寄付

遺贈でかかる税金は5種類ある!相続税の非課税ケースや計算方法を解説

  • 2021年9月19日
  • 2023年11月12日
  • 寄付

「遺贈するとどんな税金がかかるのか知りたい」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

遺贈には、主に5種類の税金が発生する可能性があります。納税者が誰になるのかやどの税金が課せられるのかは、遺贈する財産の種類や内容などによって異なります。

この記事では遺贈で発生する税金について、以下の内容をまとめました。

  • ・遺贈で発生するかもしれない税金の種類
  • ・そもそも遺贈とは何か
  • ・遺贈の相続税が非課税になるケース
  • ・遺贈の相続税を計算するときのポイント

遺贈によって、予想外の税金が相続人や受遺者(遺贈を受け取った人)へ課せられるのを防ぐためにも、ぜひ最後までご覧ください。


「最初に何から始めたら良いのかわからない」
「遺贈の寄付先はどのように選べば良いのか分からない」このような悩みを持っている方に向けて、遺贈寄付の特集ページをご用意しました遺贈寄付するならまず何から始めたら良いのか、遺贈寄付先にはどのような団体があるのか紹介しております。
遺贈寄付を考えている方はぜひチェックしてみてください。

遺贈で発生するかもしれない税金は5種類

遺贈することで発生する可能性のある税金は、主に以下の5種類です。

  1. 相続税│基礎控除額を超える場合に発生
  2. 不動産取得税│不動産を取得した場合に発生
  3. 登録免許税│不動産を登記した場合に発生
  4. みなし譲渡課税│株式や不動産など含み益がある場合に発生
  5. 法人税│一定の法人に対して遺贈した場合に発生

ただし、5種類すべての税金がかかるわけではありません。それぞれの税金の特徴や課税条件などを見ていきましょう。

1.相続税│基礎控除額を超える場合に発生

遺贈を受けた人(受遺者)には、相続税が課されます。相続税とはどのような税金か、国税庁ホームページの記載を引用して紹介します。

相続税は、個人が被相続人(亡くなった人のことをいいます。)から相続などによって財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税金です。
引用:国税庁

「他人に遺産をあげるから贈与税ではないのか?」と思った人も中にはいるかもしれません。遺贈は遺言により効力が発生し、故人の遺産を相続人や第三者が受け取ります。遺産を受け取る行為は贈与ではなく相続のため、相続税が課せられるのです。

ただし、遺産の課税価額の総額が相続税の基礎控除額内であれば、相続税は課されません。

【相続税の基礎控除額の計算】
基礎控除額=3,000万円+(法定相続人数×600万円)

参考:国税庁「相続税の計算

なお、公益法人等へ遺贈した財産は非課税になるケースがあります。相続税の非課税ケースについては、記事後半で詳しく解説します。

2.不動産取得税│不動産を取得した場合に発生

不動産取得税は、土地や建物など不動産を取得した場合に発生する税金です。

相続人以外の第三者が受遺者となり、特定遺贈で不動産を取得した場合は不動産取得税が受遺者へ課されます。

特定遺贈とは「○○の不動産」など特定の遺産を遺贈することです。遺贈には2種類あり、もう1つは包括遺贈といいます。包括遺贈は、「全財産の3分の1」など遺産の割合を指定して遺贈することを指します。

受遺者が相続人の場合や第三者が包括遺贈で不動産を取得した場合は、不動産取得税は課されません。

3.登録免許税│不動産を登記した場合に発生

遺贈で受け取った不動産を登記した場合、登録免許税が受遺者へ課されます。

登録免許税の税率は、相続人と受遺者で異なります。相続人の場合は税率が1000分の4となり、受遺者の場合は1000分の20です。相続人の登録免許税の方が、負担が軽くなっています。

