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シリア内戦が起こった原因や現状は?子どもへの被害、被害の大きな地域とは

この記事を要約すると

現在、世界で起きている数々の社会問題の中でも、中東にある国・シリアが悲惨な状態となっています。

今から約8年前に紛争が始まってから、現在も被害はとどまることを知りません。
この間に生まれた子どもたちは、人生において様々なことを学ぶ貴重な時間を、戦争によって奪われている現実があるのです。

今回は、シリア内戦が起こった原因や現状、子どもたちへの被害や私たちができる人道支援などについて詳細に解説します。

シリア内戦の原因・現状は?難民の人々が必要としている支援とは

シリア内戦とは


シリアで続いている内戦は、「21世紀最大の人道危機」とも呼ばれており、世界レベルで関心を向けるべき事柄とされています。
内戦の発端は2011年の「アラブの春」から始まったと言われているのです。

「アラブの春」は北アフリカに位置するチュニジアで発生した反政府デモに端を発して、中東・北アフリカ諸島に拡大。長期独裁政権が続いていたチュニジアやエジプトでは大統領が退陣、リビアにおいては反体制派との武力衝突を経た政権交代が行われるなど、かつてない大規模な政治変動となったのです。

これまでは限定的にしか政治参加できなかった一般の人が原動力となったのが大きな特色であり、経済的格差や独裁政権による統制、政治参加の制限などに対する民衆の不安の高まりが背景にあるとされています。

一般の民衆はSNSや衛星放送などのメディアによって連帯と情報共有を図っており、かつてないスピードで国境を超えて民主化運動が拡大したのです。

この流れは、シリアでも起こり、全国各地で反政府デモが発生しました。
しかし、これに対してアサド政権は治安部隊による厳しい弾圧で臨んだのです。これによって2011年から1年間で9,000人以上が犠牲者が発生。

この関係が現在も続いており、予断を許さない状況となっています。

その後、イスラム国が台頭しシリアを破綻国家へ追いやることになります。国内外から過激なイスラム主義者たちが加わることで、反体制派の戦闘能力や組織規模を時間をかけて凌駕。
2014年には、シリア北東部の街ラッカを「首都」とする「国家」の建国を宣言しました。

国としての機能が分断されたことで、内戦も泥沼化し、既に総人口約2,100万人の半数が国内外への避難を余儀なくされ、多くの人々が命を落としているのです。

(出典:外務省 わかる!国際情勢「アラブの春」と中東・北アフリカ情勢)

シリア内戦が起こった経緯


シリアの混乱は、7年前に起きた民主化運動「アラブの春」に端を発して、強権的なアサド政権に抗議する民衆のデモからスタートしました。
その後、数々の勢力や組織が「反政府組織」を形成、アサド政権の打倒を目指します。その後は、過激派組織IS・イスラミックステートが台頭し、「三つ巴」の戦いとなったのです。

アサド政権には、ロシアとイランが強力に支援、反政府勢力にはアメリカやトルコ、ヨーロッパ諸国やアラブ諸国が支援する構図となり、ISは立場上「共通の敵」となり、シリアから事実上排除されました。

しかし、その後は様々な国や勢力の利害、立場の違いが鮮明になり、それまで見られなかったイスラエル・トルコからの攻撃が目立ったのです。2011年から始まった「シリア内戦」は、2019年で9年目に入りますが、形を変えながらより複雑化しているのが現実と言えるでしょう。

(出典:外務省 わかる!国際情勢「アラブの春」と中東・北アフリカ情勢)

シリアの現在の情勢は?


シリア北部ラッカでの過激派組織「イスラム国」を掃討するために、米国主導の有志連合と現在も対立が続いています。
しかし、この対立によって発生する空爆と砲撃は、罪のない多くの民間人の命を奪っているのです。2017年には民間人が1,600人以上死亡していたことが、人権団体の調査結果によって公表されています。

このような点から、現在もシリアにおける紛争による被害は、続いていると言えるでしょう。

(出典:国際人権団体アムネスティ・インターナショナル公式サイト

シリアの国内で被害が集中している地域とは


アサド政権軍は、シリアを北部から南東方向に横断するユーフラテス川を挟んでクルド人勢力と向き合ってきました
この項目では、それぞれの地域ごとにどんな争いや被害があったのかを解説します。

ラッカ

シリア北部の首都・ラッカは現在、過激派組織である「イスラム国」が首都と称しており、実質的支配下に置かれています。
ラッカに住む住民たちは、街から逃げようとする人を片っ端から撃ち殺す独裁的な手法に怯え、現在も不安な毎日を過ごしているのです。

