紛争や災害のあった地域や国に対して行われる復興支援。
支援物資などを運んだりボランティアで食事を作ったりしている様子を、ニュースや報道で目にしたことはあると思います。
しかし、復興支援をしたいとは思うものの
「どのように行動したら良いか分からない」
「実際にどのようなことが行われているのか詳しく知らない」
という方もいると思います。
そこでこの記事では以下の内容をご紹介します。
- ・どのような復興支援が行われているのか
- ・どのように復興支援に関われるか
- ・復興支援へ寄付できるおすすめの団体
復興支援は長期にわたって必要です。また、再発防止の取り組みも大切です。
継続的な寄付をはじめ私たちにできることは様々です。
支援に興味のある方は、ぜひ本記事の内容を役立ててみてください。
早速、復興支援活動をしている団体を知りたい方はこちら。
>>海外で復興支援活動をしているおすすめの寄付先団体を5つ紹介
復興支援にはどんな種類がある?
復興支援とは、災害や紛争などが起こってから数ヶ月後に行われ、災害にあった人々が自力の生活へと移行できるようにサポートするためのものです。
当日から3日後あたりに行われるのは、人命の救助やがれきの撤去といった緊急支援(救命支援)となります。
災害に遭った後は、命が助かったとしても家を直して住む場所を確保したり、仕事を確保したりしなければ普段の生活には戻れません。
そのような状況の中でサポートをするのが復興支援です。復興支援には、以下のような種類があります。
- ・栄養、保健衛生
- ・生計向上
- ・教育
- ・心のケア
- ・家屋修復
- ・地雷撤去・地雷教育
- ・再発防止・予防
一部の復興支援の内容について詳しく見ていきましょう。
栄養、保健衛生
災害の被災地や紛争のあった地域では、食べ物が不足して栄養が偏ったり不衛生な環境で過ごして病気に陥りやすくなったりします。このような問題に対して医療及び栄養補給プログラムの提供が行われています。
例えば、ユニセフでは難民キャンプや自然災害の被災地の子どもたちのために、ワクチンや安全な水を届ける支援を行っています。
こころのケア
災害や紛争に巻き込まれた人々は心に深く傷を負っており、中にはトラウマを抱えてしまう方もいます。このような人々に対し、話を聞いたり不安を軽減したりする「こころのケア」が行われています。
例えばテラ・ルネッサンスという支援団体では、子ども兵と呼ばれる幼い兵士たちが経験してきた辛い思いを聞き、こころのケアを行ったりします。
家屋修復
災害などで失われた家を建て直したり新しく建てたりする支援も行われています。国からの補助はありますが、それだけでは家を建て直すには足りないのです。
例えば、ピースウィンズ・ジャパンでは、自然災害などで失われた家屋の修繕を支援しています。国内での支援も多く行われており、台風などで壊れた家の修繕をサポートしている団体の1つです。
地雷撤去・地雷教育
紛争が終わっても地雷は撤去されずに残り、被害に遭う人が多くいます。家のすぐ近くに地雷が埋まっている地域もあり、とても危険です。地雷は触れると爆発するので、そのままにしておくと大けがをしてしまう可能性もあります。
こうした問題を解決するために、地雷撤去活動や地雷に関する教育活動が行われています。
例えば、AAR Japan[難民を助ける会]では地雷の除去の他に、地雷・不発弾の危険と隣合わせで生活する人々に地雷回避教育を行ったり、被害に遭ってしまった人に、車いすや義足、リハビリなど必要なものを届けたりしています。
>>AAR Japan[難民を助ける会]についての解説へ移動する
再発防止・予防
紛争が繰り返し起こらないよう、また自然災害の被害を最小限に抑えるために再発防止・予防活動が行われています。
例えば、津波や地震に遭遇してしまった時、その後にまた被害が出ないよう自分たちで環境を整えなければなりません。
REALsでは、紛争の防止や予防を支援しています。争いの当事者に対して問題解決への選択肢を与えたり、根本から解決したりするような支援を行っているのが特徴です。
>>REALs(リアリズ)についての解説へ移動する
復興支援のために私たちができること
復興支援のために私たちができることには、以下のようなものがあります。
- ・モノの寄付をする
- ・ボランティアとして復興支援に関わる
- ・支援団体にお金の寄付をする
復興支援をするのは難しいと思われがちですが、私たちにもできることがたくさんあります。以下では、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
モノの寄付をする
モノの寄付は、現地が混乱していて手配できないようなものを送れることが特徴です。食糧や水は比較的早く確保できますが、生理用品・赤ちゃんのおむつ・介護用品・衣料などは、意外と不足している場合があります。そのような物資を送れば、役に立っている実感が持てるのも魅力と言えるでしょう。
ただし、必要なものを必要な数、必要なタイミングで現地に届ける必要があり難しい部分もあります。賞味期限の早い食糧はたくさんあっても困ってしまうので、現地の在庫を把握してから送るべきです。トラブルを未然に防ぐためにも、まずは団体に確認を行いましょう。
モノの寄付に関しては下記の記事で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてください。
>>食料や服の寄付は支援に役立てにくい?実際のところを専門家が解説!
