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特定遺贈とは?包括遺贈との違い3つや発生する税金、注意点をわかりやすく解説

  • 2021年9月19日
  • 2023年12月4日
  • 寄付

「特定遺贈って何だろう」「包括遺贈との違いは?」と疑問に感じていませんか。

特定遺贈は遺贈の種類の1つであり、具体的な遺産を個別に指定して遺贈することです。この記事では特定遺贈について以下の内容をお伝えします。

  • ・特定遺贈とは
  • ・特定遺贈と包括遺贈の違い3つ
  • ・特定遺贈で発生する可能性のある税金
  • ・特定遺贈の注意点2つ

受遺者(遺贈を受ける人)の権利に違いがある包括遺贈との違いについても解説しています。遺贈することを検討しているなら、ぜひ本記事を最後までご覧ください。


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特定遺贈とは、具体的な遺産を個別に指定して遺贈すること

特定遺贈は遺贈方法のひとつで、「預貯金1,000万円」や「私が東京に所有している土地」など特定の遺産を指定して遺贈することです。

「○○にはこの財産を譲りたい」と誰にどの財産を遺贈するかの希望があるなら、特定遺贈を採用することになるでしょう。

遺贈は遺言者の死亡により効力を発するため、遺言書には特定遺贈だと分かるように書き残さなければなりません。

特定遺贈について詳しく見る前に、遺贈の全容をまず知りたい人はこちらの記事をご一読ください。

>>遺贈とは?贈与・相続との違いや手続きの流れ、注意点を解説!

特定遺贈は遺贈の1種とお伝えしましたが、もう1つの遺贈方法として包括遺贈があります。続いては特定遺贈と包括遺贈の違いを見ていきましょう。

特定遺贈と包括遺贈の違い3つ

特定遺贈と包括遺贈の主な違いについて、ここでは以下3つの違いを解説します。

  • ・遺産の分け方
  • ・遺贈を放棄できる期限
  • ・遺産分割協議への参加要否

特定遺贈と包括遺贈では受遺者(遺贈を受ける人)の権利にも違いがあるため、それぞれ詳しく見ていきましょう。

違い1.遺産の分け方

1つ目の違いは、相続財産をどのように分けて遺贈するかの違いです。

  • ・特定遺贈は、具体的な遺産を個別に指定して遺贈する
  • ・包括遺贈は、遺産の全体について割合を指定して遺贈する

特定遺贈が「預貯金○○円」など具体的な遺産を遺贈するのに対し、包括遺贈は「全財産の3分の1」など遺産の全体について割合を指定して遺贈します。

なお包括遺贈では、受遺者が相続人と同一の権利義務を有します。そのため、遺産に負債が含まれていると、包括受遺者は負債も引き継ぐと覚えておきましょう。

違い2.遺贈を放棄できる期限

遺贈を受けるか受けないか、遺贈を放棄できる期限も両者で異なります。

  • ・特定遺贈は、遺贈を放棄できる期限なし
  • ・包括遺贈は、相続開始から3ヶ月以内に申し立てが必要

特定遺贈は相続の発生後、いつでも放棄することが可能です。ただし、受遺者が遺贈を受けるか受けないかいつまでも決めないと、遺言の執行が先に進めなくなってしまいます。そのため、遺贈を承認するか放棄するかどうかの返答期日を遺言執行者が定める場合もあります。

包括遺贈の場合で相続放棄するときは、受遺者が被相続人(亡くなった人)の逝去を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てしなければなりません。

違い3.遺産分割協議への参加要否

遺産分割協議とは、遺産をどのように分け合うかの話し合いです。特定遺贈と包括遺贈で、遺産分割協議への参加要否が異なります。

  • ・特定遺贈では受遺者は参加の必要なし
  • ・包括遺贈では受遺者は参加を要する場合あり

特定遺贈では、受遺者は指定された個別の遺産を受け取るだけなので、遺言で指定されていない部分の遺産について、遺産分割協議に参加する必要はありません。一方、包括遺贈では、遺産全体の配分割合は指定されていますが、どの財産を誰が受け取るかについては決められていませんので、受遺者が複数いる等の場合に、遺産分割協議が必要となります。

以上が、特定遺贈と包括遺贈の主な違い3つとなります。遺産の分け方や遺贈を放棄できる期限、遺産分割協議への参加要否が異なる点を考慮しながら遺贈方法を検討してみましょう。

