動物虐待の逮捕件数は?逮捕事例も合わせて紹介

動物虐待

動物虐待の逮捕件数は?逮捕事例も合わせて紹介

動物虐待は、私たちの身近で起こっているかもしれない犯罪です。
人よりも弱い立場である動物が、人によって傷を伴う暴行などを受けていたり、餌や水などを充分に与えられず不適切な環境で飼育されていたりしていても、室内で起こっていてはなかなか気付けません。
しかしこれらは犯罪として取締りを受け、逮捕される事件です。

この記事では、動物虐待による逮捕件数や、その逮捕事例を紹介します。

動物虐待の現状は?私たちにできることはある?

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動物虐待で逮捕されるの?

動物虐待で逮捕されるの?
動物虐待とは、動物愛護管理法によって以下のように定められています。

動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいい、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。

(引用:環境省「虐待や遺棄の禁止」)

これは人にも言えることですが、虐待をされると酷い苦痛を伴い、最悪の場合は死に至ります。
特に弱い立場にある子どもや高齢者に対して行われることがありますが、動物もまた逆らえず弱い立場にある存在です。
そのような存在に対して、虐待が行われてしまう現実があります。

また動物の遺棄は、飼い主としての責任を放棄して捨てることであり、飢えや乾きなどの苦痛を与えます。そのため、遺棄も虐待の一つであると考えられているのです。
動物虐待は社会的な問題としても取り上げられてきました。そこで2000年には動物の虐待を防止するため、動物愛護管理法が施行されました。

動物愛護管理法には動物取扱業者だけでなく、動物を飼う一般的な飼い主に対してのルールも記されています。
さらに2020年までに3回の改正が行われ、ルールの追加や罰則の強化などが行われました。

これは法律の施行以降、逮捕件数や動物に対しての凶悪犯罪の増加が背景として挙げられます。
詳しい内容は後述しますが、虐待は動物への被害だけでなく、虐待の一つである遺棄も農業被害や生態系の破壊など大きな社会問題にも発展していることから、より厳しい処罰が下されるようになりました。

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動物虐待による罰則

動物虐待を行った場合、どのような罰則に処されるのかも簡単に紹介します。

動物をみだりに殺傷した場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処されます。
また愛護動物をみだりに傷付ける、その恐れがある行為、餌や水を与えないことで衰弱させるなどの場合、愛護動物を遺棄した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。

これは2019年に行われた改正によって変更されており、改正前より厳罰化していることから、より重い罪となりました。また重要な問題として捉えられていることが分かります。

※2020年12月時点

  • 遺棄も虐待の一つとされている
  • 2000年には動物の虐待を防止するため、動物愛護管理法が施行された
  • (出典:環境省「虐待や遺棄の禁止」)

    動物虐待の逮捕・送検件数と逮捕事例

    動物虐待の逮捕・送検件数と逮捕事例
    動物愛護管理法の成立と施行以降、動物虐待についての逮捕・送検、そして検察での通常受理件数は2000年から2017年にかけて増加傾向にあります。

    2000年には14件の通常受理件数が2002年には39件にまで増加しています。その後2年は減少したものの、2005年には45件、翌年には46件にまで増加しました。
    さらに2008年には72件となり、そこからは40~50件程度で推移していましたが、2015年には89件、2016年には94件、2017年には109件と毎年過去最高を更新しています。

    これらはすべて起訴されたわけではなく、不起訴となった事件もあるため必ずしも罰則に処されたわけではありません。
    しかし疑いがあり、逮捕・送検された事件がこれだけあるという事実が数値として現れています。

    2000年以降増加したのは、法律の施行以前にもこのような事件はあったものの、ルールとしては記されておらず、また罪としても定かでなかったことから、黙認されていたものもあるのかもしれません。
    動物愛護管理法の施行によって罪に問われるようになったことで、逮捕件数が増加したとみられます。

    また動物虐待の発覚、逮捕のきっかけは周辺住民による苦情や通報によるものが多いです。
    実際に事例のなかでも住民からの苦情や通報がきっかけで発覚したものも含まれています。
    動物への虐待を防止するという機能が正常に働き、このような逮捕・送検数になったともみられます。
    近年、起こった動物虐待事件のなかで逮捕事例となったものをいくつか紹介します。

    動物虐待による逮捕事例:殺傷

    殺傷を伴う動物虐待を行い逮捕された事例はそれほど多くありません。
    事件が発生しても犯人特定には至らず、未だに捜査中というものが多いためです。

    2017年の奈良市で起きた事件では、犯人が逮捕されました。この事件は、飼っていた子猫を痛めつけて殺し、死骸を奈良市内の公園に遺棄したことで罪に問われています。
    男性はインターネットを使い猫を譲り受け、その猫に暴力を加えたとみられ、猫の身体には皮下出血などがあったということです。

