独身女性の貧困が深刻化し非正規雇用の生活で老後への不安も拡大。対策や支援団体はあるのか?


  • 2020年3月5日
  • 2022年7月16日
  • 女性

日本の貧困率の高さは近年注目視されている問題ですが、なかでも独身女性の貧困は深刻です。
男女雇用機会均等法や働き方改革など、女性が社会へ進出し地位を高める傾向にある一方で、男女において収入や給与の差が埋まらないのも事実です。
この記事では、女性の貧困問題について理解を深めるために、現状について解説します。

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独身女性の貧困化が進む理由とは


まずは先進国でも起こる相対的貧困について解説し、その上でデータから国内の実態を解説します。

絶対的貧困と相対的貧困

貧困には、以下の2つの種類があります。

  • 絶対的貧困
  • 相対的貧困
  • 絶対的貧困は、食料や雨風を凌ぐ自宅すらないなど、人として生きる上での最低限の条件すら備わっていない状態を指します。
    そのため途上国に多く存在し、絶対的貧困は病気や死などと結びつくこともあり世界でも深刻な問題となっています。
    対して日本で多く見られるのが相対的貧困です。
    相対的貧困は、その国の生活水準・文化水準と比較して困窮した状態を指します。
    食費や光熱費を切り詰めながら生活することはできても、趣味や教育にお金を使う余裕がなく、将来において改善する期待を持つことができないのが相対的貧困なのです。
    相対的貧困は日本国内でも深刻な問題となっています。
    特に独身女性の貧困は大きな問題で、当事者は適切な支援を受けて生活を立て直さなければなりません。

    日本における女性の貧困

    男女の平均給与格差

    男女の平均給与における格差を確認してみましょう。年代別で男女にどれほどの給与格差があるかを確認すると貧困の実態が見えてきます。
    まずは以下の年齢階層別の平均給与を表した図をみてください。


    (引用:平成24年版「男女共同参画白書」)

    (引用:国税庁ホームページ「平成29年分 民間給与実態統計調査」,2017)

    このように男女の給与格差は50代後半まで年代が上がるごとに大きくなります。以下に各年代における男女の給与の「格差」をまとめました。

    年代別の男女の給与格差(いずれも男性が高い)/年
    19歳以下 44万円
    20~24歳 36万円
    25~29歳 75万円
    30~34歳 146万円
    35~39歳 204万円
    40~44歳 261万円
    45~49歳 320万円
    50~54歳 375万円
    55~59歳 371万円
    60~64歳 276万円
    65~69歳 190万円
    70歳以上 145万円
    全体平均 245万円

    特に30代以降の格差は、非常に大きくなります。45歳から59歳までの間は、男性の平均給与が女性の2倍にまでなるのです。このように男女間における平均給与の格差は非常に大きいことがわかります。
    そして給与格差を確認することで、女性の貧困の実態が浮かび上がってきます。
    上図の給与を平均すると、女性は25歳から59歳まで一貫して300万円前後しか給与を得られていません。
    そして格差があることと同時に注目すべきは、「女性の給与が歳を重ねても一向に上昇していない点」です。この理由としては、以下の2つが主に考えられます。

  • 非正規雇用で働く女性が多いこと
  • 女性の管理職が少なく、給与の上昇幅が小さいこと
  • 非正規雇用については、結婚・出産を機に非正規雇用にならなければならない環境に身を置く女性もいるため、個人の責任だとは言えません。
    また、管理職についても同様で、女性の能力が低いために管理職における女性比率が低くなっているとは言い切れません。
    このように女性の収入が低いことについては、個人の問題だけではなく、社会構造における問題が関係しています。
    (出典:国税庁公式サイト「民間給与実態統計調査」2018年)

    (引用:国税庁「平成29年分 民間給与実態統計調査」,2017)

