動物虐待とは、動物に対して意図的に苦痛や苦しみ、ストレスを与える行為や、不適切な飼育・管理によって健康や命を損なう行為を指します。法律では暴力だけでなく、餌や水を与えない、劣悪な環境で飼うといった行為も虐待に含まれます。
動物虐待は様々な種類があり、私たちの身近でも起こり得る犯罪の一つです。しかし、動物虐待は室内で行われている場合も多く、深刻な状況であってもすぐに気付くことが難しい行為でもあります。
この記事では、動物虐待の種類やどんな行為が虐待にあたるかについて解説します。動物たちの命を守るためにも動物虐待について知り、一つでも多くの命を守っていきましょう。
「殺処分から犬たちの命を守る」
活動を無料で支援できます!
30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「殺処分から犬たちの命を守る」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!
設問数はたったの3問で、個人情報の入力は不要。あなたに負担はかかりません。年間50万人が参加している無料支援に、あなたも参加しませんか?
動物虐待に当たる行為
動物虐待は、動物の生命や身体を不当に傷つけたり、適切な世話を怠ったりする行為を指し、日本では「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」により、明確に禁止されています。法律上は、意図的に傷つけるような積極的な虐待だけでなく、世話を放棄するネグレクトや、捨てる行為(遺棄)も虐待とみなされる点が重要です。
ここでは、法的に虐待とされる行為の種類を3つに分けて紹介します。
積極的(意図的)な動物虐待
積極的(意図的)な動物虐待とは、動物に対して「やってはいけない行為を行う」「やってはいけない行為を行わせる」ことです。
例えば、殴る・蹴る・熱湯をかけるといった動物の身体に外傷が生じる可能性のある暴力的な行為や、恐怖を与えるといった心理的抑圧行為が積極的な動物虐待に当てはまります。
また、自ら暴力的な行為や心理的抑圧をかけるだけではなく、動物たちを闘わせたり、酷使したりすることも積極的な動物虐待に当てはまります。
日本に逃れてきた難民を正社員として雇用。エシカルなPCでSDGsに取り組みませんか?
消極的な動物虐待(ネグレクト)
動物たちへの虐待は、必ずしも身体的・精神的虐待だけではありません。ネグレクトや遺棄など、動物たちのために「やらなければいけない行為をやらない」ということも、動物虐待に当てはまります。
例えば、排泄物が溜まった場所やほかの動物の死体が放置された場所での飼育、動物たちの健康・安全が確保できない場所で拘束し衰弱させることは、ネグレクトに該当する行為として動物虐待として扱われています。また、動物たちの世話をせずに放置したり、健康管理をせず病気を放置したりすることも動物虐待です。
遺棄による動物虐待
飼っている動物を段ボール等に入れて遺棄することも、動物の飢えや渇きなどの苦痛を与えるだけではなく、動物を事故などの危険にさらすことも動物虐待となります。動物の飼い主は、一度動物を飼うと決めたら愛情を持って最後まできちんと飼わなければいけません。
- 動物虐待とは殴る・蹴る・熱湯をかけるといった動物の身体に外傷が生じる可能性のある暴力的な行為や、恐怖を与えるといった心理的抑圧行為
- 動物虐待とは動物たちを闘わせたり、酷使したりすること
(出典:環境省「飼育改善指導が必要な例(虐待に該当する可能性、あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考えられる例)について」,2018)
(出典:群馬県「動物虐待の定義」,2020)
(出典:別府市「動物虐待は禁止!!」)
(出典:環境省「動物の愛護及び管理に関する法律のあらまし」,2019)
動物虐待の種類にはどんなものがある?
