2015年9月に開催された国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な河相発目標)は、SDGs国連加盟国193ヶ国が2016年から2030年までの15年間で達成する目標として掲げています。
制定された17の国際目標の中に、「13.気候変動に具体的な対策を」があり、世界的な気候変動に対する対策が求められています。
気候変動がどのような現象なのかを紹介し、気候変動が起因して起きている様々な影響について詳しく解説します。
(出典:外務省「『持続可能な開発目標』(SDGs)について」,2019)
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気候変動とは
気候変動とは、先進国や開発途上国を問わず、国境を超えて人々の安全保障を脅かす問題です。気候変動を引き起こしている原因の一つとされている「世界の温室効果ガス排出量の増加」により、21世紀にはさらなる温暖化がもたらされると想定されています。
温暖化が原因となり、自然の生態系等にも大きな悪影響を及ぼすと考えられており、世界各国の取り組みが求められています。
(出典:外務省「気候変動問題と日本の取り組み」)
気候変動に関する政府間パネルとは
気候変動に関する政府間パネルとは、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された国連組織です。
各国の政府から推薦された科学者が参加し、地球温暖化に関する科学的・技術的・社会経済的な評価を行い、得られた内容を広く一般に利用してもらうことを目的としています。
構成は最高決議機関であるIPCC総会と、「科学的根拠」「影響、適応、脆弱性」「緩和策」の3つの観点によって分けられた作業部会です。
また、各国における温室効果ガス排出量・吸収量の目録(インベントリ)策定のための方法論の作成、改善を行う「インベントリー・タスクフォース」も作られました。
また、気候変動によって様々な変化が引き起こされています。
日本においては年平均気温が、1898年〜2014年で100年あたり約1.15℃の割合で上昇。北半球中緯度の陸域平均での降水量の増加などがみられています。
1971年から2010年における海洋表面での水温上昇などの変化によって、自然環境の維持に警鐘を鳴らしているのです。
- 世界の温室効果ガス排出量の増加により温暖化が進んでいる
- 温暖化による気候変動への対策のために「気候変動に関する政府間パネル」が設けられた
- 日本では100年あたりで1℃以上気温が上昇し、降水量の増加なども観測されている
(出典:環境省「 IPCC 第5次評価報告書の概要 -第1作業部会(自然科学的根拠)-)」,2014)
地球温暖化
地球温暖化の現状をデータで見ると、世界の平均気温が1880年〜2012年の間に0.85%上昇していることがわかります。
地球の表面では、最近30年間の各10年間はいずれも、1850年以降の各々に先立つどの10年間よりも高温だったのです。
また、日本近海においても、過去100年で約1.08℃も上昇。世界全体平均でも100年で0.51℃上昇しており、海水温度の上昇によってサンゴが死んでしまうなど、生態系にも大きな悪影響を及ぼしています。
(出典:環境省「 IPCC 第5次評価報告書の概要 -第1作業部会(自然科学的根拠)-」,2014)
地球温暖化のメカニズム
地球温暖化とは、人間活動の拡大によって二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素などの音質効果ガスの大気中濃度が増加し、地表面の温度が上昇することをいいます。
地球温暖化になるまでに以下の現象が起こっています。
- 太陽からのエネルギーで地上が温まる
- 地表面から放射された熱を温室効果ガスが吸収・再放射して大気が温まる
- 大気中の温室効果ガスの濃度が上昇
- 温室効果がこれまでより強くなり、地上の温度が上昇する
- 地球温暖化
(出典:COOL CHOICE公式サイト「地球温暖化の現状」)
温室効果ガスとは
人間活動によって増加した主な温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化窒素、フロンガスがあります。
二酸化炭素は地球温暖化にもっとも大きな影響を及ぼす温室効果ガスの一つとされています。
石炭や石油の消費、セメントの生産などにより大量の二酸化炭素が大気中に放出されるのです。
また、大気中の二酸化炭素の吸収源である森林が減少しており、大気中の二酸化炭素の量は年々上昇傾向にある一因とされています。
メタンは二酸化炭素についで地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスです。
メタンは、湿地や池、水田で枯れた植物が分解する際に発生します。家畜のげっぷや、天然ガスを採掘する時にもメタンが発生するのです。
(出典:気象庁 「温室効果ガスの種類」)
地球温暖化による影響とは
地球温暖化は、私たちの生活の様々な点で影響を与えます。
例えば、農業の作物が不良・生産性の低下につながったり海や陸の生態系へも変化を及ぼします。
サンゴの白化や森林減少、私たちの健康へも影響を与えるとされています。
それ以外に、地球温暖化の進行によって、渇水と洪水のリスクがいずれも上昇していることが分かっています。
これは、年々、年降水量が極端に少ない年と多い年の差が次第に大きくなっており、変動の幅が拡大しているのです。
また、温暖化によって熱中症患者も増えている点も、気を付けなければいけません。
- 地球温暖化は地表面の温度が上昇すること
- 温室効果ガスの効果が強まることで地上の温度が上昇
- 温室効果ガスに含まれる二酸化炭素やメタンが大きな影響を与えている
