SDGs

ウェルビーイングとは?注目を集める背景や現状、私たちができることを紹介

  • 2023年4月25日
  • 2023年11月10日
  • SDGs

近年、ウェルビーイングという言葉を耳にする機会が増えたと感じている方もいるのではないでしょうか?

「ウェルビーイングとは何だろう?」
「私たちの生活にどんな関係があるのだろう?」

このように感じている方に向けて、この記事では下記の内容を紹介します。

  • ・ウェルビーイングとは
  • ・ウェルビーイングが注目される背景
  • ・日本におけるウェルビーイングの現状

ウェルビーイングは「幸福」や「健康」と訳されることもある抽象的な言葉です。様々な社会的背景の中で注目されており、これからの社会の発展について重要な意味合いをもつキーワードです

私たちがウェルビーイングを高めるためにできることも紹介しています。ぜひ最後までご一読ください。

ウェルビーイングとは

「ウェルビーイング(well-being)」とは、「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」*と厚生労働省では定義しています。

社会的に良好な状態とは、他者との関係が良好であることを意味します。

これだけではウェルビーイングについてわかりにくいかもしれません。どのような状況だとウェルビーイングなのか、具体的な構成要素を解説します。

*出典:雇用政策研究会報告書概要|厚生労働省

PERMAの法則

ウェルビーイングを構成する5つの要素を表したPERMA(パーマ)の法則というものがあります。

ポジティブ心理学の創始者であるマーティン・セリングマン氏が提唱しています。PERMAは5つの要素の頭文字をとったものです。

  • ・Positive Emotion
  • ・Engagement
  • ・Relationship
  • ・Meaning and Purpose
  • ・Achievement/ Accomplish

「P」はポジティブな感情のことです。嬉しい、面白い、楽しい、感動、感謝といった前向きな感情を持つ人は幸せです。

「E」のエンゲージメントは「没頭」と訳します。なにかのめり込んで没頭できることがあるかどうかという意味です。

「R」は良好な人間関係のことです。家族や友人と助け合う関係を築くことでウェルビーイングの状態に近づきます。

「M」は意味や目的を持って生きているかどうかを意味します。生きがいを意識することで充実感が生まれるとされています。

「A」は達成感のことです。公私を問わず何かをやり遂げることで達成感を感じる人は多いのではないでしょうか。

この5つを満たす人はウェルビーイングである、というのがPERMAの法則です。

ギャラップ社による5つの要素

アメリカの調査会社であるギャラップ社も、ウェルビーイングの構成要素を5つ定義しています。

ギャラップ社は自社の定義を元に世界規模で調査を行っており、調査結果は国連が発表する世界幸福度報告にも利用されています。

  • ・Career well-being(キャリアウェルビーイング)
  • ・Social well-beingl(ソーシャルウェルビーイング)
  • ・Financial well-being(ファイナンシャルウェルビーイング)
  • ・Physical well-being(フィジカルウェルビーイング)
  • ・Community well-being(コミュニティウェルビーイング)

キャリアウェルビーイングとは、仕事に限らず子育てや勉強など自分の時間の大半を占めることに対して楽しみながら取り組めているかどうかを表すウェルビーイングの要素です。

ソーシャルウェルビーイングとは人間関係のことです。家族や職場、友人と良好な人間関係を築けているかどうかが重視されます。

ファイナンシャルウェルビーイングとは、経済的に安定し満足できているかどうかを意味します。フィジカルウェルビーイングは心身共に健康であるかどうかを意味する要素です。

コミュニティウェルビーイングとは地域社会とのつながりを意味します。地域社会への貢献を通してその地域に深く根をおろして生活している感覚があるかどうかという要素です。

ウェルビーイングの指標

ウェルビーイングの定義や要素を踏まえて人々がどれくらい健康・幸福な状態で過ごすことができているのか。いま人々がどれほどウェルビーイングな状態なのか、数値化した指標が複数あります。

ここでは、下記の3つの指標を紹介します。

  • ・世界幸福度ランキング
  • ・OECDの「よりよい暮らし指標」
  • ・日本におけるウェルビーイング指標

世界幸福度ランキング

世界幸福度ランキングは、国連の「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が2013年から作成している世界幸福度報告書に掲載されています。

アメリカの調査会社・ギャラップ社の収集データのほか、下記の6つの項目を加味して国を順位付けし、ランキングを公表しています。

  1. 一人当たりのGDP(国内総生産)
  2. 社会保障制度などの社会的支援
  3. 健康寿命
  4. 人生選択の自由度
  5. 他者への寛容度
  6. 国への信頼度

2023年に発表されたランキングでは1位がフィンランドで、日本は47位*です。

日本におけるウェルビーイングの現状については下記の見出しもご覧ください。ページ内をジャンプします。
>>日本におけるウェルビーイングの現状

*出典:World Happiness Report 2023|Sustainable Development Solutions Network

OECDの「よりよい暮らし指標」

OECD(経済協力開発機構)は国の幸福度を測る指標として「よりよい暮らし指標(Better Life Index: BLI)」を2011年から発表しています。

国の豊かさを表すものとしてGDP(国民総生産)があります。しかし、それでは不平等の度合いや持続可能性を表すことができないという問題意識もあります。そこから生まれたのが「より良い暮らし指標」です。

