シリア内戦は2011年に始まり、今も続いている今世紀最大の人道危機です。
多くの地域で戦火が及び、たくさんの人が命を落とし、あるいは住む場所を追われ今も難民としての生活を余儀なくされています。
様々な悲劇を生んだシリア内戦ですが、そんな中で特に被害が多い地域はどこなのか、また現地で行われている支援などについて見ていきます。
シリア内戦の原因・現状は?難民の人々が必要としている支援とは
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今世紀最大の人道危機「シリア内戦」
シリア内戦とは21世紀最大の人道危機と呼ばれています。
2011年に始まったアラブの春の一環としてこのシリア内戦という紛争も勃発し、シリア国民の半数以上が国内外への避難を強いられ、既に多くの人が命を落としています。
そもそもこの内戦はアラブの春という民主化運動の波及により、独裁的な政治を行ってきたアサド政権の軍事的な打倒を目指す革命闘争へと変質していったものです。
ここにアメリカや欧州諸国、中東の諸国から政治的、軍事的な支持、ロシアなどの介入による国際的な代理戦争への発展、イスラム国(IS)の介入など様々な要因が重なり激化してしまいました。
2011年に始まった内戦は8年経った今でも解決していません。
またその被害総額は数十億ドル規模とも言われており、壊滅的な紛争にまで発展しています。
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シリアの国内で被害が集中している地域とは
シリア内戦は政府軍とクルド人勢力とシリア北部から南東にかけて流れるユーフラテス川を挟むことで向き合い、にらみ合いを続けてきました。
これは米軍の存在があったこと、そしてクルド人支配下にあるユーフラテス川東部では石油が産出されるため、アサド政権に譲れないことから、大規模な戦闘をせず膠着状態に陥っていました。
しかし2018年12月米軍が撤退したことにより、今後政権側の動きや大きな戦闘などが起こる可能性も高いと考えられています。
このような場所では今のところ大きな被害は出ていないものの、それ以外の地域では被害が集中している場所も存在します。
ラッカ
シリア北部の首都・ラッカは現在、過激派組織である「イスラム国」が首都と称しており、実質的支配下に置かれています。
ラッカに住む住民たちは、街から逃げようとする人を片っ端から撃ち殺す独裁的な手法に怯え、現在も不安な毎日を過ごしているのです。
そんな過激派組織「イスラム国」に対して、米国主導の有志連合に参加するクルド系とアラブ系の連合勢力「シリア民主軍」(SDF)が激しい攻撃を掛けました。
そして2018年10月、シリア民主軍がイラクとレバントのイスラム国(ISIL)が首都と称していた北部ラッカを奪還したと正式発表がされました。
(出典:外務省公式サイト)
アレッポ
シリア北西部にあるアレッポは、内戦が起きる前にはシリアで人口が最も多く、産業の中心地でもありました。反政府勢力は、アレッポの東部地区を拠点として政権打倒を目指して、戦っていましたが、アサド政権側が一気に攻勢をかけ、完全制圧を果たしたのです。
アサド政権が完全制圧できた理由には、ロシアが反政府勢力に対する空爆を強化したことが大きかったとされています。
また、重要なカギを握るアメリカでは、大統領選挙でトランプ氏が当選した直後のこと。これまでのオバマ政権は、アサド政権の退陣を求め、反政府勢力側を支援していました。
しかし、トランプ氏は一転して、アサド政権を支持するロシアとの関係改善を重視する姿勢を打ち出したことで、戦況がアサド政権側有利に動いたとされています。
東グータ地区
シリアの首都ダマスカスの東から南を囲む形で郊外地域にあるのが、東グーダ地区です。
2012年に反政府軍に加わった東グータの住民は政府軍を追放。しかし翌年2月に反政府軍がダマスカスの外環道とジョバル地区を獲得したことで、5月に政府軍が反撃を開始し東グータを包囲しました。
