子ども(貧困)

こども家庭庁とは?何をするところなのか、わかりやすく解説

「こども家庭庁ってどんな組織?」
「どんなことに取り組んでいるの?」

このような疑問を持っている方に向けて、この記事では下記について内容を紹介します。

  • ・こども家庭庁の概要
  • ・こども家庭庁の取り組み
  • ・こども家庭庁が発足した背景

こども家庭庁は子どもにまつわる行政の担当を一本化し、社会全体で子どもを育てることを目指して発足した行政機関です。

政治だけでなく、私たち個人が子どもを支援するためにできることも紹介しています。ぜひ最後までご一読ください。

また「子どもの貧困問題」については下記記事でも言及しております。日本の子どもの貧困問題はもちろん、海外の子どもの貧困についても取り上げていますのでぜひご一読ください。

>>子どもの貧困問題とは?国内・海外で貧困に苦しむ子どもが増えている現状や支援方法とは

※この記事は2023年5月時点の情報です。

こども家庭庁とは?いつから発足したの?

こども家庭庁は2023年4月1日に、「こどもまんなか社会」の実現を目的として発足しました。「こどもまんなか社会」とは、「常にこどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据え」*ることを意味します。

これまで、子どもに関する取り組みは厚生労働省、文部科学省、内閣府など様々な省庁に分散されていました。こども家庭庁はそれらを一本化し、縦割り行政を解消することが期待されています。

また、こども家庭庁発足と同時にこども基本法が施行されました。この法律は、こども施策の基本理念を明確にしたもので、国や自治体に対し、子どもや若者の意見を聞くことを義務付けています。

*出典:こども政策の新たな推進体制に関する基本方針のポイント|厚生労働省

こども家庭庁がこれから取り組むこと

こども家庭庁は2023年4月に発足し、いくつかの取り組みが準備段階にありすでにスタートしているものもあります。

こども家庭庁の3つの取り組みを紹介します。

  • ・「こどもファスト・トラック」の開始
  • ・「こども若者★いけんぷらす」の開始
  • ・「こどもまんなかフォーラム」の実施

「こどもファスト・トラック」の開始

「こどもファスト・トラック」とは、公共施設や商業施設などの受付において、妊婦や子ども連れを優先する少子化対策の一環です。

2023年のゴールデンウィーク前後には、全国の運転免許窓口や日本科学未来館や国立科学館などの博物館、海の中道海浜公園など複数の公営公園などで実施されました。

「こども若者★いけんぷらす」の開始

「こども若者★いけんぷらす」とは、子どもや若者が様々な方法で自分の意見を表明し、社会に参加できるようにする取り組みです。

子どもや若者が政策決定プロセスに主体的に参加する機会を作ることで、制度や政策をよりよいものにするだけでなく、子どもや若者の意見を聞くことの大切さについての理解を社会全体に広げることを目的としています。

取り組みに参加するためには「ぷらすメンバー」への登録が必要です。2023年4月の時点で、小学1年生世代から20代までの方が対象となります。意見を伝える方法はリアルやオンラインでの対面、Webアンケートやチャットなどがあります。

ぷらすメンバーの意見は各省庁の担当する職員がかならず確認し、意見をどのように反映したか、あるいは反映されなかった理由がフィードバックされます。

「こどもまんなかフォーラム」の実施

こども基本法では、政府全体のこども施策の基本的な方針や重要事項を定める「こども大綱」を策定することを政府に義務付けています。

「こどもまんなかフォーラム」とは、その「こども大綱」の策定に向け、大臣などが直接子どもや若者などから意見を聴くために開催した公開討論の場です。

2022年9月から2023年1月までの間に6回開催されており、小学生から大学生、また若者主体の団体や若者を支援している団体などが参加しています。

「こどもまんなかフォーラム」の内容は内閣官房のホームページやYouTubeで確認できます。
>>内閣官房HPのこどもまんなかフォーラムのページへ
>>YouTubeのこども家庭庁公式チャンネルへ