    それぞれの年代で見る貧困の原因と特徴

    ここからは年代別に女性が貧困に陥る原因と特徴を確認していきましょう。それぞれの年代で貧困を招く原因は異なっていることがわかります。

    20代女性

    20代女性の貧困の原因として真っ先に挙げられるのは非正規雇用で働く女性が多いことです。専門学校・短大・大学といった教育機関を卒業した後も正社員として働かず、非正規雇用で働く人が多くいます。
    さらに一度は正社員として働いたとしても、結婚や出産を機に非正規雇用になる女性も多数います。
    また20代は収入が低い傾向にある点も貧困を招きます。収入が少ないことで急な出費に対応できず、小さなリスクが顕在化しただけで貧困となってしまうのです。
    2010年に行われた「生活困難を抱える男女に関する検討会」では、女性の世帯類型別貧困率を見てみると、25歳までの単身女性、10代、20代後半~40代の母子世帯、50代以上の単身女性の貧困率が特に高いことがわかりました。
    (出典:男女共同参画局「生活困難を抱える男女に関する検討会報告書」,2010)

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    30代女性

    30代女性の貧困は、既婚者にも起こるのが特徴です。
    独身女性については先述したような非正規雇用を理由とした貧困がありますが、既婚の30代女性は以下のような原因から貧困に陥ることもあるとされています。

  • 離婚してシングルマザーになった
  • 配偶者が怪我や病気で働けなくなった
  • 配偶者と死別した
  • このような理由から既婚者であっても貧困に陥る恐れが出てくるのです。
    2016年の全国ひとり親世帯等調査によると、離婚が原因でひとり親になったシングルマザー世帯はで8割を超えています。
    このような状況になる平均年齢は、シングルマザーが33.8歳、この方々が育てる子どもの末っ子の平均年齢が4.47歳となっています。
    小学校に入学前の子どもがいることから、シングルマザーとなった女性は必然的に子育てに充てる時間が必要となるため、正規雇用の仕事にも就きづらい状況が生まれてしまいます。
    (出典:
    厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査(ひとり親世帯になった時の親及び末子の年齢),2016」)

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    40代女性

    続いては40代女性の貧困について確認します。40代女性であってもここまで紹介した非正規雇用の独身者、離婚や死別によるシングル化、住宅ローンや保険料による支出の増加などは依然として貧困の原因となります。
    しかし、40代になるとそこに以下のような原因も加わります。

  • 子どもの成長による教育費の増加
  • 自身の健康悪化による医療費の増加
  • 親や親族の介護費の増加
  • 非正規職員の割合の増加
  • このように年齢を重ねるからこそ生まれるリスクが貧困に繋がっていきます。
    2017年に発表された国民生活基礎調査では、母の仕事の状況について末っ子の年齢階級別にみると、子どもの年齢が高くなるにしたがっ て「非正規の職員・従業員」の母の割合が高くなる傾向にあることがわかっています。
    離婚している40代の女性の場合、非正規雇用の給料で子どもの進学にともなう授業料や教育にかかる費用が多くなるため、家計が苦しくなることもあります。
    また、親の介護費については、高額であることに加えて、女性が仕事を辞めて介護にあたる場合もあり、非常に大きな問題です。
    (出典:厚生労働省「平成29年国民生活基礎調査(世帯数と世帯人員の状況)」,2017)

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    40代の女性が貧困に陥ってしまう理由・原因は?

    50代女性

    最後に50代女性の貧困の原因をみていきます。こちらは40代女性の延長上にある原因が多くを占めますが、その中で特筆すべきは以下のものです。

  • 熟年離婚
  • 自身の病気
  • 熟年離婚をすると、これまで専業主婦として暮らしてきた場合は女性は一人で収入を得て生活していかなければいけません。
    長年就労から離れていると、すぐに正社員になることは難しくなります。
    さらに50代になると自身の健康も悪化する恐れが高くなります。2016年度の国民生活基礎調査では、過去1年間で人間ドックを受診した年齢は男女とも50~59歳が最も高く、女性は7割以上の人が受診しています。
    保険に加入しておくことである程度対応できる病気も多いですが、保険料の支払いが増加するというジレンマがあります。
    (出典:厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」,2016)

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    50代の女性が貧困に陥ってしまう理由・原因は?

