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SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」で解決するべき問題と現状とは

この記事を要約すると

人間は、陸上に住む生物からの恩恵を受けて豊かな生活を送っています。

しかし、人間の活動が引き金となって、陸上の豊かさや陸に住む生物の多様性が急速に失われています
陸上の豊かさや陸に住む生物の多様性を維持するためには、まずは現状を把握し、解決するべき問題を明確にしなければなりません。

この記事では、SDGsの目標15として掲げられている「陸の豊かさも守ろう」で解決するべき問題と現在の状況についてわかりやすく解説していきます。

SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」が目指す世界


SDGsの目標15として掲げられている「陸の豊かさも守ろう」は、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図ることを目的としています。

特に、SDGsの目標15は、森林や湿地、乾燥地、産地などの陸上生態系を保全し、2020年までにその利用回復を狙いとしたものです。

森林、草原、砂漠等、様々な地形からなる陸上の生態系は、地球上の約30%を覆っており、わたしたち人間が生活を営むために欠かすことのできない職・食料・燃料・医療品等の全ての供給源となっています。

そのため、こうした陸上の生態系が壊れてしまえば、私たち人間は生きていくことが難しくなります。

実際、植物は、人間の食料の80%を提供していますし、私たちは重要な経済資源、そして開発の手段として、農業に依存しています。

さらに、森林は地表の30%を占め、数百万の生物種にとって必須の生息地や、きれいな空気と水の重要な供給源となっているだけでなく、気候変動への対処においても不可欠な役割を担っているのです。

したがって、私たちは、SDGsの目標14で掲げられている海の豊かさだけではなく、陸上の豊かさも守らなければなりません。

(出典:国際開発センター公式サイト)

世界の陸上生態系や森林の現状・課題


世界の陸上生態系や森林は、人間の活動によって多大な影響を受けています。
こうした状況を変えるためには、まずはその現状を把握し、課題を抽出することが必要です。

以下では、世界の陸上生態系、および森林の現状について説明し、今後の課題を明確にしていきます。

陸域生態系の崩壊・生物多様性の損失

私たちの生活や経済活動により生態系の機能が崩壊し、生物多様性の損失が進んでいることが懸念されています。

今後も、生物多様性の損失が継続すれば、将来の私たちの豊かな暮らしに重大な影響を及ぼしかねません。
生物多様性の減少と変化によって脅かされる可能性のある生態系サービス(生態系や生物に由来し、人類の利益になるサービス)としては、食料、繊維、医薬品そして新鮮な水の供給や、農作物の受粉、汚染物質のろ過、自然災害からの保護など多岐にわたります。

こうした状況を改善するべく、すでに様々な取り組みが行われてきています。
しかし、生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)を実施するための取り組みが、
生物多様性の損失に対応できる十分な規模ではありません。

その結果、生態系がある限界値あるいは転換点を超えた場合、生物多様性の劇的な損失により現在の生態系は崩れ、その影響を受けて広範な生態系サービスの低下が生じるリスクをこのままでは避けられないのが現状です。

森林破壊

森林には、主に以下の8つの機能があります。

  1. 地球環境保全機能(温暖化緩和)
  2. 土砂災害防止
  3. 水源涵養機能(水質浄化)
  4. 快適環境形成(大気浄化)
  5. 保養・レク
  6. 生物多様性保全
  7. 文化・教育
  8. 物質生産(木材・食料・薬品)

世界の森林は1分につきおよそ 25 ヘクタールずつ失われていると言われていますが、これは年間平均で約13万平方キロ(北海道と九州を併せた面積)にもなります。

特にアマゾンの森林は、森林伐採と森林火災、気候変動の相互作用により、広範囲に渡り減少。一部の森林が、より頻繁な森林火災と激しい干ばつの悪循環に陥り、サバンナのような植生に遷移する可能性があります。

これによって、地域的な降雨量が減少し、農業生産が低下することになったり、炭素排出量の増加や生物多様性の大規模な損失による、地球規模での影響も懸念されています。

(出典:国際開発センター公式サイト)

土壌劣化・砂漠化

土壌の劣化や砂漠化が人類に及ぼす影響は深刻です。

砂漠化の影響を受けやすい乾燥地域には世界人口の約35%が暮らしていますが、毎年240 億トンの土壌が浸食によって失われ1,200万ヘクタールの土地が干ばつによって劣化し、砂漠化しているといわれています。