一つでも多くの命を救うためには、どのようなことが動物虐待に当てはまるのかを理解していくことが大切です。
次に、一般家庭における動物虐待の種類や動物取扱業者における動物虐待の種類を紹介します。
一般家庭における動物虐待の種類
一般家庭では、積極的虐待およびネグレクトによって動物虐待が行われています。以下は一般家庭における動物虐待の種類別の具体例です。
積極的虐待 | 身体に外傷を生じる恐れのある暴力行為 | ・人為的に与えられた傷が身体の至るところにある |
---|---|---|
心理的抑圧・恐怖を与える | ・しつけや訓練と称して動物に対して暴力やケガを与える ・過剰なしつけや訓練による恐怖を与える |
|
ネグレクト | 健康管理をしない | ・十分なエサを与えず、栄養不良で骨が浮き上がって見える程痩せている ・病気やケガをそのまま放置している |
必要な世話をしない | ・エサを数日入れ換えず、食べることができない状態 ・水の入れ替えをせず、新鮮な水が飲めない状態 ・爪や毛が放置され、生活に支障がでる状態 |
|
劣悪な環境に置く | ・犬の糞尿やゴミなど飼育環境が不衛生で悪臭のある環境での飼育 ・狭いケージや短いリード、きつい首輪によって身体を休められない状況での飼育 |
動物取扱業者等における動物虐待の種類
動物虐待は一般家庭で行われているだけではありません。ペットショップやブリーダーで管理されている動物たちにも虐待が日常的に行われていることがあります。
以下は動物取扱業者などにおける動物虐待の種類と具体例です。
身体的虐待 | 身体に外傷を生じる恐れのある暴力行為 | ・しつけや訓練と称して暴力行為やケガを負わせる |
---|---|---|
心理的・心理的抑圧・恐怖を与える | ・過剰なしつけや訓練によって、恐怖を与える ・大音量の音楽や過度の照明で動物が休息できない状態 |
|
ネグレクト | 健康管理をしない | ・病気やケガをしていても治療を受けさせない ・出産後の母体が回復するまでの十分な期間を空けずに繁殖させる ・体調不良の動物を人間と触れ合わせる |
必要な世話をしない | ・エサを数日入れ換えず、食べることができない状態 ・水の入れ替えをせず、新鮮な水が飲めない状態 ・爪や毛が放置され、生活に支障がでる状態 |
|
劣悪な環境に置く | ・犬の糞尿やゴミなど飼育環境が不衛生で悪臭のある環境での飼育 ・狭いケージで動物が排泄物の上で寝ている ・ケージ内で動物を多頭飼いしている |
- 動物虐待は、一般家庭だけでなくペットショップやブリーダーで管理されている動物たちにも虐待が日常的に行われていることがある
(出典:環境省「飼育改善指導が必要な例(虐待に該当する可能性、あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考えられる例)について」,2018)
動物虐待が起こらない社会にするには?
動物虐待は私たちの身近でも起こり得る可能性がある問題です。動物虐待が起こらない社会にするためにも、私たち一人ひとりがより動物虐待に関する理解を深めていくことが大切です。
次に、動物を飼ううえで大切なモラルとマナーや、購入時に確認するべきポイント、動物虐待を見つけたときにすべきことを紹介します。
動物の飼い主が守るべきモラルとマナー
【簡単5分でスタート】毎日使う電力を節約しながら平和のために活動するNPO・NGOに自動寄付
飼い主には動物たちの最期まで愛情を持って飼育し、近隣や社会へ危害・迷惑をかけないようにする必要があります。環境省による動物の飼い主が守るべきモラルとマナーは以下の7ヶ条です。
- 動物の習性などを正しく理解し、動物が亡くなるまで責任を持って飼育すること
- 適切な飼育を行い、近隣社会への危害・迷惑の発生を防止すること
- 災害時の動物の命を守るために、災害への備えを行うこと
- 不妊去勢手術などの繁殖制限措置をとり、むやみに数を増やさないようにすること
- ワクチン接種など動物による感染症の知識を持ち、行動すること
- 動物が逃走・迷子にならないようにすること
- マイクロチップや迷子札など使い、動物の所有者を明らかにすること
人間と動物が共生していくためにも、飼い主は動物たちを適切な環境で飼育していく必要があります。
(出典:環境省「動物の愛護及び管理に関する法律のあらまし」,2019)
動物虐待を防ぐために確認すべきポイント
飼育する動物の入手先は様々ありますが、適切な動物取扱業者かどうかを確認してから購入することも動物虐待が起こらない社会にするためには必要です。
動物を購入するときに確認すべきポイントは、以下の通りとなります。
標識や名札(識別票)の有無 | 動物の販売は都道府県知事の登録を受けた業者以外は販売することができません。登録していない業者からは購入しないようにしましょう。 |
