動物虐待の判例、実際に下された刑罰など紹介

動物虐待

動物虐待の判例、実際に下された刑罰など紹介

私たちの身近でも起こり得る動物虐待は、改正された動物愛護管理法によって、以前よりも厳罰化されることになりました。

この記事では、過去に起きた動物虐待の判例、実際に下された刑罰などを紹介します。
動物虐待によって下された判例を知り、動物虐待の深刻さや、私たちが動物たちのためにできることは何かを考えていきましょう。

動物虐待の現状は?私たちにできることはある?

動物虐待を防ぐためにある動物愛護管理法

動物虐待を防ぐためにある動物愛護管理法
動物愛護管理法は、基本原則を以下のように定めています。

すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。

(引用:環境省「動物愛護管理法の概要」)

動物愛護管理法の対象となる動物は、家庭で飼われる動物だけではなく、展示動物や畜産動物、実験動物など人間に飼育されている動物です。

※2021年1月時点

動物に対する愛護と管理の重要性

人間と動物が共生していくには、動物への愛護と管理を行うことが重要です。
しかし、ただ動物を可愛がるだけでは動物と人間が共生していくことは難しく適切な管理が求められます。

動物は人間の命や身体を傷付けることがあるだけではなく、騒音や悪臭など生活環境に支障をきたす場合もあるのです。人間が適切に管理をすることで、他者に対する侵害や生活環境の支障を防ぎ、安全な生活を送ることにつながります。

私たちは、動物と適切な関係で共生していくためにも、動物愛護と管理の2本の柱で動物と暮らしていく必要があるのです。

動物の遺棄・虐待は犯罪行為

動物の遺棄・虐待は犯罪行為です。
これらは動物愛護管理法に基づいて処罰が下され、動物愛護管理法の改正によって2020年6月1日からは動物虐待・遺棄に対して厳罰化されるようになりました。

動物虐待行為となるのは、動物をむやみに死傷させる暴力行為や心理的抑圧行為だけでなく、必要な世話の放置や多頭飼いによる不衛生な環境での飼育などネグレクトも当てはまります。

改正された動物愛護管理法に基づき、動物虐待では愛護動物をみだりに死傷させた場合には5年以下の懲役または500万円以下の罰金、愛護動物への虐待・遺棄した場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられるようになりました。

※2021年1月時点

  • 動物愛護管理法では、家庭で飼われる動物だけではなく、展示動物や畜産動物、実験動物など人間に飼育されている動物も対象になる
  • 人間と動物が共生していくには、動物への愛護と管理を行うことが重要
  • 動物虐待では愛護動物をみだりに死傷させた場合には5年以下の懲役または500万円以下の罰金、愛護動物への虐待・遺棄した場合には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられる
  • (出典:環境省「動物愛護管理法」)
    (出典:環境省「動物愛護管理法の概要」)
    (出典:群馬県「動物虐待の定義」)
    (出典:環境省「動物の愛護及び管理に関する法律のあらまし」)
    (出典:東京都福祉保健局「動物の虐待等に対する罰則が強化されました」)

    動物虐待の判例にはどんなものがある?

    動物虐待の判例にはどんなものがある?
    動物虐待における検察での通常受理件数は、2000年には14件あったものが、2017年には109件にまで膨れ上がっています。すべて起訴されたわけではなく、不起訴となったものもあり、必ずしも罰則を課せられたわけではありませんが、動物虐待の判例は増えているのです。

    次に、過去の動物虐待の判例を紹介します。

    動物虐待による殺傷の判例

    動物虐待の殺傷における判例を紹介します。

    猫の死傷による判例

    2017年、猫1匹の身体を多数回にわたって床に叩きつけるなどし、多発外傷による硬膜外出血及び脳浮腫により死亡させたとして、逮捕される事件がありました。

    この判例では、みだりに猫を殺し、廃棄物である動物の死骸を捨てたとして、動物愛護管理法と廃棄物処理法の併合罪によって懲役1年(執行猶予3年)との判決が奈良地方裁判所にて下されています。