こども家庭庁が発足した背景

なぜ、こども家庭庁が発足することになったのでしょうか。2つの背景を紹介します。

  • ・行政の縦割りによる弊害
  • ・少子化の対策

行政の縦割りによる弊害

こども家庭庁ができるまで、子どもに関する所管は複数の省庁に分かれていました。例えば、いじめや不登校は文部科学省、ヤングケアラー対策は厚生労働省、子どもの貧困対策は内閣府が所管していました。

そのため、子どもをめぐる問題に対して適切な措置が迅速に行き届かないという縦割り行政の問題が指摘されていました。それを解消するために発足したのがこども家庭庁です。

日本の子どもを取り巻く状況は必ずしも良好とは言えません。

2022年の厚生労働省の調査によると、子どもの貧困率は11.5%で9人に1人が貧困状態にあります。

子どもの貧困率は2012年(16.3%)以降、改善傾向にあります。これは行政や各支援団体の取り組みが実を結んでいると言えます。しかしまだ、子どもの9人に1人が貧困状態というのは見逃せない状況です


出典:2022年 国民生活基礎調査|厚生労働省

また、児童虐待の相談件数も年々増加傾向にあります。


出典:令和3年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数|厚生労働省

ほかにもいじめや不登校、ヤングケアラーなど子どもをめぐる社会問題は枚挙にいとまがありません。これらの解決には福祉や医療、教育など様々な分野から多角的な支援が必要な場合もあります。

新しく発足したこども家庭庁が子どもの社会問題に対し包括的に取り組み、必要に応じて他の省庁と連携することによって子どもを取り巻く環境が改善されることが期待されているのです。

少子化の対策

内閣府の調査によると、2020年の日本の総人口はおよそ1億2500万人で、2060年にはおよそ9300万人まで減少すると試算されています。

2022年に生まれた赤ちゃんの数は1899年の統計開始以来初めて80万人を下回りました*。社会保障制度や国家財政を維持するためには少子化対策が必要です。


出典:令和3年度 少子化社会対策白書|内閣府 

少子化の原因として内閣府は未婚化や晩婚化を挙げています。さらにその背景には仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れや子育てに対する不安感、経済的な不安などが指摘されています。

その対策として政府が取り組んでいるのが、育休取得の奨励や保育サービス・児童手当の充実などによる子育てしやすい環境の整備です。

こども家庭庁は「結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられる社会」の実現を目指し、各ステップで個人のニーズに応じた支援に取り組むことで少子化対策に寄与することが期待されています。

*出典:人口動態統計速報(令和4年12月分)|厚生労働省 

日本の子どもを支援するために私たちができること

個人でも日本の子どもを支援するためにできることがあります。ここでは3つ紹介します。

  • ・自分の意見を発信する
  • ・ボランティアに参加する
  • ・こども支援を行っている団体に寄付する

自分の意見を発信する

子どもに関する社会問題について、自分の意見を発信することはとても重要です。なぜなら、意見を発信しなければそもそも解決すべき問題として社会に認識されないからです。また、自分の意見を発信し認知されることで政策に反映されるチャンスも生まれます。

小学1年生から20代までの対象年齢であれば、こども家庭庁の「こども若者★いけんぷらす」に参加して自分の意見を政府や自治体に伝えることができます。「こども若者★いけんぷらす」については下記の見出しをご覧ください。

>>「こども若者★いけんぷらす」の開始

大人は「こども若者★いけんぷらす」に参加することができませんが、首相官邸ホームページから政治に対する意見を伝えることが可能です。

その他にはSNSで発信するという方法もあります。ただし、SNSの場合には誤った情報を拡散してしまったり、誹謗中傷の被害を受けたりするリスクがある点は考慮しなければなりません。

SNSで情報発信するときは誤った情報でないかどうか、投稿前に一度立ち止まって考えることをおすすめします。

ボランティアに参加する

日本の子どもへの支援を行っている団体の活動にボランティアとして参加することで、子どもを支援することが可能です。たとえば子ども食堂や子どもの学習支援ボランティアへの参加など、様々な支援の方法があります。

また、自分自身が直接子どもを支援するボランティア活動に従事しなくても、団体の事務などのサポート業務を担当することで専門の職員が子どもの支援に集中しやすくなります。

