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貧困に悩むシングルマザーの食事や生活とは?自己責任と言われる風潮から脱出するには

貧困に悩むシングルマザーの食事や生活とは?自己責任と言われる風潮から脱出するには

日本では現在離婚率が上がり、母子家庭や父子家庭といったひとり親家庭が増えています。
その中でも問題となっているのが、母子家庭、いわゆるシングルマザーの貧困率の高さです。

貧困であることから様々な問題や困難に直面し、また周りからは自己責任と批判され、体力的にも精神的にも疲弊してしまう方が少なくありません
それによって負のスパイラルに陥り、貧困から脱出できなくなってしまうのです。

しかし1度シングルマザーとなり貧困状態に陥ったとしても、貧困から脱出できる可能性もあるのです。
この記事では貧困に陥ってしまう要因から受けられる支援などについて紹介します。

シングルマザーの貧困率が高い理由とは

日本ではひとり親世帯の貧困率が高く、特に母子家庭(シングルマザー)は父子家庭に比べて貧困率が高くなっています。
これは世帯数や就業状況、平均年間世帯収入からも明らかです。
推計値になりますが以下に世帯数、就業状況、平均世帯収入のデータをまとめました。

  母子家庭(シングルマザー) 父子家庭
世帯数 123.8万世帯 22.3万世帯
就業状況 80.6% 91.3%
正規雇用 39.4% 67.2%
非正規雇用 47.4% 8.0%
平均世帯収入 291万円 455万円

世帯数が多いのも要因としてありますが、平均年収では明らかにシングルマザーの方が父子家庭より低く貧困に陥っていることが分かります。
これを紐解くには就業率に目を向ける必要がありますが、全体的に見てもシングルマザーの方が低いことも分かるでしょう。
もう少し細かいところを見ていくとその就業率の内訳が、この平均年収に大きく関わってきます。

正規雇用と非正規雇用の割合で比較してみると、非正規雇用で働いているシングルマザーが圧倒的に多く、パートやアルバイトで収入が不安定なこともあり貧困率が高くなっているのです。

(出典:厚生労働省「ひとり親家庭の現状と支援施策の課題について」)

正規雇用に就きづらい

この正規雇用の問題はシングルマザーには深刻です。
父子家庭となった父親は、元々正規雇用として勤めていることが多い傾向があります。それに対してシングルマザーの場合は、働いていても子育てなどでパートやアルバイトでの就労が多くなり、そこから正規雇用に就くのは難しく、雇用側もシングルマザーであることから雇用を敬遠しがちです。

シングルマザーだと子どもが体調不良になったときに帰らねばならないことや、子どもがいるために遅くまで働けないなど、様々な理由で雇用側は正規雇用としては雇いづらいという理由がみられます。
働き方改革や様々な施策、取り組みによりそうした傾向は減りつつありますが、雇用に関して財政状況が厳しい企業や会社では今なおそうした問題が解決できずにいるのが現状です。

子どもが幼い時期に離婚することが多い

シングルマザーや父子家庭になる理由の多くは離婚にあります。
離婚が原因でひとり親になった世帯はシングルマザーで8割、父子家庭でも7割を超えています。

このような状況になる平均年齢は、シングルマザーが39.7歳、この方々が育てる子どもの末っ子の平均年齢が10.7歳となっています。
こうなると必然的に子育ての期間は長くなり、正規雇用として雇ってもらいにくくなるのです。

(出典:厚生労働省「ひとり親家庭の現状と支援施策の課題について」)

養育費がもらえない

シングルマザーの多くが離婚であることは先ほども触れましたが、この場合離婚相手である父親から養育費を受け取る権利が存在します。
しかしその受給状況はあまり良くはありません。

現在も父親から養育費を受け取っているのは19.7%、過去に受けたことがあるのが15.8%と少なく、受け取ったことがないのは60.7%と圧倒的に多くなっています。

つまり養育費がもらえず、不安定な収入で子育てをしなければいけない状況に陥ってしまうのです。
貧困率が高くなってしまうのは当然と言えるでしょう。

(出典:厚生労働省「ひとり親家庭の現状と支援施策の課題について」)

貧困に悩むシングルマザーの生活や食事の実態は?