不動産の登記がなければ、登録免許税は発生しません。

4.みなし譲渡課税│法人への遺贈で株式や不動産など含み益がある場合に発生

4種類目の税金は、みなし譲渡課税です。法人へ遺贈した株式や不動産に含み益がある場合、みなし譲渡課税が発生します。

注意したいのは、みなし譲渡課税を払うのは受遺者ではなく相続人となる点です。

例えば、受遺者が相続人以外の株式会社や公益法人であるとします。みなし譲渡課税が発生する場合、相続人は課税対象の遺産を受け取っていないにもかかわらず、税金を納めることになってしまいます。

5.法人税│法人に対して遺贈した場合に発生

法人に対して遺贈を行った場合、遺贈を受けた法人(受遺者)は、法人税を負担する必要があります※。

一方で相続税は、法人への遺贈では原則として非課税です。

※非営利型法人やその他公益を目的等する事業を行う法人などに遺贈する場合は、法人税が非課税になるケースもあります。

ただし不当減少(相続税の負担が不当に減少する結果になると認められたとき)に当たると判断された場合は、法人を個人と見なして相続税がかかる場合もあります。

以上が、遺贈で発生するかもしれない税金5種類でした。それぞれの税金の発生有無や税額については、税理士へ相談してみるのが確実です。

遺贈は税金や諸手続きなど、複雑な話も多くなります。ここで一旦「遺贈とは何か」についてあらためて整理しておきましょう。

そもそも遺贈とは?第三者へ遺産を残せる方法

遺贈とは、相続人および相続人以外の個人や団体へ遺産を残せる方法です。

遺言書へ遺贈について書き記しておき、被相続人(遺産の持ち主)のご逝去とともに遺贈が執行されます。

遺贈は贈与とよく混同されがちですが、大きな違いは財産を譲与するタイミングです。遺贈が被相続人の逝去後であるのに対し、贈与は被相続人が生前に財産を譲与します。

遺贈の基本については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。ぜひご一読ください。

>>遺贈とは?贈与・相続との違いや手続きの流れ、注意点を解説!

gooddoマガジンでは「遺贈寄付の特集ページ」もご用意しております。遺贈を検討するときに悩むポイントや解決策、gooddoマガジンが厳選したオススメ遺贈先団体の紹介をしています。気になった方は、ぜひチェックしてみてください。

>>遺贈寄付の特集ページをチェックする

ちなみに相続財産が基礎控除を超えて相続税が課されるときでも、遺贈や相続財産の寄付を行うと、相続税が減額されたり、課されないこともあります。そこで次は、相続税が非課税になるケースを見ていきましょう。

遺贈や相続財産の寄付で、相続税が非課税になるケースを2つ紹介!


遺贈や相続財産の寄付で、その対象財産に相続税が課されないケースは、主に以下の2つです。

  1. 法人への遺贈
  2. (一定の要件を満たした)相続財産の寄付

法人への遺贈や相続財産の寄付を考えている人は、知っておくと役立つ内容です。さっそく見ていきましょう。

ケース1:法人への遺贈

法人に遺贈した場合、相続税は原則として発生しません。
相続税は個人に対して課される税金であるため、法人に遺贈した場合は相続税が課されません。ただし遺贈を受けた法人は、非営利型法人を除き原則として法人税を課税されます。

また不当減少(相続税の負担が不当に減少する結果になると認められたとき)に当たると判断された場合は、相続税が発生する可能性があります。法人税と相続税が発生する場合は、相続税計算の際に法人税を控除可能です。

ケース2:(一定の要件を満たした)相続財産の寄付

一定の条件を満たした場合に、相続財産を寄付すると、寄付した財産には相続税が課されません。

相続財産を寄付した場合でも、一度は個人が相続財産を取得しているため、原則的に相続税が課されます。ただし一定の要件を満たした場合、相続税が非課税になります。

【相続財産の寄付による相続税の非課税要件】

  • ・寄付先が国や地方公共団体、認定NPO法人など公益を目的とする事業を行う特定の法人であること
  • ・寄付した財産は相続や遺贈によって取得した財産であること
  • ・相続税の申告期限までに取得した遺産を寄付していること
  • ・不当減少に当たらないこと

