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高知県で行われている貧困対策や取り組みは?

この記事を要約すると

日本全国では子どもの貧困が問題視されています。不景気以降、貧困率は上昇し、2012年には過去最悪の割合となりました。
現在は徐々に回復しつつありますが、それでも7人に1人の子どもは貧困状態であると見られています。

その中でも高知県では県独自に行った調査と基準によって非常に多くの生活困窮家庭があると結論付け、この解決に当たっています。
こちらでは高知県の貧困の現状、そしてその対策や取り組みについて紹介します。

(出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」,2015)

貧困が深刻化する日本、貧困率が高い都道府県や地域ごとの対応とは

高知県の貧困率は?

四国の南に位置する高知県では貧困、特に子どもの貧困率が問題となっています。

高知県では等価世帯所得が135.3万円未満の低所得世帯生活必需品の非所有、支払い困難経験のいずれか1つが該当する世帯を生活困難にある状態と定義づけています。
2016年度に県の調査で生活困難世帯を割合で出したところ、32.7%の世帯がそれにあたると発表されました。

これは子どもの貧困状態を家庭の経済的困窮だけでなく、家庭環境全体で把握するための措置です。

つまり高知県の約3割の世帯は生活困難世帯であることがわかります。これを全国の子どもの貧困率と比較すると、平成25年に行われた国民生活基礎調査では結果では16.3%であり、これを大きく上回っていることがわかります。

ただし全国での調査が同じ基準で行われているわけではないため、完全な比較ができるわけではありませんが、それでも高いことは明確です。

(出典:高知県公式サイト)

高知県が行う「高知家の子どもの貧困対策推進計画

このような状況を鑑み、高知県では「高知家の子どもの貧困対策推進計画」を打ち出して子どもの貧困率改善のための取り組みを始めています。

高知県では県内全体を1つの家と見立て、「高知県は、ひとつの大家族やき。」をキャッチフレーズとして町おこしなど様々な取り組みを行っています。

県外へのアピールはもちろんのこと、県内の問題についてもこのキャッチフレーズの元、貧困対策では上記の計画を立案し、県内全体で取り組む課題として実施を行っています。

この計画は平成28年から平成31年までの4年間で取り組むべき重点施策として実施され、子どもたちへの支援策の抜本強化と保護者などへの支援策の抜本強化の2つの柱で作られています。

こうした取り組みにより、「子どもたちの将来が、子どもたち自身の努力が及ばない不利な環境により閉ざされてしまうことがないよう、夢と希望を持って安心して育つことのできる県づくり」を基本的な理念として目指しています。

(出典:高知県公式サイト)

高知県の貧困に対する主な取り組み


「高知家の子どもの貧困対策推進計画」において、具体的にどのような取り組みを行っているのかご紹介していきます。

先述したように、この計画では子どもと保護者のそれぞれを対象とした施策が行われています。

どちらへの支援も強化・充実させることで子どもの貧困率は改善するという考えで動いていますが、特に子どもへの支援策は多く計画されています。

これは貧困の連鎖を未然に防ぐため、早い段階から子どもへの取り組みを抜本的に強化しているためです。

就学前教育の充実

就学前、つまり保育所や幼稚園での教育の充実を図ることにより、教育力低下の課題を改善していく取り組みです。
生活困窮家庭ではこのような教育力低下が課題となっていました。

そこで関係機関と連携し、子ども一人ひとりの支援計画作成から家庭訪問、家庭支援推進保育士の設置などを行っています。

また円滑に小学校へ入学できるように、主に5歳児とその保護者に対して、生活習慣や生活環境改善を目的に、保育士とスクールソーシャルワーカーとの連携を行う仕組みを構築しています。
他にも他の保護者や子育て経験者との交流ができる場づくりの推進、子育て相談や子育てに関する教室の開催なども支援しています。