貧困に陥ってしまったシングルマザーの多くは生活に困窮し、食事の状態が悪くなってしまうことが多く見受けられます。
もちろん影響はそれだけに留まりません。

今後の生活の見通しや、周囲からの声や視線からの重圧などその負担は計り知れないのです。
では生活や食事の実態を少し詳しく見ていきましょう。

満足な食事が取れない

家計の収入源が一人だけになると、遅くまで仕事をしなければいけない時間的な制約や疲労から、食事を満足に取れないことが多くなります。

昼夜を通して働いている場合、食事を通した子どもとのコミュニケーションを取る時間が少なくなっていまいます。
食事の用意だけして、子どもに1人で食べさせるといった家庭も少なくありません。子どもの孤食は貧困に起因する問題の一つとして挙げられています。

また疲労と食費に回せるお金の少なさから、栄養バランスを考えた食事が難しくなり、結果として子どもが成長するために必要な、そして家族として必要な食事時間を取る事ができなくなってしまっているのです。

しかしこのようなシングルマザーを支援する動きもあります。せめて食事は家族で取れるように、そして栄養バランスの取れた食事をお腹いっぱい食べられるようにと、シングルマザーや貧困家庭を対象にした「子ども食堂」の取り組みが増え始めているのです。

子ども食堂とは

この子ども食堂は子ども1人でも立ち寄れ、非常に安い価格で手作りのご飯が食べられる場所です。
もちろん周りには他の利用者もいるので孤食にはなりません。

また親子で利用することも増えてきており、暖かく栄養バランスが取れた食事を取れるのはもちろんのこと、親子でコミュニケーションがとれ、また大人数で賑やかに食事をする機会が得られて、同じような悩みを持つシングルマザーの方との交流をすることもできるのです。

職場と家の往復だけになってしまい、地域とのふれあいもなくなってしまうシングルマザーにとっても、1人で大半の時間を過ごすことになる子どもにとっても、このような場があるのはとても助けになることは間違いありません。

貯蓄ができない

先ほど触れたようにシングルマザーの平均年収が低いのが現状です。
その中から生活費や食費など必要なお金をやりくりしていかなければいけないため、家計は非常に厳しい状況にあります。そのような状態では貯蓄ができないのは当然と言えるでしょう。
しかしこれは将来的な不安を掻き立てることになります。

本来であれば両親のどちらかが倒れてしまい、働けなかったり、子育てができない状態になっても助け合うことが可能です。
しかし、シングルマザーになるとそうはいきません。働くのも子育てをするのも母親1人でするしかないのです。

体にも負担がかかります。
そんな中で、もし病気にかかり倒れてしまったら、子どもの世話ができなくなるどころか、満足に働けず収入もなくなってしまう状況に陥ってしまうのです。
そうなったときのことを考えると貯蓄がないのは非常に不安になります。

また、子育てについての問題も起こります。成長していけば、子どもは高校、大学へと進学していくことでしょう。
そうなると当然学費が必要となります。私立高校や大学ともなってくると入試はもちろん、入学費用や授業料などかなりの金額がかかってしまいます
今は有償による奨学金もありますが、借金として子どもたちに圧し掛かります。

そのような状況に陥らせたくないことから、将来のため少しでも貯蓄をしておきたいところですが、それすらままならないのです。

「シングルマザーは自己責任」と厳しい周囲の声や視線

シングルマザーに対しての理解はまったく浸透しておらず、なかには「シングルマザーは自己責任」と批判する人も少なくありません。

これは離婚や未婚によりシングルマザーとなってしまうケースが多いためですが、自分の意思で離婚や未婚で子育てをしているのだから自己責任だという意見が多いためです。
これにより周りの協力を得にくい状況となり、生活や子育てはより一層厳しいものとなってしまいます。

