風力発電とは?発電の仕組みやメリット・デメリットについて知ろう


再生可能エネルギーは、どれもこれからを担う発電として注目されています。
その中でも特に風力発電は古くからシステムの原型はあり、日本でも徐々に導入が進められ、そのポテンシャルやメリットに期待が集まる発電方法です。

この記事では、風力発電とはどのようなものなのか、その仕組みやメリット・デメリットについて紹介します。

風力発電とは


私たちの生活は、電気やガスなどのエネルギーなしでは成り立たない社会となりました。
それは化石燃料に依存し、火力発電などでエネルギーを大量に作り続けなければ維持できない社会でもあるのです。
この火力発電をはじめ、エネルギー生産において多くの二酸化炭素が排出されて地球温暖化が深刻化しています。

この状況を打開するため、世界では二酸化炭素の排出を抑制・削減する目標を立て、それに向けた取り組みを行っています。
その中で注目を集め、導入が進められているのが、再生可能エネルギーです。
再生可能エネルギーは二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスを排出しないだけでなく、化石燃料など特別な資源を必要としないことから、国内で生産できる重要な低炭素国産エネルギー源です。

その中で風力発電は2000年以降導入量が増加し、2016年までに設備容量・設置基数が大幅に増えており、設置基数は2,000基を超え、設備要領は335.7万kW(キロワット)を記録するなど、今後も期待される発電方法です。

  • 再生可能エネルギーは、二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスを排出せず、特別な資源を必要としない国内で生産できる重要な低炭素国産エネルギー源
  • (出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」再生可能エネルギーとは 総論)
    (出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」再生可能エネルギーとは 風力発電)

    風力発電の仕組みとは


    風力発電の原理はかなり古くから存在しています。発電ではないですが、風車で有名なオランダでは昔から干拓のため、水の汲み上げに風車を利用してきました。
    風を受け、動力を生み出すという考え方は、現代の風力発電にも通ずるところがあります。それほど風力発電の原理はシンプルなものなのです。

    (出典:外務省「オランダ~日蘭通商400周年」)

    風力発電の原理と形式・システムとは

    風力発電は、風の運動エネルギーを風車、厳密には風力タービンによって回転エネルギーに変え、その回転を直接、あるいは増速機を経て発電機に伝送し、電気エネルギーに変換します。

    昔からある風車と異なるのは、技術的な進歩により、電気エネルギーへの変換ができる発電機や、回転エネルギーを増幅させる増速機などが備わっていることです。
    これにより、風の運動エネルギーからより多くの電気エネルギーを得られるようになりました。
    風車の形式や風速に適した回転速度であることなど条件はありますが、風の運動エネルギーから電気エネルギーを効率よく得られる発電方法が、現代の風力発電です。

    仕組みを理解する上で、原理以外にもう一つ重要なのが、風力発電の形式やシステムです。風力発電は、より多く発電する条件として、風を受ける方法と場所が重要視されます。
    風が持つ運動エネルギーは、風を受ける面積に比例し、風速の3乗に比例して増大する性質を持っています。
    つまり理論的には、風速が2倍になれば、風力エネルギーはその3乗の8倍になるということです。このことから、風力発電の設備をより風の強い場所に設置し、大きい翼で効率よく風を受ける必要があるのです。

    そこで風力発電の形式として、回転軸の方向による2種類の風車が生み出されました。
    一つは従来の風車のように、地面に対して水平に回転軸があり、風を受ける翼(プロペラ)が付いている「水平軸」と、地面に対して垂直に回転軸が付いており、長方形などの風を受けて回転する翼がついている「垂直軸」があります。
    この回転軸を中心として、風を効率よく受けるシステムが開発されてきました。

    陸上風力発電と洋上風力発電とは

    風力発電は陸上だけでなく洋上でも行えます。
    陸上風力発電は、別名陸上ウィンドファームと呼ばれており、強く多くの風が得られる山岳地に設置されることが多いです。
    代表的なものでは新出雲風力発電所や新青山高原風力発電所がありますが、どこも複数の風力発電機が立てられ、風を受けて発電しています。

    仕組みとしては、風力発電機で発電された電気は直流であるため、地中の送電線・通信ケーブルを通って、運転監視施設と陸上変電所に送られ交流に変換されたあと、電力系統に送られて私たちの元に送られます。

    風力発電機は沿岸に設置されることが多く、強い海風を受けて発電します。
    これも海中の下、風力発電機が設置されている海底に海底送電線・通信ケーブルがあり、そこを通って発電された直流電気が途中で洋上変電所を通り、港湾施設にある運転監視施設と陸上変電所に送られ、交流となった電気が私たちの元に送られます。

  • 風が持つ運動エネルギーは、風を受ける面積に比例し、風速の3乗に比例して増大する性質がある
  • 風力発電は陸上だけでなく洋上でも行える
  • 陸上風力発電は、山岳地に設置されることが多く、洋上風力発電は沿岸に設置されることが多い
  • (出典:環境省「地域における再生可能エネルギー事業の事業性評価等に関する手引き(金融機関向け)Ver4.1~風力発電事業編~」,2019)
    (出典:環境省「再生可能エネルギー特別報告書」)
    (出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」再生可能エネルギーとは 風力発電)

