動物虐待は身近なところから起こり得る問題です。それはペットとして飼っている動物の世話を怠るだけでなく、野生に生息している動物を殺傷したり、苦痛を与えることを指すため、容易に起こることがあります。
動物も命があり、意思を持っていますが、人を相手にすれば弱い立場となるため、彼らを守るためのルールが必要です。
この記事では、動物虐待に関する法律について紹介します。
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動物を虐待から守るための法律
動物は私たちと同じように命があり、意思を持ち、共存する存在です。
犬や猫は特にペットとして飼われることが多く、日々の生活をともに過ごすパートナーとなっています。
一つの命として、また家族として世話をされ幸せに暮らせるペットもいますが、必ずしもすべてのペットがそうであるとは限りません。
また野生動物においても、必ず人と共存できているわけではないのです。殺傷や虐待を受ける動物、無闇に命を奪われる動物、あるいは凶暴化し人を襲う動物などもいます。
人の言葉を介さず、すべての生活圏を重ねていないことから、法律としては限定的ではありますが、動物を守るための法律があるのです。
例えば野生動物は、その存在の弱さや、種類によっては個体数が減ってしまっている鳥獣を守るために鳥獣保護管理法があり、これには国や地方公共団体、事業者、民間団体、市民のそれぞれの役割などが定められています。
あるいは国内から動物を輸出する、国内へ動物を輸入する際の法律や、国際的な動物の取扱いに関する条約なども存在しています。
ただこれらはあくまで動物の保護という観点の規定であり、殺傷や虐待、遺棄についての法律はより細かくあります。それが動物愛護管理法です。
(出典:環境省「鳥獣保護管理法の概要」)
(出典:外務省「ペット等の輸出入について」)
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動物虐待を防ぐための法律である動物愛護管理法
動物愛護管理法は、2000年に施行されています。
1973年に制定した「動物の保護及び管理に関する法律」の名称変更がされ、一般的な飼い主に対しての規定も設けた「動物の愛護及び管理に関する法律」として生まれ変わりました。
動物愛護管理法は、基本原則として以下のように定められています。
すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。
(引用:環境省「動物愛護管理法の概要」)
つまり虐待をせず、適正な飼養や管理を行うことを定めた法律なのです。
2020年に至るまで3回の法改正がなされ、殺傷や虐待の事件や事例、時代の流れに合わせて内容の追加や変更が行われてきました。
一貫して行われているのは、「動物の飼い主等の責任」「飼養及び保管に関するガイドライン」「動物取扱業者への規制」などです。
また法律である以上、違反した場合には罰則がかけられます。これは規制を受ける動物取扱業者だけでなく、一般的な飼い主に対しても発生します。
それだけ動物の命への軽視が問題となっており、特に遺棄に関しては、保護や引き取り件数と合わせて深刻な状況になりました。
動物愛護管理法が施行された4年後の2004年の調査では犬猫の引き取り数は41万8,413匹にものぼり、そのうちの39万4,799匹が殺処分されています。
これは全国の合計数であり、それだけの犬猫が保護される、あるいは飼い主から引き取りを依頼されて保健所や動物愛護センターで保護されています。
しかし、引き取り数が増えれば殺処分せざるを得ない状況になってしまうのです。
このような問題から動物取扱業者だけでなく、一般的な飼い主の責任の所在を記し、違反者に罰則を与えることで厳罰化しています。
(出典:環境省「動物愛護管理法の概要」)
(出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」,2018)
動物虐待と罰則
動物虐待は、動物愛護管理法で以下のように定められています。
動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいい、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。
なお、食用にしたり、治る見込みのない病気やけがで動物がひどく苦しんでいるときなど、正当な理由で動物を殺すことは虐待ではありませんが、その場合でもできる限り苦痛を与えない方法をとらなければなりません。
(引用:環境省「虐待や遺棄の禁止」)
世話を怠るという意味では、遺棄も虐待の一つと考えることができます。世話をすることを放棄し、飼い主としての責任を果たさないことは、動物を危険にさらし、飢えや渇きなどの苦痛を与えることになるのです。
また野生化することで、近隣住民にも多大な迷惑をかけるだけなく、農業被害や外来種の場合は生態系の破壊などの問題にもつながります。
このように殺傷や虐待、遺棄は深刻な問題です。
そのため法律では、虐待や遺棄を犯罪とし、違反した場合には罰則として懲役や罰金を処します。
罰則としては愛護動物をみだりに殺傷した人に5年以下の懲役または500万円以下の罰金が課せらるのです。愛護動物を虐待した人、遺棄した人については1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
この場合の愛護動物とは、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるが該当し、一般的に飼育している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類が当たります。
※2020年12月時点
(出典:環境省「虐待や遺棄の禁止」)
動物虐待の現状とは
動物虐待のニュースはメディアで取り上げられることがあります。
それはどれも凄惨なものであり、虐待の事例はいくつも存在しています。
1973年から2017年までに動物愛護管理法に違反し、通常受理された件数を見ると2000年以降は徐々に増加していき、2000年に14件だった違反件数は2017年には109件まで増加しています。
これは虐待だけの件数に留まらず、殺傷や遺棄も含まれており、どれも動物に深刻な影響を与えるものです。
2017年に起きた動物虐待のなかで、報道されたものからいくつか事例を挙げて紹介します。
北海道登別市で起きた動物虐待
北海道登別市で起きた虐待事件では、白骨化した5匹の猫の頭部やふん尿を放置したまま、9匹の猫を飼っていた女性がいました。
適正な管理をしないまま繁殖によって猫が増え、世話ができなくなったことで猫をそのままにして引越し、定期的に来ていた餌やりにも来なくなったという事件です。
女性は動物愛護管理法違反で書類送検され、猫は胆振総合振興局に引き取られています。
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神奈川県川崎市で起きた動物虐待
神奈川県川崎市では、24匹もの猫を飼っていた女性が、マンションの一室で排泄物を適切に処理しないまま不衛生な環境で飼っていたため虐待と認定されました。
排泄の処理だけでなく、病気の治療なども行わなかったため、24匹のうち1匹は死亡し、痩せている猫、下痢をしている猫が複数いたということです。
その後、動物保護センターに猫は保護されましたが、2018年に猫を取り返そうと女性が動物保護センターに侵入するという事件にまで発展しています。
当人が動物虐待に当たらないと考えていても、法律に定める適正な飼養や管理が行われていなければ、それは虐待であり犯罪です。
そのような状況は明るみになっていないものも含めると、より多くの事例があるのかもしれません。
(出典:環境省「動物の虐待事例等調査報告書」,2018)
動物虐待から守るために法律を理解しよう
動物は私たちと共生する生命であり、パートナーとしても存在しています。
特にペットなど、私たちとともに暮らす動物の命は、飼っている人の責任のもと守られなければいけません。
動物愛護管理法は、そのための法律であり、遵守すべき規定です。
動物を飼うということは責任が伴い、法律に則った適正な飼養と保管の上で、それぞれの家庭に合ったコミュニケーションが必要となります。
動物虐待による違反者とならないため、そして何より動物たちの命を守るためにも、法律をしっかりと理解し遵守していくことが大切です。