日本(貧困)

日本で貧困率が高い都道府県やその理由は?

日本では貧困、特に子どもの貧困率の高さが問題になっています。
貧困率は全国的に見てもばらつきがあり、必ずしも全ての都道府県で同様の高さが見られるわけではありません。

この記事では比較的貧困率が高い地域やその背景について紹介します。

貧困が深刻化する日本、貧困率が高い都道府県や地域ごとの対応とは

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日本国内でも貧困率の高さにばらつき

日本国内では貧困率の高さが問題になっています。住宅・土地統計調査によるデータから全国的な貧困率を見ても、高いところだと2013年の調査で16.9%もの貧困率となってしまっている県もあります。

同時に全体を見渡してみると、都道府県に大きなばらつきがあるのも分かります。

2013年、最も高い貧困率となったのは沖縄県で16.9%。沖縄県は過去の貧困率の高さでは平均順位が2位、次いで高知県が3位、鹿児島県と徳島県が4位となっています。

また同年で最も貧困率が低かったのは富山県の10.2%と、6.7%もの差があることがわかります。
ではなぜこのように都道府県で大きな開きがあり、これらの貧困率が高い県が生まれてしまうのか、その背景について見ていきます。

(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構

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貧困率が高い傾向にある地域とその理由とは?

先ほどピックアップした沖縄県、高知県、鹿児島県、徳島県は47都道府県の中でも高い貧困率となっており、その地域の特性や置かれている環境などが貧困率を高めているという背景が見られます。

沖縄県

沖縄県は本州から離れた場所にあり、いくつもの島から構成されています。
沖縄県が実施した2016年の貧困率のデータを見てみると、全国的に問題となっている子どもの貧困率が29.9%となっており、全国平均の16.3%を大きく上回る結果となりました。

2013年までのデータでも全国平均順位2位となってしまうほど断続的な貧困が続いていることが伺えます。

沖縄県では非正規雇用率が高く43.1%と発表されています。
全国的に見ても第1位の記録となっており、全国の非正規雇用者の割合である38.2%を大きく上回る結果です。

また賃金に関しても2019年の最低賃金の全国平均が901円なのに対して沖縄県は762円となっており、時給にして139円もの差が開いています。

さらに沖縄県でのひとり親世帯、特に母子家庭の出現率は5.46%で全国の2.65%を上回る結果となっているのです。
このような要因からワーキングプア層が多く、また貧困に陥りやすい母子家庭が多いことから貧困率が高くなってしまっています。

(沖縄県公式サイト)

高知県

高知県は2013年の貧困率が16.1%となっていますが、その要因はひとり親世帯の比率、就労形態、年間就労収入にあるようです。

まずひとり親世帯は全国でも上位になるほど多いという結果が出ています。このうち母子世帯で正社員率は56.7%と低く、年間就労収入が200万円以下の母子世帯は56.8%にもなるため厳しい経済状況に置かれていることがわかります。

つまり満足な収入を得ることができず、生活が困窮している状態にある母子家庭が多い傾向にあります。

パートや臨時職員など非正規雇用として雇われることが多く、安定した収入が得られない状況が続いてしまうのです。
非正規雇用の割合が男女ともに年々増加してしまっているのが高知県の現状であり、特に女性の割合が高いことで母子家庭の貧困率を高めてしまっているものと推測されます。

(出典:高知県公式サイト
(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構

鹿児島県

鹿児島県の最近のデータによると2013年の貧困率は14.3%となっており、2015年の全国平均13.9%を若干上回る結果となり、過去の平均順位は4位と高い傾向にあります。

鹿児島県でも高知県と同じような理由が伺えます。
貧困世帯のうち母子世帯が40%以上という調査結果が出ており、このうちの44.3%は非正規雇用であることがわかっています。

またその所得を分類したとき、等価化処分所得が122万円未満の世帯は39.7%、122万円以上244万円未満の世帯は35.1%となっており、単純にあわせても74.8%もの母子世帯が低い所得で生活していることがわかります。

これにより生活が困窮するだけでなく、子どもの就学や進学が思うように行かず、結果貧困の連鎖も起こってしまっている現状なのです。

(出典:鹿児島県公式サイト

徳島県

徳島県でも過去の貧困率の順位が平均4位と高い傾向にあります。2013年の徳島県の貧困率は15.5%と高く、その要因は母子家庭の多さにあるようです。

徳島県は全国的に見ても離婚率が高いこともあり、ひとり親世帯になってしまう割合も必然的に上がってしまっているのです。

2009年のピーク時に比べれば低下していますが、ひとり親世帯になった原因の約9割が離婚によるものとされています。

これによりひとり親世帯、特に母子家庭となってしまった世帯の8割近くは経済的に困窮しており、貧困状態になってしまっているようです。

この状況に対する支援が行き届いておらず、またさらなる貧困を生んでしまっている状況から、ひとり親世帯の子どもの貧困にこそ手厚い支援が必要であるとの声もあがっています。

(出典:徳島県公式サイト

貧困率が高い背景には様々な要因がある

全国的に貧困率のばらつきが生じるのは、上記の4県に見られるようなひとり親世帯の多さや、物価、賃金の安さ、地域特有の様々な要因が係ってきます。

また現在は都市に人が集まる傾向にあるため、地域によっては過疎化や高齢化が進むことにより、地域全体が経済的に低迷してしまっているという要因もあります。

離婚率の上昇によるひとり親世帯の中でも母子家庭の場合は正社員として働くことが難しく、収入が安定しないことから貧困となってしまうケースが多いこともわかっています。
さらに地方になれば物価が安いことで、全体的な賃金にも影響を与えてしまうことも少なくありません。

これらの要因による貧困は子どもの貧困率の高さにもつながります。
貧困が就学や就職に影響してしまい、家計が厳しいために進学をあきらめる人も少なくありません。
そして低学歴での就職は満足な収入を得られる職に就くことが難しい傾向にあり、結果として低賃金となり貧困は連鎖してしまうのです。

貧困は1つの要因ではなく、複雑に絡みあい、全国的にも多くの貧困を生んでしまっています。このような貧困を解決するには、根本にある原因を見定め、対策を行っていく必要があるのです。

(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構

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子どもの貧困支援も各地で行われている

このような貧困世帯の多さ、そしてそれに伴う子どもの貧困率の高さは、先ほど上げた県だけの問題ではなく、全国で存在し対策が講じられています。

子どもの貧困に対し、行政により経済的負担の軽減や、就学・進学支援、また民間団体による子ども食堂のような支援も行われています。

一度貧困な状態に陥ってしまうと抜け出すことが困難となり、どうしても支援が必要となります。

まずは日本の現状や貧困に対して理解を深め、そのような人々のためにできることを考えることも大切です。

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