こども支援を行っている団体に寄付する

日本の子どもへの支援を行っている団体に寄付することで、子どもへの支援につながります。

団体は国や自治体から助成金を受けているものもありますが、用途が限定されているケースがほとんどです。寄付金であればニーズに合わせて柔軟に子どもへの支援に活用できます。

食べ物や衣類、ランドセルなどモノを寄付する方法もあります。ただし、管理や輸送のコストの問題から受け付けていない団体もあるので事前の確認が必要です。

お金の寄付は多くの団体が受け付けており、団体が必要に応じてモノを購入できるのもメリットです。

ただし、中には「寄付してはいけない団体」もあるのでご注意ください。寄付先を選ぶ際のポイントは下記の記事で紹介しています。

>>寄付してはいけない団体は本当にある?寄付先を選ぶときのポイントを3つ紹介!

また下記では、gooddoマガジンがおすすめする日本の子どもへの支援を行っている寄付先団体を3つ紹介します。

寄付アドバイザーの河合さんのコメントも掲載していますので、寄付先選びの参考にしてください。

寄付アドバイザー :河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
寄り添って伴走する第三者として、各団体(NPOなど)の支援に取り組んでいます。

認定NPO法人 カタリバ:ナナメの関係で支援者と伴走

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カタリバ

カタリバはこんな人にオススメ!

  • ・教育の可能性や重要性を信じている
  • ・実績や社会的な信頼は大事だと思う
  • ・家庭や学校で困難を抱える子どもでも、成長の機会を得られる社会になってほしい

カタリバは、自身ではどうすることもできない家庭環境などの課題を抱える子どもたちを対象に、居場所・学習・食事を地域と連携しながら届ける活動などを行っています。

活動を通じて「すべての10代が意欲と創造性を育める未来」の実現を目指しています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. 「ナナメの関係という共成長モデル」「10代に伴走」「個人の成長を支える強い組織文化」が強み
  2. 安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供学習支援、探求学習の実践支援などの活動を、全国で展開
  3. 活動に関わった10代の声の紹介、カタリバの仲間紹介、支援者/企業紹介など、いろんな人や支援者の関わりの特徴が伝わってくる
寄付金控除の対象団体です

ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】カタリバの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説

>>カタリバに関する記事一覧はこちら

認定NPO法人 フローレンス:強固な組織による課題解決集団

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フローレンスはこんな人にオススメ!

  • ・これからの日本には古い価値観や仕組みにとらわれないイノベーションが求められていると思う
  • ・日本から子どもの虐待死がなくなって欲しい
  • ・障害のある子どもやその親が幸せに暮らせる社会になって欲しい

フローレンスは、親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決するため、病児保育、小規模保育園、障害児保育・支援、特別養子縁組、子ども宅食、ひとり親支援などの事業に取り組んでいます。

活動を通して、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指しています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. 新たな価値を創造するイノベーター集団、社会問題解決集団と掲げるように社会問題への「小さな解」を、事業として次々と生み出す
  2. 政治や行政と共に「小さな解」を政策にし、全国に拡散する
  3. 内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める代表理事 駒崎弘樹さんの発信力
寄付金控除の対象団体です

ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】フローレンスの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説

>>フローレンスに関する記事一覧はこちら

認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ:全国約5,000箇所の「こども食堂」と協働

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全国こども食堂支援センター・むすびえ

むすびえはこんな人にオススメ!

  • ・子どもにとって食べることは大事だと思う人
  • ・子どもの頃から多様な価値観に触れる方が良いと思う人
  • ・子どもが食を楽しめる社会になって欲しいと思う人

むすびえは、各地域のこども食堂ネットワークの支援、社会に貢献したいと考えている企業・団体と協働でこども食堂の支援、こども食堂に関する調査・研究を行っています。

こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくることをめざしています。

寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!

