動物は私たちとこの世界で共生する存在であり、なかにはパートナーとして過ごす動物もいます。
すべての動物が適正な飼養や保管、あるいは程良い距離感で共生できていれば良いのですが、動物虐待により苦しんでいたり、死亡してしまう動物もいます。
この記事では、動物虐待の現状や、私たちにできることなどについて紹介します。
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動物虐待と動物愛護管理法
動物愛護管理法は、2000年に施行されています。1973年に制定した「動物の保護及び管理に関する法律」の名称の変更と、一般的な飼い主に対しての規定も設けた「動物の愛護及び管理に関する法律」として生まれ変わりました。
動物愛護管理法は虐待をせず、適正な飼養や管理を行うことを定めた法律です。
また動物愛護管理法によると、動物動物虐待は以下のように記されています。
動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいい、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。
(引用:環境省「虐待や遺棄の禁止」)
つまり虐待から動物たちを保護することも主な規制内容に含まれているのです。
2020年に至るまで3回の法改正がなされ、殺傷や虐待の事件や事例、時代の流れに合わせて内容の追加や変更が行われてきました。
ただ一貫して行われているのは、「動物の飼い主の責任」「動物の飼養及び保管に関するガイドライン」「動物取扱業者の規制」などです。
また法律である以上、違反した場合には罰則がかけられます。これは規制を受ける動物取扱業者だけでなく、一般的な飼い主に対しても発生します。
この動物愛護管理法が施行された4年後の2004年の調査では犬猫の引き取り数は41万8,413匹にものぼり、そのうちの39万4,799匹が殺処分されています。
これは全国の合計数です。それだけの犬猫が保護、あるいは飼い主から引き取りを依頼されたが、保健所や動物愛護センターでは保護しきれず、殺処分せざるを得ない状況にあるというのは深刻な事態であると行政に受け止められています。
このような問題から動物取扱業者だけでなく、一般的な飼い主の責任の所在を記し、法律違反により罰則を与え厳罰化しています。
(出典:環境省「動物愛護管理法の概要」)
(出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」,2018)
殺傷や遺棄だけでなくネグレクトにも罰則がある
先述したように、殺傷やネグレクトは動物虐待として扱われ、これらを行うことは法律に違反するものとして罰則が与えられます。
ただし食用にする、病気や怪我で苦しみ治療の余地がない場合に動物を殺すことは虐待には当たりません。
その場合は、動物が極力苦しまない方法をとるために、獣医師などに相談する必要があり、無闇に行って良い行為ではないのです。
また世話を怠るという意味では、遺棄も虐待の一つとも考えることができます。世話をすることを放棄し、飼い主の責任を果たさないことで、飢えや渇きなどの苦痛を与えることになります。
野生化すると、近隣住民にも多大な迷惑をかけることになり、またその地域に生息しない外来種の場合、農業被害や生態系の破壊などの問題にもつながります。
このように殺傷や虐待、遺棄は深刻な問題なのです。
そのため法律では、虐待や遺棄を犯罪とし、違反した場合には罰則として懲役や罰金を処します。
罰則としては愛護動物をみだりに殺傷した場合に5年以下の懲役または500万円以下の罰金が課せられます。愛護動物を虐待した場合、遺棄した場合については1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
愛護動物とは、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる、一般的に飼育されている哺乳類、鳥類、爬虫類が当たります。
※2020年12月時点
- 動物愛護管理法は虐待をせず、適正な飼養や管理を行うことを定めた法律
- 動物愛護管理法が施行された4年後の2004年の調査では犬猫の引き取り数は41万8,413匹にものぼり、そのうちの39万4,799匹が殺処分された
- 食用にする、病気や怪我で苦しみ治療の余地がない場合に動物を殺すことは虐待には当たらない
(出典:環境省「虐待や遺棄の禁止」)
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動物虐待の通報などによる逮捕事例
実際に動物虐待はどのような現状があり、どれほど逮捕されているのでしょうか。
1974年から2017年までの逮捕・送検件数では、2000年以降、検察での通常受理件数は多少の増減はあれど、2017年にかけて増加傾向にあります。
2000年には14件の通常受理件数が2002年には39件にまで増加しています。その後2年は減少したものの、2005年には45件、2008年には72件となり、そこからは40~50件程度で推移していましたが、2015年には89件、2016年には94件、2017年には109件と毎年過去最高を更新しました。