これは、換算すると一分間に2,000トンの穀物が栽培可能な23ヘクタールの土壌が失われていることと同義です。

一度表土が失われると取り戻すには数世紀もの年月が必要となります。
過剰耕作・過放牧による土壌構造の破壊と侵食、化学物質による水質汚染、温室効果ガスの排出、生息地の破壊も起きており、これらによっても土壌の劣化や砂漠化が進展しています。

(出典:国際開発センター公式サイト)

陸の豊かさを守るために行われている対策


陸の豊かさを守るために行われている様々な取り組みについて詳しく説明していきます。

グリーンな生産システムを目指すグリーン・コモディティー・プログラム

陸の豊かさを守るために、国連開発計画が主体となり、グリーン・コモディティ・プログラムが実施されています。
グリーン・コモディティ・プログラムとは、地球に優しいクリーンな生産形態を目指すプログラムです。

自然の熱帯林の大規模な伐採や児童労働、労働侵害などにより生産環境が問題視されているパーム油・牛肉・大豆・ココア・コーヒーなどについて、生産形態の改善が目指されています

グリーン・コモディティ・プログラムでは、現地政府機関の人材育成、農家組織の強化と、生態系、生物多様性保護を目指した農法への転換、その必要資金のための小額の融資(マイクロクレジット)提供などが行われています。

(出典:国際開発センター公式サイト)

条約や法律の制定

陸の豊かさを守るために、すでに様々な条約や法律が制定されています。
その代表的な条約がワシントン条約とラムサール条約です。

ワシントン条約は、密漁・違法取引を取り締まることを目的とした条約です。
ワシントン条約は、正式には「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といい、生き物はもちろん、毛皮や牙など体の一部のほか、それを使った加工品の取引を禁止しています。

日本をはじめ、現在は世界で約184カ国及びEUが加盟している大規模な条約です。(2019年9月時点)

一方、ラムサール条約とは、湿地に関する条約ですが、従来の主目的(水鳥保護)のほか、防災や水資源の確保という視点を加え、集水域という広域の流域環境保全を進めることを目的とした条約です。

ラムサール条約では、各締約国がその領域内にある国際的に重要な湿地を1ヶ所以上指定し、条約事務局に登録するとともに、湿地の保全及び賢明な利用促進のために各締約国がとるべき措置等を規定しています。

(出典:外務省公式サイト)
(出典:国際開発センター公式サイト)

経済的インセンティブを提供

陸の豊かさを守るためには、すでに行われている人間の活動を抑え、別の活動に移すことが必要です。
そのためには、経済的インセンティブを与えて、より陸の豊かさを守るように努めなければなりません。その代表的な取り組みがREDD+(レッドプラス)です。

REDD+は、先進国が途上国への経済的支援(資金支援等)を実施するメカニズムのことを言います。
途上国における森林減少・劣化の抑制や持続可能な森林経営などを目指すために、温室効果ガス排出量を削減、あるいは吸収量を増大させる努力に対して先進国が資金を支援します。
そうして途上国を森林保全の行動に誘導することで、森林を伐採するよりも残す方が経済的価値が高いと意識させるのです。

支援した先進国も気候変動抑制への貢献が評価されます。

途上国、先進国ともにベネフィットが与えられることから、REDD+は双方の国々に影響を与えられる国際的なメカニズムとして注目されています。

(出典:国際開発センター公式サイト)

干ばつや砂漠化のための国連機関を設置

干ばつや砂漠化に対して有効な対策を打つために、国連は、国連砂漠化対処条約(UNCCD)を結びました。

国連砂漠化対処条約(UNCCD)は深刻な干ばつや砂漠化に直面する地域の開発支援を目的としています。砂漠化の原因となっている過放牧、森林伐採に代わる収入機会の援助や植林などの回復活動、持続可能な森林管理の提案が行われています。

(出典:国際開発センター公式サイト)

私たちも森林保全・生態系保護のためにできることから始めよう


陸上に住む生態系を保全するために、森林を保全したり、土壌劣化や砂漠化を進行を食い止めなければなりません。

すでに様々な取り組みが行われていますが、私たちも森林保全・生態系保護のためにできることから始める必要があります。

たとえば、フェアトレード認証のようなグリーン認証を受けた商品を購入したり、地域で生産された旬な食材を、旬な時期に消費する「旬産旬消」を心がけるだけでも、陸の豊かさを守ることに繋がります。

私たちの生活を急速に変えることには大きな負担が伴います。そのため、少しずつであっても、一人ひとりが陸の豊かさを守るために行動していくことが大切です。

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