国連加盟国193カ国が2016年から2030年までの15年間で達成する目標を掲げたSDGsは、2015年9月の国連サミットで採択されました。
SDGsには17の大きな目標がありそのうちの一つ「ジェンダー平等を実現しよう」で解決するべき問題と現状について解説します。
持続可能な開発目標・SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のターゲットや現状は?
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SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」が目指す世界
SDGsでは「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」と定義されています。
具体的には、女性や女児に対するあらゆる形態の差別・暴力の撤廃です。
未成年の早期結婚や強制結婚、女性器切除などの有害な慣行をなくすこと、また無報酬の育児・介護や家事労働の評価などが盛り込まれています。
仕事における女性の社会進出も解決すべき問題であり、政治や経済における女性の参画と平等なリーダーシップの機会確保も求められているのです。
男性と女性が平等に生活を送ることのできる社会を、SDGsに盛り込み各国が取り組んでいます。
ジェンダー平等を実現するために解決が必要な課題
次に、ジェンダー平等を実現するために解決が必要な課題について4つに分けて解説します。
人身取引や女性・女児の性的搾取
人身取引はその被害者に対して多大なる肉体的・精神的ダメージを与える深刻な問題であり、解決すべき重要な課題として位置づけられています。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、2012年から2014年の間に世界106の国・地域において、合計63,251人が人身取引の被害者となったことが報告されているのです。
近年、強制労働を主な目的とした男性の被害者数が増加傾向にあるものの、依然として被害者の大半を占めるのは女性・女児です。
2014年のデータによると、報告されている17,752人の被害者の内、51%が18歳以上の女性、20%が18歳未満の女児であり、被害者全体の内71%が女性または女児であったことが明らかになっています。
これらの被害者は、縫製工場や農場での強制労働や強制結婚などの人身取引が対象です。しかし、その中でも人身取引の目的として最も多くを占めるのが強制売春やポルノの製作を始めとする性的搾取であり、被害者となる女性・女児のうち、約4人に3人がこの目的のために人身取引に巻き込まれている現状があるのです。
(出典:国際開発センター公式サイト)
支援団体プラン・インターナショナルでは、途上国をはじめ世界70カ国以上で少女・女性をサポートしています。人身取引以外の生き方を手に入れられるよう、教育や自立支援を助けています。
早期結婚の慣習
2019年に発表された報告では、世界の女性・女児のうち約6億5000万人が18歳の誕生日を迎える前に結婚をしたとされています。早期結婚は教育を受ける機会の損失や家庭内暴力にあうリスクの増加などとの関連性が指摘されており、問題視されています。
その他にも、若年妊娠とも関連付けられており、女性の生命に関わる妊娠・出産時の合併症の原因となり得ることからも懸念されているのです。
世界的に見ると、早期結婚の比率は徐々に低下しており、1990年には3人に1人の女児が18歳未満で結婚していたものの、今日ではその割合は5人に1人となっています。
また、15歳未満の女児の結婚も、1990年の10%から、2017年では6%まで減少。しかしながら、早期結婚の慣行が世界各地で見られる状況は変わらず、とりわけ西・中央アフリカにおいては40%以上の女児が18歳になる前に、また、約15%が15歳になる前に結婚をしているのです。
(出典:国際開発センター公式サイト)
(出典:日本ユニセフ 公式サイト)
女性の発言力や機会が不十分
政治・経済・公共分野におけるあらゆる決定において女性の意見を十分に反映するために、女性の意思決定プロセスへの参画が一つの重要な要素です。
例えば、政治分野における女性の意思決定プロセスへの参加を考えるにあたり、国会における女性議員の比率は一つの重要な指標となります。
世界平均では2018年6月時点の女性国会議員の比率は23.8%となっており、その割合は未だに低いものの1997年1月時点の11.7%と比較すると増加傾向にあることがわかります。
しかしながら、北欧諸国(41.4%)、米州(28.9%)、北欧を除く欧州安全保障協力機構加盟国(26.3%)が平均値を引き上げている一方で、アジア(19.8%)、アラブ諸国(18%)、太平洋諸国(15.6%)においては大きな遅れが見られます。
日本も後者における例外ではなく、2018年6月時点での女性議員国会議員比率は世界193カ国中158位であり、その値はわずか13.7%に止まっているのです。
(出典:国際開発センター公式サイト)
妊娠を望まない女性への配慮
女性の身体的・精神的・社会的な健康を維持するために「人が安全で満ち足りた性生活を営み、結婚をするかしないか、子どもを産むか産まないか、産むなら何人産むかを自由に決められること」が求められます。
自らの意思によって、女性およびカップルが結婚、妊娠などの時期を決定することができれば、女性が教育を終了し、将来の選択肢を広げるための一助にもなり、ジェンダー平等の推進につながることが期待されるのです。
しかし、アフリカをはじめとする開発途上国・地域において妊娠を望まない約2億1400万人の出産可能年齢にある女性・女児が、近代的な避妊具を使用できていない現状が存在します。
(出典:国際開発センター公式サイト)
世界中で女性支援をおこなう団体ジョイセフでは、避妊具の提供や母子保健クリニックの設置などをしています。「女性の健康・権利を守る活動を支援したい」という人は、ジョイセフへの寄付を考えてみてはいかがでしょうか。
世界でジェンダー平等を実現させるために、私たちにもできる支援
女性・女児の性的搾取や早期結婚の慣習、不平等な雇用条件などの女性差別は、身体的・精神的・社会的にダメージを与える深刻な問題となっています。
傷ついた女性のケアや、女性の権利を守る活動をしている団体は多くあります。差別や権利を侵害される女性を助けたい人は、支援団体への寄付を通じてサポートするのもおすすめです。
>>差別や権利を侵害される女性を助けたい!5つの寄付先や支援方法、現状を解説
また、人身取引や強制結婚などは途上国でよく発生する問題ですが、日本にもジェンダー格差は存在します。
以下の記事では賃金格差や文化的差別など、日本における女性差別の現状をお伝えしています。こちらもぜひご一読ください。
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