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深刻な教育格差問題とは?原因や現状を知り、必要な対策を考えよう

深刻な教育格差問題とは?原因や現状を知り、必要な対策を考えよう

世界から見ると先進国である日本ですが、その陰には貧困問題が横たわっています。
日本は先進国でありながら2015年の貧困率は15.6%と、G7の中でもアメリカについてワースト2位となっており、7人に1人の子どもが貧困状態に陥っているほど深刻な状態にあります。

そんな中でも特に深刻なのが、「子どもの貧困」から来る教育格差です。

また、教育格差は日本のみならず世界中で起こっている問題です。
今回の記事では、年々深刻さを増している「教育格差」問題の説明と、必要な対策について解説します。

(出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」)
(出典:OECD,2015)

教育格差とは


教育格差とは「生まれ育った環境により受けることのできる教育に格差が生まれること」を指します。
現代の日本では、学校だけではなく、塾や習い事など学校外での教育を受ける機会も増加していますが、これには少なからずお金が必要です。

貧困層の家庭の子どもたちは、学校外の習い事に通うことができず、教育機会が減少してしまいます。
そのため、放課後の時間を一人で過ごす場合も増えてしまうのです。

日本の教育格差の現状とは


2015年の厚生労働省の調査によると、現在は「7人に1人の子ども」が貧困状態にあると言われています。

この割合は、2012年の時から減少しているものの、OECD諸国の中では平均より高く、日本全体では約280万人にも登るのです。

経済協力開発機構(OECD)には34の加盟国があり、その中には先進国も含まれます。
日本は教育の分野で10位に位置付けられ、アメリカやイタリア、ギリシャに次いで高い水準を誇っているのです。

(出典:日本ユニセフ 公式サイト)

10歳の壁とは

教育格差を取り上げるにあたり抑えておきたいこととして「10歳の壁」が存在するといわれています。
8歳から9歳までは家庭の経済状況によってそれほど離れていなかった偏差値が、10歳を境に大きく離されてしまうのです。

これは10歳になることで学習する内容が増えるのが1つの転換点と言えるでしょう。 

そして、貧困による経済格格差が顕著に現れるのが、進学率です。
全世帯の大学進学率が73.2%なのに対して、生活保護世帯の進学率は半分程度の33%まで減少します。

大学進学では入学金・授業料、教材代など様々な費用が必要となります。
国立の大学でも標準額は入学金でおよそ30万円前後、授業料が50万円前後とされており、文系学部・理系学部においても違いがあります。

国立大学の卒業までには、およそ250万円、私立大学はおよそ500万円が必要となるのです。日本には奨学金制度がありますが、学校卒業後に支払いが重くのしかかるのも事実です。(記事執筆時点)

このような理由から、金銭的な都合によって学ぶ機会が奪われる場合もあるのです。

(出典:厚生労働省「平成27年国民生活基礎調査の概況」)
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
(出典:内閣府「子供の貧困に関する指標の推移」)

教育格差の対策として行われていることとは

あるNPO法人では、経済的な困難を抱える子どもたちに対して、塾や習い事、体験活動などで利用できる学校外教育バウチャーを提供しています。

バウチャーには有効期限があり、習い事などを受けるためだけに使えます。

この結果、親の経済状態によらず、希望する子どもが習字・そろばん・スポーツ教室などの習い事を体験できるようになりました。

その他にも、大学生ボランディアが月に1度、電話や面談を通じて学習や進路の相談にのる制度を導入。将来に悩む子どもたちに対する現役大学生のアドバイスは心強いでしょう。

そのほか、公民館や空き教室に無償の「学習支援拠点」なども設置されています。あるNPOでは質の高さと継続性に徹底的こだわっており、厳しい研修を受けた大学生教師たちが、学習遅延を抱えた子どもたちに勉強を教えます。

それぞれの家庭環境、学習進度に合わせて、進学や将来の夢を諦めなくて良いように、日々の生活習慣にまで踏み込んだ指導も行っているのです。

自治体のケースワーカーや教育委員会との密接な連携により、子どもたち全体の教育格差の是正に取り組んでいます。

このような無償で利用できる支援の普及は、多くの子どもたちにとってメリットの大きい制度と言えるでしょう。

貧困家庭に対する支援

厚生労働省が発表した資料では、生活に困窮する人に対する重層的なセーフティネットが定義されています。

居住確保支援では、就職活動中の家賃を給付。
一般就労に向けた日常生活自立・社会自立・就労自立のための訓練も行われています。

また、一時的な生活支援から家計状況を「見える化」し、利用者の家計管理の意欲を引き出す相談なども支援しているのです。

就労支援としては、職業相談と職業紹介から、実際に職場体験講習を踏まえて自身の適性を見極める職業準備プログラムなども行っています。

年を追うごとに増加の一途を辿る、貧困率に歯止めを掛けるため、あらゆる支援が行われているのです。

(出典:厚生労働省 「就労支援・自立支援・子どもの貧困対策に関する現状等について」)

子どもたちへの支援

子どもたちに対しても、数多くの支援が行われています。
その中でも特に有名なのが、地方自治体を主体に行われている「放課後子ども教室」です。

「放課後子ども教室」とは、放課後や週末等に小学校の余裕教室を活用し、安全・安心な子どもの活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、子どもたちに勉強やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流の機会を提供することにより、子どもたちが地域社会の中で、心豊かで健やかに育まれる環境づくりを推進しています。

また「学童クラブ」は、共働きなどで日中家庭に保護者がいない、小学生の児童の『生活の場』で授業終了後や夏休みなどに実施されるものです。
しかし、「放課後子ども教室」は全ての児童を対象とした『活動の場』であり、地域の実状に応じた活動によって、実施日数や時間も様々です。