    死骸を遺棄したことから、動物愛護管理法違反だけでなく廃棄物処理法違反の疑いでも逮捕され、取り調べを受けています。
    また男性は死骸を遺棄した後、別の子猫を殺したとして、動物愛護管理法違反で再逮捕されています。

    動物虐待は飼い主から行われるものばかりではありません。同じく2017年に大阪府で起きた事件では、放し飼いの猫に向けて、近所に住む男性が運転していた車からエアガンを1発発射し虐待した疑いで逮捕されています。
    この事件は猫に向けたエアガンを打つ様子が写った防犯カメラ映像を飼い主がSNSに投稿したことで批判が広がっています。その後容疑者の男性を特定して書類送検されました。

    動物虐待による逮捕事例:虐待

    虐待として取り扱われた逮捕事例についても見てみましょう。

    2017年に北海道で起きた虐待事件では、5匹の猫の白骨化した頭部やふん尿を処理せず、9匹の猫を飼っていた女性が逮捕され、書類送検されています。
    適正な管理をせず繁殖によって猫が増え、世話ができなくなったことで猫を残したまま引越し、定期的に来ていた餌やりにも来なくなったという事件です。
    これは動物虐待として取り上げられ、女性は動物愛護管理法違反で書類送検され、猫は胆振総合振興局に引き取られています。

    同年に神奈川県では、24匹もの猫を飼っていた女性が、マンションで排泄物を処理しないまま不衛生な環境で飼っていたため虐待と認定されました。
    排泄の処理だけでなく、病気の治療なども行わなかったため、24匹のうち1匹は死亡し、痩せている猫、下痢をしている猫が複数いたということです。

    その後、猫は動物保護センターに保護されましたが、2018年に猫を取り返そうと女性が動物保護センターに侵入するという事件にまで発展しました。
    ただし当初は動物愛護管理保護法違反による逮捕ではなく、この動物愛護センターへの建造物侵入の疑いで逮捕され、その後の取調べにより動物愛護管理法違反の疑いで再逮捕されています。

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    動物虐待による逮捕事例:遺棄

    動物虐待は犬や猫などが多いですが、遺棄に関してはそれ以外の動物を捨てる事件もあります。

    2016年に東京都で起こった事件では、自宅で飼っていたハリネズミ1匹とリクガメ11匹が水槽に入れて捨てられていました。
    発見した人の通報により、警察が保護しています。容疑者である男性は86匹の小動物を飼っていましたが、アパートの管理業者から注意を受けたことで、そのほとんどを捨てたということです。
    警察は現場近くで見つかったトカゲやリスなど28匹を追加で保護すると同時に、男性を動物愛護管理法の愛護動物の遺棄の疑いで逮捕し、書類送検しています。

    2016年の鳥取県では男性が公園の緑地広場に飼っていた子犬17匹を遺棄し、犬を保護したという情報が警察署に寄せられ、事件が発覚しました。男性は動物愛護管理法違反の容疑で逮捕・書類送検まで至っています。
    また男性に犬を譲った知人女性は、狂犬病の注射を受けさせていなかったとして、狂犬病予防法違反の疑いで書類送検されています。

  • 通常受理件数は2017年には109件と毎年過去最高を更新した
  • 動物虐待の発覚、逮捕のきっかけは周辺住民による苦情や通報によるものが多い
  • 殺傷を伴う動物虐待は、事件が発生しても犯人特定には至らず、未だに捜査中というものが多い
  • (出典:環境省「動物の虐待事例等調査報告書」,2018)

    動物虐待は犯罪であり、逮捕される

    動物虐待は犯罪であり、逮捕される
    動物は一つの命を持ち、意思があります。たとえ弱い立場で言葉を介さないとしても、虐待して良い対象にはなりません。私たちと共生し、動物によってはパートナーとして生きていく存在です。

    その動物を虐待することは、たとえ法律に定められていなくても罪になり、実際には法律に記されていることから、逮捕され処罰されます。
    また自分が動物を虐待していなくても無関係ではありません。動物虐待を止められる可能性が広がるのは、私たちの協力によるものも大きいのです。

    動物虐待は見つけにくいものではありますが、もし気付くようなことがあれば、それが疑いであったとしても警察や地方自治体などに相談・通報し、虐待を減らしていけるように取り組むことも大切です。

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