ホームレス

ホームレスに関わる問題点とは?そこから見える今後の課題とは

日本が抱える問題の1つとして、ホームレス状態の人に関するものが挙げられます。
理解を深めるためには、どのような点が問題となっているのか、今後どのような課題が浮き上がってくるのかを知ることが重要です。
この記事では、ホームレス状態の人に関わる問題点と、今後の課題について解説します。

ホームレス状態の人がなくならない原因とは?生活保護の問題点や支援方法について

ホームレス状態の人が抱える問題とは


ホームレス状態の人が抱える基本的な問題には、就業と居住場所があります。
ホームレス状態の生活からの自立をするために欠かせないこの2つの要素は、根本的な問題として挙げられるでしょう。
まずは、それぞれの詳細について確認します。

ホームレス状態の人の就業問題

ホームレス状態からの自立とその後の生活を継続するためには、安定した就業が欠かせません。
しかし、経済や雇用情勢が悪化してしまうと、ホームレス状態の人の就業は特に難しくなり、路上生活から抜け出せない悪循環に陥ってしまうこともあります。
また、東京都が実施する「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」によると、ホームレス状態の人という前歴を持つ人の雇用を企業が躊躇する傾向があるとしています。

このような問題解決のために、ホームレス状態の人のための就業機会の確保が求められているのです。

平成30年7月に新たに打ち出された「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」では、ホームレス状態の人の就業機会に関する取組方針として以下のようなものが挙げられています。

  • 雇用を行う事業主にホームレス状態の人の事情を理解してもらうための啓発活動を行う
  • ホームレス状態の人の就業に結びつく可能性の高い求人情報の収集と、ホームレス状態の人への情報提供を進める
  • ホームレス状態の人の就業ニーズを相談などで確認し、必要に応じて職場定着指導などを行う
  • ホームレス状態の人の早期就業を実現するために、トライアル雇用を実施する
  • 地方公共団体や民間団体と連携していくために、就業支援セミナーなどを総合的に行う
  • 技能講習や職業訓練を実施して、ホームレス状態の人の職業能力の開発と向上を図る
  • すぐに常用雇用が難しいホームレス状態の人に対しては、NPO団体などと協力して段階的な就労支援を行う
  • このような対策によって、ホームレス状態の人の就業問題は支援されています。
    今後も広範囲への働きかけによって、ホームレス状態の人の就業を安定させることが求められるでしょう。

    ホームレス状態の人の居住場所の問題

    安定した居住場所の確保が難しい点も、ホームレス状態の人が抱える問題の1つです。
    「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」では、以下のように居住場所の重要性が示されています。

    「特に、ホームレス自立支援施策は、ホームレスの就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況等に応じ、自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本であり、このためには、就業の機会の確保が最も重要であるが、 同時に安定した居住の場所が確保され、地域で自立した日常生活が継続可能となる環境づくりも必要である。」

    新しい住居が決まらない、もしくは収入が不安定のために退去を余儀なくされてしまう。
    そのような不安定な状態では、心身共に健康な状態での生活は難しくなります。
    ホームレス状態の人への住居支援策は、本人の安定した就業とその後の生活に欠かせないものとなるでしょう。

    ホームレス状態の人の自立の支援等に関する基本方針では、居住場所の問題に対して以下のような取り組みを行うとしています。

  • 優先入居の制度や、住宅セーフティネット法などの活用をする
  • ホームレス状態の人が安価な家賃の民間賃貸住宅の情報を入手できるように、自立支援センターや福祉局と連携する
  • 家族との連絡が途絶えているホームレス状態の人のために、賃貸に必要な保証会社等の情報を提供する
  • 住居確保給付金の支給対象となるホームレス状態の人に対しては、一時生活支援事業による支給を行いつつ、就職活動を行うことを条件に速やかに住居確保給付金の給付も行う
  • 訪問による見守りや生活支援を行い、地域生活の継続をサポートする
  • ただ住居を提供するだけでなく、その後の生活も見守ることで、再びホームレス状態に戻ることのないように支援するのがポイントです。
    「家がある=ホームレス状態でなくなる」ではなく、安定した生活環境を作り上げることが、ホームレス状態からの自立につながるでしょう。