また、家庭環境の問題から不登校・中退などを経験し、将来の職業選択に大きなハンデを背負う子どもたちも多くいます。このような子どもたちの教育格差をなくしていくために、個別指導が行なわれています。

「お金がない」「学校を辞めたからまともな人生を送れない」という考えを変えるきっかけとなる支援が多くあることを知ることも大切です。

世界では学校に行けない子どもが約1億2,400万人


次は、日本から世界の教育格差に目を向けてみます。

世界では、様々な理由で学校に行けない子ども(6〜14歳)が約1億2,400万人(うち初等教育では約6,100万人)、さらに教育を受ける機会がないまま大人になったことで、文字の読み書きができない人が約7億5000万人(世界の15歳以上の6人に1人)います。

国やコミュニティによっては「女性は教育を受けずに早期結婚させる」「教育を受ける価値が浸透していない」ことも珍しくないため、このような大きな数字となっているのです。

(出典:公益社団法人日本ユネスコ協会連盟 公式サイト)

教育を受けられない子どもが途上国で多い理由


教育を受けられない子どもたちが多い場所は、圧倒的に発展途上国が多いです。
なぜ、発展途上国で子どもが教育を受けることができない問題が立ちはだかっているのかを解説します。

貧困の連鎖による教育不足

発展途上国では貧困の連鎖による教育不足が大きな問題となっています。

アフリカ大陸の国々を例に挙げると、国のほとんどが農業を中心に家計を維持しています。
しかし、近年の地球温暖化などの異常現象によって、大規模な干ばつなどが発生するようになりました。

満足できる農作物を得られない家庭は、貧困に陥ってしまい生活ができなくなってしまうのです。
このような現状から、子どもたちを学校に行かせることを重要視せず、幼少期から家の仕事を手伝ってもらう場合が増えています。

また、東南アジアのスラム街に住む家庭では、スカベンジャーと呼ばれる「ゴミ拾い」で生計を立てる世帯も増加。人が多ければ多いほど、相対的に拾えるゴミの量も増えることから、子どもを学校に行かせることなく、生活を維持するためにゴミ拾いをさせることになるのです。

教育を受けずにゴミ拾いをして大人になると、自身が家族を持ち、子どもができた場合も、子どもの教育機会を奪うことになります。

このように貧困は連鎖していくことも、大きな社会問題と言えるでしょう。

それ以外にも、「学校がそもそも近くにない」「学校があったとしても先生がいない」などの問題も発展途上国には多く残っています。

紛争や戦争

それまでは、教育を受けていた子どもたちも、紛争や戦争に巻き込まれることによって教育の機会を奪われる場合もあります。

2015年には、5,000万人近くの子どもが故郷を追われ、そのうち2,800万人以上は、暴力や情勢不安のため慣れ親しんだ土地を離れることを余儀なくされました。

また、紛争の影響を受ける24カ国で、小中学校学齢期の子ども2,700万人が学校に通えていない事実も残り続けています。
故郷を追われた難民が教育を受けるためには、避難した先の国で教育を受けられる制度が整っている必要があるのです。

安定して教育を受けたくても、一つの紛争が引き金で教育を受けることができなくなる現実は、大きな社会問題となっています。

(出典:日本ユニセフ 公式サイト)

教育を受けられない子どもたちのために行われている支援


自分の意思で教育を受けられない子どもたちのために、各団体が様々な支援を行っています。

日本で始まった「寺子屋」を応用した「世界寺子屋運動」は、基本的人権としても誰もが教育の機会を得て、貧困のサイクルを断ち切り自ら考えて行動を起こしていけるように、1989年から活動が続いています。

寺子屋は年齢、宗教、性別にかかわらず、すべての人が公平に学べる場として、海外ではCommunity Learning Center(CLC)と呼ばれています。

現在は、非識字率が高く、貧困層が多いアジアの国で展開しており、貧困削減と持続発展への貢献モデルとして注目を集めているのです。

また、多くの人から集まった支援金を利用して、教科書や学用品、通学に必要なものの支給
学校の建設から修繕など設備の修繕したり、家庭の事情によって学習が遅れた子どもたちに対する補修授業なども行fっています。

(出典:公益社団法人日本ユネスコ協会連盟 公式サイト)
(出典:国連UNHCR協会公式サイト)

私たちの寄付が子どもたちの将来のためになる


子どもたちに対する教育支援は、私たちが思っている以上に多くの費用が発生します。
年齢に応じた学習教材の購入費、勉強を教えるスタッフの給与など定期的に発生する費用が多いのです。

このような現実から、できる限り多くの支援が必要となります。
どのような支援においても、少額から支援可能です。

継続寄付

子どもたちの継続的な学びの場を提供するのには、ある程度の費用が掛かります。
発展途上国における教育システムを維持するためには、継続した寄付が求められるのです。

寄付金額を一度設定すれば毎月自動的に寄付が行われるシステムでは、月に1,000円(1日あたり約33円)などの少額から可能なため、負担を少なくできることも魅力です。

都度の寄付

まずは、現状の教育格差問題について詳しく知ることからスタートして、お試しで寄付することもひとつの選択肢です。
日本では小さな金額だとしても、ひとりの小さな行動が大きな力になる場合もあります。

教育は子どもたちの将来を創造する大切な基盤


今回の記事では、日本と世界の教育格差問題について取り上げ、具体的な支援方法についても解説しました。

教育は、幼少期のわずか10年ほどの期間が将来の40年〜50年を決める大きな基盤です。
まずは、現状を深く知ることから始めて、小さな支援をスタートさせましょう。

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