女性差別

女性差別にはどのようなものがある?世界の事例とは

世界中で、男女の違いによる差別をなくしていこうというジェンダーレス社会の実現に向けた取り組みが進められています。
この記事では、女性差別にはどのようなものがあるのか、世界で起きている女性差別の事例について紹介します。

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女性差別とは


女性差別とは、女性であることを理由に不当な扱いを受けたり、差別を受けたりすることを言います。
以前は、国際結婚をすると妻は夫の国籍になることを強制させられていたり、本人の意思を無視して、10代前半で親や家族が決めた相手と勝手に結婚させられたりといった女性への偏見の元、差別が通例として行われていた時代がありました。

近年では男女という性別の違いによる差別だけでなく、すべての人が平等でなければならないという考え方が浸透してきています。しかし、今もなお家事や育児は女性の仕事であるといった考えを持つ人も多く、女性に対する差別や偏見は残っているのです。

ジェンダーとは

ジェンダーとは、社会的・文化的に形成される性別、つまり、特定の社会で共有されている価値観を元に、男女の役割などで区別される性別のことです。

例えば、外で働いて家族を養うのは男性の役割で、子どもを産み、育てるのが女性の役割といった考え方はジェンダー不平等にあたります。
このような社会的な性差は、地域の人々の価値観、伝統、慣習などによって無意識のうちに規定されていることが多く、社会や会社などの組織でもこのような考え方の影響を受けています。

  • 女性差別とは、女性であることを理由に不当な扱いを受けたり、差別を受けたりすること
  • ジェンダーとは、社会的・文化的に形成される性別、つまり、特定の社会で共有されている価値観を元に、男女の役割などで区別される性別のこと
  • 男女それぞれの役割といった考えは地域の人々の価値観、伝統、慣習などによって無意識のうちに規定されていることが多く、社会や会社などの組織でもこのような考え方の影響を受けている
  • 世界における女性差別の現状と事例

    日本においても生物的な性差、社会的・文化的な性差による差別や偏見など、ジェンダー不平等という問題は実在するのが現状です。特に女性差別については、日本だけでなく世界でも様々な事例があります。

    人身売買および女性・女子の性的搾取

    女性や女の子の性的被害は、女性差別の事例として大きな問題となっています。
    2016年時点、世界中の人身売買被害者の70%以上の女性、女の子が性的搾取を目的に人身売買されており、15~19歳の女の子の20人に1人(約1,300万人)がレイプ被害にあっているという報告もあります。

    人身売買の目的は性的搾取、強制労働が多く、ほかにも物乞い、偽装結婚、強制結婚、利益詐欺、ポルノ制作、臓器売買などです。
    これらは女性や子どもが被害にあいやすく、秘密裏に行われているため、すべてを把握することが難しいといった現実もあるのです。

    (出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「3月8日は国際女性デー 第4回世界女性会議から25年 なくならない、女の子への暴力」,2020)
    (出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「子どもの人身売買」,2018改定)

    早期結婚や強制結婚の慣行

    早期結婚(児童婚)や強制結婚も、女性差別の事例の一つとして挙げられます。
    2019年時点で世界中の18歳未満の女性、女の子の約6億5,000万人が18歳の誕生日を迎える前に結婚しており、世界で女の子のうちに結婚する人数は毎年1,200万人と推定されています。

    早期結婚や強制結婚は主に貧困が原因であり、人身取引により金品を交換して生活費を得ているのです。
    早期結婚は、教育の機会を奪われてしまうだけではなく、家庭内暴力にあうリスクが高くなると言われており、問題視されています。
    また、早期結婚は若年妊娠につながる可能性が高く、体が成熟する前の妊娠、出産は妊娠・出産時の合併症などの要因になり得ることも懸念されているのです。

    (出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「児童婚 子どもの花嫁、年間約1,200万人」,2019)