(出典:環境省「温暖化から日本を守る 適応への挑戦 」)
自然災害
地球温暖化が年々進行していくに連れて、自然災害の発生頻度も増加傾向にあるのです。
この項目では、地球温暖化によって影響を受けた自然災害について解説します。
洪水
洪水とは、気象庁によると「河川の水位や流量が異常に増大することにより、平常の河道から河川敷内に水があふれること、及び、堤防等から河川敷の外側に水があふれること」とされています。
近年、日本で大きな被害が出た洪水は、2017年(平成29年)7月に発生した九州北部豪雨が挙げられます。
7月5日から6日にかけて、対馬海峡付近に停滞した梅雨前線に向かって暖かく非常に閉めた空気が流れ込んだ影響等により、線状降水帯が形成・維持され、同じ場所に猛烈な雨を継続して降らせたことから、九州北部地方で記録的な大雨となりました。
九州北部地方では、7月5日から6日までの総降水量が多いところで500ミリを超え、7月の月降水量平年値を超える大雨となったところがありました。
また、福岡県朝倉市や大分県日田市などで24時間降水量の値が観測史上1位の値を更新するなど、これまでの観測記録を更新する大雨となったのです。
世界に目を向けると、2011年にタイで大洪水が発生しました。
洪水発生の河川であるチャオプラヤ川は、全長約1,100キロ、日本で一番長い信濃川の約3倍と言われています。流域面積は16万平方キロメートルにもなり、四国とほぼ同じ面積で浸水が起きたという大規模な洪水でした。
近年は、降水量も世界的に増加し、洪水被害も年々大きくなっているのです。
(出典:気象庁「河川、洪水、大雨浸水、地面現象に関する用語」)
(出典:内閣府 防災情報のページ 「平成29年7月九州北部豪雨の被害状況と対応等について」)
(出典:国土交通省「タイの洪水について」)
干ばつ
長期間降水がなく土壌が著しく乾燥し農作物などに被害(干害)を及ぼす現象を干ばつと言います。
地球温暖化が年々進行していくと、渇水と洪水の日が徐々に増えていくことが分かっています。
特にもアフリカ大陸などの、農業で生計を立てる人が多い地域では甚大な被害を及ぼすのです。
長い時間をかけて育てた作物も、干ばつによって廃棄され、多くの人が貧困に陥っています。
また、生活に必要な水も満足に得ることが難しくなるなど、生死に関わるような問題にも直面するのです。
豪雨
近年、極端な高温や大雨の頻度が長期的に増加する傾向の背景には、地球温暖化が関わっていると言われています。
地球温暖化によって、長期的な傾向として地球の平均気温が上昇しており、地域ごとの気温は不規則に変動しながらも、極端に暑くなる頻度が徐々に増えていきます。
雨に関して言えば、地球温暖化による長期的な気温の上昇に伴って、大気中の水蒸気が増加します。
すると、雨をもたらす低気圧などの強さが変わらなかったとしても、水蒸気が多い分だけ割増で雨が降る傾向になるのです。
(出典:国立環境研究所 地球環境研究センター 「【解説】異常気象と地球温暖化の関係について」)
高潮
日本では、高潮の発生の多くは台風によるものとされています。
その台風は、地球温暖化の影響もあり、海上の最大風速が45m/sを超えるような非常に強い熱帯低気圧が、増加する傾向にあると予測されています。
必然的に高潮の影響も大規模なものになっていくことが想定されるのです。
高潮発生時は、台風の影響もあり、暴風になることから避難などの行動が難しくなります。
このような点から、大きな被害を生む自然災害とも言えるでしょう。
- 地球温暖化が進行するに連れて、自然災害の発生頻度も増加傾向にある
- 洪水、干ばつ、豪雨、高潮などの災害により多くの人が被害を受ける
- 台風や豪雨などの二次災害として発生することもあるため注意が必要
(出典:国土交通省「高潮はどうして起こるの?」)
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気候変動に対する世界・日本の取り組み
SDGsの17の目標においても、「気候変動」に対する目標が掲げられていることもあり、日本・世界の国々で様々な取り組みが行われているのです。
この項目では、それぞれの取り組みについて取り上げてお話しします。
世界の取り組み
国連が1992年に採択した「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」は、大気中の温室効果ガスの濃度を気候に危険な人為的影響を及ぼさない水準で安定化させることを目的としています。
この条約のもとで温室効果ガスの濃度の安定化のための具体的な方策が検討され、1997年に京都で開かれた第3回条約締結国会議(COP3)で、先進国に温室効果ガスの排出削減を義務付ける合意文書(京都議定書)がまとまったのです。
この文書内で、先進国ごとに温室効果ガス排出量の削減目標が設定された他、国際的な協調による排出量の削減を促進する仕組みを導入しました。
日本では、2008年〜2012年の5年間の平均排出量を、基準年に比べて6%減らすことが削減目標でした。この目標は様々な取り組みによって、達成されています。
(出典:気象庁 「地球温暖化を緩やかにするための国際的な取り組み」)
パリ協定
パリ協定の前身とも言える「京都議定書」は、世界の国々を主として先進国と開発途上国の2つに分けて、条約上の義務等に差異を設けています。
しかし、中国・インドといった新興国を中心とした開発途上国の温室効果ガス排出量が急増。現在においては、先進国よりも開発途上国の方が温室効果ガスを多く輩出するようになってしまったのです。
このような状況に耐えられずアメリカが「京都議定書」から離脱。これにより、京都議定書では有効な対策を取ることが難しくなったのです。
