飽食の時代といわれる昨今ですが、その裏で飢えに苦しんでいる人はまだまだ大勢存在します。
それは、国内外問わず豊かだと思われている日本でも決して例外ではありません。
そんな中で、飢餓や貧困に苦しむ人を救おうと、数多くのNPO・NGOや制度が立ち上げられています。
「フードバンク」もその一つです。
子どもたちを苦しめる飢餓状態。
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世界の食糧問題と現状
国連世界食糧計画(WFP)は、「健康で活動的な暮らしを営むための十分な食糧を得られないこと」を飢餓と定義づけています。
健康的で活動的な暮らしとは、体格が年齢相応であり、栄養不足による病気をしていないことや、若い女性であれば、妊娠や授乳が可能かどうかも重要なポイントとなります。
国連WFPの定義によると、このような健康状態になければ飢餓状態ですから、単に食事を得ているだけでは飢餓ではないとは言えないのです。栄養がきちんと摂取できる、質のいい食事をすることが重要です。
国連の「世界の食糧安全保障と栄養の現状2018 」によると、2017年の世界の飢餓人口は8億2,100万人で、これは世界の9人に1人が飢えている計算になります。
さらに、発育阻害にある子どもの数は1億5,000万人にのぼります。
(出典:国際連合食糧農業機関(FAO)「世界の食糧安全保障と栄養の現状2018 」)
子どもたちの飢餓状態は深刻に
世界では、飢餓による栄養不足でたくさんの子どもが命を落としています。
2015年のユニセフの発表によると、5歳未満で亡くなる子どもの2分の1は栄養不良が関係しています。
たとえ命は助かっても、栄養不良による発育不良で知的障害を引き起こしたり、成長が不十分で大人になっても満足に働けないことも少なくありません。
(出典:ハンガー・フリー・ワールド「飢餓とは」)
世界の食糧が足りないわけではない
世界の穀物生産量は毎年26億トン以上となっており、世界中の人が十分に食べられるだけの食糧は生産されていると言われています。
国際連合食糧農業機関(FAO)の調査では、世界では食品の約30%が廃棄されていることがわかりました。
穀物をはじめ、食べ物は豊富にあるにもかかわらず、そのうち3割が消費されることなく廃棄処分となっているのです。これは、店頭や家庭の冷蔵庫で期限切れを迎えて廃棄されるほか、レストランなどの飲食店による食べ残しの廃棄が大量に発生していることによるものです。
- 2017年の世界の飢餓人口は8億2,100万人で、世界の9人に1人が飢えている
- 5歳未満で亡くなる子どもの2分の1は栄養不良が関係している
- 世界の穀物生産量は毎年26億トン以上となっており、世界中の人が十分に食べられるだけの食糧は生産されている
(出典:みんなで食べる幸せを「世界の食糧問題」,2019)
(出典:消費者庁「食品ロス削減関係参考資料 」,2019)
食料品を困っている人へ届けよう!「フードバンク」とは
飢餓や貧困に苦しむ人を救うための活動は、世界各国で行われています。
様々な機関やNPO・NGOがそれぞれのアイディアを出し、飢餓から一人でも多く救おうと日々励んでいるのです。
そのアイディアの一つにフードバンクがあり、これは、日本でも既に活用されているプロジェクトです。
フードバンクとは?
農林水産省によると、フードバンクとは、食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取って福祉施設等へ無料で提供する組織や活動のことを言います。
規定外の商品や過剰在庫など、企業や農家が出荷できない商品の提供を受け、必要な人の元へ届けています。
また、企業や農家などの製造、生産者から直接食料の提供を受けるほか、賞味期限がある程度近づいた食品の寄付を受けるなど、フードバンクへの協力は小売店まで広がりつつあります。
フードバンクのメリット
フードバンクには、たくさんのメリットがあります。
まず、食料の提供を受ける側は、栄養不良から脱することができます。また、食費の負担が減ることで、生活費にも余裕ができるでしょう。
受け取り先が児童養護施設等の場合、食品の提供を受けることで、本や遊具を揃えられるようになります。
食料を提供する側である企業や農家も、食料廃棄を減らせるという大きなメリットがあります。食料廃棄とは、ただ単にもったいないというだけでなく、莫大なコストがかかるものなのです。
例えば、廃棄するためにはまず規定に沿った分別をせねばならず、廃棄費用が必要となるため、フードバンクに寄付することによって、人手もコストも削減できます。
また、廃棄処分の際に排出される二酸化炭素(CO2)の削減にもつながるため、環境面でも大きなメリットがあるのです。
さらにフードバンクは、提供側と受け取る側以外に、行政にも大きなメリットをもたらします。
まず、自治体には備蓄食料がありますが、賞味期限が近づき、入れ替える際にフードバンクに提供することで、企業と同じく廃棄コストの削減ができます。
また、自治体では、生活困窮者に対して様々な制度を設け、支援を行っています。しかしフードバンクを利用することで制度を必要としなくなるケースが増え、その分福祉予算を別のところに回すことができるのです。
フードバンクの具体例
フードバンクでは、食品製造業者、卸業者、輸入業者等と提携し、余剰食料の寄付を募っています。
また、企業や農家から、本来処分されるはずの規格外商品の提供も受けています。
これらをフードバンクに貯蔵し、貧困に苦しむ一般家庭のほか、児童養護施設、女性シェルター、コミュニティーセンター、炊き出しなどに届けているのです。
集まった食料はフードバンクできちんとマッチングし、必要なところへ必要な分だけ届けるので、最終的に廃棄される心配もありません。
フードバンクに集まる食品は様々ですが、主に缶詰、加工食品、穀物、冷凍食品などが挙げられます。農家からは野菜や果物などの生鮮食品の提供も受けています。
なお、賞味期限の近づいた防災備蓄品の提供も受けていますが、フードバンクでは、期限に一ヶ月以上の余裕があるもののみの受け取りと定められています。
- フードバンクとは、食品企業の製造工程で発生する規格外品などを引き取って福祉施設等へ無料で提供する組織や活動のこと
- フードバンクは、提供側と受け取る側以外に、行政にも大きなメリットがある
- 集まった食料はフードバンクできちんとマッチングし、必要なところへ必要な分だけ届けるので、最終的に廃棄される心配はない
(出典:農林水産省「フードバンク 」)
(出典:消費者庁「災害時用備蓄食料の有効活用について」,2018)
(出典:セカンドハーベスト・ジャパン「食べ物の問題」)
フードバンクで子どもの命を救う
フードバンクの仕組みはとても単純で、余っているものを必要な人に届けるというだけのものですが、これによりもたらされるメリット、効果の大きさは計り知れないものでしょう。
すでに述べたように、フードバンクは廃棄のコスト削減や環境保護にもつながりますし、企業にとっては社会貢献となります。
何より、最も大きな効果は、子どもの命を救えることです。
十分な食事が摂れないことは、必要な栄養が得られないということであり、子どもにとっては心身の生育に関係するとても重大な問題です。
そのような子どもの元へ食料を届けることで、子どもの命が救われ、健康が保たれ、健全な成長が促されているのです。