不平等とは?人や国の間で生まれる差別をなくそう!

世界の様々な場所で貧困に苦しむ人々がいて、そのような人々を救うために国際機関や行政、民間の支援団体などが動いています。

しかしその根本にある問題を解決しなければ、貧困をなくしていくことはできません。
これは世界にある、ほかの問題に関しても同様のことが言えます。
その根底にあるのは、世界に蔓延する不平等という現状です。

不平等はあらゆる場所に存在しており、世界の発展の妨げにもなっていると考えられます。
この記事では不平等とは何か、どのような問題があり、どんな対策を行っているのかを紹介します。

世界にある不平等とは?

不平等という言葉を耳にすることはありますが、実際にはどのような状態のことを指すのでしょうか。

そもそも平等とは、差別がなくすべてが等しいことを指します。それに対して不平等は平等ではないことを意味し、差別や偏りなどにより等しくない状態を表します。
聞いてしまえば当たり前のことかもしれませんが、この不平等な状態が世界中に広がっています。

世界では貧困に苦しむ人々を救うために様々な取り組みを行い、改善も見られましたが、未だに貧困の中で困窮している人もいます。
これは所得や地域、ジェンダー、年齢、民族、障がいの有無、性的指向、社会的地位、宗教といった原因により、アクセスやチャンス、結果を決定付けてしまい、その不平等が社会格差を広げているために起こっているのです。

またこれらの格差とは別に、オンライン技術やモバイル技術など、新たな分野での格差も生まれ、急激な拡大を見せています。
このようなあらゆる理由による不平等が存在しており、格差が生まれているのです。
ではどのような不平等があるのか、具体的な例をいくつか見てみましょう。

不平等の種類

不平等としてまず挙がるのが、所得や資産の不平等です。
現在最貧層の20%が所得全体に占める割合は2%未満であり、最も豊かな1%の割合は1990年には18%だったのが、2016年になって22%にまで上昇しました。

また世界金融危機が起こった2008年以降は、億万長者の数は2倍以上まで増大し、2018年に生み出された新たな資産のうち、およそ82%が1%の最富裕層の手に渡り、最貧層を含む貧しい人々にはまったく恩恵が行きませんでした。
このような所得や資産の不平等は、住んでいる国や地域によっても様々な格差があります。

居住地による不平等は先進国では比較的低い水準の不平等ではあるものの、上昇が見られ、ラテンアメリカ・カリブ地域では、未だ大きな格差が存在しています。

東欧諸国では政権移行などで不平等が急激に拡大しており、中東の一部では特定の集団について状況が悪化、アフリカやアジアでは新興経済国か内陸開発途上国か、農村部か都市部かといった条件で格差が現れます。

また生まれた先、あるいは生活する先で形成されるコミュニティーや家庭内部でも不平等は生まれます。
特に女性はジェンダーの不平等により、依然として経済的、法的、政治的、社会的な面での不平等に直面しており、子どもは世界の貧困層の大きな割合を占め、先住民や移民、難民、少数民族などは、差別や社会からの隔絶に苦しめられています。

不平等は医療、教育、食べ物、水、衛生といった基本的なサービスへのアクセスにも影響します。
このまま不平等が拡大していけば、経済的あるいは社会的な人間開発を妨げ、経済成長を阻害することにもなります。また、政府や制度の信頼性を損ない、暴動や紛争の引き金になる危険性も出てきます。

  • 世界中であらゆる理由による不平等が存在しており、格差が生まれている
  • 生まれた先、あるいは生活する先で形成されるコミュニティーや家庭内部でも不平等は生まれる
  • 不平等が拡大すると、経済成長を阻害することになったり、暴動や紛争の引き金になる危険性もある
  • (出典:国際連合広報センター「不平等ー格差を埋めよう」,2017)

    不平等の歴史とジェンダー

    様々な不平等が世界には存在していますが、特に先進国や途上国を問わず発生するのが男女の不平等です。

    古くから男女には格差があり、女性の権利が叫ばれ、守られるようになったのは、歴史上ではまだ最近のことです。

    女性であることを理由に古い慣習や性による差別によって、不平等により様々な機会を奪われてしまうのは、経済や社会の発展の妨げとなる可能性すらあり、ほかの不平等にも影響を与えるといった負の連鎖が生まれます。