ボランティアとして復興支援に関わる
直接、被災地などにいって現地のボランティアとして復興支援に関わる方法もあります。現地に出向けない人には、支援団体のオフィス業務を手伝う方法もあります。
繰り返し現地に行って支援をすれば、被災地が徐々に復興していく様子を実感できます。ただし、ボランティアを行う場合には、時間と場所の制約があることを覚えておきましょう。
支援団体にお金の寄付をする
今すぐにどこからでも支援できる方法として支援団体へのお金の寄付があります。
長期的に支援したい方には継続寄付がおすすめです。復興支援は時間がかかるため、長期的な支援を必要としている団体がほとんどです。
また、多くの団体は継続寄付者に活動報告を行っており、支援の効果を実感することができます。お金の寄付は、寄付金控除が適用される場合があります。寄付金控除については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひあわせて参考にしてみてください。
>>寄付金控除の仕組みとは?確定申告の方法も紹介
海外で復興支援活動をしているおすすめの寄付先団体を5つ紹介
公益財団法人 日本ユニセフ協会:知名度の高さが信頼に
ユニセフはこんな人にオススメ!
- ・子どもが笑顔でいられる社会になってほしい
- ・世界の色々な国で多くの問題があるので、どこを支援したらいいかわからない
- ・活動歴が長い団体には安心を感じる
ユニセフは190の国と地域で子どもたちの命と健やかな成長を支えるため、保健、栄養、水と衛生、教育、児童労働などからの子どもの保護、緊急支援・人道支援の分野で活動しています。
活動を通して「すべての子どもの権利が実現される世界」を目指しています。
- 国連機関ならではのスケールの大きな質の高い支援ができる。2019年のワクチンの供給数は24億回
- マンスリーサポートでできることが具体的に示され、支援の成果の報告が充実
- 著名人、企業・団体などユニセフの多くの支援者の存在が活動を支えている
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】ユニセフの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan):世界14カ国で難民を支援
AAR Japan[難民を助ける会]はこんな人にオススメ!
- ・日本発の難民支援活動を行っている団体を応援したい
- ・40年の長い歴史がある信頼できる団体に寄付したい
- ・国連に公認・登録されているなど国際的に評価された団体に安心を感じる
AAR Japan[難民を助ける会]は世界14カ国で紛争・自然災害・貧困などにより困難な状況に置かれている人々を支援しています。現在は日本の他にアジア、中東、アフリカの12の国に事務所を持ち、難民支援や地雷不発弾対策などの活動を行っています。
活動を通し、一人ひとり多様な人間が、各々の個性と人間としての尊厳を保ちつつ共生できる、持続可能な社会を目指しています。
寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!
- 1979年に日本で発足以来、活動地域や分野を広げながら65を超える国・地域で支援を展開してきた実績あり
- 1998年には、国連経済社会理事会(ECOSOC)の特殊協議資格を取得し、国連に「公認・登録」されている
- 「人道」「公平」「独立」「中立」の人道4原則に則り、AAR Japan[難民を助ける会]が大切にする「行動規範や社会的責任・人権方針」を掲げる
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】AAR Japan[難民を助ける会]の気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
>>AAR Japan[難民を助ける会]に関する記事一覧はこちら
認定NPO法人テラ・ルネッサンス:丁寧なコミュニケーションが特徴
テラ・ルネッサンスは、地雷、小型武器、子ども兵、平和教育という4つの課題に対して、海外の現場での活動、国内での啓発・提言活動を行っています。
復興支援においては、元子ども兵の自尊心の回復をサポートする心のケア、さらに基礎教育、職業訓練・収入向上支援を実施。支援後に自尊心が1.7倍に、子どもと周りのひとのつながりが3倍以上に、平均収入が50倍以上になるという成果を生み、子どもたちを自立に導いています。
また、18年の歴史を持つテラ・ルネッサンスは京都府から認定NPO法人の認証を受けています。
活動を通して、「すべての生命が安心して生活できる社会」の実現を目指しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- アフリカのコンゴ、ウガンダ、ブルンジ、アジアのカンボジア、ラオスで「地雷、小型武器、子ども兵」の課題解決に取り組む。こうした課題や自立に向けた取組みに特徴がある
- 日本国内では、岩手県大槌町で東日本大震災復興支援活動「大槌復興刺し子プロジェクト」を2011年から実施。昔から日本に伝わる手仕事の一つである「刺し子」の商品企画・販売を通して、地元人材の雇用や作り手の皆さんの生きがい創出をめざす
- 創設者・理事・事務局長の鬼丸昌也さんの2019年度年次報告書のコメントや「一人ひとりは微力であっても、決して無力ではない」のメッセージが印象的
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】テラ・ルネッサンスの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン:人道支援や災害支援の分野で20年以上の経験を持つ日本発祥のNGO
