世界では食糧問題が大きな社会問題となり、その問題により飢餓に苦しむ人が発展途上国を中心に後を絶ちません。
日本で暮らす私たちには満足な食事がとれず健康が脅かされる心配はあまり身近にはありませんが、飢餓で苦しむ世界の人々はどのような環境にあるのでしょうか。
また、そこで暮らす子どもたちにはどのような問題があるのでしょうか。
子どもたちを苦しめる飢餓状態。
飢餓に耐える子どもたちの実状や支援方法は?
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世界の食糧問題や飢餓の実状は?
飢餓とは「長期間にわたり食べられず栄養不足になり、生活と生存が困難な状況」と定義されています。
突発的な飢饉は、紛争によって所有していた農地を追い払われたり、自然災害などで食物が凶作に見舞われたりすることで、一時的に食糧が不足し栄養不足に陥ることです。
また慢性的な栄養不足に悩まされている国では、農業の生産性が低い、雇用賃金が安いなどの国全体の社会システムの課題なども関係しているのです。
慢性的な飢餓は、突発的な飢餓と比較するとニュースで取り上げられることが少なく、支援そのものも後回しにされてしまうという現実もあります。
2017年現在の全世界の飢餓人口は、8億2,100万人を超え、9人の1人の割合でこの問題に直面しているのです。
(出典:国連食糧農業機関(FAO)「世界の食糧安全保障と栄養の現状2018 」)
(出典:ハンガー・フリー・ワールド「飢餓とは」)
世界の食糧が足りないわけではない
食糧が不足するために起きる「飢餓」ですが、世界的な統計を見ると食糧が足りないわけではありません。
2019年に国連食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、世界の穀物生産量は26億トンとされており、世界の人口が約76億人とすると、26億トン÷76億人で一人当たりの消費できる量は年間おおよそ340キロとなります。
日本人が食べている穀物は、2017年の国民健康・栄養調査によると154キログラムであり、それと比較しても十分な穀物が生産されていることになります。
(出典:ハンガー・フリー・ワールド「世界の食料事情」)
どうして食糧不足になるの?
」
世界では毎年、食用に生産されている食糧の3分の1に当たる13億トンが破棄されています。
この問題は世界共通で存在し、日本などの先進国は「食べ残し」や「賞味期限切れ」など消費段階で食べ物が捨てられます。
また、開発途上国では多くの穀物を生産できても「適切に保管できない」「加工するための技術がない」という理由で、必要な人に届く前に無駄になってしまうのです。
また、食糧を廃棄する際に発生する温室効果ガスの量も問題になっており、国連食糧機関(FAO)が発表した2018年のデータでは、世界で排出される温室効果ガスの8%がフードロスが原因と言われています。
温室効果ガスの増大によって、大きな被害を受けるのは異常気象によって食べる物を作る環境が厳しくなる開発途上国や最貧国に住む小規模な農家なのです。
- 2017年現在の全世界の飢餓人口は、8億2,100万人を超え、9人の1人の割合でこの問題に直面している
- 食糧が不足するために起きる「飢餓」だが、世界的な統計を見ると食糧が足りないわけではない
- 世界では毎年、食用に生産されている食糧の3分の1に当たる13億トンが破棄されている
(出典:みんなで食べる幸せを「世界の食糧問題」,2019)
子どもたちの食糧問題は深刻
子どもたちにとって食糧不足は大きな問題となります。
2018年に発表された「世界の食料安全保障と栄養の現状」によると、5歳未満の子ども1億5,100万人が栄養不良による低身長で、アジアでは低体重児の割合が高く、子どもの10人に1人が低体重児となっています。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「世界の飢餓人口の増加続く最新の国連報告書」,2018)
食糧不足が引き起こす学校の問題
