養育里親など経験豊かな大人の元で暮らす事業のことです。

里親と似ていますが、大きな違いは「育てる児童の数が5〜6人など大人数になる」ことです。里親であれば通常は1人を育てることになりますが、ファミリーホームでは一つ屋根の下で複数の子どもを養育することになります。

そのため、ファミリーホームを開設できるのは養育里親の経験が一定以上ある方や、乳児院・児童養護施設などで一定年数勤務した経験がある人に限られます。

社会的養護を推進するうえでの課題

社会的養護の対象となる人が拡大しており、支援体制が十分に整っているとはいえない点が現在の課題といえます。

以前は、親がいない子ども、もしくは親に育てる能力がない子どもへの支援が主な目的でした。しかし現在では、上記に加えて虐待を受けている子ども、障がいのある子ども、DV被害を受けている母子、なども社会的養護の支援対象となり、支援対象者が増加・多様化しています。

そのため今後は、下記のように支援体制をより充実させていく重要性が指摘されています。

  • ・施設運営の質向上:施設による質のバラつきを抑えるため、具体的なノウハウの明文化や第三者評価を推進する
  • ・施設職員の専門性向上:適切な人材配置、職員研修システムの充実など
  • ・自立支援の拡充:進学・就職に必要な費用の支援金増額、自活に役立つ知識の教育など
  • ・関係機関の相互連携:子どもにとってより良い環境で支援を受けられるよう、必要に応じて支援を行う機関を柔軟に変更する

参考:社会的養護の課題と将来像についての論点

社会的養護を推進するために私たちができること

社会的養護を推進するために、私たち個人ができることをご紹介します。

  • ・支援団体への寄付
  • ・ボランティアへの参加
  • ・里親への応募
  • ・ファミリーホームの開設

支援団体への寄付

今すぐ手軽に実践できることとして、社会的養護が必要な子どもや家庭への支援を行っている団体への寄付が挙げられます。支援団体が活動を継続するためには、私たちからの寄付金がとても重要になります。

団体によっては助成金・補助金を受け取っている場合もありますが、これらは使途が限定されており、現場のニーズに応じた柔軟な支援活動には充てられません。しかし寄付金であれば、実情に応じて適切な支援をすぐ実践できるのです。

団体によっては活動報告を定期的にメールまたは書面で報告してくれたり寄付者向けの特典を用意したりしているケースもあります。では、社会的養護を支援している団体にはどのようなところがあるのか、具体的な団体を紹介していきます。

団体によっては一定額以上を寄付することで税金の控除を受けられる「寄付金控除」の対象団体もあります。また寄付アドバイザーのコメントも掲載していますので、寄付先選びの参考にしてみてください。

寄付アドバイザー :河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
寄り添って伴走する第三者として、各団体(NPOなど)の支援に取り組んでいます。

認定NPO法人 フローレンス:強固な組織による課題解決集団

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フローレンスはこんな人にオススメ!

  • ・これからの日本には古い価値観や仕組みにとらわれないイノベーションが求められていると思う
  • ・日本から子どもの虐待死がなくなって欲しい
  • ・障害のある子どもやその親が幸せに暮らせる社会になって欲しい

フローレンスは、親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決するため、病児保育、小規模保育園、障害児保育・支援、特別養子縁組、子ども宅食、ひとり親支援などの事業に取り組んでいます。

養子縁組の支援では、育ての親に対して研修を行ったり相談などのサポートを行ったりしています。

活動を通して、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指しています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. 新たな価値を創造するイノベーター集団、社会問題解決集団と掲げるように社会問題への「小さな解」を、事業として次々と生み出す
  2. 政治や行政と共に「小さな解」を政策にし、全国に拡散する
  3. 内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める代表理事 駒崎弘樹さんの発信力
寄付金控除の対象団体です

ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】フローレンスの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
>>フローレンスに関する記事一覧はこちら

認定NPO法人 3keys:子どもが頼れる居場所を提供

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3keysはこんな人にオススメ!