そんな過激派組織「イスラム国」に対して、米国主導の有志連合に参加するクルド系とアラブ系の連合勢力「シリア民主軍」(SDF)が激しい攻撃を掛けました。

そして2018年10月、シリア民主軍がイラクとレバントのイスラム国(ISIL)が首都と称していた北部ラッカを奪還したと正式発表がされました。

(出典:外務省公式サイト)

アレッポ

シリア北西部にあるアレッポは、内戦が起きる前にはシリアで人口が最も多く、産業の中心地でもありました。反政府勢力は、アレッポの東部地区を拠点として政権打倒を目指して、戦っていましたが、アサド政権側が一気に攻勢をかけ、完全制圧を果たしたのです。

アサド政権が完全制圧できた理由には、ロシアが反政府勢力に対する空爆を強化したことが大きかったとされています。
また、重要なカギを握るアメリカでは、大統領選挙でトランプ氏が当選した直後のこと。これまでのオバマ政権は、アサド政権の退陣を求め、反政府勢力側を支援していました。

しかし、トランプ氏は一転して、アサド政権を支持するロシアとの関係改善を重視する姿勢を打ち出したことで、戦況がアサド政権側有利に動いたとされています。

東グータ地区

首都ダマスカスの東郊、東グータ地区は2012年に反体制派によって掌握されましたが、政府軍と同盟勢力が2018年から大規模な攻勢を掛けました。
これによって東グータ地区から反体制派が完全撤退。シリア政府軍が「浄化」宣言を行なっています。

ホムス

シリア西部にある都市・ホムスは、2011年のシリア騒乱で政府軍と反体制派による激しい交戦が行われました。

戦禍に巻き込まれたホムス旧市街では避難誘導も満足な救援物資の輸送も行われないまま砲撃を浴び続け、約2年間で2,200人が死亡し、国連加入の元、2014年に戦いの幕が降ろされました。

(出典:日本ユニセフ 公式サイト)

デリゾール

シリア東部にある都市・デリゾールでは2014年に、ISが街を掌握。
自分たちが独自に解釈したイスラム教の厳格な教義を住民たちに強制していました。

そして、独自の学校を開き、音楽と芸術の禁止などのルールを取り決め、従わない者には懲罰を科していたのです。

2017年後半に、シリア政府がデリゾールとその近郊をISから奪還したことにより、失われた時間を取り戻すように住民たちは勉強を続けています。

イドリブ

シリア北西部のトルコ国境と接するイドリブ県は、2019年8月に同県を支配していたイスラム過激派勢力および同勢力と協力関係にある反体制派が、主要地域から撤退したことを発表しました。

内戦の渦中にいる子どもたちが感じる恐怖


2017年度もシリア紛争の被害が弱まることなく続いており、2016年を50%上回る過去最大の子どもの犠牲者を出しました。

2018年の1月と2月だけでも、暴力の激化により1,000人の子どもが死傷しています。シリアの若者が命を落とす代表的な死因が紛争であることがが大きな社会問題となっているのです。

具体的に内戦の渦中にいる子どもたちがどんな危険にさらされているかを説明します。

(出典:日本ユニセフ 公式サイト)

子どもに対する暴力

シリア国内では、爆発物の75%が人口密度の高い地域で使用されており、2017年には推定330万人の子どもたちが地雷、不発弾、簡易爆発装置を含む爆発物の危険にさらされていました。

そして175件の教育・保健施設やその従事者が攻撃を受けているために、子どもの負傷が多いだけでなく、適切な医療および心理的ケアを受けられなくなっています。

先述したように多くの子どもが殺害され、また爆発物の危険にさらされていることから、シリアにおける青少年の主な死亡原因になっているのは紛争だと言われています。

子ども兵士

シリア内戦では2017年に961人の子どもが徴兵・徴用されており、これは2015年の約3倍の人数です。
そして徴兵・徴用された子どもの10人に9人が戦闘に従事しているとされています。

例えば12歳以上の子どもたちは軍事訓練を受け、情報提供者(密告者)にさせられたり、見回りやチェックポイント、重要な地域を守るための要員として従事させられます。
さらにひどい場合は、自爆テロ犯や処刑執行者に子どもが徴用・使用させられていることもあるのです。

(出典:日本ユニセフ 公式サイト)

シリアの人々を助けよう


今回の記事では、シリア内戦が起こった原因や現状、子どもたちの被害などについて詳細に説明しました。

紛争地域では、想像すらできない程の過酷な現状に苦しんでいる人々が数多くいます。また、現在も満足に食事を摂ることすらできない人たち、紛争の消耗品として使われる恐怖と戦っているのです。

まずは起きている現状を知り、支援活動を行っている団体を応援することから始めてみてはいかがでしょうか。

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