---|---|
ケージの広さや清潔さの確認 | 動物たちが生活するケージは十分な広さが必要であり、1日1回以上掃除を行う必要があります。守られていない場合は、動物虐待の一つとなります。 |
犬や猫の展示時間の確認(朝8時~夜8時まで) | 犬や猫は午後8時から朝8時までは、展示や販売、顧客との接触が禁止されています。 |
幼過ぎる動物の販売有無 | 離乳前の幼い動物の販売は、親元から離される動物に苦痛を与えてしまいます。そのため、離乳前の幼過ぎる動物(犬猫は生後56日未満)の展示・販売は禁止されています。 |
購入前の対面説明と現物確認 | 動物販売を行っている業者は、必ず事前に動物の健康状況やワクチン接種の有無などを顧客に見せる必要があります。また、飼い方や標準体重・体長など18項目にわたる説明を行う必要があるため、対面説明や現物確認ができない業者では購入してはいけません。 |
(出典:環境省「動物の愛護及び管理に関する法律のあらまし」,2019)
動物虐待を見つけたときは
動物虐待を見つけたときは、発見した場所の地方自治体(都道府県や市町村)の通報窓口や警察に相談・通報することが大切です。動物虐待は人間の虐待以上に見つけづらいものであり、確証を持てない場合もあるでしょう。
しかし、動物たちは自分の意思で虐待が行われていることを訴えることができません。そのため、動物虐待の確証が得られない場合であっても、虐待が疑わしい可能性がある限り、地方自治体や動物愛護センター、アニマルポリスなどに動物虐待の相談をすることが重要です。
- 発見した場所の地方自治体(都道府県や市町村)の通報窓口や警察に相談・通報する
- 虐待が疑わしい可能性がある限り、地方自治体や動物愛護センター、アニマルポリスなどに動物虐待の相談する
(出典:環境省「地方自治体動物虐待等通報窓口一覧」)
動物愛護活動を行う団体4選
動物虐待や遺棄といった問題は各地で後を絶たず、多くの命が救いを必要としています。こうした課題に対し、国内の動物愛護団体は保護や譲渡会の開催、啓発活動などに日々取り組んでおり、その活動はボランティアや寄付によって支えられています。
ここでは、動物愛護活動を行うおすすめのNPOをご紹介します。活動内容に加え、NPOの専門家や編集部による注目ポイントもあわせてご覧ください。

ピースワンコ・ジャパン(認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン):支援者とのコミュニケーションを大切にしながら「犬の殺処分ゼロ」の実現を目指す
ピースワンコ・ジャパンは、「犬の殺処分ゼロ」の実現を目指し、犬の保護・譲渡活動を行っています。自然災害や紛争の被災地支援活動を行う、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営しているプロジェクトです。
災害救助犬やセラピー犬の育成、正しい飼い方や動物福祉の考え方の啓発活動などにも取り組んでいます。
ピースワンコ・ジャパンは、今まで8,000頭以上の犬の命を救ってきました(2024年1月時点)。
プロジェクトの運営母体であるピースウィンズ・ジャパンは、広島県より認定NPOの認証を受けています。また、優れたソーシャルビジネスの取り組みを表彰する、日経ソーシャルイニシアチブの受賞歴もあります。
ピースワンコ・ジャパンは「犬と人がひとつになり、豊かな未来をつくろう」というメッセージを発信しながら、活動に取り組んでいます。
gooddoマガジン編集部の注目ポイント3つ!
- 活動報告や今後の方針などのメールがこまめに配信されたり、YouTubeを始めとしたSNSでの発信も頻繁に行われている。団体とのつながりを感じながら支援できる
- 「日本での犬の殺処分ゼロ」を目指し、まずは広島県内で殺処分機を2016年4月から現在まで止めている。日本という大きな枠でのミッション実現に向け、まずは1つの県で達成できているのは大きな成果。
- ピースワンコ・ジャパンの毎月の継続寄付の会員「ワンだふるサポーター」は63,000人。多くの共感を呼ぶプロジェクトをしている、という実感が持てる。
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【怪しい?】ピースワンコ・ジャパンの口コミ評判は?専門家に詳しく聞いてみた
ピースニャンコ(認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン):医療支援をもとに保護猫ボランティアをサポート
ピースニャンコは、保護猫ボランティアを医療面からサポートする活動を行っています。
自然災害や紛争の被災地支援活動を行う、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営しているプロジェクトです。保護犬を支援するプロジェクトにはピースワンコがあり、既に蓄積されたノウハウがあります。