これらはすべて起訴されたわけではなく、不起訴となった事件もあるため必ずしも罰則に処されたわけではありません。
しかし動物虐待の疑いがあり、逮捕・送検された事件がこれだけあるという事実が数値として現れています。
2000年以降、動物虐待が増加した理由は、前身となる法律では一般的な飼い主に対してのルールは記されておらず、また罪としても定かでなかったことからと考えられます。
それが動物愛護管理法の施行によって罪に問われるようになったことで、逮捕件数が増えたものとみられます。
動物虐待による逮捕事例
動物虐待の逮捕事例をいくつか紹介します。
奈良市で起きた動物虐待
この事件は、自宅で飼っていた子猫に暴力を振るい殺し、死骸を奈良市内の公園の敷地に遺棄した罪に問われています。
男性はインターネット掲示板を使い猫を譲ってもらい、その猫に暴力を振るっていたとみられ、猫の身体には皮下出血などがあったということです。
死骸を遺棄したことから、動物愛護管理法違反だけでなく廃棄物処理法違反の疑いでも逮捕され、取調べを受けています。
またこの男性は死骸を遺棄した後、別の子猫を殺したとして、動物愛護管理法違反で再逮捕されました。
大阪府で起きた動物虐待
動物虐待は飼い主からされるものばかりではありません。大阪府で起きた事件では、男性が放し飼いにしていた猫に向けて、近所に住む男性が車からエアガンを発射し虐待した疑いで逮捕されています。
この事件は、猫に向けたエアガンを打つ様子が写った防犯カメラ映像を、飼い主の男性がSNSに投稿して批判が広がりました。その後容疑者の男性を特定して書類送検されました。
神奈川県で起きた動物虐待
神奈川県では、24匹もの猫を飼っていた女性がマンションで排泄物をそのままにし、不衛生な環境で飼っていたため虐待と認定されました。
排泄の処理だけでなく、病気の治療なども行わなかったため、24匹のうち1匹は死亡し、痩せている猫、下痢をしている猫が複数いたということです。
その後、動物保護センターに猫は保護されましたが、2018年に猫を取り返そうと女性が動物保護センターに侵入するという事件にまで発展しています。
ただし当初は動物愛護管理保護法違反による逮捕ではなく、この動物愛護センターへの建造物侵入の疑いで逮捕され、その後の取調べにより動物愛護管理法違反の疑いで再逮捕されています。
東京都で起きた動物虐待
動物虐待は犬や猫などが多いですが、遺棄に関してはそれ以外の動物を捨てる事件もあります。東京都で起こった事件では、ハリネズミ1匹とリクガメ11匹が水槽に入れて捨てられていました。
発見した人の通報により、警察が保護しています。容疑者である男性は86匹の小動物を飼っていましたが、アパートの管理業者から注意を受けたことで、そのほとんどを捨てたのです。
警察は現場近くで見つかったトカゲやリスなど28匹を追加で保護すると同時に、男性を動物愛護管理法の愛護動物の遺棄の疑いで逮捕し、書類送検しています。
- 動物虐待の検察での通常受理件数は2000年以降、2017年にかけて増加傾向にある
- 動物愛護管理法の施行によって罪に問われるようになったことで、逮捕件数が増えたとみられる
(出典:環境省「動物の虐待事例等調査報告書」,2018)
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動物虐待を見つけたときの通報先は?
動物虐待は警察や地方自治体、動物愛護センターなどの活動により逮捕や動物の保護が行われますが、それは周辺住民などによる苦情をきっかけとして発覚しているものや、虐待を見たとして通報したことがきっかけとなっていることが多いです。
犯人が特定できず逮捕されていない事件でも、通報によって虐待を受けていた動物を保護するに至った事件もあります。
虐待を見た、あるいは虐待かもしれないと考えた場合、通報はどこにすれば良いのか分からないこともあるかもしれません。
次に、動物虐待の通報はどこにすれば良いのか紹介します。
動物虐待を見つけたら、まずは警察に通報
動物虐待は法律により禁止されているため、犯罪です。そのような行為があれば、警察に通報することが必要となります。
虐待が行われていた場合は、虐待されている対象を保護しなければいけません。
市民が独自に行うことはできないため、その権限を持つ警察に依頼するのが有効な手段となります。
これは虐待を見つけた場合だけでなく、虐待の恐れがある場合も同様です。
虐待を見つけた場合、あるいは恐れがある場合は、最寄りの交番や住んでいる地域の警察署に通報してください。
直接交番や警察署を訪れても、電話での通報でも受け付けてもらえます。
また警察署の場合は生活環境課などが対応してくれます。
詳しい場所や分かる限りの状況を情報として伝えられるようにしておきましょう。
動物愛護センターや地方自治体にも連絡を
動物虐待があると確証がある場合は通報できるかもしれませんが、確証が得られない場合は通報しづらいかもしれません。
そのようなときは動物愛護センターや地方自治体に相談してみるのも一つの方法です。
相談情報を元に調査などを行い、飼育改善指導が必要な場合、あるいは虐待に該当する可能性があると考えられる場合は、虐待の発覚やその行為を止めることにもつなげられるかもしれません。
また虐待であると判断された場合は、動物愛護センターや地方自治体から警察署に通報がいくケースもあります。
