衛生

水衛生で命の危険にさらされる子どもを救おう!私たちができる支援とは

日本人はきれいな水に囲まれて生活しています。飲料水はもちろん、何かを洗うときやトイレなどでも使用しています。

しかし、世界では水衛生が不十分で命を落としてしまう人々が多く存在します。特に子どもたちは成長途中で抵抗力が弱いためその影響を大きく受けてしまいます。

この記事では、危険な水と不衛生が与える子どもたちへの影響について解説します。

世界の水・衛生問題について知ろう!私たちにできる支援を考える

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世界でも深刻な水衛生問題

2017年時点では、世界全体で21億人、つまり10人に3人の割合で安全な水が使えず、世界で8億4,400万人もの人が自宅で安全な水を手に入られない状況にあります。

そのような人々は水道や井戸では安心して飲める水を得られません。

水が得られる池や川、湖、整備されていない井戸といった場所は家から遠い距離にしかないことも少なくないのです。

水の衛生環境が悪い場所のほとんどがサハラ砂漠以南のアフリカ諸国や東南アジアに集まっており、水インフラが整っていない発展途上国では清潔な水が飲めず、水以外の衛生環境も悪い場所で育つ子どもがあとを絶ちません。

最悪の場合には不衛生な水を飲む以外の選択肢がないこともあります。

(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「ユニセフ・WHOによる最新データ 21億人が安全な水を入手できず 安全なトイレは45億人は使用できず SDGsの指標に基づく初の報告書発表」,2017)

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どうしてインフラを整えるのが困難?

インフラを整えるのが困難な理由として、紛争や自然災害などによりインフラを破壊されることがあります。

また、紛争や自然災害により一日一日を生きることが精一杯な場合、インフラを整える優先順位が低いため、インフラの整備自体がされていない地域も多数存在します。

政府の目が届かないところでは給水サービスも少なく、あったとしても貧困層では買えない値段設定になっているため、やむをえず不衛生な水を利用しているのが現状です。

水インフラは政府の管理体制も必要で、エンジニアや技術者の確保が難しい場合があります。また、中には障害や民族の違い、差別などの理由から水の利用機会を得られない人もいます

貧困層の場合は、水インフラについての要望を述べたり、決定の場に参加するといった政治的権利も実質ないことも珍しくはありません。

そして最低限のインフラを整える資金すら乏しく、最優先課題が安全な水を届けられていないことだと認識していない政府があります。

(出典:ウォーターエイドジャパン「水の課題」)

  • 世界全体で21億人、つまり10人に3人の割合で安全な水が使えず、世界で8億4,400万人もの人が自宅で安全な水を手に入られない状況
  • 水の衛生環境が悪い場所の多くがサハラ砂漠以南のアフリカ諸国や東南アジアに集まっており、水インフラが整っていない発展途上国である
  • 水インフラは政府の管理体制も必要であるが、エンジニアや技術者の確保が難しい場合があり、最低限のインフラを整える資金すら乏しく、現状を認識していない政府がある

水や衛生環境が悪いと子どもにどんな影響が出る?

水が身近にないため、数十キロ先の池や湖、井戸に水を汲みに歩く子どもたちがいます。また汲みに行くまで何時間もかけることで学校に行く時間を奪われています。

つまり、安全な水を確保できない環境が子どもたちの正当な教育を受ける権利を奪っていると言われています。

子どもが1人で水を汲みに遠くまで行かなければならない場合など、野生生物や過酷な自然環境などにより行く途中でどんな危険にさらされるかわかりません。今日を生きる権利すらも危ぶまれているのが現状です。

命の危険を犯してまで頑張って汲んで来た水も、病原菌や寄生虫など体に害を与える物質が入っていることがあります。その水で体や食器を洗い清潔に保つばかりでなく、料理に使ったり、そのまま飲んでしまうなどして体内に摂取していまうと様々な病気の原因となる場合があります。

特に子どもたちには知能の発達や身体の成長に取り返しのつかない悪影響を及ぼし、抵抗力の弱い子どもたちは下痢によって脱水症状に陥り命を落としかねません

水インフラを整備することで水汲みをせずに安全な水を得られるという生活の向上に限らず健やかに成長し、教育を受け、明るい未来を持つ機会を提供することができます。

(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「水と衛生」)