    男女不平等や女性差別は撤廃されなければならず、そのためにジェンダーという言葉が用いられるようになりました。
    ジェンダーとは「性」を意味した言葉ですが、身体的な性ではなく、社会的・文化的性という意味を持ち、身体的な性差を否定することではなく、社会的あるいは文化的な立場での男女の平等を意味し、そのような平等を考えていくために使われます。

    また世界では、この男女不平等や男女格差、女性差別を測る上で、ジェンダー・ギャップ指数(※1)というものを使用しています。
    ジェンダー・ギャップ指数において2020年の日本の総合スコアは0.652で、153ヶ国中121位とかなり低い数値と順位になりました。

    ※1 ジェンダー・ギャップ指数:経済・政治・教育・健康の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示している

  • 先進国や途上国を問わず発生するのが男女の不平等
  • 女性の権利が叫ばれ、守られるようになったのは、まだ最近のこと
  • 近年では、社会的あるいは文化的な立場での男女の平等を意味し、そのような平等を考えていくためにジェンダーという言葉が使われるようになった
  • (出典:男女共同参画局「世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2020」を公表」,2019)

    男女不平等の歴史

    日本においても、女性の立場は長く不平等の中に置かれており、現在も課題がいくつもある状態です。

    日本の歴史上、女性の解放と権利を訴えた人物としてよく取り上げられるのが、平塚らいてう(平塚雷鳥)という女性でした。
    彼女は1911年に女性の解放を訴え、青鞜社(せいとうしゃ)を設立し、その考えを広めるために「青鞜」を発刊しました。
    女性解放運動家として、戦前から戦後に渡って精力的に活動し、大正から昭和にかけては女性の権利獲得のため新婦人協会を新たに設立し、婦人参政権などを訴えかけた人物でもあります。

    一方で、国内で女性の参政権が認められたのは、第二次世界大戦で敗れ、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の監視下の元で民主化を進めていた1945年のことでした。
    それまでは男性のみが認められていた参政権に女性が加わったことは、女性差別に対して大きな躍進をしたと言えます。

    しかしその後は政府に目立った動きはなく、1985年になってようやく雇用に関する男女の不平等をなくすための「男女雇用機会均等法」が成立しました。
    世界ではすでに労働に関する男女格差の是正に関する動きがあったことから、かなり遅れての対応であったことは否めません。

    育児休業法が育児・介護休業法に改正され、男女雇用機会均等法も昇進の差別やセクシャルハラスメント防止の配慮などが追加される中で、1999年になり「男女共同参画社会基本法」が成立することで、労働だけではない男女平等社会を目指す社会活動全体への取り組みが始まりました。
    しかし男女格差はなかなか埋められず、現在のジェンダーギャップ指数に見られるような男女不平等の状態に陥っています。

  • 日本では、女性の解放と権利を訴えた人物として平塚らいてう(平塚雷鳥)という女性がよく取り上げられている
  • 1985年に雇用に関する男女の不平等をなくすための男女雇用機会均等法が成立した
  • 1999年に男女共同参画社会基本法が成立し、労働だけではない男女平等社会を目指す社会活動全体への取り組みが始まった
  • 世界の不平等をなくすために必要なこと

    世界の不平等がこのまま放置されれば、所得をはじめとした様々な格差が拡大していき、問題は深刻化するだけでなく、国そのものが覆る可能性さえあります。
    そのような状況を作り出さないためにも、不平等をなくしていくために取り組んでいかなければいけません。

    具体的な取り組みとして、組織的な取り組みと、事業的な取り組み、そして個人的な取り組みの3つの要素が必要となります。
    不平等をなくすために必要な取り組みとはどのようなものなのか、それぞれ紹介します。

    不平等をなくすための組織面の取り組み

    世界全体で不平等をなくすために、持続可能な開発目標(SDGs)では目標10に「人や国の不平等をなくそう」という目標を掲げました。
    これによると、不平等が長期的な社会経済開発の脅威となることから、不平等を緩和し、機会や所得、権力の格差を縮小することを目指し取り組みを行っています。