ここまで遺贈の税金についてお話しましたが、「相続税はいくら程度かかるのか」と気になる人もいるのではないでしょうか。続いては、相続税の計算についてお伝えします。

遺贈の相続税を計算するときのポイント2つ

相続税の納税額は、相続財産の課税価額や被相続人の家族構成で変わるなど、専門的な知識がないと具体的な金額の計算が難しいです。そのため、具体的な相続税の納税額については、税務署や税理士へ相談するのが確実。

ここでは相続税の計算について、最低限覚えておきたい2つのポイントをお伝えします。

  • ・相続人以外に遺贈しても基礎控除額は増えない
  • ・第三者が遺贈を受けると相続税が2割加算される

さっそく見ていきましょう。

ポイント1.相続人以外に遺贈しても基礎控除額は増えない

相続税には基礎控除額があり、基礎控除額は被相続人の法定相続人の数で変動します。法定相続人の数が多ければ基礎控除額も多くなるため、相続財産の受け手である受遺者も数に含めたいと思うかもしれません。

しかし、相続人以外の受遺者は、基礎控除額の計算で法定相続人数には含まれません。

【相続税の基礎控除額の計算】
相続税の基礎控除額=3000万円+(法定相続人数×600万円)

法律上における相続人の範囲は、以下の通りです。

【被相続人との関係性】
・配偶者(常に相続人)
・子ども(子どもが先に亡くなっていた場合は孫、ひ孫など)(第1順位)
・親(親が先に亡くなっていた場合は祖父母、曾祖父母など)(第2順位:第1順位の相続人がいない場合)
・兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合は甥姪)(第3順位:第1順位と第2順位の相続人がいない場合)
(参考:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」)

相続人以外への遺贈を考えている場合は、相続税の基礎控除額を試算する際、数に含めないよう気を付けましょう。

ポイント2.第三者が遺贈を受けると相続税が2割加算される

被相続人の一親等の血族以外が遺贈や相続を受けた場合、相続税が2割加算されます。そのため第三者が受遺者だとすると、相続税は2割加算の対象です。

また、一親等と法定相続人の範囲は異なりますので、相続人でも相続税が2割加算になる人もいます。具体的には被相続人の配偶者・子ども・親以外の相続人は、相続税が2割加算の対象となります。

被相続人の兄弟やいとこ、甥・姪などが遺産を相続(受遺)する際は、相続税が若干高くなると覚えておきましょう。

まとめ:遺贈でかかる税金に備えよう

この記事では遺贈でかかる税金についてお伝えしました。記事の内容を以下にまとめます。

  • ・遺贈では発生する可能性がある税金は、相続税や不動産取得税など5種類ある
  • ・法人へ遺贈した財産には、原則として相続税はかからない
  • ・非営利型法人以外の法人へ遺贈した場合は、法人税がかかる
  • ・相続や遺贈で取得した財産を寄付した場合、寄付した分の相続税が非課税となるケースがある
  • ・相続人以外に遺贈しても、基礎控除額は増えない
  • ・第三者および一親等以外の相続人が相続財産を受け取った場合は、相続税が2割加算となる

遺贈することでどの税金が発生するのかは、被相続人と受遺者の関係や状況によりさまざまです。

遺贈の税金について自己判断するのは難しいため、税理士など専門家へ相談することも検討して備えましょう。


「最初に何から始めたら良いのかわからない」
「遺贈の寄付先はどのように選べば良いのか分からない」このような悩みを持っている方に向けて、遺贈寄付の特集ページをご用意しました遺贈寄付するならまず何から始めたら良いのか、遺贈寄付先にはどのような団体があるのか紹介しております。
遺贈寄付を考えている方はぜひチェックしてみてください。

<記事監修>

一般社団法人 全国レガシーギフト協会 理事/遺贈寄附推進機構 株式会社 代表取締役

信託銀行の本部にて、全国の営業店から1500件以上の相続トラブルと10,000件以上の遺言の受託審査に対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げ(後の全国レガシーギフト協会)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。

この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。 なお、掲載されている記事の内容に関する「指摘・問い合わせ」「誤字脱字・表示の誤りの指摘」につきましては、こちらの報告フォームよりご連絡ください。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