こども食堂

こども食堂を支援しよう!メリットと課題、寄付の手順や注意点も解説

年々全国に拡大するこども食堂。2023年には全国の公立中学校数とほぼ並ぶ「9,131ヶ所」に急増しており、ニュースなどで耳にする機会も増えてきました。

そんな中
「そもそもこども食堂とは?」
「こども食堂は本当に役に立っているの?」
「自分にもできることがある?」

と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、このような方に向けて以下の内容を解説します。

  • ・こども食堂とは何か
  • ・こども食堂の3つのメリットと3つの課題
  • ・こども食堂を支援する5つの方法

ぜひ最後までご覧ください。

いますぐに支援を考えている方には、全国のこども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会を目指す「むすびえ」への支援がおすすめです。公式HPから最寄りのこども食堂を検索することもできます。


\こども食堂への支援ができる!/

こども食堂とは

こども食堂とは、子どもが1人でも行ける、無料または低額で食事を提供する場所のことです。「地域食堂」「みんなの食堂」「〇〇さんの家」など、別の名前で呼ばれている場合もあります。

「家族揃ってご飯を食べることが難しい子どもたちに食事の機会を提供したい」
そんな思いを持った大田区の八百屋さんが2012年にはじめた取り組みがはじまりとされています。

その後、全国各地で志を同じくする個人・団体が同時多発的に活動を開始。新型コロナウイルスの影響もありましたが、2023年には過去最高の9,000以上に達しました。

こども食堂が地域に当たり前にある未来も、そう遠くはないかもしれません。

こども食堂の目的

こども食堂の目的は、子どもたちに食事の機会を提供することです。

一方、「こども」と名前にあるものの、大人も含めてあらゆる人が利用できます。そのため、子どもたちが食事を取れるように支援するだけでなく、地域のすべての子ども・大人のための「居場所」「つながりの場」として注目されています。

例えば、

  • ・子どもに下校後の居場所を提供
  • ・栄養や旬の食材について理解を深める食育の場の提供
  • ・ボランティアの高齢者や引きこもりの若者などにとっての居場所を提供

なども、食堂開設の目的の1つです。

さらに、無料塾も併設しているこども食堂もあり、子どもへの学習支援としての役割を兼ねている場合もあるのです。

こども食堂は、子どもを真ん中に置いた地域のインフラとして、さまざまな役割を担っています

こども食堂の運営方法

こども食堂の多くは、運営している人の持ち出しや寄付・助成金によって活動を行っています。低額または無料で食事を提供したり、場所を用意するためには、お金がかかるからです。

活動を安定・継続して行うには、多くの人や行政の支えにより、運営者の負担を減らすことが重要です。

こども食堂のメリットと課題

ここでは、こども食堂のメリットと課題を紹介します。

こども食堂のメリット

【こども食堂のメリット】

  • メリット1: アットホームな環境で、栄養のある食事を食べられること
  • メリット2: 対象者をしぼらずに、地域の子どもや大人がつながれること
  • メリット3: 地域の多様・複雑なニーズに応えられること

詳しく解説します。

メリット1: アットホームな環境で、栄養のある食事を食べられること

手作りの温かい食事をアットホームな環境で食べられることは、成長期の子どもたちはもちろん、誰にとっても重要です。

安価な食事はスーパーやコンビニでも手に入るかもしれませんが、日本の貧困状態は厳しく、毎日の食事が大きな負担になっている家庭も少なくありません。また、一人で冷たい食事をとるのと、地域に開かれたアットホームな場で食事を楽しむのでは、経験として大きく異なります。

実際、こども食堂に出かけてみると、子どもたちが遊びまわり、母親たちが談笑し、学生や高齢者が手伝いをするーそんな賑やかな様子が広がっています。

見守り支えられている実感や楽しい食事の思い出。安価な食事を超えた価値をこども食堂は提供しています

メリット2: 対象者をしぼらずに、地域の子どもや大人がつながれること

子どもだけではなく、大人にも開かれたこども食堂。包摂性(インクルーシブネス)の高さが、メリットの一つです。

通常の行政などによる支援は、
「所得が年間XX円以下の人」
「X〜X才の児童・生徒」
のように対象者が決まっていますが、こども食堂はこうした制限を設けません。だからこそ、地域のあらゆる人がつながれる場を提供できます

また、このように誰もが集える場所だからこそ、本当に困っている人が参加しやすい良さがあります。

経済的に困っていても、心理的な抵抗から、助けを求めたり、行政の相談窓口にでかけることは容易ではありません。こども食堂は、そんな人に、はじめの「つながり」「支援」の場を届けることができます