    風力発電のメリットとは


    風力発電のメリットはいくつもありますが、電力を生み出すため特別な資源を必要とせず、風が吹く場所であれば発電できるという大きなメリットがあります。
    また風の運動エネルギーの最大30~40%程度を電気エネルギーに変換するため、ある程度の風の強さがなければ、多くの電気エネルギーは得られませんが、その効率はほかの発電と比べても高効率であると評価されています。

    時間を選ばない

    風さえあれば電力を生み出せるというのは、自然環境にとっても、そして私たちにとってもメリットですが、風力発電の利点はそれだけではありません。

    風力発電は日中しか発電できない太陽光発電と違い、風さえ吹いていれば時間に関係なく発電できるというメリットがあります。
    太陽光発電に比べて設備の導入などに遅れをとっていますが、今後風力発電機の増加や洋上風力発電の導入が進んでいけば、発電量はより増加することになります。

    ほかの再生可能エネルギーと比較し、発電コストが低い

    風力発電は、多くの電力を得るために風力発電機を多数設置する大規模な発電設備と場所が必要ではあるものの、大規模な発電が可能であれば、その発電コストは火力並みであることも分かっています。
    これは変換効率の良さもありますが、陸上風力発電は、成熟した技術体系と豊富な実績があり、ほかの再生可能エネルギーと比較し、発電コストが低いというメリットがあります。

    日本は台風や地震などの災害、複雑な地形の影響を受けた乱流など風車には過酷な環境ですが、その設計や運転保守についての検証が進めば、さらにコストを抑えられる可能性もあります。
    また今後の技術開発や導入が進めば、洋上風力発電は、離岸距離が広がるほど風の状況が良いので、その海域で発電が可能になることで設備利用率が向上し、発電コストを低減させるなどのメリットが生まれます。

    環境への負担の少ない

    風力発電の大きな利点の一つに環境への負担の少なさが挙がります。
    先述したように風力発電を含む再生可能エネルギーの導入は二酸化炭素の排出削減が目的です。実際に風力発電は、資源を燃焼してエネルギーを得るわけではないため二酸化炭素は排出しません。

    また風力発電機の設置のために、山林などに機器の設置や変電所などの設備を建設する必要はありますが、火力発電所など集中型の発電所より規模が小さくなる傾向にあります。
    温室効果ガスの削減に貢献し、設備の建設による大規模な環境変化が起こりにくいという点では自然環境への負担を減らせるメリットがあります。

  • 必要な風さえ吹いていれば時間に関係なく発電できる
  • ほかの再生可能エネルギーと比較し、発電コストが低い
  • 風力発電の大きな利点の一つに環境への負担の少なさが挙がる
  • (出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」再生可能エネルギーとは 風力発電)
    (出典:環境省「地域における再生可能エネルギー事業の事業性評価等に関する手引き(金融機関向け)Ver4.1~風力発電事業編~」,2019)
    (出典:経済産業省「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」,2019)
    (出典:環境省「風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書」)

    風力発電のデメリット


    風力発電の仕組みは、風の運動エネルギーを翼(ブレード)で受け、増速機を介して発電機を回し、電気を生み出します。
    つまり風力を回転エネルギーに変え、さらに電気エネルギーに変換し、それを変電所などに送って私たちの元に届きます。
    風力発電では二酸化炭素が発生しないためクリーンで、強い風が吹く場所であれば発電が可能なので陸上だけでなく洋上でも発電が可能です。

    変換効率もよく、夜間も稼動でき、大規模な発電設備であれば火力発電並みの発電コストとなるため、経済性も確保できる可能性があるエネルギー源として期待されています。
    このようにメリットが多い発電ではあるものの、デメリットもあります。

    設置場所を選ぶ

    風の運動エネルギーを電気エネルギーに変えるということは、常に相当の強さで風が吹き続けていなければ、発電効率が悪くなります。
    そうなると設置場所も自ずと、強い風が吹く場所でなければいけません。
    また強い風が吹くとしても、常に同じ強さで吹くわけではないので、発電量が風の強さに左右され安定しないというデメリットもあります。

    加えて風力発電は翼を回すことで発電します。そのため回転による騒音が出ることもデメリットになります。
    ほかにも強風により、基礎ごと倒壊する、翼などの部品の破損や飛散する事故が起こることがあります。
    もともと風が強い場所に設置するため、台風などの強風時には、このような事故が起こる可能性があります。

    高いコスト調整などの課題

    風力発電だけではありませんが、再生可能エネルギーは火力発電のような集中型とは異なり、分散型なので各地に設備を作る必要があります。
    そのため、風力発電機や変電所など設備一式を準備し設置すると、相当のコストがかかります。

    また強風による破損などの問題も抱えていることから、メンテナンスや修理などによるコストもかさむ可能性があります。
    日本の風力発電のコストは、導入量の増加に伴い低下しているものの、まだまだ高止まりの状態です。
    風力発電を行う環境の調査など、環境アセスメントの迅速化や地元調整など、開発段階での高いコストも課題です。

