ベネズエラの難民問題とは?難民が増加するベネズエラの現状や周辺国が抱える問題


ベネズエラの難民問題とは?難民が増加するベネズエラの現状や周辺国が抱える問題をわかりやすく解説


かつてはカリブ海のリゾート地として、南米で最も豊かな国として知られていたベネズエラは、この数年間で多数の難民流出をする「南米で最も深刻な難民問題」を抱えることになりました。なぜ、ベネズエラでは難民が増加しているのでしょうか。

この記事では、難民が増加するベネズエラの現状や、ベネズエラ難民を受け入れている周辺国が抱える問題について紹介します。

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ベネズエラとはどんな国?

ベネズエラとはどんな国?
ベネズエラ(正式名称:ベネズエラ・ボリバル共和国)は、南アメリカ大陸の北部に位置する連邦共和制国家です。ベネズエラの周辺国は、東はガイアナ、西はコロンビア、南はブラジルがあり、北はカリブ海・大西洋に面しています。

ベネズエラの人口は2,753万人(2019年時点)で、民族は混血51.6%、白人43.6%、黒人2.9%、アフリカ系0.7%、そのほか1.2%の民族が暮らしています。公用語はスペイン語で、国民の大多数はカトリック教徒です。

また、ベネズエラの面積は91万2,050平方キロメートルと日本の約2.4倍の広さを誇り、世界有数の石油産出国として知られています。特に原油の確認埋蔵量は世界1位というエネルギー資源が豊富な国です。しかし、そんなベネズエラでは2019年時点で物価上昇率が200,000.0%にものぼり、非常に深刻なインフレとなっています。

  • ベネズエラでは2019年時点で物価上昇率が200,000.0%にものぼり、非常に深刻なインフレになっている
  • (出典:外務省「ベネズエラ・ボリバル共和国 基礎データ」)

    ベネズエラの難民問題とは

    ベネズエラの難民問題とは
    石油などのエネルギー資源が豊富なベネズエラは、かつては裕福な国として知られ、多くの難民を受け入れてきた国でした。しかし近年では深刻な難民流出国となり、南米だけではなく、世界的問題として危惧されています。
    次に、なぜベネズエラの難民問題が深刻化しているのかを紹介します。

    ベネズエラ難民の数は近年増加傾向

    ベネズエラ難民の数は、ベネズエラの情勢不安・社会経済の混乱・食糧難・人道危機などの様々な問題が複雑に絡み合い、近年増加傾向になっています。

    ベネズエラでは2019年6月までに人口の1割以上の400万人を超える難民や移民が生まれているとされ、少なくとも近隣の中南米諸国には約320万人にものぼるベネズエラ難民が身を寄せています。
    ベネズエラ難民の数は非常に深刻な増加数を辿っており、南米最大の難民問題として世界的問題へと発展しています。

    ベネズエラ難民が増加する原因や現状

    ベネズエラで難民が発生した背景には、政情不安があります。
    かつてのベネズエラは南米で最も豊かな国として、様々な国からの難民を受け入れる「難民受け入れ国」でした。
    しかし2014年以降、ベネズエラ国内の治安や経済情勢の悪化が進んだことによって、難民を受け入れるどころか、難民流出国に変貌を遂げてしまいます。

    さらに2019年、ベネズエラでは現職大統領のマドゥーロ大統領と暫定大統領のグアイド国会議長が併存する事態となりました。与野党支持層間で暴力的な衝突が発生するなどの政治的問題によって社会は混乱し、経済情勢も悪化しているのです。
    また、深刻なインフレや経済制裁による物資不足で食料や医薬品、日用品などの生活雑貨を買うこともできず、飢えや病気に苦しむベネズエラ人も後を絶たない状況に陥ることになりました。

    社会的秩序の守られなくなったベネズエラ国内では暴力行為が蔓延する治安の悪化によって、命の危険にさらされる状態にもなっています。
    政情不安、社会経済の混乱、食糧難、人道危機といった深刻な問題を抱えてしまったベネズエラでは、多くの人々が居住地を捨てて国外へと流出せざるを得ない状況となったのです。

    しかし、ベネズエラ難民が他国に逃れること自体も命がけのことです。近隣国に逃れられても新型コロナウイルス感染症の流行による国境封鎖や外出制限による経済の低迷から、受け入れ国で収入を得る手段もなく、安全に暮らしていくことも難しい状況にあります。

