SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2030年までに解決すべき国際社会共通の目標のことです。各国政府やさまざまな業界で取り組まれており、ホテル業界においても多くの取り組みが行われています。
しかし、具体的にどのような取り組みが、ホテル業界で行われているのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、SDGsに特化した専門メディア「gooddo」編集部が、ホテル業界でのSDGsの取り組み事例を企業別に10個厳選して紹介します。
ホテル業界のSDGsへの取り組み事例
ホテル業界のSDGsに対する取り組み事例をご紹介します。
【ホテル業界のSDGsへの取り組み事例10選】
それぞれ特徴的な取り組みを行なっているのでぜひ参考にしてみてください。
gooddoマガジンでは現在、企業からの事例掲載を受け付けております。
SDGsに関する自社の取り組みを社会に伝えたい、とお考えの方はぜひお気軽にご相談ください。
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【事例1】スーパーホテル
画像引用:スーパーホテルのSDGs|スーパーホテル
【概要】プラスチック製アメニティの提供方法を変更・マイ歯ブラシの持参
株式会社スーパーホテルは健康と環境、持続可能な社会生活を心がけるLOHAS(lifestyles of Health and Sustainability)をコンセプトに、人と地球に優しいホテル事業を運営しています。
SDGsの取り組みとしては、プラスチック製アメニティの客室への設置を廃止し、フロントロビーで必要な方だけ提供する方式に変更しました。マイ歯ブラシの持参を推奨しており、脱プラスチック化に向けて利用者と共に取り組んでいます。
プラスチック削減以外にも、地域活性化や省エネへの取り組みなど、SDGsの活動を積極的に行なっているホテルです。
【事例2】ホテル日航大阪
【概要】館内照明のLED化を実施し、経済産業省の省エネ法に基づく事業者クラス分け評価制度においてSクラスを取得
株式会社ホテル日航大阪は、駅に直結しているアクセスの良さやこだわりの朝食など質の高いサービスが魅力的です。取り組みとしては、館内照明のLED化を推進しています。地下駐車場やオフィス、バックスペースの全域でLED化が完了しており、客室や厨房においても半分以上の照明で LED化が行われました。
この取り組みによりホテル日航大阪は、経済産業省の省エネ法に基づいた評価制度によってSクラス(優良事業者)を取得しています。他にもプラスチックの削減や節水、ペーパーレスなど環境へ配慮した取り組みを多数行っているホテルです。
【事例3】ホテルグランヴィア京都
【概要】京都三大祭「葵祭」で使用される「フタバアオイ」の里親制度への参加
株式会社ジェイアール西日本開発は、西日本の主要駅に直結した利便性の良さと高いクオリティのサービスを提供しています。
ホテルグランヴィア京都では、京都三代祭の「葵祭」で使用される「フタバアオイ」の里親制度へ参加し、環境保全や文化の発展に貢献しています。従業員やホテルの利用者に京都の生態系と伝統文化を発信し、地域に根付いたホテル運営を行っているのが特徴的です。
ペットボトルキャップを回収し、売却した利益をポリオワクチン寄付団体へ寄付するなど、資源の有効活用や発展途上国の支援にも力を入れています。
【事例4】ホテルニューオータニ東京
【概要】余った食品を有機堆肥へ変え食品ロスを軽減
株式会社ニュー・オータニが運営するホテルニューオータニ東京では、1万坪の日本庭園や37店舗ものレストランを備えており、都心において安らげる空間を提供しています。
SDGの取り組みとしては、レストランやバーから排出される食物残渣を地下の「コンポストプラント」で有機堆肥へ変えている点が特徴的です。作成した有機堆肥は、契約農家に購入され、再度美味しい食材を育てるために使用されます。
レストランから出る排水もトイレや植物用の水として再利用されており、都心に小さな循環型社会を築いているホテルです。