    そのために各国の立法や行政に求めたのは、差別的な法律と政策を廃止すること世界金融市場の規制を改善することでした。
    これに加えて、秩序ある正規移住を容易にし、国内外に政策決定の包摂性を高めることがターゲットとなっています。
    世界全体で共通した万能型のアプローチができるわけではないため、不平等をなくすための取り組みは、世界では大枠としての目標とターゲットを定め、各国国内で実状に合わせた柔軟な対策が必要ということになります。

    実際に日本では、国内での差別を是正するために2016年に障害者差別解消法を実施し、国や地方自治体だけでなく、事業者にも障がいのある人に対して社会の中にある壁を取り除くために、負担が重過ぎない範囲での何らかの対処を求めています。
    これに加え、障害者雇用促進法が改正され、雇用に関しても障がい者の雇用を促進する流れを作り上げています。

    不平等をなくすための事業面の取り組み

    事業面では、先述したように障がい者の差別の解消と雇用の促進のような、官民で協力した不平等の取り組みがありますが、それだけではありません。

    開発途上国の貧困層にとっては、海外での出稼ぎは重要な収入源となり、先進国に渡り、所得を得て自国の家族に送金を行います。
    ただし海外への送金となることから、送金手数料が大きな負担となってしまうことがあります。

    このような不平等の是正のためSDGsではターゲットを定めています。例えば海外送金のプロセスに革新的な手法を導入することで、コストを抑えることができれば、成果に対しても平等な状態を作ることが可能です。
    また開発途上国における先住民族などの少数派や女性が経営する企業との優先的なビジネスを行うことも、彼らの立場や機会を平等にする手助けにもなります

    不平等をなくすための個人的な取り組み

    グローバル化が進む現代において、相手のことを理解せず、知らない・分からないという恐怖から遠ざけ、慣習や思想から区別するといった意識は不平等や差別の大きな要因となり得ます。

    そのためお互いの違いを認め合い、理解するところから始めなければいけません。それは国外から入ってくる人や文化だけに留まらず、性別や障がいについても同様です。
    特に障がい者については、お互いを理解するためのコミュニケーションが困難という部分もあります。
    そこに歩み寄るためにも手話や点訳、音訳、要約筆記などに興味を持つことも重要です。

    また異文化への理解を深めるために、ホストファミリーとなることや語学・文化講師などボランティアに参加することも有効でしょう。
    また日本国内をはじめ、世界中に存在する貧困層へ支援活動を行っている団体に寄付を行い、間接的ではありますが、援助を行うことも必要な活動の一つとなります。

  • 不平等をなくしていくために、組織的な取り組み、事業的な取り組み、個人的な取り組みの3つの要素が必要
  • 世界全体で不平等をなくすために、持続可能な開発目標(SDGs)では目標10に「人や国の不平等をなくそう」という目標を掲げた
  • 不平等や差別をなくすためにはお互いの違いを認め合い、理解することが重要
  • 生まれや住む場所などあらゆる理由による不平等をなくそう


    私たちは生まれた場所や人種、文化、思想など相違点はあっても同じ地上に住む人類です。
    生まれる場所もコミュニティーも選べないことから、あらゆる理由で不平等な状態に陥ることこそ、あってはならないことです。

    そして誰もが公平で平等に機会や報酬などを与えられ、その中で生きていける世界が構築されなければいけません。
    しかしそのためには、多くの問題や困難を乗り越える必要があります。紹介したように国連で採択されたSDGsや各国の政府による取り組みが進められ、不平等をなくしていくために動いています。
    ただ、それだけでは解決には至りません。

    私たち民間や個人でできることも進めていくことで、ようやく不平等をなくすための足並みが揃えられます。
    裏を返せば、私たちが考えて行動しない限りは、真の意味で不平等はなくなりません。これは国内のみならず、世界中に対して言えることです。

    不平等とは何なのか、どのような問題が起き何ができるのか、一つひとつをしっかりと把握し、取り組みを始めていくことが重要です。

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