  1. こども食堂の実態・効果・課題の調査や、協力関係にある全国の地域ネットワーク、企業や団体との連携協働を通して全国のこども食堂を応援している。
  2. 食材や物品を提供する企業や支援者の情報が一旦むすびえに集まることで、全国のこども食堂に対して公平に情報が届けられる
  3. 「こども食堂全国箇所数調査」や『こども食堂白書』の出版など団体自らが行う調査研究が充実している。全国のこども食堂の状況を知りたいと思ったらまず、むすびえの調査に目を通すのがおすすめ
寄付金控除の対象団体です

ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】むすびえの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説

>>むすびえに関する記事一覧はこちら

「自分の死後、残った遺産を社会のために活かしてほしい」
このように考えている方は、この機会に遺贈寄付を考えてみませんか?
生前に手続きを済ませるだけで、自分の遺産を支援団体に寄付(遺贈寄付)できます。
遺贈寄付先の選び方をチェックする

こども家庭庁に関するよくある疑問

こども家庭庁に関する、よくある2つの疑問について解説します。

  • ・何歳までが「こども」として対象になる?
  • ・こども庁とこども家庭庁の違いは?

何歳までが「こども」として対象になる?

こども基本法では、対象となる「こども」の年齢について具体的に定義していません。

こども家庭庁では18歳から20歳前後までの心と身体の発達の過程にある人を「こども」としています。

こども庁とこども家庭庁の違いは?

こども家庭庁は最初「こども庁」と呼ばれていました。名前は変わりましたが、目的や活動内容はほぼ変わっていません。

子どもを支援するにあたって家庭への支援を重視する人たちの考えを反映し、こども家庭庁という名前に変更されました。

こども家庭庁の今後の取り組みに注目

ここまで、こども家庭庁について解説しました。ここで、紹介した内容をまとめます。

  • ・こども家庭庁は2023年4月に「こどもまんなか社会」の実現を目的として発足
  • ・「こども若者★いけんぷらす」などの取り組みでこどもの意見を反映した政策づくりを目指す
  • ・こども家庭庁発足の背景にあるのは縦割り行政の弊害と少子化対策

こども家庭庁は発足したばかりで、具体的な取り組みはこれからです。

「こども家庭庁ができたから安心」ということではなく、どのような取り組みがなされどのような成果が出るのか、「こどもまんなか社会」を実現できるのかどうか社会全体で注視していくことが必要ではないでしょうか。

政治に任せるだけでなく、個人でも日本の子どもを支援するためにできることがあります。団体への寄付もその1つです。

下記の記事で実際に子どもを支援している団体やその活動内容、寄付先として選ぶ際のポイントを解説しています。寄付を検討する際はぜひ参考にしてください。

>>日本国内の子どもに寄付したい!おすすめNPO団体と選び方を専門家が紹介

▼gooddoマガジンおすすめの寄付先団体

団体名 寄付アドバイザーが見た注目ポイント
カタリバ ・「ナナメの関係という共成長モデル」「10代に伴走」「個人の成長を支える強い組織文化」が強み
・安心できる居場所の提供、学習支援、食事支援、災害時の居場所の提供や学習支援、探求学習の実践支援などの活動を、全国で展開
・活動に関わった10代の声の紹介、カタリバの仲間紹介、支援者/企業紹介など、いろんな人や支援者の関わりの特徴が伝わってくる
フローレンス ・新たな価値を創造するイノベーター集団、社会問題解決集団と掲げるように社会問題への「小さな解」を、事業として次々と生み出す
・政治や行政と共に「小さな解」を政策にし、全国に拡散する
・内閣府「子ども・子育て会議」委員を務める代表理事 駒崎弘樹さんの発信力
むすびえ ・こども食堂の実態・効果・課題の調査や、協力関係にある全国の地域ネットワーク、企業や団体との連携協働を通して全国のこども食堂を応援している。
・食材や物品を提供する企業や支援者の情報が一旦むすびえに集まることで、<strong>全国のこども食堂に対して公平に情報が届けられる
・「こども食堂全国箇所数調査」や『こども食堂白書』の出版など団体自らが行う調査研究が充実している。全国のこども食堂の状況を知りたいと思ったらまず、むすびえの調査に目を通すのがおすすめ
寄付先の選び方ガイド:河合将生(まさお)さん

NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。
この記事を書いた人
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