2018年9月6日に北海道胆振地方中東部を震源に、最大震度7を記録する大きな地震が発生しました。
地震によって死者・住宅全壊の被害も発生したほか、土砂崩れや液状化などの二次災害も多数発生したのです。
この記事では、北海道胆振東部地震の被害の大きさについて、数字を用いて解説します。
災害の被害や復興状況は?北海道胆振(いぶり)東部地震のボランティアや支援の方法を知ろう
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北海道胆振東部地震の被害
2018年9月6日の深夜、多くの人が眠っていたさなかに起きた大地震。北海道の胆振東部の深さ37kmを震源地とし、M6.7の地震が発生。厚真町で震度7、安平町とむかわ町で震度6強の揺れが観測されました。
項目 | 内容 |
発生日時 | 平成30年9月6日 午前3時7分 |
震源地 | 胆振地方中東部(北緯42.7度、東経142.0度) |
最大震度 | 震度7 |
マグニチュード | マグニチュード6.7 |
震源の深さ | 37km(暫定値) |
死者数 | 42人 |
建物全壊 | 462棟 |
データは2019年1月28日時点
(出典:内閣府 「平成30年北海道胆振東部地震に係る被害状況等について」)
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各地の震度
最大の震度を観測したのは震源に近い勇払郡厚真町(ゆうふつぐんあつまちょう)。広い範囲で大規模な土砂崩れが発生し、多くの住宅が巻き込まれました。
震度6強を観測した安平町、むかわ町でも多くの住宅が倒壊し、石狩地方や胆振地方の道路などの損壊が見られました。
震度 | 地域 |
震度7 | 厚真町 |
震度6強 | 安平町・むかわ町 |
震度6弱 | 札幌市東区・千歳市・日高町・平取町 |
震度5強 | 札幌市清田区・札幌市白石市・札幌市手稲区・札幌市北区・苫小牧市・江別市・三笠市・恵庭市・長沼町・新ひだか町・新冠町 |
震度5弱 | 札幌市厚別区・札幌市豊平区・札幌市西区・函館市・室蘭市・岩見沢市・登別市・伊達市・北広島市・石狩市・新篠津村・南幌町・由仁町・栗山町・白老町 |
(出典:内閣府 「平成30年北海道胆振東部地震に係る被害状況等について」)
人的被害
死者41名、負傷者681名を出す大きな被害となった北海道胆振東部地震。死者に関しては大規模な土砂崩れが起こった厚真町に集中しています。
項目 | 人数 | 概要 |
死者 | 42人 | むかわ町(1)・新ひだか町(1)・厚真町(36)・苫小牧市(2)・札幌市(1) |
重症 | 31人 | 栗山町(1)札幌市(1)・江別市(1)・石狩市(1)苫小牧市(8)・北広島市(1)・帯広市(1)・士幌町(1)・安平町(2)・むかわ町(13)・新冠町(1) |
軽傷 | 731人 | 三笠町(2)・芦別市(1)・由仁町(2)・札幌市(295)・江別市(4)・千歳市(11)・恵庭市(3)・北広島市(6)・苫小牧市(15)・石狩市(1)・日高町(28)・平取町(3)・函館市(9)・室蘭市(2)・伊達市(1)・厚真町(61)・安平町(10)・むかわ町(250)・日高町(36)・平取町(3)・函館市(10)・帯広市(12)・本別町(1)・幕別町(2)・音更町(1)・厚岸町(1)・猿払村(1) |
※()内は市町村ごとの人数
(出典:内閣府 「平成30年北海道胆振東部地震に係る被害状況等について」)
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建物被害
北海道胆振東部地震は、二次災害の土砂災害や液状化現象などの影響が拡大し、多くの建物に被害が出ました。
そのほか、重要施設などの被害もあり、室蘭市の石油コンビナート施設(新日鉄住金(株) 室蘭製鐵所)において火災が発生。
また、厚真町の火力発電所施設(苫東厚真火力発電所)でも火災が発生しました。
具体的な建物被害状況を次の項目から図示します。
住家被害
項目 | 棟数 | 概要 |
全壊 | 462棟 | 札幌市(195)・神戸津市(1)・千歳市(1)・北広島市(17)・厚真町(222)・安平町(93)・むかわ町(30)・日高町(3) |
半壊 | 1,570棟 | 由仁町(2)・札幌市(684)・江別市(23)・千歳市(1)・北広 島市(20)・苫小牧市(3)・登別市(1)・厚真町(308)・安平 町(351)・むかわ(119)・日高町(54)・平取町(3)・函 館市(1) |
一部破損 | 12,600棟 | 夕張市(1)・美唄市(6)・三笠市(18)・深川市(1)・由 仁町(19)・長沼町28棟・栗山町(12)・沼田町(1)・南 幌町(4)・新十津川町(1)・札幌市(4,352)・江別市(167)・千歳市(204)・恵庭市(14)・北広島市(266) ・石狩市(17)・小樽市(14)・蘭越町(1)・、室蘭市(31)・苫小牧市(218)・登別市(22)・白老町(4)・ 厚真町 (1,045)・洞爺湖町(1)・安平町(2,412)・ むかわ 町(3,147)・日高町(426)・平取町(120)、新ひだ か町(35)・函館市(10)・森町(2)・帯広市(1) |
