飢餓に苦しんでいる地域は世界中で存在し、そこでは栄養不足によって多くの人が病気や死の危険にさらされています。
飢餓や栄養不足が深刻な国・地域の人々を救うためにはどうすれば良いのでしょうか。
飢餓や栄養不足がどのような状態を指すのか、また飢餓で苦しむ人々のための課題や必要な取り組みについて解説します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標2「飢餓をゼロに」のターゲットや現状は?
また、SDGsの達成や「飢餓のない社会」に貢献したいと少しでも思う人は、まずは30秒の無料支援をスタートしてみませんか?
約30秒のアンケートに回答いただくと、栄養失調を含む途上国の子どもが直面する問題に取り組む団体に10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!
\たったの30秒で完了!/
栄養不足とは
栄養不足には、人間の体が必要とする栄養素の必要量と摂取している量のバランスが適切でないときに発生します。
栄養不足は発展途上国や戦争、紛争が起きている国で特に多く見られ、食物摂取が不十分であることによる飢餓状態が主な原因です。
飢餓の状態の際に消化・吸収障害や強いストレスなどの代謝異常が加わるとさらに悪化しやすくなります。
栄養不足の状態が続くと体力の低下から免疫が弱まり、様々な病気にかかりやすくなるということに加えて、無気力・意欲低下が起こることで心身共に衰弱していきます。
体重の減少が続き、筋肉量の低下によって健康被害も拡大してしまうのです。
栄養不足によって何か特定の栄養素が不足することも病気の重症化に関連しています。栄養素はそれぞれが単体で成り立っているのではなく全体的なバランスによって健康を支えています。栄養不足の状態が続くとバランスが崩れて健康を害することになるのです。
例えばナトリウムが不足すると低ナトリウム血症という病気になりやすくなります。
眠気がとれない、倦怠感が続く、意識障害といった症状を起こすとされています。
栄養不足の診断はそれまでの病歴、食事状態、身体計測、血液生化学検査などを総合して行います。
食事の頻度や食事の内容、消化器官の状態のヒアリングが行われるほか、身体測定によって身長と体重を測定し、その数値によって体重年齢比、体重身長比、身長年齢比、BMIなどを導き出します。
飢餓による栄養不足が深刻な状況
国連FAOが発表した2018年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書によると世界中での飢餓人口は増加傾向にあることがわかりました。
2017年度では世界の約8億2100万人ほど、割合でいうと9人に1人が飢餓で苦しんでいるということになります。そしてその多くがアジア・アフリカに集中しており、5歳未満の子どもが発育阻害や消耗症などを引き起こしています。
以下がその数値データです。
2017年の世界の飢餓人口:8億2,100万人(以下は地域別の内訳)
地域 | 飢餓人口 |
アジア | 5億1,500万人 |
アフリカ | 2億5,650万人 |
ラテンアメリカとカリブ海諸国 | 3,900万人 |
症状 | 数値 |
発育阻害(年齢相応の身長に達していない状態)の5歳未満の子ども | 1億5,080万人(22.2%) |
消耗症(身長に対して体重が少なすぎる状態)の5歳未満の子ども | 5,050万人(7.5%) |
体重過多の5歳未満の子ども | 3,830万人(5.6%) |
貧血症状のある出産可能年齢の女性の割合 | 32.8% |
母乳だけで育てられている6カ月未満の乳児の割合 | 40.7% |
肥満の成人 | 6億7,200万人(13%/成人の8人にひとり) |
(出典:ユニセフ公式サイト「世界の飢餓人口の増加続く最新の国連報告書」)
(出典:国際連合食糧農業機関(FAO)「2018年版世界の食料安全保障と栄養の現状」)
飢餓の原因とは
飢餓が悪化している地域としては南米諸国やアフリカの諸地域が挙げられます。
アジアでは栄養不足の改善傾向にありましたが、近年では改善ペースが低下してきています。
これらの原因として考えられるのは「戦争や紛争」「景気後退による経済事情」のほかに「気象条件」といったものがあるとされています。
それは、降雨パターンや作物生育期に影響を及ぼす気候変動や干ばつや洪水などの極端な気象現象などといったものです。
気候の急激な変動は熱帯や温帯地域の主要な作物である「小麦」「米」「トウモロコシ」などの生産に被害を与えています。
南米諸国やアフリカの地域では降雨量や気温の変動に影響されやすい農業システムのところが多く、そのシステムに人口の大部分が依存しているために被害が大きくなるのです。
実際に農作物栽培地域における異常気温は近年継続して多くなっており、猛暑が頻繁かつ継続的に発生しています。また、雨季の開始時期や終焉時期が早まったり遅れたりすることで降雨量が偏ったりすることも食料の安定供給にダメージを与えています。
こうして食料の生産が不安定になるほど飢餓が進むとになるのです。
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
SDGsでは「飢餓をゼロ」にすることを目指す
飢餓は地域によってより大きく2つに分類されます。
1つは上記のような干ばつ、洪水、紛争などの突発的な原因によって起こる「飢饉」と呼ばれ、食料が急激に不足して飢餓状態が発生するというものです。
原因が解決するまでの一定期間、食料を支援することで緩和が可能です。
そしてより深刻なのがもう一つの「慢性的飢餓」です。
栄養不足で苦しむ人々のほとんどが慢性的飢餓によるもので、「飢餓ゼロ」を目指すのに大きな壁となっているのです。
慢性的飢餓の原因は、農業の生産性が低い、不公正な貿易が行われている、雇用賃金が低いことによって起きている問題です。その国や地域の政治、環境、歴史、教育などが複雑に絡んでおり、すぐに解決できないと考えられていることから後回しにされてきました。
そのため、人々はいつまでも安定して食料を手に入れることができずに栄養不足の状態が続くことになっているのです。これを解決するために長期的な観点から食料を安定して生産できるようなシステムを作り上げることが求められているのです。
具体的な取り組みとは
まず優先されるのは現在世界で貧しい暮らしを送っている人々への支援を強化することです。一時的に食料などを届けるだけでなく、自立を促して生産力、購買力を向上させることで、安定した生産と新しい需要や雇用を生み出せるようにすることが重要です。
そして生産体制を作り上げると同時に、流通システムも構築していかなくてはいけません。
生産から消費までの一連の流れを作ることで人々が適正な価格で食料を購入できるようにしていく必要があります。
しかし先述したように、世界全体で考えた場合、すべての人が栄養不足にならずに食べていけるだけの食料は生産されています。毎年生産されている40億トンの食料のうち約3分の1が廃棄されているためにこのような事態が起こっているのです。
その原因となっているのは先進国での大量廃棄と発展途上国での廃棄です。
発展途上国では生産はしたものの、交通インフラの未整備や貯蔵設備が整っていないことによって生産場所から消費地に届けられていないことがあるのです。そのため収穫された作物がそのまま腐ったりして廃棄されているのです。
食料問題の解決のためには単純に生産すれば良いということだけではなく、交通インフラや貯蔵、保存設備などの充実が欠かせないのです。
一人でも多くの命をみんなで救おう
現在世界の国や行政、非営利団体など様々な機関が、飢餓が起こっている国や地域に支援活動を行っています。
私たちは彼らが行う支援活動を寄付によってサポートしたり、日常の生活で食品ロスを減らすための取り組みを行うことで、飢餓によって苦しむ人々の力になることができます。
まずは世界で起こっている飢餓の問題を知り、何から始められるかを考えてみてはいかがでしょうか。