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貧困が深刻化する日本、貧困率が高い都道府県や地域ごとの対応とは

貧困が深刻化する日本、貧困率が高い都道府県や地域ごとの対応とは


現在日本では貧困が深刻化しています。
この状況は、不況であった経済的な問題や、現代社会の様々な変化、人口推移など多種多様な要因が絡み合って生まれています。

しかし、貧困をそのまま放置していけば、やがて日本経済に深刻なダメージを与え、衰退しかねない問題です。
そのため行政や各都道府県ではこの問題に関しての対応を行っています。どのような取り組みが行われているのか、貧困の現状などとともに見ていきます。

(出典:総務省「就業構造基本調査」)

日本の貧困の現状


貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」があり、日本で言う貧困は相対的貧困に当たります。

絶対的貧困は生活を維持していくことが難しい状態であるのに対し、相対的貧困はその国の生活水準や文化水準を下回る状態に陥っている状態を指します。

日本ではこの相対的貧困率が経済大国の中でも特に高いとされています。

2016年に発表された世界の貧困率比における日本の位置は14番目の15.7%となっています。これは先進国の中で中国やアメリカに次いで3番目の高さとなっており、貧困率が世界の中、そして先進国の中でも高いことが一目瞭然です。

また世帯構造別で言えば、ひとり親世帯の貧困率は2015年で50.8%となっており、ピーク時よりは下回っているものの、ひとり世帯のおよそ半数が貧困状態であるとされていると報告されています。

(出典:厚生労働省公式サイト)

貧困層とは

貧困層とは、正確には相対的貧困層と呼ばれ、厚生労働省が公表している相対的貧困率の算出方法から等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯と定義付けられています。

2015年時点では等価可処分所得の中央値は245万円であり、この半分となる122万円未満の可処分所得(収入などから税金や社会保障費などを引いた金額)の世帯が相対的貧困層となります。

この相対的貧困層の割合は2003年には14.9%だったのに対し、2011年で16.1%まで増えています。
現在は経済の回復で多少低下したとされていますが、それでも15%以上の人が相対的貧困層に当たると言われています。

(出典:厚生労働省公式サイト)

所得格差が広がる日本


日本では相対的貧困層の家庭とそうでない家庭の間において、所得格差は広がる一方となっています。

総務省では所得格差を測るためジニ係数と平均所得(等価化処分所得の中央値)の推移を公表しています。

ジニ係数とは所得分配の不平等さを図る指標であり、0に近いほど公平に分配され、1に近いほど1世帯に集中していることを表します。
そのため、1に近ければ近いほど所得格差は大きくなっていることを示します。

このジニ係数は1999年には0.472、2017年時点では0.5594と上昇が見られ、少子高齢化や単身の増加で世帯の小規模化が進むと、所得のジニ係数は上昇する傾向にあると言われています。

所得の再分配

一方、厚生労働省はおよそ3年ごとに所得再分配調査を行っており、所得の再分配後のジニ係数についても公表しています。
所得の再分配とは経済的に豊かな人の所得から、その一部を社会保障などの形で貧しい人の生活を助けることです。

所得の再分配後のジニ係数は0.37~0.38台の水準を保っており、再分配機能は徐々に強まっています。
再分配前後のジニ係数を比較し改善度を表すと、1999年で19.2%だったのに対し2011年には31.5%となり、初めて30%を超えました。その後も2014年に34.1%、2017年は33.5%と3回連続で30%を超えいます

所得の格差が広がっている一方で、所得の再分配機能も強まっていることから、対策が進められていることがわかります。

(出典:厚生労働省公式サイト)

日本で貧困率が高い傾向にある地域とは


日本における貧困率には都道府県でばらつきがあり、低い地域と高い地域に差があります。

その中でも得に高い貧困率となっているのが沖縄県、高知県、鹿児島県、徳島県の4県になります。
それにはその地域の特性や置かれている環境などが貧困率を高めているという背景が見られますが、共通項などもあり貧困率が高い要因としても注目されています。

沖縄県

沖縄県が発表したデータによると、子どもの貧困率は2016年時点で29.9%となっており、全国平均の16.3%を大きく上回る結果となりました。2013年までのデータでも、これまでの貧困率の高さが全国平均順位2位となっています。

その背景として沖縄県では非正規雇用率が高いとされており、2018年には県内で43.1%となっています。全国的に見ても第1位であり、全国の38.2%を大きく上回っています。
また最低賃金の全国平均が901円なのに対して沖縄県は762円となっており、時給にして139円もの差が開いています。