不衛生な水は病気にかかりやすい

発展途上国で病気になる原因の一つとして、不衛生な水によるものだと言われています。不衛生な水を摂取することで様々な病気にかかるリスクが高くなるためです。

例えば泥や病原菌、動物の糞、寄生虫などが含まれており、浄水処理をしないままの水を飲むと下痢を起こし、最悪の場合亡くなってしまうこともあります。

下痢性の病気により5歳を迎える前に亡くなってしまう子どもたちは2017年では毎日900人以上にのぼると発表されました。

下痢以外にも不衛生な環境や汚染された水はコレラ、赤痢、A型肝炎、腸チフスなどの感染症の伝染とも関連しています。

また、アジア各地でヒ素を含む井戸水が多く確認されており、特に南アジア、東アジアでは地下水にヒ素が含まれる地域に多くあると言われています。ヒ素を摂取し続けることでヒ素中毒になってしまうと、長い潜伏期間の後に様々な病気を発症してしまいます。

安全ではないと分かっていても、水なしで生きていくことは不可能です。途上国では水が汚れている地域が多くあり、体の弱い子どもたちから病気にかかって亡くなっているのが現状です。

(出展:ワールド・ビジョン・ジャパン「水衛生と子どもたち」)

水汲みのために1日何時間も費やす

多くの途上国では、水を汲みに行くのは女性や子どもたちの仕事とされています。そして水を汲みに長距離を歩かなければならないために、多くの時間とエネルギーが費やされます。

遠くまで水汲みに行かなければならないことで、遊ぶ時間が取れないどころか学校にも通うことができない、働くこともままならない状態の地域は多くあります。

発展途上国では、2016年時点で推定336万人の子どもたちと1,354万人大人の女性が水汲みをしており、その道中には危険も多く存在します。

自宅から往復30分以内で安全な水源から水汲みができない人たちは、2017年において世界の約9人に1人にあたる8億4,400万人にのぼり、過酷な水汲みを余儀なくされています。特に紛争や不安定な情勢にある国々では深刻です。

そうでない国々に比べて、子どもたちが30分以内にある保護された水源にアクセスできる割合は4倍少なくなります。

都市部と農村部の間での格差も大きく、湖、河川、用水路などの未処理の地表水を使用している1億5,900万人のうち、1億4,700万人は農村部で暮らしています。

(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「安全な水」)
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「ユニセフ・WHOによる最新データ 21億人が安全な水を入手できず 安全なトイレは45億人は使用できず SDGsの指標に基づく初の報告書発表」,2017)

  • 命の危険を犯してまで汲んだ水も、病原菌や寄生虫など体に害を与える物質が入っていることがある
  • 遠くまで水汲みに行かなければならないことで、学校にも通うことができない、働くこともままならないというのが現状
  • 多くの途上国では、水を汲みに行くのは女性や子どもたちの仕事とされている

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水衛生を良くするために行われている支援活動は?

水衛生の問題に関して国内のNPO・NGOも様々な活動を行っています。
人々が安全な水を利用できるよう、その地域に適した低いコストの技術を提供し、それを利用するコミュニティが自分たちで長く維持していけるように支援しています。

設備面の支援では給水設備とトイレの設置が代表的です。
給水設備であれば、手掘り井戸、深井戸、雨水貯留システム、水源の保護、サンドダム、自然流下方式などのタイプの中から最も適する井戸を設置し、トイレに関しては他世帯と共有しない、改善されたトイレを設置しています。

また、設備だけではなく、設備を利用する人々への支援も重要です。

例えば、生活習慣の改善と徹底などです。現地の人々はこれまで手洗いを行う習慣がないことも多く、指導を徹底して行うことが必須でした。
なぜなら、手洗いを行うことで多くの病原菌を消滅させることができ、病気を未然に防げことができると言われています。

その他にも、住民参加による水資源管理を促進することが重要で、最終的には支援がなくても住民で自立して水資源の管理が行える状態を目指しています。

また、先進国や政府など当事者以外に対する報告も大切とされ、報告を行うことで継続的な支援や自立を促すことにもつながります。

  • 水衛生の問題に関して国内のNPO・NGOも様々な活動を行っている
  • 設備面の支援では給水設備とトイレの設置が代表的
  • 生活習慣の改善と徹底など設備を利用する人々への支援も重要

一人ひとりの支援が大きな力に

1人では遠い異国の地へ赴き支援活動に参加することはどれだけ想いが強くても簡単なことではありません。そのため、NPO・NGOを通して支援することが現実的で有効な手段です。

その中で最も一般的なものが寄付です。寄付金は金銭による単発の支援です。

他にもイベント参加というかたちもあります。国内で行われているイベントに参加することで水と衛生の課題について知見を深めることができます。

自分ができる範囲で始めることが、水衛生問題に悩まされている人たちへの最大限の支援となります。

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この記事を書いた人
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