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SDGs「すべての人に健康と福祉を」の達成のために、感染症になる子どもたちに必要な対策や支援とは

 SDGs「すべての人に健康と福祉を」の達成のために、感染症になる子どもたちに必要な対策や支援とは

SDGs目標3の「すべての人に健康と福祉を」では、あらゆる年齢のすべての人の健康な生活を確保し、福祉を増進することが課題となっています。

しかし、医療格差があるとことで貧しい地域の子どもたちは必要な医療を受けることができずに命を落としていますし、先進国と途上国では、医師一人当たりの患者数に大きなひらきがあります。

こうした医療格差をなくし、すべての人に健康と福祉を与えるためには、どうしたら良いでしょうか。

この記事では、SDGs目標3の「すべての人に健康と福祉を」を実現するためにどのような対策と支援が必要であるのかについてわかりやすく解説します。

世界の医療格差とは


医療格差とは、医療におけるあらゆる格差のことを言います。
世界には医療格差が様々な地域において存在しており、その程度もそれぞれ異なります。

程度の差こそありますが、どんな国にも医療格差は存在しています。
そして、医療格差の代表的な例が、医療サービスに対するアクセスのしやすさです。

各国内で人々がどの程度の医療サービスにアクセスできるかは、各人の生まれ、育ち、生活する環境、職業や年齢に左右されますが、それと同時に、政府による医療支出の多寡や、医療従事者育成のための投資などによっても影響を受けます。

こうした結果、その人の資質とは関係なく、医療サービスを受けられない可能性があるのです。
特に、貧困に陥ったときに、病気となっても医療サービスが受けることができないという現状があり、途上国においては、経済的な理由から医療サービスの提供を受けられないというケースが少なくありません。

先進国でも見られる医療格差

医療格差は途上国だけでなく先進国においても存在しています。

たとえば、国民皆保険制度がないアメリカでは、収入格差がそのまま医療格差につながっており、収入が少ない人は病気になったとしても、十分な医療サービスを受けられない人が多い状態です。

日本においても医療格差は問題となっています。
医師不足の度合いは地方と都市部とで異なりますが、地方のなかでも県庁所在地とそれ以外の地域の差が大きくなっていることから、ここに医療格差が存在していると言われています。

そのため、先進国のように医療環境が整っていたとしても、満足に医療サービスを受けられない人がいるのです。こうした不公平を是正することで、医療格差を少しでもなくしていく取り組みが重要となります。

健康格差とは


格差があるのは医療だけではありません。各個人の健康についても格差があります。

健康格差とは、人種や民族、社会経済的地位による健康と医療の質の格差のことを言います。

健康は、私たちが豊かで幸福な人生を送るための土台となるものですが、健康であるか否かは、本人の責任ではなく、社会が引き起こしている社会的決定要因によって変わります。

健康は、遺伝子や生活習慣など生物学的要因だけで決まるわけではありません。個人の所得や家族状況、友人・知人とのつながり(社会的ネットワーク)などの「個人の社会・経済要因」と、国の政策や職場・コミュニティーでの人のつながりの豊かさ(ソーシャル・キャピタル)を含む「環境としての社会要因」によって、個人の健康状態は大きく変わるのです。

ということは、生まれついた社会によって健康格差も生じることになるため、健康の問題は、本人の責任ではなく、社会が引き起こしている不公平の問題として捉えられることもあります。

こうした健康格差を生み出す社会的要因が原因となり、健康格差が生まれます。
健康格差を是正するためには、どこにどの程度の格差があるか、社会的要因は何かを「見える化」し、今までの知見から効果が期待できる対策をし、その効果を検証して、有効な手立てを立てなければなりません。

健康格差が生まれてしまう原因は?

