ロヒンギャ難民とは?問題の原因や彼らの生活、必要な支援について詳しく解説


ミャンマーからバングラデシュに70万人以上のロヒンギャ族の人々が避難しているといわれています。
多くの難民を生み出したロヒンギャの問題について、その発端や現状、難民に対して行われている支援などについて説明します。

(出典:国連UNHCR 「ロヒンギャ難民危機から2年 水と、尊厳と、希望を届けるために」)

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ロヒンギャとは?


一般的に「ロヒンギャ」という言葉が指すのは、ロヒンギャ語(ベンガル語のチッタゴン方言の一つ)を話すミャンマーのイスラム系少数民族のことを指し、英国内務省の2017年の資料によると人口は推定200万人とされています。

ロヒンギャという言葉はもともとは「ラハム」であったものが「ローハン」に変わり「ロヒンギャ」と変わったとされていますが、正式名称ではないために日本の外務省では「ベンガル系イスラム教徒のロヒンギャ」と表記しています。

ミャンマーのバングラデシュに近い地域に居住していたロヒンギャ族は、現在はバングラデシュに避難していたり、ミャンマーに戻ったりしているために居住地域は両国にまたがっています。

  • ロヒンギャとは、ロヒンギャ語を話すミャンマーのイスラム系少数民族とされており、人口は推定200万人
  • ロヒンギャという言葉は正式名称ではないために日本の外務省では「ベンガル系イスラム教徒のロヒンギャ」と表記されている
  • ロヒンギャ族はバングラデシュに避難していたり、ミャンマーに戻ったりしているために居住地域は両国にまたがっている
  • (出典:財務省財務総合政策研究所「ロヒンギャ問題の歴史的背景」,2018)
    (出典:外務省「バングラデシュ人民共和国」,2019)
    (出典:英国内務省「国別政策及び情報ノート ビルマ:ロヒンギャ」,2017)

    ロヒンギャ難民問題とは?


    ロヒンギャの難民問題は近年問題が深刻になっており、その歴史は第二次世界大戦後までさかのぼります。

    1948年、ビルマ(現在のミャンマー)はイギリスから独立。ビルマ西部に位置するラカイン地方から選出されたムスリム議員が複数存在しており、ロヒンギャの保護を主張していました。当時のウー・ヌ政権は、ラカイン北西部にあったロヒンギャ集住地域を中央政府の直轄地にして、ラカイン人仏教徒から彼らを保護しようと考えていたのです。

    しかし1962年に起こった軍事クーデター以降、状況は一変。国軍主導のビルマ民族中心主義と、それに基づく中央集権的な社会主義体制(ビルマ式社会主義)によって、ロヒンギャに対する扱いが急速に差別的になりました。不法移民対策と称してロヒンギャ族への抑圧を強め、その結果、1978年には20 万人から 25 万人規模の難民流出を引き起こすこととなったのです。

    そして1982年に法改正が行われ、改正国籍法(現行国籍法)が施行されました。これにより、ロヒンギャは「土着民族(=正規国民)」でないことが合法化しました。
    つまり、ロヒンギャであることを主張する人は一律に外国人とみなされる法解釈ができあがったのです。ロヒンギャは正式に「非国民」であるとされ、国籍がはく奪されました。

    1988年からのロヒンギャ迫害

    当時ビルマの民主化運動を先導していたアウン・サン・スー・チーをロヒンギャの人々が支持したために、軍事政権は軍隊をロヒンギャの人々が住む地域に派遣し、財産を差し押さえて身柄を拘束。
    インフラ建設などの重労働を強制させるなど強烈な弾圧が始まりました。

    そして1991~92年、1996~97年にも約30万人の人々が国境を超えてバングラデシュに避難しましたが、バングラデシュはロヒンギャの人々を自国民とは認めず、「ビルマの民族集団」であると主張し、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の仲介事業によってミャンマーに再帰還させました。

    2012年からのロヒンギャ難民の増加

    2012年の6月にはロヒンギャとアラカン仏教徒との間に大規模な衝突が起き、200人以上の死傷者が出ました。
    さらに13万人以上のロヒンギャが住む場所を失い、政府によって難民キャンプに強制的に移動させ、そこから出られないようにされました。

    さらに仏教徒過激派組織などを中心にロヒンギャの排斥、国外追放の暴動がしばしば起こり、ミャンマーの軍総司令官はロヒンギャはミャンマーの国民、民族ではなくバングラデシュからの不法移民であると公式に表明しています。