    馬の死傷による判例

    2016年、北海道にて飼育する馬に向けて猟銃を発射し、死亡させたとして動物愛護管理法違反として逮捕される事件がありました。
    理由なく飼育していた馬を殺したことで、この判例では懲役1年(執行猶予4年)の判決が下されることになりました。

    動物虐待のネグレクトなどの判例

    動物虐待は暴力行為などによる死傷だけでなく、ネグレクトのような虐待も当てはまります。
    虐待の判例を紹介します。

    猫の虐待による判例

    2018年に名古屋で起きた虐待事件では、45匹の猫を排泄物が堆積した場所で飼育したとして、動物愛護管理法違反で被告人2人に略式命令が下されました。
    この判例では、両名ともそれぞれ10万円の罰金を課せられています。

    犬の虐待による判例

    2018年に岐阜県で起きた虐待事件では、被告人の所有する物件で2匹の犬に対し、エサや水を与えずに衰弱させました。また排泄物が堆積した場所で飼育したとして、動物愛護管理法違反として判決が下され、罰金10万円が課せられています。

  • 動物虐待の通常受理件数は、2000年の14件から2017年には109件にまで膨れ上がっている
  • 動物虐待は暴力行為などの死傷だけではなく、ネグレクトのような虐待も当てはまる
  • (出典:環境省「動物の虐待等の判例等」)

    動物虐待が疑われる行為を発見したらどうすれば良い?

    動物虐待が疑われる行為を発見したらどうすれば良い?
    動物は人間とは違い言葉を話せません。室内で飼われている場合、動物虐待はなかなか気付きづらいものです。
    しかし、犬や猫のストレスサイン(過剰に鳴く、落ち着きがない、身体を過度に舐めて毛が抜けるなど)や多頭飼育による生活環境の乱れ(動物が健康的ではない、清潔ではなく手入れが不十分など)に注意をすることで、動物虐待が疑われる行為を発見することができます。

    しかし動物虐待が疑われる行為を発見しても、どうすれば良いのか分からないという人もいるでしょう。
    次に、動物虐待が疑われる行為を見つけたときにすべきことを紹介します。

    地域で情報共有

    動物への虐待が疑われる行為を見つけたら、地域で情報共有することが大切です。
    例えば、回覧板などで周知を行い、自治会で話し合うことで、地域で情報共有をすることができます。
    地域で情報を共有することで、多くの人々の目に動物虐待が周知され、動物虐待の発見や再発防止にもつながります。

    地方自治体に連絡

    動物愛護センターなどでは動物虐待をされた動物を保護することが可能です。
    動物虐待・遺棄など疑わしい行為を見つけたときは、発見した場所の都道府県・市町村の動物愛護センターや動物保護窓口などに相談・連絡をするようにしましょう。

    警察に相談または110番通報

    動物は自分の意思で虐待が行われていることを訴えることができません。
    特に緊急性のある動物虐待を発見した場合は、警察に110番通報を行うようにしましょう。
    また、虐待だと確証が持てない場合でも、動物の命を守るために警察に相談することも大切です。

  • 動物虐待を見つけたら、地域で情報共有することが大切
  • 動物虐待を発見した場所の都道府県・市町村の動物愛護センターや動物保護窓口などに相談・連絡をする
  • 緊急性のある動物虐待を発見した場合は、警察に110番通報する
  • (出典:環境省「知っていますか?動物愛護管理法」)
    (出典:環境省「地方自治体動物虐待等通報窓口一覧」)

    動物虐待の過去の判例から学ぶ

    動物虐待の過去の判例から学ぶ
    動物虐待の判例が増えてきたことによって、私たちの周りで動物虐待が行われていることが明確になってきました。
    人間と動物が共生する社会の実現を目指すために、飼い主としての義務を理解することが大切です。動物たちの命に最期まで責任を持ち、動物による他人への迷惑行為の防止、感染症の予防や繁殖制限などの対策を行う必要があります。

    また、動物虐待・遺棄が犯罪であることを理解し、犯罪につながる行為はさせない、動物虐待・遺棄を見つけたら相談・通報しなければいけません。そのために相談・通報できる相談先を把握しておくことも大切です。

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