「健康格差」が生まれてしまう原因は様々です。以下では、健康格差が生まれる社会的要因について説明していきます。

所得

格差があるのは医療だけではありません。各個人の健康についても格差があります。

健康格差とは、人種や民族、社会経済的地位による健康と医療の質の格差のことを言います。

健康は、私たちが豊かで幸福な人生を送るための土台となるものですが、健康であるか否かは、本人の責任ではなく、社会が引き起こしている社会的決定要因によって変わります。
例えば、個人の所得や家族状況、友人・知人とのつながり(社会的ネットワーク)などの「個人の社会・経済要因」と、国の政策や職場・コミュニティーでの人のつながりの豊かさ(ソーシャル・キャピタル)を含む「環境としての社会要因」によって、個人の健康状態は大きく変わるとされています。

ということは、生まれついた社会によって健康格差も生じることになるため、健康の問題は、本人の責任ではなく、社会が引き起こしている不公平の問題として捉えられることもあります。

こうした健康格差を生み出す社会的要因が原因となり、健康格差が生まれます
健康格差を是正するためには、どこにどの程度の格差があるか、社会的要因は何かを「見える化」し、有効な手立てを考えていく必要があります。

地域

各人の健康状態は、その人が住んでいる地域によっても影響を受けます。
イギリスやアメリカなどの格差の大きい国では、所得格差の大きい地域に住んでいる人に不健康な人が多いことが明らかとされています。

日本においても、所得格差の大きい都道府県に住んでいる人ほど、主観的健康度と幸福感を感じにくいと言われています。

主観的健康度とは、医学的な健康状態ではなく、自らの健康状態を主観的に評価した指標として用いられています。数字やデータなどに基づいた客観的指標ではないため、医学的な健康状態と一致するものではありません。

雇用形態

雇用形態も各人の健康状態に大きな影響を及ぼします。

例えば、男性ではパートタイマー、女性では派遣・契約社員が、最も高い割合で心理的ストレスを感じていると言われています。
これは、非正規雇用者に対する企業の福利厚生は手薄であったり所得の低さに応じてストレスが発生していると考えられます。

家族形態

家族形態も各人の健康状態に影響を与える要因です。

例えば、未婚男性と既婚男性を比べると、心筋梗塞や呼吸器系疾患など、未婚男性の方が様々な原因による死亡リスクが高くなると言われています。

他にも、未婚者が既婚者に比べ、健康に大きな不安を抱えているといえる調査結果があり、こうした結果は家族形態が各人の健康に影響を与えていることがわかります。

(出典:『健康格差 あなたの寿命は社会が決める』(講談社))

途上国の医療事情


先進国における健康状態には上で説明したような要因が関わっていましたが、途上国においては、先進国とは事情が異なります。

たとえば、途上国では子どもや妊婦の死亡率が高くなっています。
ユニセフ(国連児童基金)、世界保健機関(WHO)、国連経済社会局(UNDESA)の人口部門および世界銀行グループにより構成される国連の「死亡率推計に関する機関間グループ(IGME)」は報告書を発表し、2017年では5歳未満で亡くなる子どもが年間540万人にものぼり、その約半数が、生後28日以内の新生児であることを示しています。

この調査では、2017年の世界の5歳未満児死亡の半数がサハラ以南のアフリカ地域で、さらに30%が南アジア地域で起きていることも明らかとされています。

サハラ以南のアフリカあるいは南アジアに生まれた子どもが生後1カ月間に命を落とす確率は、高所得国に生まれたこどもの9倍です。
そして、5歳未満で亡くなる子どもの死因のほとんどが出産時の合併症、肺炎、下痢、新生児敗血症、マラリアなどです。

こうした感染症や病は先進国であれば治療可能なものばかりですが、途上国においては致命的な病となる傾向があります。
同じ国の中でも根強く格差が存在します。村落部に暮らす5歳未満児の死亡率は、都市部に暮らす子どもたちよりも平均50%高くなっています。

また、子どもの死亡率と同様に高いのが妊産婦の死亡率です。国連の機関間グループIGMEが2015年に発表した報告書では、世界の妊産婦死亡数は年間30万3,000人であり、毎日830人の妊産婦が死亡している計算になると報告されています。