ピースウィンズ・ジャパンは、国内外で自然災害、あるいは紛争や貧困などによる人道危機や生活の危機にさらされた人びとを、教育、水衛生、保健、シェルター、生計向上、弱者保護、物資配布などの分野で支援しています。
また、国内において保護犬の里親探しや譲渡を促進するプロジェクト「ピースワンコ・ジャパン」の展開や、緊急災害支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団」の運営を行っています。
日本発祥の国際NGOで、これまで33か国で活動を行ってきています。
ピースウィンズ・ジャパンは広島県より認定NPOの認証を受けています。
また、優れたソーシャルビジネスの取り組みを表彰する、日経ソーシャルイニシアチブの受賞歴もあります。
活動を通し、人びとが紛争や貧困などの脅威にさらされることなく、希望に満ち、尊厳を持って生きる世界を目指しています。
【どんな人に向いてる?】gooddo編集部が考えてみました
- すぐに人の役に立つ活動に寄付したい!という方
災害支援がメインということもあり初動が速く、支援が実行されるまでの時間が短いです。 - 支援内容の報告をしっかり受けたい!という方
ピースウィンズ・ジャパンは活動の報告を頻繁に行っています。特にYouTubeでの報告は現地の様子や活動の詳細が分かりやすいです。 - 寄付の効果を実感したい!という方
ピースウィンズ・ジャパンの主な支援分野の一つである自然災害は、日本でも多く発生しており、自分の身近なところでいつでも起こり得ます。遠くの国のできごとでも、日本に住む私たちにも支援地の変化の様子がイメージしやすいです。
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】「ピースウィンズ・ジャパン」の気になる口コミ評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
認定NPO法人Reach Alternatives(REALs):争い予防のスペシャリスト
紛争地の人々が希望を取り戻すために必要な支援を行う国際協力NGOです。具体的には、戦闘員の勧誘予防のための相談・カウンセリング窓口の設置などを行っています。
人と人が「価値観、宗教、民族、国籍、ジェンダー」といった違いを認め、共存できる社会を目指しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- 日本を含むアジア・アフリカ・中東地域で活動する「争い予防のスペシャリスト」
- 顧問に元国連事務次長の明石康さん
- 講演活動やメディア取材などを通じた広報活動も積極的。報告も充実
まとめ:復興支援は継続的に必要な活動!
この記事の内容をまとめます。
- ・復興支援は自然災害や紛争が起こってから3~6ヶ月後以降に行われる
- ・さまざまな復興支援活動が行われていて、どれも長期に渡って続けていく必要がある
- ・私たちにできる復興支援にはお金の寄付はじめ色々な方法がある
復興支援をすることは簡単なことではありませんが、長期的なサポートが多くの人を救います。支援を行っている団体も多いので、ぜひ本記事を参考にしながら自分の目的や希望に合うところを選んでみてください。
以下の記事では災害支援や紛争によって難民となった人たちを寄付で支える方法を紹介しています。興味がある方はぜひご一読ください。
>>災害支援活動に寄付しよう!寄付金控除も適用できる団体5選
>>2022年現在も紛争が解決していない国や地域は?原因を知り解決策や支援について考えよう
▼復興支援活動を行う団体
団体名 | 寄付アドバイザーが見た注目ポイント |
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日本ユニセフ協会 | ・国連機関ならではのスケールの大きな質の高い支援ができる。2019年のワクチンの供給数は24億回 ・マンスリーサポートでできることが具体的に示され、支援の成果の報告が充実 ・著名人、企業・団体などユニセフの多くの支援者の存在が活動を支えている |
AAR Japan[難民を助ける会] | ・1979年に日本で発足以来、活動地域や分野を広げながら65を超える国・地域で支援を展開してきた実績あり ・1998年には、国連経済社会理事会(ECOSOC)の特殊協議資格を取得し、国連に「公認・登録」されている ・「人道」「公平」「独立」「中立」の人道4原則に則り、AAR Japan[難民を助ける会]が大切にする「行動規範や社会的責任・人権方針」を掲げる |
テラ・ルネッサンス | ・アフリカのコンゴ、ウガンダ、ブルンジ、アジアのカンボジア、ラオスで「地雷、小型武器、子ども兵」の課題解決に取り組む。こうした課題や自立に向けた取組みに特徴がある ・日本国内では、岩手県大槌町で東日本大震災復興支援活動「大槌復興刺し子プロジェクト」を2011年から実施。昔から日本に伝わる手仕事の一つである「刺し子」の商品企画・販売を通して、地元人材の雇用や作り手の皆さんの生きがい創出をめざす ・創設者・理事・事務局長の鬼丸昌也さんの2019年度年次報告書のコメントや「一人ひとりは微力であっても、決して無力ではない」のメッセージが印象的 |
ピースウィンズ・ジャパン | こんな人に向いている寄付先 ・すぐに人の役に立つ活動に寄付したい!という方 ・支援内容の報告をしっかり受けたい!という方 ・寄付の効果を実感したい!という方 |
REALs(リアルズ) | ・日本を含むアジア・アフリカ・中東地域で活動する「争い予防のスペシャリスト」 ・顧問に元国連事務次長の明石康さん ・講演活動やメディア取材などを通じた広報活動も積極的。報告も充実 |

NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。