すでに動物虐待だと分かっているケースを含め、これらの団体に連絡することは必要になります。
動物愛護センターの場合は、住んでいる地域を担当するセンターに、地方自治体の場合は担当課へ電話をすることで対応してくれるのです。
直接出向くことも可能であり、地方自治体の場合は窓口で担当課を問い合わせれば教えてくれます。
虐待を見つけた場所やその状況、疑いがある事情などをできるだけ詳しく説明できるようにしておきましょう。
アニマルポリスに通報する方法もある
地域によってはアニマルポリスが設置されているところもあります。
大阪府であれば、動物虐待通報共通ダイヤルとしてアニマルポリスが置かれています。
電話をして相談、あるいは通報することで、大阪市の対応窓口に転送されて区役所、動物愛護相談室、警察すべてに連絡が行き連携した対応を行ってくれます。
また大阪市以外の案件であっても府内の必要な場所に転送してくれます
このアニマルポリスはあくまで情報の集約と、必要な部署などへの転送になるため、直接警察署に通報することにはなりません。
もし虐待の疑いがあるが確証はない、警察署や行政など、どこに連絡をしたら良いか分からないという人は、まずアニマルポリスに相談・通報するという手段があります。
兵庫県では、警察署内に動物虐待事案専用相談電話としてアニマルポリス・ホットラインが置かれています。
これも虐待の行為そのものや、その疑いがあるものについて通報や相談を行う専用窓口です。
相談・通報をしようと思う場合は、直接電話をかけると良いでしょう。
- 犯人が特定できず逮捕されていない事件でも、通報によって虐待を受けていた動物を保護するに至った事件もある
- 動物虐待を見つけた場合、あるいは動物虐待の恐れがある場合は、最寄りの交番や住んでいる地域の警察署に通報が必要
- 警察に通報しづらい場合は、動物愛護センターや地方自治体に相談してみるのも一つの方法
(出典:山口県警察「動物の遺棄・虐待は犯罪です!!」)
(出典:環境省「地方自治体動物虐待等通報窓口一覧」)
(出典:兵庫県警察「アニマルポリス・ホットライン(動物虐待事案等専用相談電話)」)
(出典:大阪市「大阪府動物虐待通報共通ダイヤル「おおさかアニマルポリス#7122」について」)
動物虐待は見つけづらく、室内で虐待されている場合はすぐには気付けないものです。しかしそれによって動物の命が危険にさらされていることもあり、命を失う前に見つけられる可能性があるのは周辺に住む私たちです。では動物虐待を見つけた場合、あるいは[…]
動物愛護センターで協力できることもある
虐待を受けた動物は、保護ができれば動物愛護センターなどに引き取られ、適切な処置などが行われます。
虐待を受けた動物は衰弱し、人に対して敵対心を持つこともあります。そのため専門的な知識を持つ獣医師や動物看護師、トレーナーなどの協力のもと、ケアなどが行われますが、ほかにも保護している動物がいることから、動物愛護センターだけではケアや飼育環境保持を行うことは物理的に難しくなるのです。
そのため動物愛護センターでは民間団体や、個人のボランティアに協力を仰ぎ、一時的な預かりや譲渡ボランティアへの参加を要請しています。
私たちが動物虐待の現状を改善するために協力できることは、先述した通報や相談だけでなく、このような預かりや譲渡のボランティアへの参加することも一つです。
ほかにも動物愛護センターが募っている寄付やクラウドファウンディングに参加することで、長い期間保護してもらうことができ、殺処分への時間を延ばすこともできます。
しかし動物虐待から保護されても、責任をもって引き取ってくれる新しい飼い主が見つからなければ、殺処分されることもあるのです。
動物を保護するにはどうしても資金が必要であり、保護しきれない場合は殺処分をするという手段をとらざるを得ない状況もあります。
それを防ぐためにも、一時預かりや譲渡ボランティア、寄付などに参加することは、通報や相談同様に虐待から動物を守るために私たちができることです。
- 動物愛護センターでは民間団体や、個人のボランティアに協力を仰ぎ、一時的な預かりや譲渡ボランティアへの参加を要請している
- 一時預かりや譲渡ボランティア、寄付などに参加することは、通報や相談同様に虐待から動物を守るために私たちができること
(出典:川崎市「動物愛護センター懇談会報告書」)
(出典:名古屋市「目指せ殺処分ゼロ!犬猫サポート寄附金とは」,2020)
虐待から動物を守るため私たちにできることを考えよう
動物虐待は私たちの周りで起こっているかもしれない犯罪です。
ネグレクトなどは特に室内で起こっている場合が多いことから、気付きにくく、また疑いがあっても通報しにくい事件かもしれません。
しかし警察や地方自治体、動物愛護センターがすべてを把握することは難しく、私たちが気付けなければ、動物の被害は増えるだけになります。
動物虐待の現状を改善するため、そして未然に防ぐためにも、通報や相談は躊躇いなく行うようにしましょう。
また動物愛護センターなどの活動に協力することも、動物虐待を防ぐ、あるいは虐待から動物たちを保護することにつながります。
動物虐待について知り、自分ができることから始めていきましょう。
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