食糧を満足に食べられないことが原因で、学校に通っていても勉強に集中することができません。
また、弟や妹を抱えている場合、ご飯を食べさせるために学校を辞めて両親の仕事を手伝う家庭も多いのです。
しかし、教育を受ける権利が失われてしまうと、目先のご飯を食べるために働くスパイラルから抜け出せなくなります。
食事を満足に得られない社会は、子どもたちの未来を閉ざしてしまう一因にもなるのです。
- 5歳未満の子ども1億5,100万人が栄養不良による低身長で、アジアでは低体重児の割合が高く、子どもの10人に1人が低体重児
- 教育を受ける権利が失われると、目先のご飯を食べるために働くスパイラルから抜け出せなくなる
- 食事を満足に得られない社会は、子どもたちの未来を閉ざしてしまう一因にもなる
(出典:みんなで食べる幸せを「世界の食糧問題」,2019)
日本の食糧事情
日本国内での食品ロスは年間で約646万トンです。これは、2015年に国連世界食糧計画(WFP)による食糧援助量の約380万トンの1.7倍になります。
1人当たりの年間食品ロス量は51キログラムで、これは1人当たりの米の年間消費量である54キログラムに匹敵します。
日本はほとんどの食料資源を輸入に頼っています。
その一方で、大量の食品ロスを生み出しているのです。
- 日本国内での食品ロスは年間で約646万トンで、2015年に国連世界食糧計画(WFP)による食糧援助量の約380万トンの1.7倍
- 日本はほとんどの食料資源を輸入に頼っている一方で、大量の食品ロスを生み出している
(出典:消費者庁「食品ロス削減関係参考資料」,2018)
食糧問題を解決するための支援とは?
日本は、食糧不足に陥っている開発途上国に対して食糧援助をしています。二国間食糧援助として2016年に15ヶ国に対して総額43.4億円の支援をし、日本政府米などの穀物を約7万トンを提供しました。
(出典:外務省「2017年版開発協力白書 食料安全保障および栄養」)
食糧不足を減らす活動
日本から開発途上国に向けて、食糧支援の活動が行われています。
例えば缶詰や加工食品、米などの穀物、ギフト商品などを寄付して海外に届ける活動や、小さな子どもたちが口にする栄養食品などを継続的に支援する活動などが継続されているのです。
また食糧支援という形ではなく、本来は食べられるものを捨ててしまう「フードロス」をなくす取り組みも個人の意識で必要になるでしょう。
日本でフードロスを減らしていくことはもちろん、現在は開発途上国にスタッフが出向いて農作物の貯蓄技術や多様な農作物の育て方などを伝えていく活動もスタートしています。
開発途上国で起きるフードロス問題を解決する支援も行われています。
1万円で数百袋の栄養補助食を提供可能に
実際に現地に赴くボランティアは時間、個人の仕事の兼ね合いですべての人ができることではありません。
多くのNPO・NGOでは開発途上国の支援を行う寄付を受け付けています。
一人ひとりが小さな金額でも、大勢の寄付が集まれば大きな力となります。
現地に赴くことができなくても、寄付によって少額のお金の積み重ねが開発途上国の子どもたちを救うのです。
- 日本は、食糧不足に陥っている開発途上国に対して食糧援助をしている
- 開発途上国で起きるフードロス問題を解決する支援も行われている
- 小さな金額でも、大勢の寄付が集まれば大きな力となる
食糧不足の現状を知り、私たちにできることを考えよう
世界の開発途上国は紛争、異常気象、農業の技術不足などによって飢餓・食糧問題は深刻化しており、 多くの子どもたちは栄養を補給することができずに、教育すら受けられない厳しい現実を抱えています。
病院に行く、スーパーで買い物をする、学校に行くという日本の当たり前を経験すらできない子どもたちがいます。
生まれた場所が違うだけで、ここまでの大きな格差が存在している現実があります。
支援の第一歩として、発展途上国の飢餓・食糧問題について知ることから始めましょう。
日本の多くの団体が発展途上国の問題を解決するための寄付やボランティアを募っています。
あなたの小さな支援の一歩が子どもたちや開発途上国の人たちの光になるのです。