こうした状況を打開するために、「全ての国が参加する新たな枠組み」として2015年11月30日から12月13日まで、フランス・パリで開催されたCOP21において採択されたのが「パリ協定」でした。
パリ協定は、歴史上初めて先進国・開発途上国の区別なく気候変動対策の行動をとることを義務付けた歴史的な合意として、公平かつ実効的な気候変動対策のための協定です。
日本では、中期目標として2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減することが目標として定められました。
その後、2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すことを、2021年に新たに発表しました。
(出典:外務省 わかる!国際情勢 「パリ協定」,2017)
(出典:経済産業省資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」〜何が決まったのか?私たちは何をすべきか?〜」,2017)
日本の取り組み
次に、日本で行われている気候変動に対する取り組みについて具体的に解説します。
気候変動適応法の施行
日本でも、ここ数年で気温の上昇、大雨の頻度の増加、農作物の品質低下、動植物の分布域の変化、熱中症リスクの増加など、気候変動の影響が全国各地で起きており、長期に渡って被害が拡大する恐れがあります。
しかし、これまで日本では、地球温暖化対策推進法の下で、温室効果ガスの排出削減対策を進めてきましたが、気候変動の影響による被害を回避・削減する適応策は法的に位置づけられていなかったのです。
このような点から、2018年(平成30年)2月20日に「気候変動適応法」が閣議決定されました。
この法律は、国や地方公共団体が気候変動を推進するために担う役割の明確化、国立環境研究所での気候変動の影響及び適応に関する情報収集などの業務整備などを定めています。
(出典:環境省「気候変動適応案の閣議決定について」,2018)
温室効果ガス削減施策
2005年に京都議定書が発効されたことを受けて、地球温暖化対策推進法に基づいて、京都議定書の6%削減約束を確実に達成するために必要な措置を行ってきました。
具体的には以下の施策が挙げられます。
- 美しい森林づくりの推進国民運動の展開
- 自主行動計画の推進
- 住宅・建築物の省エネルギー性能の向上
- 自動車の燃費の改善
- 中小企業の排出削減対策の推進
- 農林水産業、上下水道、交通流等の対策
- 都市緑化、廃棄物、代替フロン等3ガス等の対策
- 新エネルギー対策の推進
などが挙げられます。
- 気候変動への対策として、世界では京都議定書やパリ協定を結び取り組みを進めてきた
- パリ協定は歴史上初めて先進国・開発途上国が気候変動対策の行動をとることを義務付けた歴史的な合意
- 日本でも気候変動への対策として法律を策定し様々な取り組みを行なっている
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 「第2節 我が国における温室効果ガス削減の取組」)
また「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを掲げているカーボンニュートラルについても、日本ではさまざまな取り組みが行われています。
日本の自治体や企業がどのようにカーボンニュートラルに取り組んでいるか、詳しくは下記記事をご確認ください。
>>カーボンニュートラルとは?メリットやデメリット、事例をわかりやすく解説
気候変動を抑制するために私たちができる取り組み
世界的な気候変動が進行していく中で、地球で生活しているひとりひとりの小さな取り組みが大切です。
この項目では、気候変動を抑制するために私たちができることの一例を紹介します。
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- レジ袋を貰わない
レジ袋は、作成するためにもエネルギーが多く消費され、ゴミとして焼却する場合にも二酸化炭素が発生します。私たちができることとして、マイバックを必ず持って買い物をすることで、レジ袋の消費抑制に繋げることが可能になるのです。
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- 不必要なエネルギーを使っていないか考えてみる
私たちは普通に生活しているだけでも、多くのエネルギーを消費しています。
例えば、使っていない部屋の明かりを付けている、テレビを付けっぱなしにしている、冷房で冷やしすぎている、暖房で暖めすぎている、不必要な水を出しっぱなしにしているなど、日常生活を見直すことで修正できる点と言えるでしょう。
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- 自家用車の使用を控える
ガソリン車・バイクなどから発生する排気は、地球温暖化に大きな影響を及ぼします。
生活の中で不必要なタイミングでは、自家用車ではなく、徒歩や自転車、あるいは公共交通機関を使うようにするのも、地球温暖化防止に役立つと言えるでしょう。
(出典:全国地球温暖化防止活動推進センター (JCCCA)「地球温暖化を防ぐために私たちができること」)
気候変動による問題を知り、私たちもできることから始めよう
今回の記事では、地球変動について詳しく解説し、日本や世界で発生している自然災害について解説しました。また、個人でも実践できる気候変動を少しでも遅らせる行動についても紹介しています。
まずは、現在起きている気候変動について詳しく知り、小さな行動からスタートさせることが大切と言えるでしょう。
「気候変動問題の解決に取り組む」
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