年々全国に拡大するこども食堂。2022年の1,768箇所から2023年には、全国の公立中学校数とほぼ並ぶ「9,131ヶ所」に急増しており、ニュースなどで耳にする機会も増えてきました。
そんな中
「そもそもこども食堂とは?」
「なぜ子ども食堂が必要なの?」
「自分にもできることがある?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、このような方に向けて以下の内容を解説します。
- ・こども食堂とは何か
- ・こども食堂のメリットと課題
- ・【個人・企業別】こども食堂を支援する方法
ぜひ最後までご覧ください。
いますぐ子ども支援活動を応援したいというあなたには、全国のこども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会を目指す「むすびえ」への支援がおすすめです。
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こども食堂とは
こども食堂とは、子どもたちに無料または低額で栄養のある食事を提供する場所のことです。「地域食堂」「みんなの食堂」「〇〇さんの家」など、別の名前で呼ばれている場合もあります。
「家族揃ってご飯を食べることが難しい子どもたちに食事の機会を提供したい」
そんな思いを持った東京都大田区の八百屋さんにより始められた取り組みが、子ども食堂誕生のきっかけとされています。
子ども食堂が始まったきっかけについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
>>こども食堂が貧困の子どもを救う!始まったきっかけや現状とは
こども食堂の目的
こども食堂の目的は、経済的な理由や家庭環境の問題により、食事が不安定である子どもたちや家族を支援し、栄養のある食事を提供することです。
子どもたちが食事を取れるように支援するだけでなく、地域のすべての子どもや大人のための「居場所」「つながりの場」として注目されています。
例えば、
- ・子どもに下校後の居場所を提供
- ・栄養や旬の食材について理解を深める食育の場を提供
- ・ボランティアの高齢者や引きこもりの若者などにとっての居場所を提供
なども、こども食堂開設の目的です。
さらに無料塾を併設し、学習支援としての役割を兼ねているこども食堂もあります。
こども食堂は、子どもを真ん中に置いた地域のインフラとして、さまざまな役割を担っています。
こども食堂の運営方法
こども食堂の多くは、NPO法人などの非営利団体によって運営されています。運営している人の持ち出しや寄付・助成金によって活動が支えられているのが現状です。
低額または無料の食事や場所を提供するには、資金と人の援助が欠かせません。安定的な活動を継続するためには、多くの人や行政の支えにより運営側の負担を減らすことが重要です。
こども食堂のメリットと課題
ここでは、こども食堂のメリットと課題を紹介します。
こども食堂のメリット
【こども食堂のメリット】
- メリット1: アットホームな環境で、栄養のある食事を食べられること
- メリット2: 対象者をしぼらずに、地域の子どもや大人がつながれること
- メリット3: 地域の多様・複雑なニーズに応えられること
詳しく解説します。
メリット1: アットホームな環境で、栄養のある食事を食べられること
手作りの温かい食事をアットホームな環境で食べられることは、成長期の子どもたちはもちろん、誰にとっても重要です。
一人で冷たい食事をとるのと、地域に開かれたアットホームな場で食事を楽しむのでは、経験として大きく異なります。
実際、こども食堂に出かけてみると、子どもたちが遊びまわり、母親たちが談笑し、学生や高齢者が手伝いをするーそんな賑やかな様子が広がっています。
見守り支えられている実感や楽しい食事の思い出。安価な食事を超えた価値をこども食堂は提供しています。
メリット2: 対象者をしぼらずに、地域の子どもや大人がつながれること
子どもだけではなく、大人にも開かれたこども食堂だからこそ、地域のあらゆる人がつながれる場を提供できます。
経済的に困っていても、心理的な抵抗から、助けを求めたり、行政の窓口に相談したりするのは容易ではありません。
誰でも参加できて、かつ、本当に困っている人たちにも届きやすいところに、こども食堂の魅力があるのです。
メリット3: 地域の多様・複雑なニーズに応えられること
こども食堂は、多様なニーズに柔軟に応えることができます。
例えば、食事支援を中心に開始したこども食堂が、「夜の子どもの居場所づくり」の取り組みを始めた事例もあります。
「解決方法ではなく”場”を提供する。そこから自然と解決策が生まれていく」
一見、シンプルに思えるこども食堂ですが、顔と顔の見えるつながりの中で会話が生まれ、そこから、さまざまな地域の課題を解決していく発展性があるのです。