    また、バングラデシュからもロヒンギャは不法移民として扱われているほか、タイやマレーシアなどの周辺の諸国でもロヒンギャは、自らの地域では不十分な生活水準を改善するために地域を移動する「経済移民(生活水準の改善や雇用を求めて別の地域へ移動する人々)」であって「難民」ではないとしています。

    そして、2014年に実施された人口調査では、ロヒンギャはベンガル人だと認めない限り調査の対象から外され、さらに臨時国籍証をはく奪して「審査対象中」というカードをかわりに与えたのです。これによりロヒンギャは、事実上の無国籍者となりました。

  • 1962年に起こった軍事クーデター以降、ロヒンギャに対する扱いが急速に差別的になり、不法移民対策と称してロヒンギャ族への抑圧を強めた
  • 多くの人々が国境を超えてバングラデシュに避難したが、バングラデシュはロヒンギャの人々を自国民とは認めずミャンマーに再帰還させた
  • 住む場所を失ったロヒンギャは、政府によって難民キャンプに強制的に移動させられ、そこから出られないようにされた
  • (出典:財務省財務総合政策研究所 外部有識者による研究所内講演会「ロヒンギャ問題の歴史的背景」,2018)
    (出典:英国内務省「国別政策及び情報ノート ビルマ:ロヒンギャ」,2017)

    ロヒンギャが難民になってしまった理由は?

    なぜロヒンギャが迫害されているのか、難民となっているのかは上記のような古い歴史が絡んでいるために根深いものとなっています。

    現在も紛争が起きているところでは、大きな原因として「昔衝突した因縁」「民族」「宗教」「土地」などが絡んでいますが、ロヒンギャは世界大戦時にイギリス軍側として日本軍側のアラカン人と激しく衝突した経緯もあります。

    また、ムスリムであるロヒンギャと仏教徒であるアラカン人という宗教の違いもあります。
    それらが複雑に絡んでビルマ(ミャンマー)が市民権法を制定して国内を整えていく際に国民として認められなかったことが現在まで響いています。

    ビルマからは国民として認められず、バングラデシュなどからも不法移民としてしか扱われなかったためにどこの国からも保護されていない状況になってしまったのです。

    ロヒンギャ難民の現状とは

    2015年ごろからはミャンマーから海路を使って流出するロヒンギャが激増しましたが、バングラデシュ、マレーシア、タイ、インドネシアなどの周辺国は基本的に「経済移民」として扱っており、「難民」としての受け入れを拒んでいます

    また、国連がロヒンギャに市民権を付与することをミャンマーに要求し、国際世論のなかでもロヒンギャを支援するような動きが活発になると、ミャンマーではこの動きに強く反発し、ロヒンギャに標的を絞った「人口抑制保健法」を制定したり、ロヒンギャ国外追放のデモが行われるようになっています。

    2015年5月にはタイのバンコクでロヒンギャ対策会議が開かれました。
    この会議には直接ロヒンギャが流出しているタイ、マレーシア、インドネシアなどの関係国17ヶ国だけでなく、日本、アメリカ合衆国、UNHCR、国際移住機関(IOM)などがオブザーバーとして参加しました。

    国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のターク高等弁務官補は意見として「ミャンマーが責任を負うべき問題であり、究極的には(ロヒンギャらに)市民権を与えることだ」とミャンマーを激しく批判しましたが、ミャンマーは「ロヒンギャはバングラデシュからの不法移民である」という主張を一貫しました。

    2017年になるとイスラム諸国連合(OIC)はマレーシアにおいて緊急に外相会議を行い、ミャンマーに対してロヒンギャ問題の事態を収束させる共同声明と寄付について表明しました。
    しかし、これからの後もロヒンギャ武装勢力とミャンマー治安部隊の衝突は断続的に行われており、そのたびに死者が出ている状態になっています。

    2018年、2019年と国連からはミャンマーに対して人道的な解決を求める意見が多く出されていますがミャンマーは「ベンガル人のテロリストによる脅威を治安部隊が鎮めている」という姿勢を崩しておらず、未だ問題は解決されず、難民が出続けているという状況になっています。

  • ロヒンギャが迫害されているのは歴史的な背景が関係している
  • 2015年ごろからはミャンマーから海路を使って流出するロヒンギャが激増したが、バングラデシュ、マレーシア、タイ、インドネシアなどの周辺国は「難民」としての受け入れを拒んでいる
  • ロヒンギャ問題はいまだ解決されていな問題
  • (出典:外務省公式サイト「バングラデシュ基礎データ」,2019)
    (出典:財務省財務総合政策研究所 外部有識者による研究所内講演会「ロヒンギャ問題の歴史的背景」,2018)
    (出典:英国内務省「国別政策及び情報ノート ビルマ:ロヒンギャ」,2017)

    「難民が安心して暮らせるためのサポート」
    活動を無料で支援できます!