  • ホームレス状態の人が抱える基本的な問題には、就業と居住場所がある
  • 経済や雇用情勢が悪化してしまうと、ホームレス状態の人の就業は特に難しくなり、路上生活から抜け出せない悪循環に陥ってしまうこともある
  • まずは安定した生活環境を作り上げることが、ホームレス状態からの自立につながる
  • (出典:東京都「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」,2019)
    (出典:厚生労働省「《番号入り版》H30ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(案)【一太郎版】」,2018)

    今後考えるべきホームレス状態の人の問題点


    上記のようなホームレス状態の人に関する問題と合わせて、近年の調査によって新たな課題も浮き彫りになってきています。
    今後さらに深刻となる可能性のある課題についても、以下から確認しましょう。

    ホームレス状態の人の高齢化による問題

    ホームレス状態の人の高齢化は、大きな課題の1つとなっています。
    ホームレス状態の人の自立の支援等に関する基本方針によると、ホームレス状態の人の平均年齢は61.5歳となり、かなりの高齢化が確認できます。
    年齢分布も65歳以上が全体の42.8%となっていることから、半数近いホームレス状態の人が高齢にあたると判断されるでしょう。

    東京都の「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」を見ても、60歳代が最も多く、続いて70歳代が多くなっています。
    全体の72%が60歳以上という結果があり、高齢化は顕著だといえるでしょう。

    以下は平成24年の実態調査と平成28年の実態調査です。

    平成28年平成24年
    70歳以上23.4%18.0%
    60歳以上48.6%41.3%
    50歳以上19.4%28.7%

    数値を見ると、高齢化の進行が確実に進んでいることが分かります。
    逆に50歳代の数値は28.7%から19.4%に下がっていることから、高齢のままホームレス状態の生活を続けている人がいることも推察可能です。

    ホームレス状態の人の高齢化は、これからも考えるべき課題となるでしょう。

    路上生活の長期化

    ホームレス状態の人の路上生活が長期化していることも、現代の課題として数えられます。
    「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」によると、10年以上路上生活をしている人は42.1%と最も多い結果となりました。(平成28年の実態調査)
    5年以上10年未満が次いで多い21.3%であることから、長期化の傾向が見られます。

    数字の推移で見ても、平成24年の実態調査では10年以上が32.0%であることから、長期化の流れは継続していると考えられるでしょう。

    路上生活の長期化に関連して、ホームレス状態の人への支援を行っている自立支援センターの利用率の低さなども課題として挙げられています。
    東京都では自立支援センターを利用したことがあると解答した人が、わずか10.9%となっているのです。
    同様に支援制度である生活保護を利用したことがあるとした人も、33.4%に止まっています。(いずれも平成28年の実態調査の結果)
    支援制度を知らない、もしくは知っていても何かしらの理由によって使わない人が多いことが、路上生活の長期化につながっているのかもしれません。

    健康面の悪化

    ホームレス状態の人の高齢化や路上生活の長期化は、健康面の悪化にもつながっています。
    「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」では、「健康状態が悪い」と解答したホームレス状態の人の割合は、平成24年の調査で30.1%、28年の調査で31.1%となりました。

    さらに健康状態が悪いと答えたホームレス状態の人の6割以上が、対処法として「何もしていない」と解答していることも問題になり得ます。
    積極的な治療が行われていないことから、健康面の課題も長期化する可能性があるかもしれません。
    迅速な健康状態の確認と、必要に応じた治療が今後は特に求められるでしょう。
    同時に健康状態の悪いホームレス状態の人を生み出さないために、速やかな就業支援と住居提供が必要になることが予想されます。

  • ホームレス状態の路上生活が長期化しており、それが健康面の悪化にもつながっている
  • 10年以上路上生活をしている人は42.1%
  • ホームレス状態の人への支援を行っている自立支援センターの利用率の低さなども課題
  • (出典:厚生労働省「《番号入り版》H30ホームレスの自立の支援等に関する基本方針(案)【一太郎版】」,2018)
    (出典:東京都「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」,2019)

    まずはホームレス状態の人に関する問題を知り、課題として見つめよう


    この記事で紹介した問題や課題は、ホームレス状態の人が向き合っている現実となっています。
    どのような現状であるのかを理解するためにも、この機会に様々な角度から問題を確かめてみるのもおすすめです。

    ホームレス状態の人が抱える問題や課題に関しては、多くの対策が打ち出されています。
    それらを合わせて知ることもまた、ホームレス状態の人の問題・課題の理解につながるでしょう。

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    この記事を書いた人
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