動物に怪我をさせる、あるいは怪我させる恐れのある行為や、命を奪うことは虐待となります。
動物虐待は、事件として扱われてきたものもありますが、この動物虐待は罪になるのか、そして罰則はあるのかなどを、この記事で説明します。
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動物虐待は罪になる?
結論から言えば、動物虐待は罪になります。
これは動物愛護管理法に定められており、そのなかで罰則を伴う罪であることが明記されているのです。
この動物愛護管理法は2000年に施行されていますが、すでにこの法律によって罪に問われ、罰則されている事件がいくつもあります。
動物愛護管理法は、以下を基本原則として運用しています。
すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。
(引用:環境省「動物愛護管理法」)
この法律では動物取扱業者の規制だけでなく、一般的な飼い主に対しての義務や努力義務なども規定されており、遵守されない場合は罪に問われることになります。
また動物愛護管理法によると虐待は、以下のように定められています。
動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいい、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。
(引用:環境省「虐待や遺棄の禁止」)
※2020年12月時点
動物虐待の罪への罰則とは
動物虐待は罪である以上、違反者には法律に基づいた罰則が課せられます。
動物愛護管理法によれば、動物を虐待したり捨てることは犯罪であることが明記されており、罰則としては懲役や罰金に処されます。
愛護動物をみだりに殺したり傷付けた場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が課せられます。
また愛護動物に、みだりに外傷の恐れがある暴行を与える、その恐れのある行為、餌や水を与えないことで衰弱させるなど虐待を行った場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。
加えて、愛護動物を遺棄した場合にも同様に、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。
愛護動物は、牛や馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる、そのほか、哺乳類、鳥類又は爬虫類が含まれます。
このように明確な罰則基準があり、特に動物虐待のなかでも殺傷については厳しい罰が下されます。
(出典:環境省「虐待や遺棄の禁止」)
(出典:法務省「死刑を法定刑に定める罪(参照条文)」)
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厳罰化された動物虐待の罪
動物愛護管理法は2000年に施行されて以降、2020年までに3回の改正が行われました。
そのなかでも罰則の強化などが2019年に行われ、2020年6月から一部の改正が施行されています。
罰則の強化も含め、その改正内容を見てみると、犬や猫の繁殖の防止が義務化されました。
これまでは努力義務だった繁殖制限措置が、適正飼育が困難な場合などにおいて、義務化されています。
そもそも適正飼育が困難である状況は、動物への虐待に当たるとされているため、遵守されなければ処罰されます。
罰則内容についての強化は、殺傷は5年以下の懲役または500万円以下ですが、改正前は2年以下の懲役または200万円以下の罰金とされていました。
改正前でも重めの罰ではありましたが、問題をさらに重く見られたことから改正されています。
衰弱などの虐待、遺棄についても、改正前は100万円以下の罰金のみでした。改正後は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と懲役が追加されていることから、これも重い罪へと改正されたことが分かります。
動物虐待が罪であり法律に違反する以上、このような事案は警察や地方自治体が扱うことになります。
もし虐待を見かけた、あるいは虐待の疑いがある場合は速やかに地域の警察や地方自治体、動物愛護センターに連絡しましょう。
疑いの場合は通報しにくいかもしれませんが、相談という形で連絡することもできます。
また、住んでいる地域によってはアニマルポリスなどの専用窓口が設置されているところもあるので、一度調べてみると良いでしょう。
(出典:瀬戸内市「動物の遺棄・虐待は犯罪です!(罰則が強化されました!)」,2020)
動物虐待の現状と過去にあった罪への罰則について
動物虐待については、2000年に動物愛護管理法が施行されて以降、その検挙件数が増減はあるものの、年々増加傾向にあります。
これまでも逮捕・送検されて通常受理された件数は数件から十数件ありましたが、2000年の14件から、2017年には109件にのぼっています。
これまで犯罪として取り締まられていなかった、動物虐待が行われていたにも関わらず見て見ぬ振りをされていたとも捉えられます。
また法律として認知された、あるいは法律の施行により徐々に通報する人が増え、検挙されるに至ったなどの背景があるとも考えられます。
いずれにしても相当数の虐待や遺棄が起こっていることが分かります。
さらにメディアで取り上げられている数を見てみると、2013年から2018年までで特に凶悪とされる殺傷事件は72件もありました。
虐待でも11件、多頭飼育による飼養環境の悪化などが8件、遺棄が16件も同様の期間に報じられています。
もちろんメディアで報道されていない事件もありますが、動物虐待を伴う事件がそれだけ起きているのです。
近年起こった事件のなかで、すでに刑罰が確定した判例についても触れておきましょう。
ただし罰則が強化されたのは2020年6月からのため、それ以前の判例であることは念頭に置いておいてください。
2017年11月に奈良県で起きた猫の殺傷事件では、猫1匹に対してその身体を多数回にわたり床に叩きつけるなどの打撃を加え、多発外傷による外傷性ショックで死亡させ、廃棄物として死体を遺棄されています。
また同年12月にはほかの猫を同じく頭部を床に叩きつけるなどの打撃を加えて、頭部損傷による硬膜外出血および脳浮腫によって死亡させ、死体を廃棄物として遺棄した罪に問われています。
この罪に対しての刑罰は廃棄物処理法との併合罪による量刑で、懲役1年執行猶予3年に処されました。
2018年4月から6月にかけて名古屋で起きた虐待事件では、みだりに猫の排泄物が堆肥した場所で、猫45匹を飼養していたことで虐待の罪に問われています。
この裁判では、罰金10万円の略式命令がなされました。
あくまでもこれらは一例であり、また動物愛護管理法の改正後は同じ事件であっても重い罪に問われる可能性があります。
(出典:環境省「動物の虐待事例等調査報告書」,2018)
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動物虐待は罪であるという認識を
動物虐待は場合によっては発覚しにくい事件でもあります。
室内飼いされている動物に関しては、外でその様子を伺うことはできませんし、死んでいたとしても外部の人が気付くことはなかなか難しいです。
それゆえに難しい問題ではありますが、放置しておいて良いわけではありません。
動物も私たちと同じように命がある存在です。
しかし動物たちが自ら虐待を訴えることはできません。そのため、周辺にいる私たちが気付いたときには通報や相談を行うことで、救える可能性が高くなります。
動物虐待は犯罪です。だからこそ犯罪を見過ごすことなく、犠牲となる命を減らせるように、そして最終的には動物虐待がない社会となるように一人ひとりが取り組んでいきましょう。