    30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「難民が安心して暮らせるためのサポート」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!

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    ロヒンギャに対する日本政府の対応は?


    日本政府はロヒンギャの武装勢力がミャンマー治安部隊への武力による襲撃することを強く非難しています。

    その一方で人道的な問題、90万人以上にものぼる難民の流出に対して深刻な懸念を表明しています。

    2017年には、バングラデシュへの避難民支援に対して世界食糧計画(国連WFP)を通じて1,500万ドルの緊急資金協力を行うと表明。また外相がバングラデシュを訪問し、難民の受け入れに対して高く評価すると同時に日本政府としても支援をしていくことを表明しています。

    そして同年12月、安倍首相は来日したミャンマー大統領であるティン・チョウと会談して以下のことを発言しています。

  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)支援を引き続き進める
  • 「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、官民合わせて8千億円の資金投入、文化交流の推進などを行う
  • ラカイン州の人権・人道状況を「懸念」している
  • 避難民帰還に関するミャンマー・バングラデシュの合意を歓迎する
  • これらは日本政府としての姿勢をはっきりさせたものです。
    2018年10月には安倍首相はミャンマーの国家最高顧問であるアウン・サン・スー・チーと会談を行い、治安回復や避難民帰還の実現を求めています。

    そして、日本は難民条約加盟国でもあるためロヒンギャが難民申請をしていますが、ロヒンギャの問題は国籍の問題などはっきりしない点も多く、「難民条約」の定義だけですべて解決することができない複雑なもののために数多く受け入れを行っているという状態にはなっていません。

  • 日本政府はロヒンギャの武装勢力がミャンマー治安部隊への武力による襲撃することを強く非難
  • 2017年にはバングラデシュへの避難民支援に対して国連WFPを通じて緊急資金協力を行うと表明
  • 日本は難民条約加盟国でもあるが、「難民条約」の定義だけですべて解決することができないため数多くの難民を受け入れている状態ではない
  • (出典:外務省「安倍総理大臣とティン・チョウ・ミャンマー大統領との会談」,2017)

    日本の団体がロヒンギャ難民のために行っている支援活動は?


    国連機関は、難民を保護するために援助物資を空輸にて行っています。
    10万人以上分のシェルターや何万枚もの毛布、ビニールシート、家族用のテントなどが運ばれています。
    また、難民の中には保護者がいない子どもや乳幼児を抱える女性、身寄りのない高齢者なども多く、専門の保護チームが支援にあたっています。

    難民キャンプは衛生環境が悪いために感染症が増加しているという状況もあり、ヘルスセンターの増設やコレラの予防接種など医療支援にも力が入れられています。

    そのほか、難民キャンプにおいて「水と衛生」「保健」「栄養」「教育」「子どもの保護や開発のためのコミュニケーション」など多岐にわたる支援活動が行われています。

  • ロヒンギャ難民のために多くの物資が空輸にて提供されている
  • 保護者がいない子どもや乳幼児を抱える女性、高齢者などに専門の保護チームも支援
  • 難民キャンプにおいて「水と衛生」「保健」「栄養」「教育」「子どもの保護や開発のためのコミュニケーション」など多岐にわたる支援活動が行われている
  • ロヒンギャ難民のために私たちができること

    日本で暮らす私たちは、ロヒンギャ難民に対して行われている支援活動を応援することができます。その方法は寄付が主となり、寄付するお金は現地の人や状況にあわせて最適な形で活用されます

    寄付

    寄付はロヒンギャの難民たちを救うためにもなくてはならない活動です。
    たった数百円、1,000円の寄付でも多くの人を救う力となるため、無理なく、継続的にできる範囲で支援することが大切です。

    ロヒンギャ難民の現状を知り情報を伝える

    ロヒンギャ難民の正しい情報を知ることで支援する必要性も明確になります。
    まずはどういったことが起きているのかを知り、自分の周りに広めていくことが大切です。

    ロヒンギャ難民の現状を知ったうえで私たちにもできる支援とは

    ロヒンギャ難民の問題は歴史が長く、理由も複雑で、難民問題の事態は深刻化しています。

    厳しい生活を強いられているロヒンギャ難民の命をより多く救うために、難民が安心して暮らせるためのサポートをする人々や団体が活動していますが、継続して活動するための資金や人材がまだまだ足りていません。

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