また包括遺贈との違い以外に、「特定遺贈ではどのような税金が発生するのか」という点が気になる人もいるでしょう。続いては特定遺贈の税金についてお伝えします。

特定遺贈で発生する可能性がある税金

特定遺贈で発生する可能性のある税金は、以下の通りです。

  • ・相続税(個人や法人格のない団体が受遺者の場合に課される)
  • ・法人税(非営利型法人以外の法人が受遺者の場合に課される)
  • ・不動産取得税(不動産を取得した受遺者に課される)
  • ・登録免許税(不動産を登記した受遺者に課される)
  • ・みなし譲渡課税(含み益のある株式などを遺贈すると相続人に課される)

上記のうち、不動産取得税以外は包括遺贈でも発生する可能性があります。「これほど税金がかかるのか」と思われたかもしれませんが、すべての税金が必ず発生するわけではありません。

それぞれの税金で課税される条件や納税者は異なるため、遺贈の税金について詳しくは以下の記事をご一読ください。

>>遺贈でかかる税金は5種類ある!相続税の非課税ケースや計算方法を解説

ここまでで、包括遺贈との主な違いや発生するかもしれない税金などが分かりました。続いては、特定遺贈の手続きをする際に注意しておきたい点を確認しましょう。

特定遺贈の注意点2つ

特定遺贈の注意点は以下の2つです。

  • ・特定遺贈だと分かるよう遺言書を作成する
  • ・遺留分に配慮した遺産配分とする

遺贈を希望通りに執行してもらうため、そして受遺者と相続人間のトラブルを避けるために意識しておきたい内容です。それぞれ具体的に見ていきましょう。

注意点1.特定遺贈だと分かるよう遺言書を作成する

1つ目の注意点は、特定遺贈だと分かるよう遺言書を正しく作成することです。

遺贈は遺言書の内容をもとに執行されます。そのため、遺言が曖昧な書き方だと、被相続人の想定とは違う形で遺贈される可能性も否めません。例えば、すべての財産について、一つひとつ特定して遺贈する遺言を作成しても、結局1人に全財産と全債務を承継することになれば、包括遺贈とみなされる可能性があります。

希望通りの遺贈を実現するためには、弁護士や司法書士など専門家へ相談しながら遺言の内容を決めると安心です。

さらに、遺言書の作成は公正証書遺言にするのも一つの手です。公正証書遺言は公証人が遺言書を作成するため、法的な不備が生じることはほぼありません。

専門家と相談して決めた遺言内容を公正証書遺言で作成すれば、希望に沿った形で特定遺贈が執行される可能性が高くなるでしょう。

注意点2.遺留分に配慮した遺産配分とする

続いて、遺産配分を検討する際は遺留分に配慮しましょう。

遺留分とは、一定の法定相続人に最低限保障された遺産の取り分です。もし遺贈によって相続人の遺留分が侵害された場合、相続人は遺留分に不足する金額について受け取る権利を主張できます。

例えば遺言で「Aさんに全財産を遺贈する」とした場合、相続人は一銭も受け取れないことになってしまいます。このとき相続人は受遺者に対し、遺留分に不足する額を渡すよう主張する権利があるのです。

相続人と受遺者がトラブルに発展するのを防ぐためにも、弁護士など専門家へ相談して遺留分に配慮した遺言を作成することも大切です。

遺産を指定して遺贈するなら、特定遺贈を検討しよう

今回は特定遺贈について詳しくお伝えしました。記事の内容を改めてまとめます。

  • ・特定遺贈とは、具体的な遺産を個別に指定して遺贈すること
  • ・特定遺贈と包括遺贈は、遺産の分け方・遺贈を放棄できる期限・遺産分割協議への参加要否が異なる
  • ・特定遺贈で発生する可能性がある税金はさまざま
  • ・特定遺贈を検討する際は、遺言書の正しい作成と遺留分に配慮するよう気を付ける

誰にどの遺産を具体的に遺贈したいのか、希望があるなら特定遺贈を検討してみましょう。


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<記事監修>

一般社団法人 全国レガシーギフト協会 理事/遺贈寄附推進機構 株式会社 代表取締役

信託銀行の本部にて、全国の営業店から1500件以上の相続トラブルと10,000件以上の遺言の受託審査に対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げ(後の全国レガシーギフト協会)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。

この記事を書いた人
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