こども食堂が抱える課題
メリットを地域に提供するこども食堂ですが、全国各地で急増する中で、さまざまな課題があるのも事実です。
主な課題は3つです。
【こども食堂の課題】
- 課題1: 場所や人員の確保が難しい
- 課題2: 食事を提供するため安全衛生面での注意が必要
- 課題3: 個人が立ち上げているので質に違いがある
詳しく解説します。
課題1: 場所や人員の確保が難しい
こども食堂を運営するためには、場所やボランティアで活動できる人員の確保が不可欠です。しかし、これは決して簡単なことではありません。
せっかく活動を始めても、思った以上に負担が大きかったり、主要な運営メンバーが引っ越してしまったり、さまざまな事情で活動を中断せざるをえない場合があります。
また場所代の負担から、本当に提供したい値段よりも高く設定せざるえなかったり、活動頻度が少なくなってしまったりする場合もあります。
毎日の食事を支えるためには、特別な日だけではなく、日常的な活動が必要です。そのためには、多くの人の参加・支えの中で運営することが不可欠です。
課題2: 食事を提供するため安全衛生面での注意が必要
子ども食堂は食事を提供する場所であるため、調理をはじめ運営に関わるスタッフは、食中毒やアレルギー対応についての十分な知識が必要です。
こども食堂を開設する際には、運営者は最寄りの保健所に相談し、食品衛生に関して指導・助言を受けることが推奨されています。
厚生労働省では、こども食堂の運営者向けに衛生管理上のポイントをまとめています。
課題3: こども食堂ごとに質に違いがある
担い手の多様化や拡大が進むなかで、活動の質や安全性について心配の声も聞かれるようになってきました。
全国規模で各地のこども食堂の中間支援を行う「むすびえ」は、活動の多様性や自由度を守りながらも、こども食堂の活動が大事にしてきたことを守るために、以下5つの価値観を示しています。
- 多様性:違いを認め合う
- 自発性:「やりたいのは自分」の気持ちで
- インクルーシブ:分け隔てなく誰にでも
- 非営利:みんなのために
- 地域性:地域をつなげ、笑顔をつなげる
誰もが立ち上げができるからこそ、情報提供やネットワーク化によって各地のこども食堂を支える中間支援団体の活動も重要です。
子ども食堂のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。
>>こども食堂のメリット・デメリットは?
【個人】こども食堂を支援する方法
「こども食堂を支援したい」
「地域のために貢献したい」
そんな風に思っても、具体的にアクションを起こすのは難しいもの。
ここでは個人でもできる、こども食堂の支援方法を5つ紹介します。
支援方法1:フードドライブに寄付する
個人が食品を寄付する取り組みにフードドライブという活動があります。フードドライブとは、家庭・個人の未使用食品を持ち寄り、フードバンク団体などに寄付する活動のことです。
フードバンクとは、集まった食品を支援が必要とする場所へ無料で提供する団体・活動を指します。
まだ食べられるのに捨てられてしまう食品は、日本国内で年間500万トンを超えます*。食品を本当に必要とする人々に届けることで、食品廃棄の解決にもつながるのです。
フードドライブの活動については、以下の記事もご参照ください。
>>フードドライブとは?メリットや課題、参加手順をNPO専門メディアが解説
*出典:最新の食品ロス量は523万トン、事業系では279万トンに | 農林水産省 プレスリリース
支援方法2:地方自治体に寄付金する
地域のこども食堂を支援している地方自治体に寄付金するのも支援方法の1つです。
中には、身近なふるさと納税で支援できる場合もあります。例えば、山口県一関市は、ふるさと納税の返礼として、全国のこども食堂に市内でとれた農産物や加工品を届ける取り組みを行っています。
また、こども食堂を支援するためにクラウドファンディングを行ってる地方自治体もあります。2023年大分県は県内112カ所の子ども食堂を支援するためにクラウドファンディングを実施。200人以上が賛同し、650万円以上の寄付金が集まりました。
自治体が行うクラウドファンディングは、「ガバメント・クラウドファンディング」と呼ばれ、実施団体が自治体という安心感があります。
クラウドファンディングの実施は時期・自治体ともに限定的なため、気になる方は定期的に調べてみるとよいでしょう。
支援方法3:NPO団体に寄付金する
こども食堂を運営する団体や、地域・全国のこども食堂を支援する団体に寄付をするのも、おすすめの支援方法です。
お金の寄付は、受け取った団体が本当に必要なことに使用できます。また、食品の寄付とは異なり、事前の確認なども不要なので、支援する側の負担も少なくすみます。