  • ・子どもへの虐待や貧困のない社会になって欲しい
  • ・子どもの悩みを打ち明けられる大人は必要だと思う
  • ・子どもにインターネットで間違った情報に触れてほしくない

3keysは、子どもの権利を守るため、子どものセーフティーネットづくり、子どもたちが自身の持っている権利や尊厳を守るための様々なコンテンツづくり、学習支援、調査及び啓発活動を行っています。

児童養護施設に対して学習支援を行ったり虐待などの悩みを抱えている子どもへの相談窓口を設けたりしているなど、「虐待や貧困によって周囲に頼れる大人がいない」子どもへの支援活動を行っています。

活動を通し「どんな環境で生まれ育っても、十分な教育や愛情が受けられる、すべての子どもの権利が保障される社会」を目指しています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. 悩みを抱える10代がインターネット上で支援団体の検索・相談ができるポータルサイト「Mex(ミークス)」を運営。2020年度は利用者が180万人、年間約8,500人がMexを通じて支援機関につながっている
  2. 思春期頃の10代の子どもたちが安心・安全に過ごせるユースセンターを運営。オンラインだけでなく、オフラインでも現場を持ち、家や学校などに頼ることが難しい子どもたちの暮らしを保障している
  3. 10年以上、虐待や育児放棄で保護された子どもたちへの支援を行っており、様々な専門家と連携した支援体制を構築できている
寄付金控除の対象団体です

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>>【実際どう?】子ども支援NPO「3keys」の気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説

>>3keysに関する記事一覧はこちら

認定NPO法人かものはしプロジェクト:子どもが売られない社会を目指す

かものはしプロジェクト

かものはしプロジェクトはこんな人にオススメ!

  • ・状況に合わせて変化していくことが大事だと思う
  • ・対処的な方法ではなく本質的な解決をしたい
  • ・楽しみながら寄付できたらより良いと思う

かものはしプロジェクトは、サバイバー(人身売買被害者)が自分の人生を取り戻すための「寄り添う」活動と、人身売買ビジネスが成り立たないような「社会の仕組みをつくる」活動をインドで行っています。

海外だけでなく、日本の子ども支援も実施しています。たとえば児童養護施設で育った若者が安心して巣立てるよう、政策提言を行ったり虐待が行わないよう「親の孤立問題」への支援を行ったりしています。

活動を通じて、全ての子どもが強制的に売られないことを目指しています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. サポーター会員は約15,000人
  2. 活動を直接聞けるイベントを平日・土日、昼・夜に対象者に合わせて定期的に開催。寄付者限定イベントもある。
  3. 「子どもがだまされて売られてしまう問題」を根本的になくす活動を展開。カンボジアでは、子どもが売られる問題の解決が実現したため事業を自立
寄付金控除の対象団体です

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>>【実際どう?】かものはしプロジェクトの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説

>>かものはしプロジェクトに関する記事一覧はこちら

認定NPO法人ブリッジフォースマイル:児童養護施設のいまが分かる情報を発信


児童養護施設を出て、自立を迫られる子どもたちを対象に「巣立ちプロジェクト」「ネットワークづくり」などを行っています。

「子どもたちがどんな環境で生まれ育っても、夢と希望を持って笑顔で暮らせる社会」を目指しています。

寄付アドバイザーが見た注目ポイント!

  1. 「子どもを取り巻く環境」「児童養護施設の現状」「施設を退所した子どもたちが困ること」など、”児童養護のいま”、がわかる情報発信をウェブサイトでしている
  2. 子どもたちのニーズを汲みながら提供するプログラムの種類も積極的に広げ、受益者も増加、支援の輪も着実に広がっている
  3. 児童養護施設などで暮らす子どもたちが、安心して社会に巣立ち、笑顔で暮らしていくための生活必需品を寄付で仲介する「トドクン」はユニーク

特定非営利活動法人 日本こども支援協会:里親同士が助け合えるコミュニティーを運営


さまざまな悩みを抱える里親に寄り添い、すべての里親がつながり・支え合う互助ネットワークをつくる団体です。

里親啓発事業や里親支援事業を通して、里親が養育に専念できる環境を整えることで、こどもと親に愛が循環する社会の実現を目指しています。

寄付アドバイザーが見た注目ポイント!