貧困に悩むシングルマザーが精神的にも身体的にも追い詰められてしまった場合、様々な面で子どもの生活や成長に影響しかねません。
まずは周囲が理解を示すことも支援につながる第一歩になります。

貧困なシングルマザー家庭が生み出す問題とは

シングルマザーの貧困率が高いことはデータから分かりましたが、実際にこのような家庭が生み出す問題はさらに深刻なものがあります。
貧困であるためにできないことがあり、それが子どもに大きな影響を与えてしまうのです。

その最たる例が貧困の連鎖と、医療や教育の格差です。この2つの問題に着目して、貧困なシングルマザー家庭の問題についてご紹介します。

貧困の連鎖

貧困というものは世代間で連鎖します
親世代が貧困であれば、その子どもの生活にも影響を与えてしまうのです。

特に成長には多大な影響を与え、体だけでなく心にも影響を与えてしまいます
そのため子どもは教育や社会経験の機会を失ってしまい、結果として学力不足の子どもや精神的に未成熟な子どもが大人へと成長し、再び低所得の大人、あるいは所得がない大人となってしまうことも少なくありません。

現在日本の7分の1、約280万人の子どもが貧困状態にあると言われています。
貧困に苦しんだ子どもが大人になり、その人が家庭を持ち子どもを育て、またその子どもが貧困と戦うことになるかもしれません。

もちろん全ての貧困家庭に当てはまるわけではありませんが、高い確率でそのような状態に陥ってしまうのも確かなのです。

(出典:厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査」)

医療や教育の格差

経済的に困窮している子どもたちの多くは、勉強に集中する力が徐々に失われ、何かに興味を持つという機会が失われることで、新しい教科に興味を示せず、結果として成績が大幅に落ち込むのではないかと考えられています。

塾や家庭教師で学力を補う余裕もなく、一度低下してしまった学力を逆転させるのは困難となってしまいます。
そこから困窮していない世帯の子どもと少しずつ格差が生まれていき、義務教育が終わる時点ではその結果を持って進路を決めることになるのです。

子どもの成長で、もう1つ重要とされている「非認知能力」にも影響を及ぼします。
非認知能力とは協調性、外向性、自己肯定感、自己有用感、自制心、勤勉性など生きる上で必要な能力とされているのですが、これらにも格差が生まれていきます。

非認知能力が低いと自己肯定感が欠如し、常に自信も目標もなく、協調性が生まれないコミュニケーション不足の人格が形成されてしまい、社会に適合できない大人となってしまうケースも少なくありません。

また医療の面でも格差が生まれます。病院へ行くのにも診察代や治療費がかかるため、病院へ行くことを敬遠する方もいます。

これは子どもにとっては大きな問題です。子どもにとっては予防接種や定期的な健康検診、歯の治療などは大事なことです。
これを避けて通ると重篤な病気に感染したり、食事だけでなく集中力にも影響し、さらに歯がボロボロになるなど様々な弊害が生まれることがあります。

健康的に過ごすためには医療の受診は大切であり、医療が受けられないことが子どもの身体・成長に大きな格差を生んでしまうのです。

シングルマザーが貧困を脱出するための支援とは

シングルマザーとなり貧困状態になってしまっても、貧困から脱却できる手立てはあります。

日本では、シングルマザーの貧困を解決するために様々な支援が実施されているのです。
それはNPOだけでなく、国や地方自治体などの行政機関でも行われています。

NPO団体が行っているものとしては、シングルマザーキャリア支援といったものがあり、行政機関では各種手当ての支給などが挙げられます。それぞれ支援について少し詳しく見ていきましょう。