誰でも参加できて、かつ、本当に困っている人たちにも届きやすいことに、こども食堂の魅力があるのです。

メリット3: 地域の多様・複雑なニーズに応えられること

こども食堂は、多様なニーズに柔軟に応えることができます。

例えば、食事支援が中心で開始したこども食堂が、ひとり親家庭の子どもが夜を一人で過ごしていることに気づき、「夜の子どもの居場所づくり」の取り組みをはじめた事例があります。

顔と顔のみえるつながりの中で、会話が生まれ、そこから、さまざまな地域の課題を解決していく発展性があるのです。

「解決のための方法ではなく、”場”を提供する。そこから自然と解決策が生まれていく」
一見、シンプルに思えるこども食堂ですが、これまでなかった、革新的な社会問題の解決のあり方を提供しています。

こども食堂が抱える課題

ユニークなメリットを地域に提供するこども食堂ですが、全国各地で急増する中で、さまざまな課題があるのも事実です。

主な課題は3つです。

【こども食堂の課題】

  • 課題1: 場所や人員の確保が難しい
  • 課題2: 食事を提供するため安全衛生面での注意が必要
  • 課題3: 個人が立ち上げているので質に違いがある場合がある

詳しく解説します。

課題1: 場所や人員の確保が難しい

こども食堂を運営するためには、場所やボランティアで活動できる人員の確保が不可欠です。しかし、これは決して簡単なことではありません。

せっかく活動をはじめても、思った以上に負担が大きかったり、主要な運営メンバーが引っ越してしまったり、さまざまな事情で活動を中断せざるをえない場合があります。

また、場所代の負担から、本当に提供したい値段よりも高く設定せざるえなかったり、活動頻度が少なくなってしまったりする場合もあります。

毎日の食事を支えるためには、特別な日だけではなく、日常的な活動が必要です。そのため、週3日以上活動しているこども食堂も少なくありません。

多くの人の参加・支えの中で運営することが、持続的で安定的な運営のためには不可欠です。

課題2: 食事を提供するため安全衛生面での注意が必要

食事を提供するため、食品衛生管理やアレルギー対応には細心の注意を必要とします。調理をはじめ運営に関わるスタッフが、食中毒やアレルギー対応について十分な知識を持っている必要があるのです。

こども食堂を開設する際には、運営者は最寄りの保健所に相談し、食品衛生に関して指導・助言を受けることが推奨されています。厚生労働省は、こども食堂の運営者むけに衛生管理上のポイントをまとめています。

課題3: こども食堂ごとに質に違いがある場合がある

担い手の多様化や拡大が進むなかで、当初の目的からずれてしまったり、活動の質や安全性への心配の声も聞かれるようになってきました。

全国規模で各地のこども食堂の中間支援を行う「むすびえ」は、活動の多様性や自由度を守りながらも、こども食堂の活動が大事にしてきたことを守るために、以下5つの価値観を示しています。

  1. 多様性:違いを認め合う
  2. 自発性:「やりたいのは自分」の気持ちで
  3. インクルーシブ:分け隔てなく誰にでも
  4. 非営利:みんなのために
  5. 地域性:地域をつなげ、笑顔をつなげる

誰もが立ち上げができるからこそ、情報提供やネットワーク化によって各地のこども食堂を支える中間支援団体の活動も重要です。

こども食堂を支援する5つの方法

「こども食堂を支援したい」
「地域のために貢献したい」

そんな風に思っても、具体的にアクションを起こすのは難しいもの。

ここでは、今日からできるこども食堂の支援方法を5つ紹介します。

支援方法1:フードバンクに寄付する

地域のフードバンクに食品を届けることは、すぐにできる取り組みの一つです。

フードバンクとは、品質には問題がないにもかかわらず、捨てられてしまう食品を引き取り、必要とする場所へ無料で提供する団体・活動を指します。

一方、フードドライブというものもあります。フードドライブとは、家庭・個人が未使用食品を持ち寄り、フードバンク団体などに届ける活動です。フードドライブによる寄付で、フードバンクを支援することができます。

まだ食べられるのに捨てられてしまう食品は、日本国内で年間500万トンを超えます*。食品を本当に必要とする人々に届けることで、食品廃棄の解決にもつなげることもできます。

