確定申告は誰もが行うべきものであり、通常は就業している会社などで行ってもらえます。
これを行うことで納めすぎた所得税を還付してもらい、翌年の住民税や保険料などを確定することができますが、人によっては自分で行わなければいけない場合もあります。
ひとり親家庭の人は就業形態によっては自分で確定申告をする必要があり、その際には通常とは違った注意点もいくつか存在します。
この記事では、ひとり親家庭の確定申告において注意すべきポイントを紹介します。
(※2020年6月末時点)
ひとり親家庭が抱える問題とは?どんな手当や支援があるのか見てみよう
また、ひとり親家庭の支援に関心があるという方は、簡単30秒でできるアンケートに応えて、問題について理解を深めながら支援を経験してみませんか?
約30秒のアンケートに回答いただくと、ひとり親家庭の直面する状況を改善するために活動する団体に10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!
\たったの30秒!/
ひとり親家庭の確定申告に必要なものとは
ひとり親家庭の場合、正規の職員あるいは従業員として働いていれば確定申告は大抵所属している会社が行ってくれますが、場合によっては自分で行わなければいけない状況も出てきます。
また、母子家庭はパートやアルバイトで生計を立てている人もいることから、確定申告を自分で行わなければいけないことが多いです。
しかし確定申告というと難しい、面倒というイメージも付きまといますが、注意点をしっかり把握し、記入すればそれほど難しいものではありません。
確定申告は現在e-Taxというオンライン上で行うこともできますが、まずは居住している管轄の税務署、または指定された確定申告相談窓口などを利用することをおすすめします。
そこで書類を受け取り、必要事項を記入していけば確定申告を行えます。
ただ、そのときいくつか記入に必要な事項を予め確認しておかないと、二度手間三度手間になることもあるため、注意点として先に理解しておくことでスムーズに申告ができます。
注意点に紹介の前に、確定申告で必要なものをまとめておきましょう。
これだけのものを用意する必要があります。ただし寄付金の受領証などは寄付を行ってなければ必要ありません。
源泉徴収票は所得の証明になりますし、医療費通知や社会保険料控除証明書などは手元にないと控除が受けられないため、会社または関連機関からもらえるように依頼、あるいは失くしてしまった場合は再発効してもらう必要があります。
ただし時間がかかる可能性があるため、確定申告へ行くかなり前に必ず確認しておくことをおすすめします。
確定申告は所得税を支払う場合、毎年3月15日の期限までに行う必要がありますが、還付申告※であれば、過去5年まで遡って確定申告が行えます。
過去に確定申告を行っておらず、還付される可能性があるかもしれないので、税務署で一度相談してみるのもいいかもしれません。
※還付申告:予め給与から納められた所得税の一部を還付してもらうために行う申告。ただし納めすぎている場合のみ還付される。
※2020年(2019年度分)の確定申告については新型コロナウイルスの影響により、確定申告の期限が4月17日まで延長されたため例外となる。
(出典:国税局「確定申告の際にご持参いただくもの」)
ハンディキャップのあるクリエーターの商品に特化した通販サイト。お買い物で障がい者福祉や作り手を応援
ひとり親家庭の確定申告、注意すべきことは?