ピースニャンコでは、動物病院での診療費支援や不妊・去勢手術の費用援助を実施。ピースワンコの譲渡センターを活用した医療支援を通じて、保護猫の健康管理をサポートしています。
保護猫ボランティアの負担軽減を図りながら譲渡促進にも取り組み、1匹でも多くの保護猫が新しい家庭で幸せに暮らせる未来を目指しています。
- 不妊・去勢手術の費用や治療費の支援で、猫の殺処分を減らしている
- 災害時の緊急保護や医療支援にも対応し、猫の命を守る体制づくりに取り組んでいる
- 保護猫ボランティアと連携しながら、現場の声を反映した支援の仕組みを広げている
公益財団法人どうぶつ基金:保護・避妊・啓発を通じて殺処分される猫を減らす
公益財団法人どうぶつ基金は、野良猫の繁殖を抑制するための無料不妊手術事業「さくらねこ活動」を中心に活動しています。また、多頭飼育崩壊の救済支援や保護猫の里親マッチング、動物愛護に関する普及啓発活動を通じて、人と動物が共生できる社会を目指しています。
35年以上の長い歴史があり、活動報告書や会計報告書を詳細に公開していることから、信頼性の高い活動実績を持つ団体です。殺処分ゼロを目指し、多様なボランティアが協力して取り組む点が大きな特徴です。
- 無料不妊手術(TNR)という方法で殺処分をなくし、動物が人や自然と自由に幸せに共生することができる世の中をめざしている
- 広報とロビー活動を積極的に行い課題を発信している
- 行政や他団体、獣医師、ボランティアとの連携・協働により活動を広げている
どうぶつ基金の口コミが知りたい方はこちら
>>どうぶつ基金は怪しい?活動実態や口コミ評判を調べてみた
特定非営利活動法人 犬猫みなしご救援隊:行き場のない犬猫専用の「終生飼養ホーム」を運営
一般家庭では飼養が困難な、引き取り手のない犬猫たちを積極的に保護し、命が尽きる時まで責任を持って育てる「終生飼養」や猫の譲渡活動、野良猫の不妊手術などを行っています。
動物と人間が共生できる明るい未来の実現を目指しています。
gooddoマガジン編集部の注目ポイント3つ!
- 障害や傷病を追っていたり、人になつかない野良犬や野良猫など、引き取り手のない犬・猫たちにの受け皿として、犬猫専用の「終生飼養ホーム」を運営している
- 犬や猫だけでなく、ウサギ、鹿、ハクビシンなどの動物の引き取りも行っている
- オリジナルグッズの購入を通して、活動を応援できる。エコバッグ、Tシャツ、書籍、サーモスボトルなど種類豊富
動物虐待の種類を知り、私たちにできることを考えよう
動物は言葉を話すことができず、虐待されていても訴えることができない弱い立場にあります。そのため、動物虐待が行われていても気付かれることがないまま、最期を迎えてしまう動物たちも少なくありません。
そんな動物たちのために私たちにできることは、動物虐待の種類を知り、まずは自分たちが動物虐待の加害者にならないことです。そして、動物虐待の疑いがある場合や動物虐待が行われていることに気付いた場合は、いち早く警察や自治体などに通報・相談することです。
ぜひこの機会に、動物虐待の種類を知って、私たちにできることを考えてみてはいかがでしょうか。
▼動物を救う活動を行っている団体
団体名 | 寄付アドバイザーが見た注目ポイント |
---|---|
ピースワンコ・ジャパン | gooddoマガジン編集部の注目ポイント3つ! ・活動報告や今後の方針、SNSでの発信も頻繁に行われている。団体とのつながりを感じながら支援できる ・「日本での犬の殺処分ゼロ」を目指し、まずは広島県内で殺処分機を2016年4月から現在まで止めている。日本という大きな枠でのミッション実現に向け、まずは1つの県で達成できているのは大きな成果 ピースワンコ・ジャパンの毎月の継続寄付の会員「ワンだふるサポーター」は63,000人。多くの共感を呼ぶプロジェクトをしている、という実感が持てる |
ピースニャンコ | gooddoマガジン編集部の注目ポイント3つ! ・医療面から猫の保護活動をしている ・災害時に保護猫の支援が可能 ・保護猫ボランティアとともに活動を広げている |
どうぶつ基金 | 寄付アドバイザーが見た注目ポイント! ・無料不妊手術(TNR)で殺処分をなくし、動物が人や自然と自由に幸せに共生することができる世の中をめざしている ・広報とロビー活動を積極的に行い課題を発信している ・行政や他団体、獣医師、ボランティアとの連携・協働により活動を広げている |
寄付先の選び方ガイド:河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
大阪マラソンチャリティ事務局担当や、国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。