学校をプラットホームとした支援策の充実・強化

就学後には学校をプラットホームとして学力の未定着や不登校と言った問題に取り組む支援策の充実や強化を行っています。

主には学びの場を作ること、見守り体制を充実させること、健康的な体づくりをすることの3つをもって「厳しい環境にある子どもたちへの支援」を抜本的に強化する方針で動いています。

学びの場づくり

学びの場づくりでは、主には小・中学校で実施する放課後などの補充学習により、学習のつまずきへの早期の対応や、一人ひとりの実態に応じた効果的な指導を実施しています。

また高校では義務教育段階の学力の定着に課題がある生徒に対して、放課後や長期休暇中の補力補修や、指導補助にあたる学習支援員の配置の拡充も行われています。

他にも不登校の生徒や様々な理由で義務教育を受けられなかった子どもには、学習機会を提供するため中学校夜間学級などの設置に向けた体験学校などを開催。設置場所や運営方法などに関する検討も進められています。

見守り体制の充実

見守り体制の充実では、地域の方々の協力を得て、登下校時の子どもたちへの呼びかけや交通安全指導、清掃活動の取り組みを一緒に行うなどして、見守られながら育つ環境づくり規範意識や自尊感情の育成を目指しています。

また放課後児童クラブや放課後子ども教室の設置を促進し、地域の方々に活動を見守られながら活動できる環境を作ることで、ひとり親家庭や共働きの家庭でも安心して働け、子どもも保護者も安全で安心して過ごせる居場所を確保できるよう取り組んでいます。

健康的な体づくり

子どもが日常的に運動やスポーツに触れる機会を拡充したり、保護者に対して食生活をはじめとする生活環境改善のための啓発強化や相談支援体制を充実させたりといった活動が行われています。

特に貧困などで欠食が見られる子どもたちへは、子どもや家庭状況を把握し、関係各所と課題に応じた解決への取り組みあたっています。
経済状況を背景としていた場合は、地域のボランティアなどによる食事提供の活動支援なども展開さています。

「子ども食堂」など居場所の確保・充実

上記のような欠食のある子どもなどの居場所として「子ども食堂」という活動があります。

これは非営利団体が開設、運営しているものであり、子どもだけでなく保護者の居場所となるような空間として、食事の提供を行っています。

この場所を利用することで、食事が困難な場合も温かい食べ物を得ることができ、親子が触れ合う、あるいは同じような悩みを持つ保護者や家庭と交流する時間と場所ができます。
これにより地域で子どもを見守る場と保護者の孤独感や負担感を軽減する場の両方が得られると期待されているのです。

子ども食堂の開設や運営、定着、充実に向け、実施する非営利団体には助成や「高知家子ども食堂」として登録し、紹介や広報などの支援を県全体で行うなどしています。
また運営の継続支援のため「高知県子ども食堂支援基金」を創設し寄付を募っています。

高知家の子ども見守りプランの推進

貧困に喘ぐ共働きやひとり親世帯では、子どもと触れ合う時間が少なく、非行に走る子どもも少なくありません。

そのため非行を未然に防ぐため「高知家の子ども見守りプラン」を推進しています。

予防対策として、子どもや家庭を見守る仕組みを関係機関と役割分担して、普及定着を図るとともに警察等と連携をはかり、補導などに関する情報提供や連絡から指導や立ち直り支援につなげています。
また万引き及び深夜徘徊防止のための一声運動の取り組みや、非行防止の啓発なども同時に行うことで非行への入口対策も行われています。

他にも貧困の連鎖に陥ってしまう無職少年の自立に向けた就労支援やその仕組みづくりなども展開しています。

進学・就労等に向けた支援

進学、就学に向けた支援としては先ほどの無職少年に対しての支援だけでなく、経済的な理由で高校や大学への進学を断念してしまうような子どもたちへの支援も行っています。
高等学校等就学支援金などの支給や高等学校等奨学金の貸与など家庭の教育費負担の軽減を図るとともに、今後大きく貢献できる人材であると判断された場合は返還の必要のない育英貴信の給付も行う方針です。