ひとり親家庭の人が確定申告を行う場合、いくつかの控除を受けることができます。
この控除を受けることで納めなければいけない所得税が減額され、還付を受けられる額が増える可能性が出てきます。
確定申告をする際に注意点として挙がるのが、控除の種類です。扶養控除や基礎控除は一般的な家庭でも受けられますが、それ以外にも寡婦控除を受けることができます。
この寡婦控除は2019年から適用範囲が広がったため、これまで申告できないとされてきた人も、控除を受けられるようになりました。
扶養控除と基礎控除
扶養控除と基礎控除はひとり親家庭に限らず受けられる控除です。
初めて確定申告に行くと見落とすこともあるので、記入の際には注意してください。
まず扶養控除は、子どもが昨年の12月31日時点で16歳以上であれば、一般の控除対象扶養親族として申請できます。この場合、控除額は38万円となります。
また特定扶養親族は19歳以上23歳未満の子どもを指し、こちらで申告した場合は控除額が63万円になります。
ただし16歳以上となるとアルバイトが可能となり、その給与が年間103万円を超える場合は、自身の扶養控除にできなくなるので注意が必要です。
さらに基礎控除については、個人の合計所得金額について適用されます。以下の金額ごとに控除額が変わりますので、参考にしてください。
個人の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
源泉徴収票にある所得およびその他の収入がある人はそこから合計所得を計算しておく必要があります。
寡婦(寡夫)控除
寡婦または寡夫控除は配偶者と死別または離婚しており、再婚してない人のこと、つまり現在独身の人で、一定の条件に該当する人のことを言います。
寡婦の要件は、夫の死別または離婚後、再婚していない、または夫が生死不明な人で、扶養親族がいる人あるいは生計を共にする子どもがいる人が当たります。
この場合、子どもは年間所得が48万円以下で、他の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
また、夫と死別後婚姻していない、あるいは夫が生死不明で、受給者本人の所得金額が500万円以下の人も該当します。この場合は扶養親族についての要件はありません。
さらに特別寡婦の要件もあり、夫と死別または離婚後再婚をしていない人や夫が生死不明の人で扶養親族である子どもがおり、受給者本人の所得金額が500万円以下をすべて満たせば、こちらが該当します。
合計所得金額が500万円以下の寡婦または特定寡婦にあたる人は控除額が35万円、500万円以上の寡婦は控除額が27万円と設定されます。
一方で寡夫の要件は妻と死別もしくは離婚後再婚していない人や妻が生死不明である人で、生計を共にする子どもがいて、その子どもの年間所得が48万円以下、他の控除対象配偶者や扶養親族となっていない子どもがいる人に限定されます。
さらに、受給者本人の所得金額が500万円以下であるという要件すべてを満たす人が寡夫とされ、控除額27万円を申告することができます。
未婚の母(父)も寡婦(寡夫)控除の対象に
2020年に税制改正が行われ、それまで対象とならなかった未婚のひとり親も寡婦(寡夫)控除が適用されるようになりました。
これまでは控除額が0円だったのに対して、2020年からは生計を共にする子どもがおり、受給者の所得金額が500万円以下で、事実婚をしていない人を対象として、35万円の控除を申告することができるようになりました。
2020年(令和2年)の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書はまだ「ひとり親」欄が設けられていないため、「寡婦」、「寡夫」または「特別の寡婦」欄をひとり親に改正するなどの方法で申告を行います。
これまで未婚により申請できかった人も、今後控除を受けられますので、申告時には忘れず行いましょう。
申告方法が分からない場合は、税務署または相談所の人に聞けば丁寧に教えてくれます。
(出典:国税局「源泉所得税の改正のあらまし」,2020)
(出典:川崎市「「未婚のひとり親の方に関する寡婦控除又は寡夫控除のみなし適用」について」,2019)
(出典:国税庁「No.1170 寡婦控除」)
(出典:国税局「No.1180 扶養控除」,2019)
(出典:国税局「No.1199 基礎控除」,2019)
(出典:日本年金機構「Q. 寡婦控除、特別寡婦控除、寡夫控除とは、どのようなものですか。」)
ハンディキャップのあるクリエーターの商品に特化した通販サイト。お買い物で障がい者福祉や作り手を応援
ひとり親家庭で生計を立てていく上で確定申告はとても重要
ひとり親家庭では多くの場合、少ない収入で生計を立てていかなければいけないため、貧困に陥りやすいという問題があります。
もちろんそれに対して手当や給付金、支援などが行われていますが、それでもなお厳しい状況に置かれることは少なくありません。
また、収入を得るために働いている以上は税金を納めていきます。所得税はその年に最終的な収入がいくらになるか分からないため、多めに納めていることがほとんどであり、翌年にしっかり所得を確定することで、納めすぎた税金を還付してもらうことができます。
その他収入の有無など所得金額によっては、追加で税金を納めなければいけない可能性もありますが、大抵は還付を受けられます。
さらに手当や給付金によっては申請に所得の証明を行う必要があるため、確定申告を行っておくことが大切です。
ひとり親として子どもたちを養っていくためにも、確定申告が必要な場合は毎年しっかりと行っておきましょう。