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    離婚した女性、シングルマザーの貧困率が高い理由とは

    はじめに見たとおり女性は歳を重ねても給与が上がりにくく、それぞれの年代で発生する特有の支出がある限りどんな年代でも貧困に陥る可能性があります。
    このような場合であっても、配偶者と二馬力で収入を得ることができれば貧困を回避できる可能性も高まります。
    しかし、それは裏を返すと離婚や死別によって、シングルマザーとなった場合のリスクが非常に高いことを意味します。
    特に結婚・出産を機に非正規雇用となっていた場合、正社員への復帰は困難となります。

    以下は男女における非正規雇用者の割合を示す図です。


    (引用:平成26年版「男女共同参画白書」)

    (引用:男女共同参画局「平成26年版男女共同参画白書」,2014)

    このように全ての年代において女性の非正規雇用割合は男性よりも高くなっています。いかに女性が正規雇用で働くのが難しいかがわかります。
    シングルマザーとなった場合、独力で貧困から抜け出すのは決して簡単ではありません。
    こうした中でシングルマザーが過労から体を壊してしまえば収入は途絶え、日常の生活すら維持することが困難になります。
    そうした場合は積極的に支援を活用することが重要です。
    (引用:男女共同参画局「平成26年版男女共同参画白書」,2014)

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    貧困に悩む女性への支援とは

    ここからは女性の貧困に関して行政によって行われている支援を解説します。

    女性支援団体による活動

    国内および各自治体は貧困に悩む女性を支援する手当や支援が実施されています。

    行政による手当や支援制度

    行政による手当や支援では、特にひとり親家庭への自立支援では様々な支援が行われています。

    子育て・生活支援

  • 母子・父子自立支援員による相談支援
  • ヘルパー派遣、保育所等の優先入所
  • 子どもの生活・学習支援事業等による子どもへの支援
  • 母子生活支援施設の機能拡充
  • など

    就業支援

  • 母子・父子自立支援プログラムの策定やハロワーク等との連携による就業支援の推進
  • 母子家庭等就業・自立支援センター事業の推進
  • 能力開発等のための給付金の支給
  • など

    教育費確保支援

  • 養育費相談支援センターの推進
  • 母子家庭等就業・自立支援センター等における養育費相談の推進
  • 「養育費の手引」やリーフレットの配布
  • など

    経済的支援

  • 児童扶養手当の支給
  • 母子父子寡婦福祉資金の貸付(事業開始資金、事業継続資金、修学資金、技能習得資金、修業資金、就職支度資金、医療介護資金、生活資金、 住宅資金、転宅資金、就学支度資金、結婚資金)
  • など

    手当てや支援内容によっては各自治体により内容が異なる場合もあるため、問い合わせて支援内容を確認してください。
    (出典:厚生労働省公式サイト「ひとり親家庭等の支援について」,2019)

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    貧困で悩む女性たちの老後への不安とは


    こうした支援団体および行政による支援の活用は、貧困に悩む女性の老後をも救う可能性を秘めています。
    先述したとおり、女性の平均給与は年齢とともに上がりにくい側面を持つため、貧困の改善に着手するのは早ければ早いほど望ましいのです。

    年齢を重ねるごとに病気や怪我のリスクも高くなるため、支援を積極的に活用するのが良いでしょう。
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    今回は女性の貧困について解説しました。20代から50代までそれぞれの年代で起こり得る問題が原因で貧困が起こりますが、その背後にある理由は女性の非正規雇用割合が高いことと女性の給与が年齢とともに上がりにくいことなどが挙げられます。

    しかし、女性個人の要因だけではなく社会的な構造による要因が存在するため、女性が独力であがいても貧困から抜け出すことができない場合があるのです。
    こうした状況を回避するためには、積極的に支援団体と行政による手当と支援を活用していくことが大切です。

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