「NPOとは何だろう?」
「NPOってどんな活動をしているの?」
このような疑問を感じている方に向けて、本記事では下記の内容をご紹介します。
- ・NPOの活動内容
- ・NPOの活動は必要なのか
- ・NPOの活動を支援する方法
NPOは企業や行政では解決しにくい社会課題に取り組むなど重要な役割を果たしており、私たちの社会をより良いものにするために必要な組織です。また、寄付やボランティアなど団体外からのサポートによって支えられている部分も多く、私たち個人が支援する方法もあります。
NPOに関するよくある疑問にも答えています。ぜひ最後までご一読ください。
NPOの活動内容を簡単に紹介
ここでは、NPOの定義から具体的な団体の活動内容まで、下記の3点に分けて解説します。
- ・NPOとは
- ・NPOの活動分野
- ・NPOの活動例
NPOとは
NPOとは「Non-Profit Organization」または「Not-for-Profit Organization」の略称です。日本語では「非営利団体」と訳します。
NPOは様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体のことです。収益の分配とは株式会社における配当などを意味しています。「労働の対価としての賃金(団体スタッフへの給与)」は収益の分配に該当しません。
NPOが収益を得ること自体は非営利であることと矛盾していません。
NPOのうち、都道府県知事などの所轄庁に申請し法人格を取得した団体が「NPO法人(特定非営利活動法人)」です。法人格を持つことで、団体としては情報開示の義務が発生しますが社会的信用が上がるといったメリットがあります。
さらに、NPO法人のうち一定の基準を満たし所轄庁の「認定」を受けた法人は「認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)」となります。
認定を受けるには運営組織や経理、事業活動の内容、情報公開が適切であることが求められます。認定NPO法人になると、寄付者は税制上の優遇措置を受けることができます。
NPOについては詳しくはこちらの記事もご覧ください。NPOとボランティア・NGOとの違いや、社団法人・財団法人についても解説しています。
>>NPO(非営利団体)とは?ボランティアや会社との違い、NPOの種類について広く解説
NPOの活動分野
NPOの活動範囲は多岐にわたります。
特定非営利活動促進法では、NPO法人が行う「特定非営利活動」について20種類に分類しています。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
2022年9月末時点での内閣府の集計*によると、NPO法人が定款で記載している活動分野として最も多いのが「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」で、次いで「社会教育の推進を図る活動」「子どもの健全育成を図る活動」となっています。
私たちがNPO法人の活動内容を見る際には、これらの活動内容だけでなく「活動の場所が国内か国外か」もポイントです。
たとえば、日本の子どもを支援している団体なのか途上国の子どもを支援している団体なのかによって、同じ子どもの支援でも活動内容は大きく変わります。このことから、活動場所は寄付を考えている人にとって寄付先を決める重要なポイントになります。
参考:特定非営利活動法人の活動分野について(2022年09月30日現在)|内閣府NPOホームページ
NPOの活動例
ここからは、gooddoマガジン編集部がおすすめする5つのNPOの団体の活動例を紹介します。
- ・公益財団法人 日本ユニセフ協会
- ・認定NPO法人 カタリバ
- ・認定NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン
- ・認定NPO法人 フローレンス
- ・認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ
公益財団法人 日本ユニセフ協会
ユニセフはすべての子どもの命と権利を守ることを理念に、途上国を中心とした約190の国と地域で活動している団体です。
保健や栄養、教育など多岐の分野にわたって活動しており、なかでも予防接種事業は最も成果をあげていると言われています。2016年には8,500万人以上の子どもたちにはしかの予防接種を行いました。
先進国を中心に支援窓口となるユニセフ協会を設置しており、日本ユニセフ協会もその一つです。
ユニセフの評判や詳しい活動内容についてはこちらの記事をご覧ください。
