人種差別

人種差別撤廃条約とは?国際条約から解決策を見出そう

人種差別は古くから世界に存在しており、これが原因で暴動や紛争に至るなど、大きな問題として存在しています。そんな人種差別を世界からなくすために、各国で話し合い採択したのが「人種差別撤廃条約」です。
しかし解決には一筋縄ではいかず、2020年時点でも人種差別と戦う日々が続いています。

この記事では、人種差別撤廃条約とはどのような内容なのか、そこから解決策はあるのかを紹介します。

人種差別とは?世界で起こっている問題、その原因とは

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世界に存在する人種差別


世界では今日も人種を理由とした差別が起こっています。年齢や性別を問わずに行われる差別は、特に分別がつかない子どもの間で起こりやすい問題ではありますが、根深く広がり、大人になっても自己と違うという偏見から差別を続けることも少なくありません。

自分とは異なるものを受け入れられないことによる不平等は、国や人々の間で起こります。それは長い歴史の中で証明されており、今もその差別が色濃く残っています。

差別の歴史は帝国主義による植民地支配が広がる以前からありました。紛争などの原因になることもしばしばあり、アフリカやアジアだけでなく、アメリカやヨーロッパといった先進国でも起こっており世界中で問題として取り上げられています。
これは日本も例外ではありません。差別に疎いと評される日本人ですが、海外から日本に移り住んできた人への差別だけでなく、北海道に古くから住んでいたアイヌ民族や江戸時代に存在した穢多(えた)・非人(ひにん)への差別意識が残っています。

人種差別とは異なりますが、女性に対しての差別、子どもや高齢者に対しての人権問題、障がい者やHIV感染者などへの差別なども挙げられるでしょう。
このように多くの差別が日本国内にも存在しています。

各国に生きる人々は、その歴史の中で枝分かれし、それぞれの文化を形成してきた異なる考え方を持った同族であるにも関わらず、国籍や肌の色、民族などを理由として受け入れず差別する世界があるのです。

  • 人種差別は子どもの間で起こりやすい問題ではあるが、大人になっても自己と違うという偏見から差別を続けることも少なくない
  • 日本では、海外から日本に移り住んできた人への差別だけでなく、アイヌ民族や穢多(えた)・非人(ひにん)、女性や子どもや高齢者、障がい者やHIV感染者など多くの差別が存在する
  • 人種差別撤廃条約とは


    世界中にある人種差別に対して、差別そのものをなくすために採択されたのが人種差別撤廃条約です。
    正式名称は「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約(International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination)」であり、人種を理由とした差別を撤廃するための多国間条約になります。
    この条約では人種差別がどういうものなのか以下のように定義しています。

    「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的そのほかのあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」

    人種はもちろんのこと、肌の色や世系、民族、種族的な出身などを理由とした区別や排除、制限を行い相手に対して妨げや害をなすことを目的とした行為になります。
    この中で世系とは、人種や民族から見た系統を表す言葉であり、日本でも使われる日系や黒人系などがこれにあたります。
    人種差別をこのように定義した上で、世界中のあらゆる人種差別を撤廃し、差別のない世界を実現するための締約国の義務や約束事をまとめたものがこの条約になります。

  • 人種差別撤廃条約とは、人種を理由とした差別を撤廃するための多国間条約
  • 人種差別とは、人種はもちろんのこと、肌の色や世系、民族、種族的な出身などを理由とした区別や排除、制限を行い相手に対して妨げや害をなくすことを目的とした行為とされる
  • (出典:外務省「人種差別撤廃条約Q&A」)

    人種差別撤廃条約の採択と人種差別との戦いの歴史


    人種差別撤廃条約が採択されたのは第ニ次世界大戦後の世界で残る差別を大きな問題として取り上げたことによります。

    国連総会では人種差別撤廃条約の採択に先駆けて、1963年に「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する宣言」を採択しました。
    これによればすべての人は基本的に平等であることを念頭に、人種や肌の色、種族的出身による人間観の差別は、先の世界人権宣言に掲げる人権の侵害であるとしています。
    また国家間や人民間の友好的で平和的な関係を構築する上での障がいになることから、世界で起こる人種差別を撤廃するために2年後の1965年に同条約を採択することになったのです。