サハラ以南のアフリカ地域はとりわけ状況が悪く、全妊産婦死亡数のうちの66%にあたる20万1,000人が亡くなっており、南アジア地域も22%、6万6000人の大きな数値が報告されています。

(出典:死亡率推計に関する機関間グループ(IGME)『2018年度版 子どもの死亡における地域(開発レベル)別の傾向』,2018)
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
(出典:IGME, 2015, 『妊産婦死亡の動向:1990-2015)

5歳未満で亡くなる子どもたちの多くが途上国

5歳未満で亡くなる子どもたちの多くが途上国で亡くなっています。

しかも、その死因のほとんどが適切な医療サービスを受けることができれば治癒することができる、肺炎・下痢・新生児敗血症・マラリアです。

こうした治療は適切な予防措置としてワクチンを打つことで未然に防ぐことができますし、適切な治療がされれば治癒できるものです。

しかし、5歳未満で亡くなる子どもたちの多いアフリカには十分な数の医師や医療従事者がおらず、薬を手に入れることさえできていません。

世界の三大感染症とは


SDGs目標3の「すべての人に健康と福祉を」を実現するためには、世界的に問題となっている3つの感染症を撲滅することも含まれています。その3つとは、HIV/エイズ、結核、マラリアです。

以下では、それぞれについて簡潔に説明していきましょう。

HIV/エイズ

HIVはHuman Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のことを指し、カビやウイルスなどの病原体から人の体を守る免疫細胞に感染するウイルスです。

そしてHIVは免疫細胞に感染すると、細胞の中で増殖します。そのために細胞が減少し普段は感染しない病気にも感染しやすくなったり、様々な病気を発症します。
この病気のことをエイズ(AIDS:Acquired Immuno-DeficiencySyndrome、後天性免疫不全症候群)と呼びます。

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」では、2030年までに「エイズ・結核・マラリアなどの流行をなくす」ことをターゲットとしています。

エイズは青少年(10〜19歳)の主な死亡原因となっており、アフリカで第1位、世界的には第2位です。

2017年時点において、HIVと共に生きる人は世界全体で推定3,690万人もいます。
そのうち、180万人の若者(10〜19歳)が、HIVと共に生きており、18万人の子ども(0〜14歳)が、新たにHIVに感染したと推計されています。

このうち、エイズに関連した死亡は推定94万人とされ、依然として多くの方がHIVによって命を落としています

(出典:日本ユニセフ 公式サイト)

結核

結核は世界の10大死因の一つに数えられる病気で、細菌(結核菌)によって起こり、多くは肺で発症する病気です。

肺結核の人が咳やくしゃみをしたり、つばを吐いたりした時に、空気中に結核菌をまき散らしたりすることで、空気感染によって人から人に広がります

世界の総人口の約4分の1は、結核菌に潜伏感染しているものの、発症はせず、他の人に感染させることはありません。

HIV感染者、栄養失調者、糖尿病患者、喫煙者などの免疫系が低下している人々は、発症リスクがずっと高くなります。
実際、2016年には1,040万人が結核に罹患し、170万人が結核で死亡しています(HIV感染者40万人を含む)。

結核による死亡者の95%以上は低所得国と中所得国で発生しており、インドを筆頭に、次いで、インドネシア、中国、フィリピン、パキスタン、ナイジェリア、南アフリカ共和国の7か国で、全体の64%を占めています。

2030年までに結核の流行を終結させることが、持続可能な発展目標における健康上の到達点となっています。
(出典:厚生労働省検疫所FORTH公式サイト)

マラリア

マラリアは、マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する病気です。2018年11月に公表された統計によると、1年間に約2億2000万人が感染し、推計43万5,000人が死亡しています。

1週間から4週間ほどの潜伏期間をおいて、発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出る病気です。
感染した地域やマラリアの種類によって使用する薬剤が異なるので、マラリアの症状が出ている場合には、すぐに適切な医療機関で治療を受ける必要があります。

(出典:厚生労働省検疫所FORTH公式サイト)

子どもたちの命を救うために必要な支援・対策は?


SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を実現し、子どもたちの命を救うためには、どうすればよいのでしょうか。
以下では子どもたちを救うために必要となる対策について説明します。

水・衛生環境の改善

途上国などに生きる子どもたちは、不衛生な水と衛生環境に頼って生きています。
これらの地域においては、水汲みは子どもたちの仕事です。子どもたちは池や川、湖、整備されていない井戸などから水を汲んでいます。

それらの不衛生な水を摂取した結果、抵抗力の弱い子どもたちはたちまち下痢を起こしてしまいます。
下痢は子どもたちの命を奪っている病です。清潔な水を飲むことができるように井戸を整備し、トイレなどの衛生環境を整えていくことが必要です。

医師不足の解消・医療従事者の増員

また、このような地域では深刻な医師・医療従事者不足に陥っていることが多くあります。
医師になるためには、膨大な時間とコストがかかるため、こうした問題をすぐに解決することは非常に困難です。

医師不足を解消するためには、政府による資金の適切な配分が必要となります。そうしなければ、医師不足は解消されないばかりか、医療従事者を増やすことはできません。

教育支援

途上国をはじめ、貧困な地域で暮らす子どもたちは十分な教育を受けることができていません。
教育は、貧困から抜け出し、自分自身で未来を切り開く力となるものです。

子どもの数に対して、学校の数が足りない、家計を支えるため子どもが働いている、学費や教材費が払えないといった理由から、子どもたちが学校に通えずにいます。

こうした状況を改善するためには、教育支援を行い、学習の機会を増やしていかなければなりません。

医療を受けられない人々のために私たちができることとは


医療にアクセスできない人たちのために、私たちができることはたくさんあります。
ここからは、満足な医療サービスを受けられない途上国の子どもたちのために私たちにできることについて説明していきましょう。

寄付・募金

日本にいながら途上国の子どもたちを支援するためには、寄付・募金が身近でやりやすい方法です。
途上国の子どもたちを支援する方法としての寄付には2つの種類があります。
以下では、それぞれの寄付方法について説明していきます。

継続寄付

継続寄付は定期的に一定の金額を寄付することで、長期的な支援が必要な途上国の子どもたちの成長をサポートできる寄付方法です。

継続寄付をする場合、通常、クレジットカードによる支払いと自動引き落としの方法があります。

都度寄付

都度の寄付は、自分のタイミングで自由にその都度寄付をする方法です。

まだどれくらいの金額を寄付できるかわからないというときでも、都度寄付であれば、負担にならない範囲で何度でも寄付をすることが可能です。

ボランティア

子どもたちを救うためにボランティア活動をすることもできます。
ボランティアは海外で活動することも可能ですが、時間や環境の制約があるため、できる人が限られます。
そういうときは、日本で啓蒙活動をするボランティアや寄付や募金活動を周知するボランティアなどに参加するのが良いでしょう。

途上国の人々のための募金を呼びかけたり、イベントに参加したりすることによって、途上国の医療問題についてより深く知ることができますし、まだ途上国の医療問題について知らない人にも問題を周知することができます。

理解を深め周囲に広める

SNSなどで途上国の医療問題について発信することも、子どもたちを救うための大切な行動です。

途上国の人々に対する理解が深まることで、多くの人が寄付しようという気になったり、間違った理解を改めることができます。

途上国の問題について多くの人が正しく理解するようになれば、問題の解決に必要なアイデアや新しい活動が生まれる可能性があります。

世界の医療・健康格差について現状を知り、できることを考えよう


SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を達成するためには、一人ひとりが行動することが重要です。

SDGsの目標を達成するために、各国が様々な取り組みを行っていますし、企業や組織も積極的にSDGsの活動を推進しています。

しかし、本来、SDGsの課題を実現するためには、私たち一人ひとりの活動が重要です。どんなに国がSDGsを推進しようとしても、それを担う私たちの理解が浅ければ、SDGsの活動は盛り上がりません。

まずは始めやすい方法から、満足な医療を受けられない人々のために、アクションをしてみてはいかがでしょうか。

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