「より良い暮らし指標」では、幸福度は下記の11の項目で構成されています。

  1. 住宅
  2. 所得と富
  3. 雇用と仕事の質
  4. 社会とのつながり
  5. 知識と技能
  6. 環境の質
  7. 市民参画
  8. 健康状態
  9. 主観的幸福
  10. 安全
  11. 仕事と生活のバランス

2018年のデータでは、日本は雇用と仕事の質の「就業率」や健康状態の「平均余命」の値は良好です。一方住宅の「過密率」や主観的幸福の「負の感情・バランス」などはOECD平均を下回っています。

引用:国土交通白書2021|国土交通省

日本におけるウェルビーイング指標

日本独自のウェルビーイング指標として、Liveable Well-Being City指標(LWC指標)があります。

LWC指標は、政府が推進する「デジタル田園都市国家構想」において地域のウェルビーイングを計測するために、一般社団法人スマートシティ・インスティテュート(SCI-Japan)が開発したものです。下記の5つの要素で構成されています。

  1. 地域生活のwell-being
  2. 協調的幸福
  3. ActiveQoL
  4. センシュアス・シティと寛容性
  5. 暮らしやすさ

「地域生活のwell-being」は地域における暮らしの中で感じる主観的な幸福感につながる要素で、生活の利便性や地域との相性、地域行政への信頼などが挙げられます。

「協調的幸福」とは地域の協調的な豊かさを測定する要素です。後継世代への継承や地域内の信頼関係の有無などがあります。

「ActiveQoL」は仕事や学業、娯楽など日々の活動に対する満足度を測る要素です。

「センシュアス・シティと寛容性」は市民がとった行動実績を計測し都市の魅力を計測する要素です。

「暮らしやすさ」とは、公開されている数値データを元に地域の生活環境を測定するもので、医療や介護、事故や自然災害など22の因子で構成されています。

デジタル田園都市国家構想が地方の活性化をテーマとしているため、地域社会に関する要素が多くなっています。

LWC指標はこれから活用されていく指標です。今後、目にする機会も増えるかもしれません。

ウェルビーイングが注目を集める背景

昨今、ウェルビーイングへの関心が高まっています。その背景には下記の3つの要因があるといわれています。

  • ・働き方改革の推進
  • ・新型コロナウイルス感染症の拡大
  • ・SDGsでの言及

具体的に解説します。

働き方改革の推進

現代は、子育てや介護など働く人の事情に合わせた働き方ができる環境づくりが企業に求められています。

従業員のウェルビーイング、つまり肉体的・精神的・社会的に満たされ生き生きと働ける環境を目指すことで、働き方改革の実現につながります。また企業がウェルビーイングに取り組むことは、経営の観点からもメリットがあるのです。

たとえば従業員のウェルビーイングに取り組むことで、企業にとっても離職率の低下や優秀な人材を確保しやすくなるといったメリットがあります。そのため経営の観点からもウェルビーイングは注目されています。

新型コロナウイルス感染症の拡大

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、リモートワークをする人が増えました。そのためコミュニケーションの機会の減少や孤独感からくるメンタルヘルスの不調といった問題が指摘されています。

テレワークをはじめとする新たな環境下でも、心身共に健康で仕事に取り組める環境を整えるための考え方として、ウェルビーイングが注目を集めているのです。

SDGsでの言及

SDGs(持続可能な開発目標)は2015年に国連サミットで採択された国際目標です。耳にする機会が増えたと感じている方もいるのではないでしょうか。

SDGsは17のゴールで構成されています。その3つ目に「すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-Being)」とあり、ウェルビーイングについても言及されているのです。

SDGsは世界中で取り組むべきものとして関心が高まっています。その中にあるウェルビーイングが注目を集めるのも自然なことではないでしょうか。

SDGsについては下記の記事で解説しています。SDGsの全体を知りたいという方はぜひご覧ください。

>>持続可能な開発目標・SDGsとは?17の国際目標やターゲットなどを簡単に解説

日本におけるウェルビーイングの現状

国連の世界幸福度ランキング2023年版において、日本は47位でした。2022年は54位*、2021年は56位**なので、少しずつ順位は上がっているものの主要7か国のなかでは最下位です。

国内では、内閣府が「満足度・生活の質に関する調査報告書」を行っています。13分野別に満足度を調査し、性別・年齢別・地域別に算出しています。

年齢別に見ると40歳から64歳の生活満足度が相対的に低いものの、2022年の調査では前年より上昇していることがわかります。

引用:満足度・生活の質に関する調査報告書2022|内閣府

2021年から2022年にかけての変化の分布を見ると29.3%の生活満足度が低下した一方で、上昇した人の割合の方が32.3%とやや上回っています。

引用:満足度・生活の質に関する調査報告書2022|内閣府

*出典:World Happiness Report 2022|Sustainable Development Solutions Network
**出典:World Happiness Report 2021|Sustainable Development Solutions Network