    (出典:外務省「ベネズエラ・ボリバル共和 基礎データ」)

    ベネズエラ難民を受け入れる周辺国

    ベネズエラ難民や移民は2019年には400万人を超える数に膨れ上がっており、その多くはベネズエラ周辺の中南米諸国が受け入れている現状です。

    特にベネズエラの隣にあるコロンビアでは、約160万人以上のベネズエラ難民が身を寄せており、ペルーでは約86万人、エクアドルでは約38万人、ブラジルでは約22万人のベネズエラ難民が受け入れられています。

  • ベネズエラの難民問題が深刻化している
  • 2019年6月までに人口の1割以上の400万人を超える難民や移民が生まれているとされている
  • ベネズエラでは、治安や経済情勢の悪化により、多くの人々が居住地を捨てて国外へと流出せざるを得ない状況になっている
  • (出典:外務省「ベネズエラ周辺国における避難民に対する緊急無償資金協力」)
    (出典:外務省「コロンビアに対する無償資金協力に関する書簡の交換」)

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    ベネズエラ難民の受け入れ国が抱える問題

    ベネズエラ難民の受け入れ国が抱える問題
    ベネズエラ難民の多くは、コロンビアやペルー、エクアドルといった中南米諸国が受け入れている現状です。
    しかし、ベネズエラ難民を受け入れている国々は決して裕福というわけではなく、大量のベネズエラ難民の移動によって、インフラや公的サービスに大きな負担がかかっています。

    さらに新型コロナウイルス感染症による国境封鎖や外出制限によって、経済不況が深刻化している状態です。
    難民受け入れ国の経済が低迷するなか、多数の難民を保護できる状態とは程遠く、立場の弱いベネズエラ難民が安全に避難し、避難先で生活をしていくことはますます困難な状況となっているのです。

    そんな難民問題により「難民に関するグローバル・コンパクト」という取り決めが採択されました。

    難民に関するグローバル・コンパクトとは

    この数年でベネズエラ難民の数は急速に増加しています。ベネズエラの難民問題に限らず、世界各地で難民問題は起こっており、その国だけの問題ではないのです。
    450万人を超えるとされるベネズエラ難民をはじめ、世界各地には6,000万人以上の難民が存在すると言われています。

    世界の難民問題は長期化および複雑化しており、国際社会は難民問題改善に向けた新たな対応を求められている状況です。
    そこで策定されたのが「難民に関するグローバル・コンパクト」です。
    難民に関するグローバル・コンパクトは2018年に国連総会で採択され、世界が一体となって難民保護を促進する様々な活動が行われています。

    難民・避難民の保護

    難民に関するグローバル・コンパクトに基づく活動として、難民に対して法的・身体的な保護のほか、性的被害を含む暴力からの保護を目的とした支援が挙げられます。

    難民や避難民の保護を目的とした法制度の改正や支援体制の改善に向けた取り組みが行われ、さらに、ベネズエラをはじめとする難民支援の対象地域に対する性暴力被害(SGBV)への支援も実施されています。

    基本的なニーズに対する支援

    さらに、難民キャンプにおいて、医療支援や食糧支援、水や衛生環境などの支援は必要不可欠です。
    ほかにも適切なシェルターの支援、子どもたちへの教育支援など、国際機関などの支援機関と協力・調整を行いながら、様々な支援を実施しています。

    難民受け入れ国の負担軽減

    ベネズエラをはじめとする難民流出国からの大量の難民移動は、難民受け入れ国の公的サービスや社会経済に影響を与え、混乱を招く原因にもなりかねません。

    難民に関するグローバル・コンパクトでは、難民受け入れ国の負担軽減を図って、国際社会が早い段階から人道的支援や開発支援を行うことで、難民受け入れ国と難民流出国の両国に効果的な支援を行うことを目指す指針を策定しています。

    第三国定住の拡大

    世界的な難民の増加に伴い、他国に避難した難民のなかにも、難民としての保護が受けられない人々は多く存在します。そのため難民に関するグローバル・コンパクトでは、第三国定住による受け入れ対象の拡大が目標とされています。