中でも、月1,000円程度からの継続寄付は、日常的な活動が必要なこども食堂にとってありがたいもの。活動の様子や成果を寄付者限定のメールやレターで知ることができ、継続的なつながりが団体との間にできることも、寄付者にとって嬉しいポイントです。
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえは、日本全国のこども食堂の支援を幅広く行う、代表的な団体です。
東京大学先端科学技術研究センター 特任教授でもある、社会活動家の湯浅誠さんが理事長を務めています。団体が認定NPOを取得している点も信頼感があります。初めてこども食堂の支援を考えている方には特におすすめできる団体です。
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支援方法4:こども食堂に直接寄付する
地域で活動するこども食堂に直接、お金や必要な物品を寄付をすることもできます。
この場合、事前に寄付のニーズがあるかを確認する必要があります。こども食堂によっては、必要な食材や物品をホームページなどに掲載しているので、まずは確認してみましょう。
また、情報が見当たらない場合には、直接問い合わせをする方法もあります。お金や食品以外だと、子どものための本やおもちゃを必要としているこども食堂もあります。
先ほどご紹介したむすびえは、日本各地のこども食堂の情報を一覧にまとめているので、検索の際の参考にしてみてください。
支援方法5:ボランティアスタッフとして参加する
ボランティアスタッフとして、こども食堂の活動に参加することもできます。
例えば、調理スタッフとして食事の準備に関わったり、場所を提供したりなどです。
この場合も、地域の実施団体のニーズの確認から始めるとよいでしょう。どの程度の頻度・期間、どのように関われるのかを明確に伝えた上で、運営者のニーズと一致するかを確かめることが重要です。
【企業】こども食堂を支援する方法
SDGs達成に向けた取り組みを重視する企業も増えているなか、子ども食堂への支援も積極的に行われています。子ども食堂にとっては、企業による支援も大きな支えになります。また子ども食堂を支援することで、企業の社会貢献を広く周知できるでしょう。
企業が子ども食堂を支援する方法としては、主に以下の3つがあります。
- ・運営資金を寄付する
- ・自社の商品を寄贈する
- ・プロボノとして参加する
それぞれ詳しく解説します。
支援方法1:運営資金を寄付する
企業による資金の支援方法には以下のような事例があります。
- ・財団を立ち上げ助成金を寄付する
- ・自動販売機を設置して売り上げの一部を寄付する
- ・子ども食堂のスポンサー(協賛企業)になる
- ・社員個人の寄付に同額を上乗せして寄付する(マッチング寄付)
運営資金を寄付することによって、子ども食堂の安定的な活動維持に貢献できます。
支援方法2:自社の商品を寄贈する
自社が取り扱う商品を提供する方法もあります。子ども食堂へ寄贈される物品の例として次のようなものが挙げられます。
- ・食品や飲料
- ・衛生用品
- ・消耗品
食品企業の製造工程で発生する規格外品などをフードバンクを通して子ども食堂へ寄付する方法もあります。
農林水産省では、全国のフードバンク活動団体について情報を公開しています。
またフードバンクについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご一読ください。
>>フードバンクで飢餓に苦しむ子どもを救う!食料が廃棄される前に子どもたちへ届けよう
支援方法3:プロボノとして参加する
従業員も企業で培われたスキルやノウハウを活かして支援することができます。プロのボランティアであることから、プロボノと言われています。子ども食堂のプロボノは、食事に関することだけではありません。さまざまな職種でプロボノとして活躍しています。
- 【子ども食堂のプロボノの例】
- ・栄養士による献立のアドバイス
- ・チラシのデザイン
- ・ウェブサイトの作成
- ・子どもの学習支援
個人と企業ができる社会貢献については、以下の記事でも解説しています。
>>個人・企業でできる社会貢献とは?種類や活動事例を専門メディアがわかりやすく解説
こども食堂に寄付する手順
こども食堂に物品やお金を寄付したいと思ったときの具体的な手順は次の通りです。
- ・支援できる団体を見つける
- ・物品やお金を寄付する
- ・活動報告を確認する
詳しく解説します。
支援できる団体を見つける
地域のこども食堂と、全国各地のこども食堂へより幅広い支援ができる中間支援団体の中から、支援したい団体を見つけます。それぞれのメリットがあるので、支援しやすい方を選ぶといいでしょう。
【身近な団体への寄付のメリット(例)】
- ・縁のある地域に貢献できる