シングルマザーキャリア支援

シングルマザー向けのキャリア支援プログラムというものがあります。
先述の通りシングルマザーとなってしまう理由の多くは離婚ですが、いざ働こうにもキャリアがないと安定した仕事に就けないことが多々あります。
そんな方々を支援するプログラムとして立ち上げられたのが、このシングルマザーキャリア支援です。

NPO法人が運営しており、プロのキャリアカウンセラーがカウンセリングを行い、シングルマザーのキャリアを一緒に考えてくれます。
これらは無料で受講でき、託児サービスなどがつく場合もあるので安心して参加できます。

主には面接の模擬演習であったり、ライフプランや先輩からのアドバイス、スキルアップに繋がる多彩な講習内容であったりと、数ヶ月で自信をつけられるシステムとなっているのが特徴です。
ビジネススキルだけでなく、身だしなみにも注意を払わなければなりませんが、そのような受講ができる支援も実施されています。

シングルマザーのための行政の支援・制度

行政が行っている対策としては、児童手当や社会保障の給付などが挙げられます。
保育・幼児教育の無償化、待機児童問題など保育へのアクセス面の改善など、保育や幼児教育にかけられる資源の改善も行われてきました。

ある程度の経済回復が見込まれたあとは「子どもの貧困対策法(正式名称は子どもの貧困対策の推進に関わる法律)」が制定され、より細かい対策も実施しています。
こちらは子どもたちの教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援などの4つの観点で支援を行っていく形になっています。
特にこの中の経済的支援はシングルマザーの貧困率の根本的な解決として必要であり、児童扶養手当や公的年金との併給調整、母子福祉資金貸付金、入学料、入学考査料の支給などを行うとしています。

また母子家庭・父子家庭の住宅手当なども支給することで、貧困な家庭を助ける下支えも行っているのです。

児童扶養手当

児童扶養手当はひとり親家庭や両親の居ない家庭で児童(18歳未満の者、あるいは20歳未満で一定の障害の状態にある者)を養育している方に支給される制度と手当てです。

認定を受けることで申請した月の翌々月から支給され、2ヶ月に1回支給される形になります。
地方自治体から支給され、児童の人数によって金額が変わります。

児童手当

上記と同じような名前になりますが、こちらは中学3年生までの子どもを養育している方に対して支給される手当です。
児童手当は申請がないと支給されず、こちらは申請月の翌月から支給されます。
こちらも地方自治体から支給され、子どもの人数によって支給額が変わります。

母子家庭・父子家庭の住宅手当

自治体によってはシングルマザーや父子家庭といったひとり親家庭へ住宅手当を支給しているところもあります。
ただしすべての自治体が行っているわけではなく、自治体独自に定めた条件などもあるため、そちらを確認の上、申請する必要があります。
条件には20歳未満の児童を育てていることはもちろんのこと、家賃額や民間の住宅を借りているなど様々です。

貧困を脱出するには、まずシングルマザー家庭への理解者を見つけよう


シングルマザー家庭の問題は、現在も日本の至るところで見られます。その中でも貧困による問題はとても深刻です。

支援もかなり広がってきてはいますが、それでもいまだに貧困率が高いのは世間のシングルマザーへの理解が少ないためと言えます。
どうしても偏見の目で見られてしまい、いわれのない厳しい声を浴びせられる方も少なくありません。

貧困に悩んでいるシングルマザーには、理解者や協力者が必要です。たった一人でも理解者がいるだけで精神的にも大きく変わってきます。
1人でこの問題と向き合うよりも、理解者が居てくれるだけで安心できますし、知らなかったことや1人では調べられないことなど手助けもしてくれることでしょう。

そのうえで様々な支援を受け、生活環境を改善していくことも大切です。
様々な支援を利用して子どもと共に生きていけるよう環境を整えていくことが、貧困から脱出するための近道となります。

(出典:厚生労働省「現状と支援施策の課題」)

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