全国のフードバンクの情報を農林水産省がまとめています。フードドライブを考えている人は、一度確認してみるといいでしょう。

フードバンクの活動については、以下の記事も参照ください。
>>フードバンクで飢餓に苦しむ子どもを救う!食料が廃棄される前に子どもたちへ届けよう

*出典:最新の食品ロス量は523万トン、事業系では279万トンに | 農林水産省 プレスリリース

支援方法2:地方自治体に寄付金を送る

地方自治体はさまざまな形で地域のこども食堂を支援しています。地方自治体に寄付金を送ることで、間接的にこども食堂を支援することができるのです。

中には、身近なふるさと納税で支援できる場合もあります。例えば、山口県一関市は、ふるさと納税の返礼として、全国のこども食堂に市内でとれた農産物や加工品を届ける取り組みを行っています。

また、地方自治体が、こども食堂を支援するためにクラウドファンディングを行ってる場合もあります。2023年には、大分県が、県内の112カ所のこども食堂を支援するためにクラウドファンディングを行い、200人以上が賛同。650万円以上の寄付金が集まりました。

自治体が行うクラウドファンディングは、「ガバメント・クラウドファンディング」と呼ばれ、実施団体が自治体という安心感があります。

クラウドファンディングの実施は時期・自治体ともに限定的なため、気になる方は定期的に調べてみるとよいでしょう。

支援方法3:NPO団体に寄付金を送る

こども食堂を運営する団体や、地域・全国のこども食堂を支援する団体に寄付をすることは、おすすめの支援方法の1つです。

お金の寄付は、受け取った団体が本当に必要だと考えることに使用できます。また、食品の寄付とは異なり、事前の確認なども不要なので、支援する側の負担も少なくすみます。

中でも、月1,000円程度からの継続寄付は、日常的に活動をする必要のあるこども食堂にとってありがたいもの。活動の様子や成果を寄付者限定のメールやレターで知ることができ、継続的なつながりが団体との間にできることも、寄付者にとって嬉しいポイントです。

​​認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえは、日本全国のこども食堂の支援を幅広く行う、代表的な団体です。

東京大学先端科学技術研究センター 特任教授でもある、社会活動家の湯浅誠さんが理事長を務めています。団体が認定NPOを取得している点も信頼感があります。初めてこども食堂の支援を考えている方には特におすすめできる団体です。


\こども食堂への支援ができる!/

支援方法4:こども食堂に直接寄付する

地域で活動するこども食堂に直接、寄付金や必要な物資を寄付をすることもできます。

この場合、まずは、寄付のニーズがあるかを確認する必要があります。こども食堂によっては、必要な食材や物品をホームページなどに掲載しているので、まずは確認してみましょう。

また、情報が見当たらない場合には、直接問い合わせをする方法もあります。お金や食品以外だと、子どものための本やおもちゃを必要としているこども食堂もあります。

先ほどご紹介したむすびえは、日本各地のこども食堂の情報を一覧にまとめているので、検索の際の参考にしてみてください。

支援方法5:ボランティアスタッフとして参加する

ボランティアスタッフとしてこども食堂の活動に参加することもできます。

例えば、調理スタッフとして食事の準備に関わったり、場所を提供するなどです。

この場合も、地域の実施団体のニーズの確認からはじめるとよいでしょう。どの程度の頻度・期間、どのように関われるのかを明確に伝えた上で、運営者のニーズと一致するかを確かめることが重要です。

こども食堂に寄付する手順

こども食堂に物品やお金を寄付したいと思ったときの具体的な手順を紹介します。

  • ・支援できる団体を見つける
  • ・物品やお金の寄付をする
  • ・活動報告を確認する

詳しく解説します。

支援できる団体を見つける

まずは支援したい団体をみつけます。支援できる団体は、地域のこども食堂と、中間支援団体の2つに大別できます。

身近なこども食堂への寄付と、全国各地のこども食堂へより幅広い支援ができる中間支援団体への寄付には、それぞれのメリットがあるので、自身の思いにどちらが近いかを考えてみるといいでしょう。

【身近な団体への寄付のメリット(例)】

  • ・自分が住んでいたり縁のある地域に貢献できる
  • ・活動の様子を自身で確認したり参加したりできる
  • ・物品や食品の寄付が届けやすい
【中間支援団体への寄付のメリット(例)】

  • ・全国のこども食堂に幅広く支援できる
  • ・調査活動など個別の団体を超えた取り組みに貢献できる
  • ・法人として運営されている場合が多く、安心感がある

また、どちらの場合にも、信頼できる団体に思いを託すことが大切です。

団体を見つけるときのポイントは、以下の記事も参考にしてみてください。
>>はじめて寄付する人必見!寄付の仕方や団体の選び方まで完全ガイド

物品やお金の寄付をする

支援したい団体を見つけたら、次はいよいよ実際に寄付をします。

食品や物品を寄付する場合、団体側のニーズと一致していることが重要です。せっかくの寄付が、ムダになってしまったり、受け入れる団体の負担を逆に増やしてしまう場合もあるからです。まずは、支援している団体のHPなどを確認したり、場合によっては問い合わせを行いましょう。

