ホームレス

日本におけるホームレス、世界の問題点との違いは?

日本では社会問題の1つとしてホームレス状態の人の問題があります。
しかしそれは日本だけでなく、世界共通の問題としても挙げられているのです。
この記事では、ホームレス状態の人における日本と世界の問題点の違いを紹介します。

ホームレス状態の人がなくならない原因とは?生活保護の問題点や支援方法について

世界と日本のホームレス状態の人々における問題点の違いとは?


日本と世界のホームレス状態の人の違いとして明確なのが、規模の差です。
特にアメリカを見ると、ホームレス状態の人が生活している人数は日本と比べて大きく異なります。
規模の差は、日本と世界のホームレス状態の人における問題点の違いにもなります。
以下からはアメリカのホームレス状態の人の数を参考に、日本との違いを見ていきます。

アメリカのホームレスは56万人以上

米国住宅都市開発省(HUD)の2019年ホームレス評価レポートによると、2019年のアメリカでは56万7,715人がホームレス状態を経験したと発表しています。
全体の人口が3億2千万以上(2018年時点)であるため割合としては約0.17%ですが、それでも50万人以上のホームレス状態の人がアメリカにいるという事実は衝撃です。

さらにこの数値は、前年の2018年からは2.7%増加という調査結果になりました。
そのため効果的な対策が打たれなければ、ホームレス状態の人の数がさらに増えることも予想されるでしょう。
特にカリフォルニア州のホームレス状態の人が2万1,306人と多く、16.4%の増加を記録しています。
他の州すべてを合わせた増加数よりも大きくなっていることから、アメリカでは早急な対策が求められるでしょう。

一方で2019年1月に日本で行われた「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)」では、全国で4,555人のホームレス状態の人が確認されています。
2019年の総人口は1億2,614万4千人なので、その割合は約0.003%です。
もちろん調査方法やホームレス状態の人としてカウントされる基準が違うのでそのまま比較はできませんが、その人数の規模はやはり大きく違います。

世界の規模と比較することは、日本のホームレス状態の人の数や問題点を具体的にイメージするきっかけになるでしょう。
日本という枠組みだけでなく、世界の数値からホームレス状態の人を把握することは、より深く現状を知るポイントになります。

ニューヨークだけでもホームレス状態の人は6万人以上

アメリカのホームレス支援組織「Coalition for the Homeless」によると、ニューヨークのシェルターで暮らすホームレス状態の人の数は6万人以上となっています。
10年単位の推移を見てみると、2009年では3万8,000人前後、1999年は2万3,000人前後となっているようです。
かつての人数を考えると、ニューヨークにおけるホームレス状態の人の増加は著しいものだと言えるでしょう。

このように年々ホームレス状態の人の数が増加している点は、日本との違いになります。
日本のホームレス状態の人の数は年々減少傾向にあり、2009年では1万5,759人だった数値が、2019年には4,555人と大幅に減っているのです。
減少傾向にあるのか、それとも増加傾向にあるのかといった違いは、日本のホームレス状態の人を知るポイントになるでしょう。

Coalition for the Homelessは、ホームレス状態の人の現状は1930年代の大恐慌以来の最高レベルになっていると伝えています。
それくらいの危機意識が見られることが、世界のホームレスに関する問題点になるでしょう。

  • アメリカでは2019年のホームレス状態の人の数は56万7,715人
  • カリフォルニア州のホームレス状態の人が最も多く2万1,306人。2018年から16.4%の増加
  • アメリカは年々ホームレス状態の人の数が増加している
  • (出典:外務省「アメリカ合衆国基礎データ」,2019)
    (出典:米国住宅都市開発省(HUD)「HUD COVID-19のリソースとファクトシート」,2020)
    (出典:厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について」,2019)
    (出典:総務省「人口推計(令和元年(2019年)12月確定値」,2020)
    (出典:Coalition for the Homeless「FACTS ABOUT HOMELESSNESS」)
    (出典:厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果(平成21年3月)」)

    日本とは違うアメリカのホームレス状態の人の問題


    単純な規模の差に加えて、世界のホームレス状態の人の問題には日本にはない違いがあります。
    引き続きアメリカ・ニューヨークを参考に、日本とは違うポイントを見てみましょう。

    家族単位でのホームレス状態の人も多い

    世界のホームレス状態の人の事情として、家族単位で住居を持たない日を経験していることも珍しくないという点があります。

    米国住宅都市開発省(HUD)の2019年のホームレス評価レポートでは、5万3,692の家族がホームレス状態を経験したと報告しています。
    また、Coalition for the Homelessによるとニューヨークでも2020年3月の段階で、1万4,097の家族がホームレス状態になっていると伝えています。