- ・活動内容の確認や参加がしやすい
- ・物品や食品の寄付が届けやすい
【中間支援団体への寄付のメリット(例)】
- ・全国のこども食堂に幅広く支援できる
- ・調査活動など個別の団体を超えた取り組みに貢献できる
- ・法人として運営されている場合が多く、安心感がある
どちらの場合にも、信頼できる団体に思いを託すことが大切です。
団体を見つけるときのポイントは、以下の記事も参考にしてみてください。
>>はじめて寄付する人必見!寄付の仕方や団体の選び方まで完全ガイド
物品やお金を寄付する
支援したい団体を見つけたら、次はいよいよ実際に寄付をします。
食品や物品を寄付する場合、団体側のニーズと一致していることが重要です。せっかくの寄付がムダになったり、受け入れる団体の負担が逆に増えたりする可能性があるからです。まずは、どのようなニーズがあるのか団体のHPやメールなどで確認しましょう。
また、団体によっては食品や物品の配送方法が指定されている場合があるので確認が必要です。さらに中身が飛び出したり壊れたりしないよう、丁寧に梱包する必要があります。
この点、お金の寄付は、現場で必要とされる支援に使ってもらえるのでおすすめです。クレジットカードや口座振替で寄付できる団体もあり、いますぐ支援できる気軽さもあります。
こども食堂に寄付するときに気をつけたいポイントについては、以下も参考にしてみてください。
活動報告を確認する
寄付がどのように役立ち、子どもや地域の笑顔につながったのかを確認しましょう。
例えば、ホームページで寄付した物品や食品、寄付金の使途などを紹介していたり、活動報告を届けてくれたりする団体もあります。
なお、活動報告については、毎月の継続的な寄付の方が、制度として充実している場合もあります。団体からの報告やつながりを重視する場合、継続的な寄付を積極的に検討するとよいでしょう。
詳細についてはこちらの記事をご一読下さい。
>>こども食堂に寄付しよう!食材や寄付金などを送る方法や手順とは
こども食堂に寄付するときの注意点
こども食堂への寄付を失敗しないために、気を付ける点を3つ紹介します。
- ・寄付をする団体の信用性を確認する
- ・寄付する前にニーズを確認する
- ・消費期限や保存期間の長い食材を寄付する
寄付をする団体の信用性を確認する
始めに気をつけたいポイントは、寄付先が信頼できるかどうかです。
もちろん、大半の団体が善意で活動を行っていますが、全国で急拡大するこども食堂は、活動内容や運営者がさまざまです。思いを託す団体が信頼できるのか、事前に情報を集めましょう。
以下の記事では、怪しい団体を見分けるために確認したいポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
>>寄付してはいけない団体とは?怪しい団体を見分ける2つのポイントを紹介!
寄付する前にニーズを確認する
寄付したい食品や物品が、寄付先のニーズと一致しているかはぜひとも確認したい点です。
求められるものはこども食堂によって異なるため一概になにが必要かはわかりません。こども食堂によっては「お米は十分」「野菜は定期的に寄付されている」など個別の事情があります。
物品を寄付する場合には、団体のHPを確認したり、直接電話やメールで問い合わせたりするとよいでしょう。実際にこども食堂に行って見学するのもおすすめの方法です。
確認の際には、配送方法や受け渡し方法についても問い合わせてみましょう。
消費期限や保存期間の長い食材を寄付する
食材を寄付する場合には、消費期限や保存期間に余裕があるかも考えたいポイントです。目安までですが、賞味期限が1ヶ月以上ある食品や常温で保存できるものは、使い勝手がよいようです。
こうした食材には、以下のものが含まれます。
- ・飲料
- ・米や餅
- ・パスタやうどんなどの乾物
- ・缶詰
- ・調味料
- ・菓子類
一方、冷凍食品や生鮮食品を寄付したいと考える場合には、団体のニーズと合っているか一度問い合わせてみましょう。
モノやお金の寄付でこども食堂を支援できる!
こども食堂のメリットと課題、そして支援方法をお伝えしてきました。
記事の内容をまとめると、
- ・こども食堂は無料または低額で食事を提供し、子どもから大人まで利用できる
- ・地域のつながりの場としての役割もあり、食事提供に限らず多様なニーズに対応している
- ・持続可能な運営のためにモノやお金の寄付、ボランティアという形で支援できる
急速に拡大するこども食堂ですが、安定的・継続的な発展のためには、さらに多くの支援を必要としています。ぜひ、自分に合った方法で支援を検討してみてはいかがでしょうか。
以下の記事では、日本国内の子どもを支援する信頼できる団体をご紹介しているので、併せて参考にしてみてください。
>>日本国内の子どもに寄付したい!おすすめNPO団体と選び方を専門家が紹介