また、食品や物品を送る際にも、団体によっては配送方法が指定されている場合があり、確認が必要です。さらに、中身が飛び出してしまったり、壊れてしまうリスクもあるので、梱包資材や段ボールを使用するなど、丁寧に対応する必要があります。

この点、信頼できる団体へのお金での寄付は、現場で必要とされる支援に使ってもらえるのでおすすめです。団体の中には、クレジットカードや口座振替で寄付できるように用意があることもあり、いますぐ支援できる気軽さもあります。

こども食堂に寄付するときに気をつけたいポイントについては、以下も参考にしてみてください。

>>こども食堂に寄付するときの注意点へ移動する

活動報告を確認する

団体によっては、活動報告を届けてくれる場合があります。例えば、ホームページで寄付した物品や食品が掲載されたり、集まった寄付金の使途が紹介されたりする、などです。

自分の寄付がどのように役立ち、子どもや地域の笑顔につながったのか、確認してみるとよいでしょう。

なお、こうした報告については、毎月の継続的な寄付の方が、制度として充実している場合もあります。団体からの報告やつながりを重視する場合、継続的な寄付を積極的に検討するとよいでしょう

詳細についてはこちらの記事をご一読下さい。
>>こども食堂に寄付しよう!食材や寄付金などを送る方法や手順とは

こども食堂に寄付するときの注意点


こども食堂への寄付を失敗しないために、気を付ける点を3つ紹介します。

  • ・寄付をする団体の信用性を確認する
  • ・寄付する前に連絡をする
  • ・消費期限や保存期間の長いものを寄付する

寄付をする団体の信用性を確認する

はじめに気をつけたいポイントは、寄付先が信頼できるかどうかです。

もちろん、大半の団体が善意で活動を行っていますが、全国で急拡大するこども食堂は、活動内容や運営者がさまざまです。思いを託す団体が信頼できるのか、事前に情報を集めましょう。

以下の記事では、怪しい団体を見分けるために確認したいポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
>>寄付してはいけない団体とは?怪しい団体を見分ける2つのポイントを紹介!

寄付する前に連絡をする

食品や物品を寄付する場合、その内容が、寄付先のニーズと一致していることはぜひとも確認したい点です。

多様なものが求められており、それぞれのこども食堂によっても異なるため一概になにが必要かはわかりません。こども食堂によっては「お米は十分」「野菜は定期的に寄付されている」など個別の事情があります。

お金の寄付の場合には不要ですが、物品を寄付する場合には、団体のHPを確認したり、情報が見当たらない場合には問い合わせを行ってみましょう。その際、一度、こども食堂に行ってみるのもおすすめの方法です。

確認の際には、配送方法や受け渡し方法についても伺ってみましょう。

消費期限や保存期間の長いものを寄付する

食材を寄付する場合には、消費期限や保存期間に余裕があるかも考えたいポイントです。目安までですが、賞味期限が1ヶ月以上ある食品や、常温で保存できるものは、使い勝手がよいようです。

こうした食材には、以下のものが含まれます。

  • ・飲料
  • ・米や餅
  • ・パスタやうどんなどの乾物
  • ・缶詰
  • ・調味料
  • ・菓子類

一方、冷凍食品や生鮮食品を寄付したいと考える場合には、団体のニーズと合っているか細心の注意が必要です。一度問い合わせを行ってみましょう。

モノやお金の寄付でこども食堂を支援できる!


こども食堂のメリットと課題、そして支援方法をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

記事の内容をまとめます。

  • ・こども食堂は子どもが1人でも行ける無料または低額の食堂で、誰でも利用できる
  • ・手作りで温かい食事が格安で食べられるほか、地域のつながりの場として、多様なメリットがある
  • ・持続可能な運営のためには多くの人の協力が必要で、ものやお金の寄付で支援できる

急速に拡大するこども食堂ですが、安定的・継続的な発展のためには、さらに多くの支援を必要としています。ぜひ、自分に合った方法で支援を検討してみてはいかがでしょうか。

以下の記事では、日本国内の子どもを支援する信頼できる団体をご紹介しているので、併せて参考にしてみてください。
>>日本国内の子どもに寄付したい!おすすめNPO団体と選び方を専門家が紹介

この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。 なお、掲載されている記事の内容に関する「指摘・問い合わせ」「誤字脱字・表示の誤りの指摘」につきましては、こちらの報告フォームよりご連絡ください。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