    日本のイメージでは、ホームレス状態の人は単身で暮らすことが多いように感じるかもしれませんが、世界のホームレス状態の人の事情に目を向けると、家族でホームレス状態の生活をしている人たちも多く存在しているのです。

    また、子どものホームレス状態の人が多いという報告もあり、2020年3月では2万939人の子どもがホームレス状態の人として数えられています。
    現代で就業が難しい大人だけでなく、その流れに巻き込まれた子供にまで影響が及んでいる点は、驚くべき違いになるのではないでしょうか。

    世界では女性のホームレス状態の人の割合も高い

    世界のホームレス状態の人は、日本と比べて女性の割合が高い点も違いになります。
    ニューヨークで暮らすホームレス状態の人は、2020年3月で4,846人(独身女性のみ)となり、全体の約7.9%です。
    一方で日本における2019年の調査データを参考にすると、全国のホームレス状態の人4,555人中、女性は171人でした。
    割合は約3.7%となるので、ニューヨークと比較すると女性の割合はおよそ半分と言えます。

  • 世界には家族でホームレス状態の生活をしている人たちも多く存在している
  • ニューヨークでは子どものホームレス状態の人も多く2020年3月では2万939人の子どもがホームレス状態の人として数えられた
  • 日本と比べて女性のホームレス状態の人の割合が多い国もある
  • (出典:米国住宅都市開発省(HUD)「HUD COVID-19のリソースとファクトシート」,2020)
    (出典:Coalition for the Homeless「FACTS ABOUT HOMELESSNESS」)
    (出典:厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について」,2019)

    日本ならではのホームレス状態の人における問題も


    ここからは日本のホームレス状態の人の事情に注目し、日本ならではの問題を確認します。
    現代のホームレス問題とされている点をチェックして、世界との違いを把握しましょう。

    高齢化が進行している

    日本のホームレス状態の人の事情は、高齢化が進行していることが特徴として挙げられます。
    東京都の「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」では、年齢分布として60歳代が48.6%、70歳代が23.4%というデータが出ています。

    60歳以上としてまとめると、東京のホームレス状態の人の全体の72%がそこに含まれることになるため、その他の年代と比較しても圧倒的な数値になります。
    ホームレス状態の人が高齢化の傾向があることは、日本の問題に数えられるでしょう。

    高齢化という現実は、健康状態の悪化など別の問題にもつながります。
    ホームレス状態の人の年齢分布が今後どのようになるのかも、問題を考える上で欠かせないものになるでしょう。

    ホームレス状態の人の孤立化も問題に

    東京都の「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」を参考にすると、ホームレス状態の人の孤立化が進んでいることも問題になるでしょう。

    ホームレス状態の人に、「親や兄弟などの家族・親族がいるか」という質問を行ったところ、70.6%が「いる」と回答しています。
    そのうち家族・親族から1年間連絡がない人は、81.9%と高い数値になっているのです。
    ホームレス状態で暮らしていながら家族と連絡をとっていない場合、不測の事態や問題が起きたときの自力での対処がより難しくなります。
    そのような点からも、ホームレス状態の人の孤立化は問題になり得る可能性があると言えます。

    同調査で自分の今後の展望についてホームレス状態の人に質問したところ、「今のままでいい」という回答が41.5%ともっとも多くなりました。
    ホームレス状態の人の孤立化が進んでしまうと、こういった回答からも多くの問題が見られるようになります。
    このようなホームレス状態の人自身の意識の問題も合わせて、今後の支援対応を考えることが求められるでしょう。

  • 日本のホームレス状態の人の事情は、高齢化が進行していることが特徴
  • 東京のホームレス状態の人の72%が60歳以上
  • ホームレス状態で暮らしていながら家族と連絡をとっていない場合が多く、ホームレス状態の人の孤立化が進んでいる
  • (出典:東京都「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)ページ5」,2019)
    (出典:東京都「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)ページ10、11」,2019)

    日本と世界のホームレス状態の人の問題の違いを理解し、問題解決を


    ホームレス状態の人の問題は、日本と世界で違う部分が多くあります。
    今世界のホームレス状態の人はどんな問題を抱えているのか、日本ではどのような問題がピックアップされているのか、対策方法の違いもあるでしょう。

    そのような違いをチェックして、ホームレス状態の人の問題をより深くまで掘り下げてみてはいかがでしょうか。

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