【事例5】阪急阪神ホテルズ
画像引用:阪急阪神ホテルズが取り組むSDGs|阪急阪神ホテルズ
【概要】「大豆ミート」を使用したメニューの提供と食品ロスの軽減
株式会社阪急阪神ホテルズは、首都圏や近畿圏にて利用客のニーズに合わせたさまざまなホテルサービス事業を行なっています。
「大豆ミート」を使用したメニューを提供しているのが特徴的です。大豆は、牛肉と比べて少量の土地面積と水で栽培可能であり、将来的に起こり得る食糧難を打開する食材として注目されています。「大豆ミート」を使用することにより、利用者の「食」や「環境」への意識を高められるのです。
他にも食品残渣を堆肥や養豚資料として再利用したり、廃棄される野菜の端材を有効活用したスープを従業員食堂で提供したりしています。
利用者や従業員へのSDGsへの意識向上につながる取り組みを数多く行なっているホテルです。
【事例6】星野リゾート
画像引用:勝手にSDGs|星野リゾート
【概要】地域ならではの伝統文化・工芸を用いたおもてなしを提供
株式会社星野リゾートは、全国各地の土地の個性や利用者の「旅の嗜好」に合わせたリゾート旅館や温泉旅館を運営しています。
温泉旅館ブランド「界」は、地域の伝統文化や工芸を体験できる「ご当地部屋」や「ご当地楽」を提供する旅館です。利用者に地域の特色を知ってもらうことで、地域の活性化や伝統文化・工芸の継承につなげています。
他にも、牛乳のフードロスを防ぐ「ミルクジャムの製造」などを行なっています。
使用するエネルギーは自らの場所の自然エネルギーでまかなう「EIMY(Energy In My Yard)」を理念に掲げ、自然エネルギーを積極的に利用しているのも特徴的です。
【事例7】ホテルモントレグループ
画像引用:ホテルモントレグループが取り組むSDGs|ホテルモントレグループ
【概要】プラスチック製品の削減や節水シャワーヘッドの導入
ホテルモントレ株式会社は、ヨーロッパの歴史や風土をモチーフにした個性豊かなホテル運営を展開しています。
プラスチック削減や節水など環境に配慮した取り組みを行なっているのが特徴的です。
シャンプーボトルの詰め替え利用やプラスチック製のストロー、レジ袋の廃止を実施しています。また節水効果があるシャワーヘッドを導入することにより、水の使用量削減にも積極的に取り組んでいます。
感染対策を徹底した環境でテーブルマナーを学べる「教育旅行のテーブルマナー体験」など独特なSDGsへの取り組みも特徴的です。
【事例8】帝国ホテル
画像引用:帝国ホテル公式サイト
【概要】自然エネルギーの使用でCO2排出量実質ゼロ
上高地帝国ホテルは1890年に開業して以来、日本を代表するホテルとして一流のサービスを提供しているホテルです。
上高地帝国ホテルでは、豊富な水資源によって生まれた電力を利用したり、灯油やガスを使用する際にはカーボン・オフセット(CO2削減活動への寄付や他の場所で実現した排出量削減量、吸収量を購入する)を行っていたりしています。こうしたSDGsの取り組みを行った結果、現在ではCO2の排出量を実質ゼロで運営しています。
食品ロスを防ぐため「果物の皮まで余すところなく使用したカクテル」や「りんごの搾りかすを粉末化して作った素材」などがホテル内で使用されているのも特徴的です。
【事例9】京王プラザホテル
画像引用:SDGsへの取り組み|京王プラザホテル
【概要】ユニバーサル対応により全ての人が利用しやすい空間を提供
京王プラザホテルは、心からのおもてなしにより「親しみやすいホテル」を目指したホテル事業を行なっています。国際会議や学会の会場として、世界中の多くの方に利用されているホテルです。
SDGsの取り組みとしては、バリアフリーや目や耳に障害がある方でも安心して利用できるようなユニバーサル対応ルームを提供しています。また建物のバリアフリーだけでなく、ソフト面である「心のバリアフリー」にも取り組んでいるのも特徴的です。障害の有無に拘らず、一人ひとりの心に寄り添うおもてなしを行っています。
障害を抱えた人でも活躍できる職場環境を整えており、従業員や利用者など全ての人が過ごしやすい空間を提供しているホテルです。
【事例10】横浜ロイヤルパークホテル
画像引用:SDGs|横浜ロイヤルパークホテル