  1. 毎年10月4日に全国一斉里親制度啓発キャンペーンを実施
  2. 里親に必要な情報や、全国の里親同士の交流の場を提供するオンライン里親会を運営
  3. ラジオ等でこどもに関わる社会課題を訴える、団体代表・岩朝しのぶさんの発信力

ボランティアへの参加

ボランティア活動に参加して、社会的養護が必要な子どもを支えることもできます。支援団体によってはボランティアを募集していることがあり、参加することで困難な状況にある子どもを直接支援できます

ただし「社会的養護を必要とする子どもを支援する」という性質上、軽い気持ちでボランティアに参加するとかえって迷惑になりかねません。団体によっては継続的なボランティアへの参加を前提としていたり、事前研修への参加が求められたりする場合があります。

ボランティア活動に参加することで、支援しているという実感を強く持つことができます。ただし応募するのであれば、最後までやりきると覚悟して応募しましょう

里親への応募

里親に応募して、親と一緒に暮らせない子どもを引き取るという支援方法もあります。困難な状況にある子どもを直接引き取って育てるため、支援している実感は強く持てるでしょう。

ただし一人の子どもを育てることになるため、責任は重大です。経済的に余裕があり子どもへの愛情を持っていることは大前提です。また養育里親研修を終了していること、本人もしくは同居人が欠格事由に当てはまらないことも条件となります。

本気で里親になるつもりであれば、まずは住んでいる地域の児童相談所に相談してみましょう。

ファミリーホームの開設

条件に該当するのであれば、ファミリーホームを開設するのも社会的養護が必要な子どもを支援する方法として挙げられます。

ただしファミリーホームを開設するには、養育里親として一定以上の経験を積んだり児童養護施設などである程度以上勤務したりする必要があります

社会的養護を必要とする子どもたちへの理解を深めよう

本記事では社会的養護について、定義や現状、私たちにできる支援方法などを解説しました。

様々な要因により親と一緒に暮らせない子どもたちが、日本でも数多く存在します。また社会的養護の対象そのものにも変化があり、子どもだけでなく親への支援も重要であるという認識が広まりつつあります。

日本政府や国内の支援団体も、困っている子どもを助けようと様々なサポートを行っています。私たちも、寄付を行ったりボランティアに参加したりと、様々な方法で支援に携わることができます。ぜひこの機会に、私たちにできる支援は何か考えてみませんか。

>>社会的養護を推進するために私たちができること

▼社会的養護を必要としている子ども・親への支援を行っている団体

団体名 寄付アドバイザーが見た注目ポイント
フローレンス ・新たな価値を創造するイノベーター集団、社会問題解決集団と掲げるように社会問題への「小さな解」を、事業として次々と生み出す
・政治や行政と共に「小さな解」を政策にし、全国に拡散する
・内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める代表理事 駒崎弘樹さんの発信力
3keys ・悩みを抱える10代がインターネット上で支援団体の検索・相談ができるポータルサイト「Mex(ミークス)」を運営。2020年度は利用者が180万人、年間約8,500人がMexを通じて支援機関につながっている
・思春期頃の10代の子どもたちが安心・安全に過ごせるユースセンターを運営。オンラインだけでなく、オフラインでも現場を持ち、家や学校などに頼ることが難しい子どもたちの暮らしを保障している
・10年以上、虐待や育児放棄で保護された子どもたちへの支援を行っており、様々な専門家と連携した支援体制を構築できている

寄付先の選び方ガイド:河合将生(まさお)さん

NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー

大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。

この記事を書いた人
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