>>【口コミ・評判】ユニセフは怪しい?信頼できるかを寄付専門メディアが徹底解説
認定NPO法人 カタリバ
カタリバは、家庭環境など自分ではどうすることもできない問題を抱えた国内の子どもたちを対象に、居場所・学習・食事を地域と連携しながら届ける活動を行っている団体です。
大学生や社会人など、親や教師とは関係性の違う大人とのつながりから生まれる「ナナメの関係」による子どもたちとの伴走を目指しています。
2021年度は17の事業に取り組み、北海道から沖縄まで合計83,278人の子どもたちをサポートしました。
カタリバの評判や詳しい活動内容についてはこちらの記事をご覧ください。
>>【実際どう?】カタリバの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
認定NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン
ワールド・ビジョン・ジャパンは約100か国で保健・水衛生・生計向上・教育・栄養の分野で開発援助や緊急人道支援を行っている団体です。
例えば、タイのタプラヤ地域では干ばつ対策や農業技術支援を行うことで地域の平均世帯年収を3倍近く増加させるなど生計向上に寄与しています。
ワールド・ビジョン・ジャパンの評判や詳しい活動内容についてはこちらの記事をご覧ください。
>>【怪しい?】ワールド・ビジョン・ジャパンの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
認定NPO法人 フローレンス
フローレンスは、病児保育や小規模保育園・障害児保育・特別養子縁組・ひとり親支援・こども宅食などの子どもや子育てに関する事業に取り組んでいます。
「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指す社会問題解決集団です。
2022年度には病児保育件数は累計10万件を超え、業界最多を更新しました。
フローレンスの評判や詳しい活動内容についてはこちらの記事をご覧ください。
>>【怪しい?】フローレンスの気になる評判や実態は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ
むすびえは各地のこども食堂ネットワークの支援や、社会に貢献したいと考えている企業・団体と協働でこども食堂の支援や調査・研究を行っている団体です。
2021年度はのべ12,503団体に売価換算で7億6,000万円相当の物資を仲介しました。
また、「こども食堂全国箇所数調査」や『こども食堂白書』の出版など調査研究が充実しており、これらの資料に目を通すことで全国のこども食堂の状況を一覧することができます。
むすびえの評判や詳しい活動内容についてはこちらの記事をご覧ください。
>>【実際どう?】むすびえの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
これまで紹介した5団体のほかにも、gooddoマガジンがおすすめする団体を下記の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
>>信頼できる寄付先は?どこがいい?専門家がオススメNPO団体を徹底解説
NPOの活動は本当に重要?必要性を解説
NPOは様々なテーマで社会貢献活動を行っています。
しかし、なかにはNPOの活動についてこのように感じている方もいるかもしれません。
- ・NPOの活動は本当に必要なの?
- ・国連や政府が支援するだけではダメなの?
- ・NPOはなぜ寄付を募っているの?
上記の疑問について具体的に解説します。
NPOの活動は本当に必要なの?
NPOは非営利で社会貢献活動を行っています。NPOの活動は社会をより良いものにしていくために必要なものです。
たとえば、貧困で苦しむ途上国の人たちは、モノやサービスを先進国の人たちと同じ価格では買うことができません。しかし、自由競争によって価格が決定するビジネスの考え方では、この問題を解決することは極めて困難です。
たとえば貧困で食べ物が買えず空腹に苦しむ子どもたちに「食糧支援するから報酬を支払ってください」とはいえません。そこで同じ問題意識を抱えた人が集まって現地で支援活動を行ったり、食糧品やお金を寄付したりして問題の解決に取り組んでいます。
またモノを渡して終わり、ではなく「自立するための支援」を行っているNPOもあります。NPOの支援が将来的に終わっても自立していけるよう、教育を行ったりノウハウを伝えたりしています。
このようなビジネスで解決するのが困難な問題に取り組むため、NPOの活動は必要といえます。
国連や政府が支援するだけではダメなの?