日本でウェルビーイングを推進するためにできること

政治や経営の話と結びつくことが多いウェルビーイングですが、個人でもウェルビーイングに取り組むことは可能です。

日本でウェルビーイングを推進するためにできることを紹介します。

  • ・自分のウェルビーイングを高める
  • ・困っている人たちを支援する活動に加わる
  • ・ウェルビーイングについて本で理解を深めて実践する
  • ・参考:会社でウェルビーイング経営を実践する

自分のウェルビーイングを高める

個人でできるウェルビーイングを高める方法として下記のものがあります。

  • ・周囲と積極的にコミュニケーションをとる
  • ・スマートフォンやパソコンと物理的に距離を置く

ウェルビーイングを構成する要素として、PERMAの法則もギャラップ社のものも人間関係を挙げています。家族や友人、職場の人と積極的に会話する機会を作ることで心の充実につながるはずです。

また、スマートフォンやパソコンの過度な使用は心身に悪影響を及ぼすといわれています。時間を区切ってデジタルデバイスに触らない時間を作るなどして、テクノロジーと上手に付き合いましょう。

困っている人たちを支援する活動に加わる

困っている人を助ける活動を行う慈善団体の活動に加わることで、困っている人たちのウェルビーイングの向上につながります。

たとえば、カタリバというNPO団体では、10代の子どもが安心して過ごせる居場所を提供することで、日本の子どもたちのウェルビーイング向上に寄与しています。

カタリバの活動の詳細については下記の記事をご覧ください。

>>【実際どう?】カタリバの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説

ボランティアや寄付を通じてこのような団体を支援することが可能です。また、寄付やボランティアといった利他的な活動をすることで社会の役に立つ実感を持ち、自分自身のウェルビーイングを高める効果があるといわれています。

日程や場所が合えばボランティアに参加してみてはいかがでしょうか。また、時間や場所にとらわれないお金の寄付もおすすめです。ただし、中にはいわゆる「寄付してはいけない団体」もあるので注意してください。

詳しくは下記の記事を参考にしてください。

>>寄付してはいけない団体は本当にある?寄付先を選ぶときのポイントを3つ紹介!

ウェルビーイングについて本で理解を深めて実践する

<PR>

ウェルビーイングは概念的な言葉でイメージが掴みにくいと感じる人もいるかもしれません。そのため、本で理解を深めることもおすすめです。ウェルビーイングについて書かれた書籍を紹介します。

「ウェルビーイング」は基本的な説明やウェルビーイングの研究、過程でのウェルビーイングなど包括的に書かれており、ウェルビーイングの入門としておすすめの1冊です。

created by Rinker
¥970 (2024/05/23 22:06:38時点 Amazon調べ-詳細)

「ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術」はIT技術をいかに人間のウェルビーイングにつなげるかを問いかけた書籍です。

「99%の小学生は気づいていない!?ウェルビーイングの魔法」は小学生向けに書かれた「自分で幸せをつくりだす方法」を学べる1冊です。明日からすぐに使える具体的な方法も書かれています。

ウェルビーイングは学ぶだけでなく、実践してみることが大切です。書籍で学び、取り組めそうなことから1つずつチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

参考:会社でウェルビーイング経営を実践する

ウェルビーイングの取り組みは経営の観点からも注目されています。会社を経営している、あるいは経営に関わっている方は、会社でウェルビーイング経営を実践してみてはいかがでしょうか。

たとえば、下記のような取り組みが従業員のウェルビーイングを高める方法として挙げられます。

  • ・社内のコミュニケーションを活性化する
    例:部門を越えて利用できるリフレッシュスペースの設置、社内SNSやチャットツールの導入
  • ・働きやすい環境を整備する
    例:長時間労働の是正、テレワーク環境の整備
  • ・従業員の健康増進を推進する
    例:社内の健康診断の実施や外部検診の費用補助、メンタルヘルス研修の実施

ウェルビーイングに取り組むことで社会全体のウェルビーイング向上に寄与するだけでなく、離職率の低下や生産性の向上、優秀な人材の確保など企業にとっても多くのメリットがあります。

ウェルビーイングを意識してよりよい社会を実現しよう

ここまで、ウェルビーイングについて解説しました。ここで、紹介した内容をまとめます。

  • ・ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に「良い状態」であることを意味する概念
  • ・働き方改革やSDGsなど様々な社会的背景から注目を集めている
  • ・生活の仕方を工夫したり寄付やボランティアに参加したりすることで、ウェルビーイングを高めていくことができる

価値観が多様化した現代では幸せの形も1つではありません。自分にとって、社会にとってどのような状態がウェルビーイングなのか考え、実践することでよりよい社会の実現に繋げましょう。

よりよい社会の実現というと、規模の大きな話に感じてしまう方もいるかもしれませんが、ウェルビーイング向上のために個人で取り組めることもあります。詳しくは下記の見出しをご覧ください。

>>日本でウェルビーイングを推進するためにできること

この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。 なお、掲載されている記事の内容に関する「指摘・問い合わせ」「誤字脱字・表示の誤りの指摘」につきましては、こちらの報告フォームよりご連絡ください。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