貧困の要因として大きく見られているのがひとり親世帯であり、特に母子家庭の出現率は5.46%となっており、全国の2.65%をこちらも上回る結果となっています。

つまり沖縄ではワーキングプア層が多く、また貧困に陥りやすい母子家庭が多いことから貧困率が高くなってしまっているのです。

このような状況を改善するために、沖縄県は「子どもの貧困対策計画」を立案し、取り組みにあたっています。

貧困により困難な状況にある青少年の就学及び就業への援助に努める規定や、子どもの貧困対策の基本方向を定めています。
そしてライフスタイルに沿った切れ目のない総合的な支援、地域の実情に即した社会全体での取り組みすることを目指す趣旨が盛り込まれています。

また、この計画のビジョンでは、健康で健全な子どもを育むことにより、児童虐待やいじめ、不良行為や青少年犯罪が減少させること、そして将来に向け夢や希望、目標を持って進学、就職できる若者が増加している社会を目指しています。

(沖縄県公式サイト)

鹿児島県

鹿児島県の最近のデータによると2013年の貧困率は14.3%となっており、2015年の全国平均13.9%を若干上回る結果となり、過去の平均順位は4位と高い傾向にあります。

同年の貧困率のうち、母子世帯では40%以上になるという調査結果が出ており、このうちの44.3%は非正規雇用で、等価化処分所得(世帯の可処分所得を世帯の人数の平方根で割ったもの)が122万円未満の世帯は39.7%、122万円以上244万円未満の世帯は35.1%となっており、単純にあわせても74.8%もの母子世帯が低い所得で生活していることがわかります。

このような子どもの貧困に対して鹿児島県は「かごしま子ども未来プラン2015」を策定し、対策にあたっています。
「結婚、妊娠・出産、子ども・子育てに温かい社会をめざして」を基本理念としています。
そして県内のどこにおいても個々人の結婚、妊娠・出産、子育ての希望が実現でき、少子化に歯止めがかけられるとともに、次世代の育成支援を行うことを目標として取り組んでいます。

(出典:鹿児島県公式サイト)

高知県

高知はこれまでの貧困率の高さが全国平均3位、貧困率は16.1%となっています。

高知県でも全国でも上位になるほどひとり親世帯が多く、このうち正社員率は56.7%と低い水準です。年間就労収入が200万円以下は56.8%にもなるという調査結果が出ています。

これはパートや臨時職員など非正規雇用として雇われることが多く、安定した収入が得られない状況が続いてしまうためであり、特に女性の割合が高いことで母子家庭の貧困率を高めてしまっているものと推測されます。

このような状況を鑑み、高知県では「高知家の子どもの貧困対策推進計画」を打ち出して子どもの貧困率改善のための取り組みを始めています。

高知県では県内全体を「高知県は、ひとつの大家族やき。」の方針のもと、高知県を1つの家と見立て、県内全体で取り組む課題として実施

この計画は平成28年から平成31年までの4年間で取り組むべき重点施策として実施され、子どもたちへの支援策の抜本強化と保護者などへの支援策の抜本強化の2つの柱で作られています。

「子どもたちの将来が、子どもたち自身の努力が及ばない不利な環境により閉ざされてしまうことがないよう、夢と希望を持って、安心して育つことの出来る県づくり」を基本的な理念として取り組みを行っています。

(出典:高知県公式サイト)

徳島県

徳島県でも過去の平均順位は鹿児島同様4位、貧困率も2017年で15.5%と高くなっています。

その要因として、徳島県は離婚率が高く、ひとり親世帯になった原因の約9割が離婚によるものとなっています。
これにより母子家庭となってしまった世帯の8割近くは経済的に困窮しており、この状況に対する支援が行き届いておらず、またさらなる貧困を生まれてしまう状況が続いていました。

この状況を打開するため、貧困対策として徳島県次世代育成支援行動計画「第2期徳島はぐくみプラン」を打ち出し取り組んでいます。

これは貧困だけに限らず、次世代の徳島を担う人材育成を目的としており、基本理念に「子どもたちを大切に育み、子育ての喜びを分かち合える徳島を目指す」ことを掲げています。
その過程で現在問題となっている貧困への対処や人材育成を行うことで、将来的に貧困を減らすことを目的とした計画になります。

(出典:徳島県公式サイト)

日本の貧困問題の解決に向けて、みんなで取り組もう


日本の貧困問題は上記の4県だけの問題ではありません。
過去の貧困率のデータを見てもばらつきはあるものの1割以上、あるいは1割近くの人が各県で貧困状態にあると判断されているのです。

このような貧困問題を解決するためには行政や関係機関の取り組みだけでなく、私たちにも行動を起こすことが求められます。

例えばこのような家庭や子どもに対して様々な支援が行われています。その中にはNPOが行っている取り組みもあるのですが、その活動資金の多くは寄付によるものです。
私たちはこうしたNPOの活動に対し寄付をすることで応援したり、身近に生活に困窮している家庭や子どもがいれば手助けをするなど、できることは多々あります。

まずは日本の現状を知り、できることを探してみてはいかがでしょうか。

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