    第三国定住とは、本国から逃れた難民が庇護を求めて当初滞在している国から、受け入れに合意した第三国に移動させ、長期的な滞在を認めて保護するというものです。
    第三国定住の拡大によって、難民受け入れ人数の増加はもちろん、奨学生としての受け入れや人道ビザの発給など、柔軟な対応を行うことで、多くの難民の生活を支援することにつながります。

    安全かつ尊厳ある帰還に向けた環境整備

    難民流出国では、難民が帰還したくても安全に暮らすことができない複雑な問題を抱えています。ベネズエラでも暴力行為が蔓延した治安の悪化や情勢不安、食料不足によって自国に戻っても命の危険性を伴う生活が待ち受けている状況です。

    難民に関するグローバル・コンパクトでは、難民たちが安心して故郷に帰還できる環境整備を目指しています。また、現金給付支援を通して難民の生計支援、自立支援、自発的な帰還促進を支援しています。

    難民の自立促進

    難民支援において、教育や医療サービスへのアクセス拡大だけでなく、難民が支援だけに依存しない、自立した生活を行うことは必要不可欠です。
    難民に関するグローバル・コンパクトでは、将来、母国に帰還することを見据えた人材育成など、難民の自立促進に関する取り決めを行っています。

  • ベネズエラ難民を受け入れている国々は、ベネズエラ難民の移動によって、インフラや公的サービスに大きな負担がかかっている
  • 国連総会では難民問題改善に向けた新たな対応として「難民に関するグローバル・コンパクト」が取り決められた
  • (出典:外務省「難民に関するグローバル・コンパクトとジャパン・プラットフォーム」)
    (出典:外務省「令和元年(2019年)度 国際機関等への拠出金等に対する評価シート」)
    (出典:内閣官房「第三国定住による難民の受入れ事業の対象拡大等の検討結果について」)

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    ベネズエラ難民を受け入れている国への大きな負担を懸念し、日本政府は国際機関と連携して、ベネズエラ難民や移民の受け入れ国に対して緊急無償資金協力を行っています。

    2019年度に日本はブラジルに368万ドルの資金援助を行い、入国・国内移送の手続き、身分登録や予防接種などが円滑に進むようになりました。また、語学教育の支援や必要な資機材、相談員の配置を行うなどのベネズエラ難民支援に必要な資金を提供しています。

    2020年度にはコロンビアに360万ドル、ペルーに350万ドル、エクアドルに340万ドル、ブラジルに250万ドルの計1,300万ドルの資金援助を行うことになりました。

    こうした日本からの資金提供は、各国のベネズエラ難民や移民に対してシェルターの提供、必要な援助物資の調達が行われるだけでなく、身分証の発給や難民受け入れ国の住人に対して適切な支援を行うために使われることになります。

  • 日本政府はベネズエラ難民や移民の受け入れ国に対して、緊急無償資金協力を行っている
  • (出典:在ブラジル日本大使館「平成30年度対ブラジル無償資金協力」)
    (出典:外務省「無償資金協力 案件概要」)
    (出典:外務省「ベネズエラ周辺国における避難民に対する緊急無償資金協力」)

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    南米で最も深刻な難民問題とも言われるベネズエラ難民問題は、ここ数年で急激に悪化し、母国を逃れるベネズエラ人の数は増加しています。ベネズエラ難民問題はベネズエラだけの問題ではなく、世界の問題として捉える必要があるでしょう。

    日本政府による資金提供をはじめ、国際社会が協力してベネズエラ難民に対して様々な支援を行っていますが、すべての難民に対して支援は行き届いていないのが現状です。
    さらに、新型コロナウイルス感染症による危機も追い打ちをかけ、一刻も早い保護や支援が必要な状況にあります。

    ベネズエラの難民問題に対して私たちにできる支援の一つとして挙げられるのは、難民支援活動を行う機関に対して寄付を行うことです。一人ひとりが支援できる寄付額は少額でも、多くの人々から寄付が集まれば、ベネズエラ難民やベネズエラ難民受け入れ国に対しての様々な活動を間接的に支援することができます。

    さらに、私たちがベネズエラ難民問題に対して理解を深め、ベネズエラ難民の現状や支援状況についての問題提起をすることは、ベネズエラ難民問題に共感する周囲の人を少しずつ増やすことにつながるでしょう。
    一人でも多くのベネズエラ難民の命を救うために、この機会にぜひ難民問題について考えてはいかがでしょうか。

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