その後、4年に渡りドゥーマーを拠点とするイスラム軍、そして自由シリア軍と同盟を結んだアル・ラフマン軍団が統治していました。
この反政府軍に対して、政府軍が2018年2月に地上侵攻を行い1,000人以上を虐殺、さらに4月には空爆にて化学兵器が使われたとの疑いがあり、子どもを含む49人が呼吸困難などの症状で死亡したとされています。
(出典:外務省公式サイト)
ホムス
シリア西部にある都市・ホムスは、2011年のシリア騒乱で政府軍と反体制派による激しい交戦が行われました。
戦禍に巻き込まれたホムス旧市街では避難誘導も満足な救援物資の輸送も行われないまま砲撃を浴び続け、約2年間で2,200人が死亡し、国連加入の元、2014年に戦いの幕が降ろされました。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
デリゾール
デリゾールはシリアの北東部に位置し、ユーフラテス川の中流域(ラッカより下流に当たる位置)の南岸にある油田都市です。
この地は2014年にイスラム国によって占拠されて以降、政府軍と激しい攻防戦が繰り広げられていました。
4年余りに及ぶこの攻防戦は2016年に開始されたデリゾール攻略作戦を境にイスラム国を徐々に追い詰め、政府軍とイスラム国が衝突した戦いは2017年9月にデリゾール包囲戦をもって終わりを迎えました。
しかしこのデリゾールの攻防において、戦闘員や民間人合わせて34人が死亡したとされ、ロシアや連合軍からの空爆を受けたこともあり、約4年続いた戦いの痕跡は今も色濃く残っています。
(出典:公安調査庁公式サイト)
イドリブ
イドリブはシリア北西部に位置し、アレッポから60km東にある都市です。
2015年にヌスラ戦線によってイドリブは制圧され、反政府組織によって支配されていました。
シリア政府を支援していたロシア軍はイランの所有する空軍基地を使用し、このイドリブやアレッポ、デリゾールを標的とした空爆を行っています。
イドリブでも政府軍と反政府軍の戦闘は激化しており、そこにこの空爆が重なることで甚大な被害が出たとの報告もあがっています。
(出典:公安調査庁公式サイト)
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シリア内戦の現状は?
シリア内戦勃発から8年が経過しますが、昨年大きな動きが見られました。2018年12月にトランプ大統領が米軍のシリア撤退を表明したのです。
これはイスラム国を壊滅させたとの判断でしたが、その後のシリア内部の情勢に世界は懸念を示しました。
それを裏付けるように、2019年1月21日未明にシリア国内のイラン軍を標的としてイランと対立するイスラエル国防軍が攻撃を開始しています。
またシリア内戦は4月にはロシアやイランの支援を受けるアサド政権側が優位を固めており、反体制派の最後の拠点であるイドリブを何度も空爆して追い詰めています。
しかし5月には政府軍が再度化学兵器を使った攻撃を行った疑いなどがあり、世界で波紋を呼ぶこととなりました。
イドリブの空爆は反政府派を支援するトルコとの緊張も高めており、6月に結ばれた政府軍を支援するロシアと反政府派を支援するトルコとの間で停戦合意を崩壊させたとして非難する動きも見られました。
(出典:AFP BB NEWS)
シリア難民を助けよう
シリアでは今も内戦が続き、先のような空爆が行われています。
その中で難民は恐怖や不安に怯え、救援物資も届かないため満足に食事をすることもできません。
内戦の手が及ばない難民キャンプであれば支援を受けることも可能ですが、戦闘が今も行われている地域には支援を行うことも困難です。
シリア難民を支援する団体を応援していくことが、私たちにできる支援活動です。
そして助けを求める人々に支援を行う団体へ寄付などを行い、活動を後押しすることで、間接的にシリア難民を助けることにつながります。
シリア難民の現状や、その人々に支援を行う団体について知り、私たちにできることを考え行動していくことが大切です。