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持続可能な開発目標・SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」のターゲットや現状は?

持続可能な開発目標・SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」のターゲットや現状は?

私たちが吸う空気や飲む水、さらには口にする食料に至るまで、森林は生命を維持する大切な役割を果たしています。
地球に住む約16億人の人が森林に生計を依存しており、世界の貧困層のほぼ75%は、土地劣化の直接的な影響を受けていると言われています。  

ただし、森林は人間に対してだけ豊かさを提供しているわけではありません。陸生動植物・昆虫種全体の実に80%が森林を住処としています。つまり、森林は生物の宝庫です。

しかしながら、すでに知られている8,300種の動物種のうち、8%はすでに絶滅し、さらに22%が絶滅の危機に瀕しています。

こうした陸の豊かさを守らなければ、生物の多様性は急速に失われてしまいます
生物の多様性が失われれば、私たち人間の生活も脅かされることになり、つまり私たちが生き続けるためにも陸の豊かさを守らなければならないのです。

この記事では、「陸の豊かさを守る」ことを目標として掲げているSDGs15についてわかりやすく説明します。

(出典:国際連合広報センター公式サイト)

持続可能な開発目標・SDGsとは?17の国際目標やターゲットなどを解説

持続可能な開発目標・SDGsとは

SDGs(sustainable development goals: 持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された、2030年を年限とする国際目標です。

誰一人取り残さず、持続可能で多様性と包括性のある社会を実現するために、SDGsでは17個の国際目標の下に、169のターゲットと232の指標が定められています。

SDGsは発展途上国だけではなく、先進国自身も取り組まねばならない人類共通のユニバーサル(普遍的)な課題です。
SDGsは、国だけではなく、企業・研究機関・大学・市民団体などの関わりが重要と認識されています。

SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」の内容とターゲット


SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことを目標としています。

具体的には、持続可能なかたちで森林の管理や砂漠化への対処、また土地の劣化を食い止めて改善させるとともに、生物多様性の損失に歯止めをかけるのがSDGsの目標15です。

ターゲット15.1と15.4では、森林・湿地・山地等における生態系の保全がうたわれています。
さらに、15.2と15.3では劣化した森林の回復や砂漠化の防止に焦点が当てられ、つづく15.5から15.8では、生物多様性を確保するために、絶滅危惧種の保護・密漁の撲滅・外来種侵入の防止などの取組みが掲げられています。

さらに15.9では、これらのすべての取組みに、国・地方自体体の計画策定に組み込むことを求めており、15.a から15.cでは、こうしたターゲットを実現可能なものとするために必要となる持続的利用を目指した資金の確保や地域コミュニティの能力強化の必要性が示されています。

ターゲット

ターゲット
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。

(出典:外務省「JAPAN SDGs Action Platform」)

人間にあらゆるものを恵んでくれる陸の豊かさが危機的状況


現在、地球はかつてない土地の劣化に直面し、耕作地の損失は歴史上のペースと比べて30倍から35倍で進んでいます。
干ばつや砂漠化も年々深刻化しており、全世界で1200万ヘクタールの農地が消失し、貧しいコミュニティに影響が及んでいます。

また地球上で確認されている8300の動物種のうち8%は絶滅し、22%が絶滅の危険にさらされています。

こうした状況を改善するためには、年間700億〜1,600億米ドルが必要であるとされています。

「生物多様性条約」では、今世紀半ばまでに世界レベルで生物多様性の損失を食い止めるためには、年間で1,500億〜4,400億ドルが必要となると見込んでおり、これだけの投資を行わない限り、陸の豊かさを守ることはできないレベルまできてしまっているのです。

(出典:国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所公式サイト)
(出典:国連森林フォーラム事務局)
(出典:国際連合広報センター公式サイト)

森林や陸域生態系を守るために必要なこととは?


森林や陸域生態系を守るためには、具体的に以下のような取り組みが必要だと言われています。

  • 生物多様性維持のためにリサイクル
  • 持続可能な供給源を利用した地域地消の食生活
  • 必要なものに限った消費
  • 効率性の高い空調システムを通じたエネルギー消費の抑制

人間の活動によって、私たち人間を含む生態系が変化してしまうことは避けられません。

そのため、問題は私たちがこれらの問題をこれ以上深刻にしないために必要な取り組みや行動をすることが重要です。
そうした選択を行うことによって、生物多様性を支えることができるようになります。

たとえば、自然保護区を設け適切な管理を通じて、健全な生態系を維持することができるようになります。
このような保護区の開発と管理には地域社会の参画を確保しなければなりません。野生生物を尊重し、無駄に生態を混乱させないよう、責任ある行動が求められています。

まずは現状を知ることが大切!私たちにできることから始めよう


SDGsの目標15である「陸の豊かさも守ろう」は、森林や湿地、産地などの陸上生態系を保全し、2020年までにその利用回復を目的としたものです。

地球上の共通遺産の一部である自然の生息地と生物多様性の損失を軽減するためには、今すぐに対策を講じる必要があります。今すぐに問題を是正しなければ、人類は回復不可能なダメージを受けるかもしれません。

まずは、陸の豊かさからどれだけの恩恵を受けているのかをきちんと知り、人間の活動がどれだけ森林やそこで生きる生物を脅かしているのかを理解することが大切です。

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