    風力に左右される

    風力発電のもう一つのデメリットとして、風の強弱などで出力が左右されることが挙げられています。
    この出力変動は、電力系統の出夏や周波数を変動させるので、需給バランスに悪影響を及ぼすという問題点があります。
    今後、電力系統の変動に対応し、需給バランスを維持する手段を得ることが課題です。

    騒音

    風力発電において騒音は、しばしば挙がる問題です。騒音は翼(ブレード)の風切り音と、増速機の歯車からの機械音が問題になります。
    このような騒音は特定の周波数高調波成分を持ち低周波振動を伴うので、音の強さ(音圧)が下がっても耳障りとなる可能性があります。

    翼や増速機の改良だけでなく、設置場所の選択を含めた対策が必要ですが、風の強さも含めた条件に合致する設置可能な土地が限られてきますし、環境アセスメントや地元調整などのコストが増加することになるため、コスト問題にも関わってきます。

    部品の破損や飛散

    コスト問題にも出てきましたが、風力発電は風の影響を大きく受けます。
    それが風力発電機の耐久力で耐えられればいいですが、風の強さによっては基礎が倒壊する、ブレードやナセルカバーと呼ばれる部品の破損や飛散する故障もあります。

    また風力発電機は支柱が高く、標高が高い開けた場所に設置されているため、落雷事故はしばしば起こる問題です。

    強風や落雷

    落雷の衝撃はブレードの構造上のダメージや電気制御部品への損傷を与えることがあり、運転中断を余儀なくされることも少なくありません。
    このような強風や落雷に対して、日本の自然特性に起因する被害を低減させるためのガイドラインの策定や、風条件の設定と評価方法、台風や乱流対策、避雷設備や表面被覆を含めた落雷対策などを設けることが課題となっています。

  • 風力発電は、相当の強さで風が吹いていなければ、発電効率が悪くなる
  • 騒音問題は、翼や増速機の改良だけでなく、設置場所の選択を含めた対策が必要
  • 強風や落雷によって部品の破損や故障することがある
  • (出典:経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」再生可能エネルギーとは 風力発電)
    (出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室「日本の風力発電の現状から見る再生可能エネルギーの課題」,2018)
    (出典:環境省「風力発電施設から発生する騒音に関する指針について」,2017)
    (出典:環境省「2-2.風⼒発電設備導入に係るリスクとその対策」,2017)
    (出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室「日本の風力発電の現状から見る再生可能エネルギーの課題」,2018)

    家庭用の風力発電とは


    風力発電は、主に大規模な発電施設を作ることで、より多くの発電量を確保できます。
    中大規模システムになると、経済性を確保するため平均で風速5~6m/s(メートル毎秒)の適した風が吹く場所を選び建設をする必要があります。

    そのため山林や洋上にいくつもの巨大な風力発電機を立てるイメージがありますが、実はこれほど大規模でなくても風力発電を行うことが可能です。
    あくまで発電量を補うため、経済性を確保できる中大規模の設備であれば、それに見合った施設と条件が必要なだけで、家庭の電力の補助として使うのであれば、それほど大きな設備は必要ありません。

    家庭で用いられる再生可能エネルギーは太陽光発電がその大部分を占めていますが、小型風力発電も販売されており、実際に導入されているところもあります。
    「民生用小型風力発電システム」と呼ばれ、各メーカーや輸入販売店から市販されています。
    これまではシステムの関係上、民生用の風力発電は商用電力系統と連係しない、つまり一般的に使われる電力会社からの電力供給と連係できない独立型のシステムとなっていました。

    これにより電気機器に電力を供給するためには蓄電池や充放電コントローラ、インバータなどの併設が必要であり、発電電力の利用が限定されることから、周辺機器などのコストが高くなる傾向にありました。
    そのため民生用風力発電システムを導入しても、屋外照明や山間部での利用などに留まっていました。現在はインバータなどを必要としない系統連係型の小型風力発電システムが実用化され、低コスト化が可能となっています。

    また中大型ほどの発電効率は見込めないものの、小型は風速2~3m/sほどの弱風でも発電が可能であることから、騒音も小さく、市街地など人が多く住む地域でも導入が可能であるというメリットがあります。

  • 電力会社からの電力供給と連係できない独立型のシステム
  • インバータなどを必要としない系統連係型の小型風力発電システムが実用化され、低コスト化が可能
  • 小型であれば風速2~3m/sほどの弱風でも発電が可能で、騒音も小さい
  • (出典:環境省「民生用小型風力発電システム」,2011)

    風力発電とは自然環境が生み出す資源の一つ


    風力発電の導入はまだまだこれからですが、メリットや現在の技術開発から今後が期待できる再生可能エネルギーの一つです。
    風は吹くだけでエネルギーを作れる資源の一つと考えられるようになりました。
    それは古くからある風車のおかげでもありますが、課題をクリアし、普及が進めば、日本の電力事情を変えることができる可能性があるでしょう。
    また太陽光発電と同様に私たちも今後導入がしやすくなるかもしれないことから、目が離せないエネルギー源です。

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