ビジネスでは解決できない問題なら、国連や政府といった公的な機関が解決すればいいと考える方もいるかもしれません。
しかし、国連や政府の支援だけでは不十分です。社会問題の多くはNPOの活動と両輪で解決に取り組むことが求められています。
たとえば、国連の機関であるWHOの場合、天然痘の根絶活動をおこなったり感染症対策の協力を各国政府に要請するといったことを行っています。日本政府の場合、ODA(政府開発援助)を通じてコロナワクチンを途上国に届けるための現地の物流の仕組みを整えたり、円借款といってお金を貸したりしています。
このように国連や政府の支援は大規模なものが多く頼もしい一方で、現地のニーズに応じた柔軟な対応が難しいといった側面があります。
たとえば、ワールド・ビジョン・ジャパンではスリランカで農水産物の技術研修や家族でできる小規模ビジネスの立ち上げ研修を実施し生計向上に寄与しています。また、フローレンスでは自治体が拾いきれていなかった病児保育のニーズをすくいとり病児保育園を開設し、自治体に施設の必要性を提起しました。
ここにあるような柔軟な支援が行えるのがNPOの強みです。
NPOはなぜ寄付を募っているの?
多くのNPOが活動資金のために寄付を募っています。この寄付は柔軟な支援活動を継続して行うために不可欠なものです。
NPOは、支援の対象となる困窮している人や子どもからお金を回収することがほとんどできません。活動資金として助成金を受けることもありますが、助成金は使途が決められているため、柔軟な支援やチャレンジしたい新しい支援に使えないという制約があります。
一方で、寄付であれば使途の制限がないため、ニーズに合わせて柔軟に支援活動に使うことが可能です。特に毎月定額を寄付するマンスリー寄付は、NPOの安定した収入源になり、支援活動を計画的に行うことにつながることから、多くのNPOで必要とされています。
また、寄付を呼びかけることは単にお金を集めるというだけでなく、ある社会問題について広く知ってもらったり関心を持ってもらう機会になります。寄付というアクションを通して市民が社会問題に関わることができるという側面もあるのです。
NPOの活動を支援するために私たちができること
ここからは、NPOの活動を支援するために個人ができることを3つ紹介します。
- ・寄付
- ・遺贈
- ・ボランティア
寄付
お金の寄付は時間や場所に縛られず、誰でも手軽に始められるNPOの支援方法です。寄付する団体によっては寄付金控除を適用できるメリットがあります。寄付金控除とは対象となる団体に寄付をした場合、その金額に応じて課税対象となる所得が減ることで節税効果が見込める制度です。
寄付金控除を受けるためには下記の条件を満たす必要があります。
- ・寄付金控除の対象団体に寄付する
- ・年間2,001円以上の寄付をする
- ・確定申告を行う
さらに、毎月定額のマンスリー寄付なら、団体によってはグッズがもらえたりメールマガジンが届いたり交流会に参加できたりするなどの特典があります。寄付先の団体にとっても安定した収入源となり、支援の幅が広がることにつながります。
しかし団体は数が多く、いざ寄付しようと思ってもどこに寄付すればいいのか迷ってしまうかもしれません。下記の記事で信頼できるgooddoマガジンおすすめの寄付先を紹介しています。寄付を検討する際は参考にしてください。
>>信頼できる寄付先は?どこがいい?専門家がオススメNPO団体を徹底解説
遺贈
遺贈とは、亡くなった際に遺産の一部もしくは全てをNPOなどの団体へ譲渡することです。
生前に寄付する場合は生活資金を確保するためにどのくらい寄付できるのか分からない、寄付しづらいといった状況が発生することがあります。遺贈は自分の死後に遺産から寄付するため、生前での寄付よりお金の心配が少ないのが特徴です。
自分の財産を社会の役に立てたいと考えている方におすすめできるNPOの支援方法です。遺贈について詳しくは下記の記事で開設しています。
>>遺贈寄付とは?税金は発生する?手続きの方法や5つの注意点を解説!
ボランティア
ボランティアとしてNPOの活動に参加することもNPOへの支援になります。困っている人たちへの支援活動を実際に行うことで、社会貢献している実感を強く持てるのが特徴です。
ただし、時間や場所の制約があるので自由な時間が少ない方だと参加は難しいかもしれません。もし自由な時間が確保できるタイミングがあれば思い切って参加してみてはいかがでしょうか。
寄付とボランティアは両立できるので、参加できるボランティアを検討しつつ寄付から始めてみるのもおすすめです。
NPOの活動に関するよくある疑問
NPOの活動に関する下記3つの疑問について解説します。
- ・「NPOはやばい」とネットで見聞きするが本当?