【概要】プラスチック使用量の削減・家具や羽毛布団の廃棄を減らす取り組み
高層階からの眺望とともに、細やかなおもてなしを提供しているのが横浜ロイヤルパークホテルです。
プラスチックの使用量を40%削減したエコアメニティや100%リサイクルの再生ペットボトルを使用しているのが特徴的です。開業当初から使用している家具は廃棄せず、修理して再利用を行なっています。
不要になった羽毛布団は、羽毛循環サイクルを推進する「グリーンダウンプロジェクト」へ提供しています。廃棄の軽減を進めているのも横浜ロイヤルパークホテルならではの取り組みです。
また排水の再利用やバイオガスなどの再生可能エネルギー電力を導入しており、2019年ホテル内でのCO2排出量約9千トン削減に成功しました。
プラスチック削減や資源の再利用など環境への配慮を行いつつ、丁寧なおもてなしを提供しているホテルです。
そもそもSDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2030年までに各国の課題を解決するために制定された世界共通の目標であり、発展途上国だけでなく、先進国も取り組むことが求められています。
17のゴールと169のターゲット*が細かく設定されており、日本においてもさまざまな業界でSDGsの取り組みが行われています。SDGsの目標やターゲットについて詳しく知りたい方は下記記事をご一読ください。
>>持続可能な開発目標・SDGsとは?17の国際目標やターゲットなどを簡単に解説
*出典:JAPAN SDGs Action Platform|外務省
ホテル業界のSDGsの取り組みに関してよくある質問
ホテル業界のSDGsの取り組みに関してよくある質問を解説していきます。
ホテルアメニティにおけるSDGsの取り組みはどんなもの?
ホテルアメニティにおけるSDGsの取り組みとしては、以下のようなものが挙げられます。
- ・バイオフィルム包材を使用した歯ブラシを提供
- ・ボトルタイプのシャンプーへ変更
- ・藁や竹製の歯ブラシ、櫛へ変更
- ・マイ歯ブラシを持ってくるように推奨
2022年4月より施行されている「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法)」によって、ホテル業界は脱プラスチック化を求められました。これにより、プラスチック製のアメニティに対してさまざまな取り組みが行われています。
これからのホテル業界では、プラスチック削減に対して、宿泊者と一緒に積極的に取り組んでいくことが求められるでしょう。
ホテル清掃におけるSDGsの取り組みはどんなものある?
ホテル清掃におけるSDGsの主な取り組みを見てみましょう。
- ・連泊時にエコ清掃を行う(3日に1回のシーツ交換など)
- ・客室の清掃をタオル類のみの交換にする
- ・翌日の清掃が不要な場合には、オリジナルミネラルウォーターをプレゼントする
連泊する際にはリネン類の交換を希望制にしたり、最小限の清掃にとどめたりする取り組みを行なっています。この取り組みによって、交換や清掃にかかる洗剤排水の削減を行えるのです。
また株式会社スーパーホテルでは、翌日の清掃が不要な場合に、オリジナルミネラルウォーターをプレゼントする「エコひいき活動」など特徴的な取り組みを行なっています。
ホテル業界のSDGsの取り組みを参考にしてみよう
ホテル業界では、SDGsに関して多くの取り組みが行われています。プラスチック製品の削減や食品ロス、地域との共生などホテル業界が関与できるSDGsへの取り組みは多岐に渡ります。
業界だけでなく、個人の活動としてSDGsの目標達成に取り組むことも大切です。ホテル業界のSDGsの取り組みを参考に、自身の環境・生活を見直すきっかけにしてみましょう。
他にも「どのような企業がSDGsに取り組んでいるか」や「SDGs達成のためにわたしたちができること」を知りたい方は、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
>>SDGsに取り組む企業まとめ!具体的な事例も紹介
>>SDGsの目標達成のためにできる支援や寄付の方法は?