社会的養護の充実

社会的養護の充実のため、児童養護施設などの子どもたちへの支援も行われています。
里親やファミリーホームによる家庭養護や施設による家庭養護の推進、またその構築への取り組みが進められ、学習支援や就学などに向けた自立相談支援なども行われています。

保護者等への支援策の抜本強化

子どもの支援とともに、その保護者への支援も抜本的な強化を行う必要があります。

特に厳しい環境にある子どもたちがさらに深刻な状況に陥らないよう、保護者の安定した生活及び自立に向けた支援を受けられる体制の整備を必要としています。

また経済的困窮から起こる児童虐待などの問題へ向けた取り組みなども同時に進めていくなど、保護者の子育てへの支援、地域での見守り大切の構築なども行われています。

保護者の子育て力の向上

子育て力の向上としては子育てを保護者だけで抱えるのではなく、その不安や悩みに対して保育所や幼稚園が寄り添い適切な支援が行われる「親育ち」支援の体制作りを行っています。

そのため組織的、計画的な支援を行うため、親育ち支援力向上のための研修などを促進。
保護者に対し、子育てに対する自覚や意欲を高める啓発強化にも取り組んでいます。

妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援 ~「高知版ネウボラ」の推進~

妊娠期から乳幼児期にかけて、その不安などから子どもへの虐待が起こる可能性があり、それにより子どもが死亡してしまうこともあります。

このような状況を防ぐため、機関での子育てに切れ目のない総合的な支援を行うのが高
知版ネウボラです。
全ての妊婦や親子に地域の子育てサービスの利用を促進したり、園児以外の親子が集う場となる多機能型保育事業の拡充を行ったり、相談窓口で出産から子育てに関しての悩みなどの相談を受け付け、最適な支援制度や専門機関への紹介、情報提供などを行う取り組みが進められています。

住まい・就労・生活への支援

厳しい環境にあるひとり親世帯では子育てと生計維持を一人で行っているため困難な状況に陥っていることが多いとされています。

そのためこのような家庭を支え、自立を促すため、住まい・就労・生活への支援を行っています。

住まいに関しては空き家などの情報提供サービスや県営住宅入居者選考にあたり、条件を満たしたひとり親世帯などには優遇措置が実施されます。

また職業の適正や就業経験、職業訓練の必要性などニーズに応じた細かな就業支援を行うとともに、職業訓練期間中の託児サービスの提供や修業期間中の生活費の負担を減らす、高等職業訓練促進給付金の支給、など就労支援では経済的な負担軽減も行われています。

生活支援でも医療費の自己負担分の助成支援や放課後児童クラブなどの開設時間の延長や就学援助世帯等の子どもたちの利用料の減免など、こちらも経済的な支援を中心とした取り組みが実施されています。

児童虐待防止対策の推進(子どもたちの命の安全・安心の確保)

先述したように児童虐待が起こりやすい期間があります。そのような状況から子どもを守るため、虐待通告に対する組織体制の抜本的な強化を図っています。

また法的対応力の強化や、保護した児童への学習支援など生活環境の充実、市町村の相談支援体制の強化など広くこの問題に対しての取り組み強化と推進が行われているのです。

(出典:高知県公式サイト)

貧困は地域だけでなく日本で取り組むべき課題

高知県では生活困難者を把握するために独自の調査を行い、貧困の実態を洗い出しています。その結果、32.7%もの世帯が生活が困難な状態にあることがわかっています。

この状況を打開するために、子どもと保護者の両方に対する様々な支援や取り組みについて紹介しました。
しかし、貧困は特定の地域だけの問題ではなく日本全国で対応が必要な問題です。

自分の住んでいる地域や県で行われている取り組みを知ったり、周りで生活に困窮している人がいれば理解を示し相談にのったりと、できることから始めてみてはいかがでしょうか。

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