- ・NPO団体の一覧はどこで確認できる・
- ・NPO法人に勤めている人の給料はどこからでるの?
「NPOはやばい」とネットで見聞きするが本当?
ネット上では「NPOはやばい」という声があがることもあるようです。詳しく見てみると下記のような内容になっています。
ネットでNPOが「やばい」と言われる例
- ・なんとなく胡散臭い
- ・働き方がブラック(給料が低い、労働時間が長い、など)
- ・非営利なのに寄付でお金儲けしてる
1つ目の「なんとなく胡散臭い」については、胡散臭い団体があるのも事実ですが、NPOに限ったことではないはずです。信頼できる団体かどうかは活動報告をはじめ情報公開を積極的に行っているかどうかでチェックすることができます。
信頼できる団体を見つけるポイントについては下記の記事で詳しく解説しています。
>>寄付してはいけない団体は本当にある?寄付先を選ぶときのポイントを3つ紹介!
2つ目の働き方に関して、いわゆるブラックかどうかは団体や部署、人の感じ方によって異なるものです。NPOだからといってブラックと決めつけるのは早合点ですし、その点では民間企業と変わりません。
3つ目の「非営利なのに寄付でお金儲けしてる」という点について、寄付はお金儲けのためではなく団体の活動資金として必要なものです。また、NPOが「非営利」で活動するということは「お金を稼がずに無償で人助けをする」ということではありません。
NPOで働く職員の賃金や支援物資を購入、その他の様々な活動資金として寄付による支援が不可欠なのです。
NPOの活動になぜ寄付が必要なのか?という点についてはこちらをご覧ください。ページ内の該当する見出しにジャンプします。
>>NPOはなぜ寄付を募っているの?
NPO団体の一覧はどこで確認できる?
内閣府のホームページでNPO法人の一覧を確認することができます。
>>NPO法人情報の検索結果一覧|内閣府NPOホームページ
寄付先となる団体を探すのであればgooddoマガジンの下記の記事がおすすめです。
>>信頼できる寄付先は?どこがいい?専門家がオススメNPO団体を徹底解説
NPO法人に勤めている人の給料はどこからでるの?
NPO法人に勤めている人の給料について一概に「ここから出ている」ということはできません。団体によって助成金や寄付金といった収入から出ているのは事実です。
ちなみに給料の額は平均で約260万円とされ、民間企業と比べると高くはありません。しかし10年間で民間企業の賃金があまり変化していないのに対しNPO法人の賃金は改善傾向にあり、その差は縮まってきています。
引用:NPO法人の活動と働き方に関する調査(団体調査・個人調査)|独立行政法人 労働政策研究・研修機構
NPOの活動は多岐にわたる
ここまで、NPOの活動について解説しました。ここで、紹介した内容をまとめます。
- ・NPOとは非営利で社会貢献活動を行う団体のこと
- ・NPOは公的機関の手が届かない現地のニーズに柔軟に対応している
- ・NPOの活動には寄付による収入が必要不可欠
NPOは国内・国外の様々な場所で困っている人を支援する社会貢献活動を行っています。活動のテーマは子ども支援・貧困問題・環境問題・人権問題など多岐にわたります。
NPOの活動はいわゆるお金儲けを目的としていませんが、支援活動のためには収入が必要で、使途を制限されない寄付金はNPOの活動を支える上で重要な資金源です。
NPOについてもっと理解を深めたいと感じた方は、下記の記事でより詳しく開設していますのでご覧ください。
>>NPO(非営利団体)とは?ボランティアや会社との違い、NPOの種類について広く解説
NPOの活動を支援してみたいと思った方は、下記の記事で信頼できる寄付先の団体やその選び方を解説していますのでご覧ください。
>>信頼できる寄付先は?どこがいい?専門家がオススメNPO団体を徹底解説