    男女における賃金格差

    男女の賃金格差においても世界的に問題となっています。

    日本は2015年時点、男性労働者の所定内給与額を100%としたときの、女性労働者の所定内給与額の値は72.2%でした。
    一方で諸外国のデータは、2014年時点でスウェーデン88.0%、フランス84.9%、アメリカ82.5%、イギリス82.4%となっており、ほかの国と比較しても日本の男女の賃金格差が大きいことが分かります。

    日本は様々や法律や規定などにより、この差を埋めるための取り組みを行っていますが、まだまだ不十分だと言えるでしょう。
    また、諸外国も日本より差は少ないとはいえ、男性の方が給与が高い傾向であるため、世界中でこの男女の賃金格差を縮めることが求められているのです。

    (出典:厚生労働省「男女労働者それぞれの職業生活の動向」)

    国会における女性議員の比率

    国会における女性議員の比率は、その国における女性差別の現状を表すと言われています。日本の国会における女性議員の比率は2015年1月の時点でわずか9.5%であり、調査対象国190ヶ国中153位という結果が公表されました。

    一方で、女性議員の割合が6位となったスウェーデンでは43.6%で議員の半数近くが女性議員となっています。
    日本の女性議員の割合も徐々に上昇してきてはいますが、世界の諸外国と比較した場合の格差はかなり大きなものです。

  • 人身売買の被害者は主に女性である
  • 世界の女性、女の子のうち、約7億5,000万人が18歳の誕生日を迎える前に結婚している
  • 国会における女性議員の比率は、その国における女性差別の現状を表すと言われており、日本は190ヶ国中153位という結果だった
  • (出典:内閣府男女共同参画局「女性が輝く社会を目指して」)

    日本における女性差別の現状と事例

    日本は1985年に女性差別撤廃条約を締結しましたが、改善の遅れに対して国連から「法的拘束力が不十分」、「啓発が不十分」との厳しい批判を受けました。
    下記では日本における女性差別の現状や事例を紹介します。

    文化的差別(ジェンダー・バイアス)

    ジェンダー・バイアスとは、文化的性差による差別や偏見を表す言葉です。
    家庭において、男は仕事、女は家庭といった思考が強く、共働き夫婦であっても妻は家事、育児、介護にかかる時間が1日で4時間以上の時間があるのに対して、夫はわずか30分しか家事や育児などに関わっていません。

    職場においても、これからは女性の活躍が必要になるとされていますが、実際には女性が出産や育児に携わる年齢になると女性の労働力が下がる傾向があります。

    厚生労働省の調査によると、子どもを産む前(第1子出産前)の女性の就業状況は約70%であるのに対して、仕事をしていた女性が出産半年後に仕事を続けている割合は約30%程度に留まっているのです。
    男女の性差に関係なく平等でなければいけないという考え方は広まりつつありますが、現実を見ると女性への負担が大きく、出産後は仕事に就けない女性が多くなっています。

    (出典:男女共同参画局「日本企業におけるジェンダーバイアスの現状と施策」)
    (出典:厚生労働省「依然として難しい女性の就業継続」)

    性的嫌がらせ(セクシャル・ハラスメント)

    職場におけるセクシャル・ハラスメントは多く起こっているのです。
    平成26(2014)年に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシャル・ハラスメントに関する相談件数は、1万3,604件にも及んでいます。

    セクシャル・ハラスメントにあたる行為とは、「性的な内容の発言」や「性的な行動」です。
    例えば、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話す、性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触する、強制わいせつ行為、強姦などになります。

    会社の相談窓口に相談や苦情などが寄せられていないケースもあることから、会社側がセクシャル・ハラスメントはないと認識していることも多く、実際の被害を会社側が把握していないケースも多いです。

    (出典:厚生労働省「事業主のみなさん職場のセクシャルハラスメント対策はあなたの義務です!!」)

    女性に対する暴力(ドメスティック・バイオレンス)