非住家被害 | 2,456棟 | 札幌市(31)・江別市(6)・厚真町(1,315)・安平町(893)・むかわ町(210)・平取町(1) |
※数字は2019年1月28日時点
(出典:内閣府 「平成30年北海道胆振東部地震に係る被害状況等について」)
北海道全域でブラックアウト
9月6日に発生した最大震度7の北海道胆振東部地震では、地震の大きさも去ることながら、その後に起きた北海道全域の停電、「ブラックアウト」が大きな問題となりました。
実際に地震が発生した時間が、2018年9月6日の3時7分、その後北海道エリアにおいて、3時25分、日本で初めてとなるエリア全域に及ぶ大規模停電(ブラックアウト)が発生したのです。
ブラックアウトとは、大手電力会社の管轄する地域のすべてで停電が起こる現象(全域停電)のことを意味します。
大きな自然災害に伴って大規模停電が発生することはこれまでにもありましたが、今回の地震では、北海道全域という大規模な範囲で起きたことが大きく報道されたのです。
大規模停電(ブラックアウト)が起きた原因
ブラックアウトが発生した原因は、様々な要因が複雑にからみあって起きたといいます。
地震発生の直後に、北海道でもっとも大きな発電所である「苫東厚真火力発電所」が停止したことは、大きなニュースになりました。
北海道内の電気は7割以上が火力発電で賄っており、火力発電を行う施設の中でも最も多くの電力を苫東厚真火力発電所が発電していました。
地震の震源地と近かったこの発電所では、地震の影響で機器の一部が壊れてしまったことが原因で停止。その後、17分間の間に、水力発電所・風力発電所なども相次いで停止しました。
その結果電気の供給力がだんだんと失われていき、最後にはブラックアウトが起きてしまったのです。
停電した戸数は最大約295万戸とされています。
道内の発電所が次々と停止へ
- 苫東厚真火力発電所(2号機・4号機)の停止(116万kW)
- 風力発電所の停止(17万kW)
- 水力発電所の停止(43万kW)
- 苫東厚真火力発電所(1号機)の停止(30万kW)
- ブラックアウトの発生
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 「日本初の”ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか」)
(出典:北海道電力株式会社「電気事業をめぐる状況について」,2017)
大規模停電(ブラックアウト)から復旧へ
ブラックアウト発生後、北海道電力は事前に定めていた手順に従って復旧作業を行い、発生から約2日で約99%が停電から復旧しました。
その後は供給安定化に向けて、北海道全域の家庭・業務・産業の各部門に対して、需要が増加する平日8:30〜20:30の間に、約2割の節電を呼びかけました。
この事例を踏まえて、北海道電力はより災害に強い電力インフラ形成に向けて取り組んでいます。
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 「日本初の”ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか」)
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停電の間、被災地の人々が感じていたこと
停電によって、北海道民は生活の大部分における行動が制限されました。
北海道庁が停電時のアンケートをまとめており、ホームページで公表しました。
災害に備えた家庭の備蓄で特に役に立ったものについては3割以上の人が「照明器具」と回答。
また避難しなかった方が特に困ったこと、不安に感じたことは「灯り、照明の確保」「トイレ、入浴」「飲料水の確保」が上位を占め、次いで「災害情報(震度情報や停電情報、断水情報など)の入手」「食料の確保」などが挙げられています。
停電時に必要だった情報については停電や断水の該当エリアや復旧に関する情報がトップ、次いで地震や気象情報が必要だと感じたようです。
ライフラインの水・電気・ガスなどが使えないことで生活が制限されるため、多くの不安が生まれていたことが分かりました。
さらに、 町や町内会等が実施する防災訓練・講演会などの参加希望について、地震後では77%の人が「参加したいと思う」と防災に対する意識が高まっていることがわかります。
(出典:北海道庁 公式サイト 「平成30年北海道胆振東部地震に関する住民アンケート調査報告(中間)」)
停電や断水にも備えておくことが大切
今回は、北海道胆振東部地震の被害の大きさと、地震発生時に被災地で起きていた出来事について解説しました。
今回の地震では大規模な停電によって多くの住民が不安に晒されたのです。
停電や断水など、地震から派生する二次災害を想定して家の備蓄や非常持出袋の中身を再度確認してみてはいかがでしょうか。