    条約では締約国に人種差別を防止して処罰するための立法や司法、行政、そのほかの処置をとることが義務付けられています。
    さらに人種差別撤廃委員会を設置することを定めており、委員会による条約の実施状況の監視や、権利がどのように実施されているかについて締約国が委員会に定期的な報告を行うことも定められました。

    しかし人種差別は古くから続く人間の悪しき習性であり、簡単になくなるものではありません。時代が進むにつれて、アメリカでの「白人の逆差別問題」など新しい形態の人種差別が生まれるようになり、それに対しての対策も余儀なくされたのです。
    そこで国連総会では1993年に「第3次人種主義および人種差別と闘う10年」という新たな宣言を採択しました。

    2001年になると、「第3回人種主義、人種差別、外国人排斥および関連する不寛容に関する世界会議」を開催し、人種差別の防止や教育、保護の措置も含めた人種主義撤廃の具体的な措置について話し合いがなされました。
    これによりターバン宣言と人種差別を撤廃するための行動計画が採択され、2009年には再検討会議により、このターバン宣言をさらに前進させるための文書を採択するに至りました。

    2011年には国連本部でターバン宣言と行動計画の採択10周年を記念した会合が行われ、世界の指導者たちが人種主義、人種差別、外国人排斥および関連の不寛容との戦いを国内で最優先させることを宣言しています。

    (出典:国際連合広報センター「人種主義」)

    日本国内の人種差別への法整備

    日本は人種差別撤廃条約の締約国であり、国内での人種差別への対策を行っています。
    しかし世界から見た日本の差別への問題意識は低いと言わざるを得ず、条約に定められたような立法による人種差別撤廃のための措置はそれほど積極的であるとは言えません。

    日本では近年起こるヘイトスピーチ(※)が問題視されていました。社会的関心が高まったこともあり、国会で制定されたのが「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律」、通称ヘイトスピーチ解消法です。
    この法律によれば、不当な差別的言動は許されないものであるとされています。差別全般について言えることではありますが、特に海外から日本を訪れている人、居住している人、あるいはその子孫に対しての差別意識を助長、誘発するような言動について規制しています。

    確かに人種差別を防止するという観点での法律としては機能し、厳しく対処することはできても、ヘイトスピーチを禁止できるものではありません。
    そのため真の意味で人種差別を撤廃できる法律であるかは疑問視されています。

    ※ヘイトスピーチ:人種・民族・性別などに対して攻撃や侮辱する言動のこと

  • 「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する宣言」では、締約国に人種差別を防止して処罰するための立法や司法、行政、そのほかの処置をとることを義務付けている
  • 2011年には国連本部で世界の指導者たちが人種主義、人種差別、外国人排斥および関連の不寛容との戦いを国内で最優先させることを宣言した
  • ヘイトスピーチ解消法とは、不当な差別的言動は許されないもの
  • (出典:法務省「ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動」)

    人種差別撤廃条約から解決策を見出そう


    人種差別撤廃条約は、世界中にある人種による差別をなくし、平等であることを目的としています。
    差別とは、その根幹に歴史や教育などによる植え付けがあり、一度根付いてしまうと、簡単に取り除けるものではありません。またそれまで人種差別を行わなかったとしても、事件や事故、ヘイトスピーチなどの人種差別的な言動を受けたことによる憎しみで人種差別主義へと傾倒する可能性もあります。

    意識とは育ってきた環境で生まれ、憎しみとは些細なことで発生してしまうため、人種差別は生まれやすく、取り除きにくい問題なのです。
    だからこそ、そのような状況を生み出さないために人種差別撤廃条約により国々に人種差別が生まれない環境の整備や、立法・司法・行政による取り組みを求めています。
    国レベルで言えばどれも必要な事項です。

    しかし究極的には私たち一人ひとりが向き合い、人種差別と戦う姿勢が、これからの世界に人種差別を生み出さないための努力として重要となります。

    もし人種に対して差別してしまう意識があれば、自己の考えから改め、子どもたちへの教育においても差別する心を生み出さない教育を家庭や教育現場などあらゆるシーンで行う必要があります。あるいは差別であることを攻撃することも新たな差別につながります。
    差別をなくすためにどのように向き合っていくべきか、今の世界のあり方を見て、それぞれが深く考えていくことが求められています。

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