    ドメスティック・バイオレンス(Domestic Violence)とは、パートナーなど親密な関係にある人との間で起こる暴力のことで、女性に対する暴力、あるいは、夫・恋人からの暴力のことです。

    DVが起こる背景には、長く続いた男性優位の社会構造が根差しているためだと考えられています。殴る、蹴るといった暴力だけではなく、命令口調で話す、人前でばかにするといった行為もDVです。日本では、DVは単なる夫婦やパートナー間の問題ではなく罪になります

  • ジェンダー・バイアスとは、文化的性差による差別や偏見を表す言葉
  • セクシャル・ハラスメントは会社側が認識しておらず、実際の被害を会社側が把握していないケースも多い
  • 日本では、DVは単なる夫婦やパートナー間の問題ではなく罪になる
  • 男女の賃金格差も女性差別の一種

    女性に対する偏見や差別だけではなく、男女の違いによる賃金格差も女性差別の一つです。

    男女の賃金格差はなぜ起こる?

    男女の賃金格差が起こる理由には、以下のようなことがあります。

    教育・訓練期間の違い

    国によっては、未だに男性に比べて女性の方が教育期間や訓練期間が短いことが多く、限られた範囲でしか教育や訓練が受けられない人がいます。必要な教育や訓練が受けられないことで女性の雇用範囲が狭くなり、十分なお金を稼ぐ手段を失うことがあるのです。

    就労経験

    結婚、出産、育児、子育てなどのライフイベントの影響を女性の方が受けやすいという現状から、男性と比較すると就業が断続的になってしまう確率が高くなります。

    職業分野の違い

    賃金が高く、社会的地位の高い職業や指導的地位に就ける人の割合は、男性の方が多くなっています。女性は、権限を持たず比較的賃金が安い仕事に就く人が多いのが現状です。

    労働時間の差

    男女間における家事や家庭的責任の分担が不平等であることに加えて、一般的に女性よりも男性の労働時間が長くなることが多くなっています。

    企業規模の違い

    比較的賃金の高い大企業では女性よりも男性の割合が高く、女性は比較的規模の小さい会社で働く人が多いことが賃金格差につながっています。

    (出典:同一賃金国際連合(EPIC)「EQUAL PAY FOR WORK OF EQUAL VALUE」)

    男女の賃金格差の現状

    先述したように、2019年の男女間の賃金格差はOECD諸国平均が13.6%で、日本では24.5%もの賃金格差が生じています。
    男女による差別や格差をなくすための法律の制定や様々な対策が取られていますが、賃金格差の数字からも分かるように男女の違いによる賃金格差は2020年時点でも埋まっていません。

  • 男女の違いによる賃金格差も女性差別の一つ
  • 賃金格差が起こる理由には、教育・訓練期間の違い、就労経験、職業分野の違い、労働時間の差、企業規模の違いなどが挙げられる
  • (出典:厚生労働省「男女労働者それぞれの職業生活の動向」)

    ジェンダー平等社会の実現に向けた取り組みとは


    男女格差のない平等な社会の実現に向けて、「男性の育児休業を認めるための意識改革」や「ワーク・ライフ・バランスの推進」、「家庭と仕事との両立をしやすくするためのテレワークの推進」などの改革が行われています。
    これらを実現するためには事業主や雇用されているほかの社員の意識改革が必要であり、今後の課題です。

  • 男女格差のない社会に向けて様々な取り組みが行われているが、事業主や雇用されているほかの社員の意識改革も必要
  • 女性差別のない世界に!女性が活躍しやすい社会の実現を目指そう

    女性差別がなく、女性が活躍しやすい社会を実現するためには、現在も男女の違いによる格差が実際に起きていることを知る必要があるでしょう。
    その上で、女性差別のない社会の実現に向けた取り組みを確実に実行するために、私たち一人ひとりの意識改革が求められているのではないでしょうか。

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    この記事を書いた人
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