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世界で起こった食糧価格の高騰が与えたアジアへの影響は?多くの人が飢餓の危険にさらされる

この記事を要約すると

世界では様々な理由によって食料の価格が上昇することがあります。
それは多くの人の食事に関係しますが、特に貧困国や開発途上国に暮らす人々への影響は大きくなります。

国や地域によっては多くの人が飢餓状態に陥ってしまうこともあるのです。

この記事では、過去に世界で起こった食糧価格の高騰がアジア地域に与えた影響について紹介します。

世界で最も人口が多く飢餓人口も最大と言われるアジアの飢餓の現状や行われている支援は?

世界の食糧価格が高騰した2005~8年

2005~2008年の3年ほどの間に、世界全体で食糧価格が2倍近くまで跳ね上がったとされています。
この食糧価格の値上がりによって低所得国ではさらに1億人の貧困層が大きな影響を受けることになりました。

国連食糧農業機関では食糧不足が起こっている国や地域に対して海外援助を行っていますが、その運営コストがこの3年ほどの間に5億ドルから7.5億ドルにまで上昇しました。

そうしてさらに世界各地の緊急的な支援と同時に中長期的に農作物の生産量を増やすということが必要になってきているのです。

(出典:外務省公式サイト)
(出典:経済産業省公式サイト)

食糧価格が高騰した背景

この期間に食糧価格が高騰したのにはいくつかの理由が複合的に絡み合っています。

バイオ燃料化

バイオ燃料とはトウモロコシ、サトウキビ、小麦、菜種、パーム油などから生産される燃料です。
バイオ燃料を生産するために、人間が食べる食糧を減らすために価格が高騰したといわれています。

実際にアメリカでは毎年1億2000万トンのトウモロコシがエタノール生産に使用されています。
これはアメリカのトウモロコシ生産量の30%にも及んでいます。

しかしバイオ燃料は環境問題への対策として注目されていることから、バイオ燃料の生産を疎かにするわけにはいかないという考え方もあるとされています。

(出典:独立行政法人農畜産業振興機構 公式サイト)

原油価格の高騰

食糧を生産するために使用する農業機械にも原油価格は影響し、生産した食糧は輸送をするための輸送費にも大きく影響してきます。

この原油価格が上昇すると生産コスト、運輸コストが上がってしまうために食糧の価格も上がってしまうのです。

自然災害

台風や洪水、干ばつなどで予定していた食糧が収穫できないことも、食糧の価格高騰に関係しています。

食糧価格高騰がアジアの国々に大きな影響を与える

食糧の価格高騰はアジア地域の国々に大きな影響を与えています。

特に「小麦」「油脂」「乳製品」は価格が急激に上昇しました。
小麦の価格は前年から50~80%も上昇したのです。
乳製品の高騰や生産量の少なさによって、日本のスーパーや小売店でバターが品不足となりました。

2008年4月ごろから一定の期間、バターは1人1箱までと制限されたり、売り切れるということが起こったのです。

また、こうした食糧の価格高騰は主食となる穀物を輸入に頼っている開発途上国にとっては非常に重要な問題となりました。

特にサハラ以南のアフリカや南アジア、東南アジアの地域では飢餓状態が多発したのです。

経済の停滞やデモ、暴動などが相次いで起こり、多くの死傷者が出ました。

(出典:外務省公式サイト)

バングラデシュ

バングラデシュの首都・ダッカの南方にある工業地帯では、大規模なストライキが起こりました。

バングラデシュでは政府から抗議行動禁止令が出されていましたが、ここでは少なくとも1.5万人もの縫製工場の労働者が「賃上げ」「食糧価格高騰について」のストライキを決行したのです。

バングラデシュでは縫製産業は最大の輸出工業です。

その労働者が賃金が上がらない中で食糧価格高騰したために食料を購入することができず、会社に対しては賃上げを、政府に対しては食糧価格高騰への訴えを起こしたのです。

労働者は工場の中で座り込んでストライキを起こし、それを鎮圧しようとした警官隊との間に衝突が起こりました。

警官隊や軍はストライキをしている労働者が工場の外に出ないように入り口を封鎖し、ものものしい雰囲気となりました。

事業主と労働者側は交渉を繰り返し、数ヶ月限定で200タカの賃上げを提示しましたが、労働者側からは「とても足りない」という声も多く、さらには「突然の解雇通告」も行われていると暴動は長期化しました。

(出典:在バングラデシュ日本国師大使館 公式サイト)

インドネシア

インドネシアでは主食の米を輸入に頼っていましたが、2008年の時期はそれぞれの国が自国の小麦や米などの主食の国内価格を抑えるために輸出規制を行ったために、輸出入が難しくなりました。

そのため米が不足したり、価格が高騰したためにインドネシア、フィリピン、ハイチなどで大規模な暴動やデモが行われました。

(出典:外務省公式サイト)

FAOハイレベル会合(食料サミット)が開催される

こうした状況の中、2008年6月には国連食糧農業機関の本部があるイタリアのローマ食料サミットが開催されました。
世界的課題となっていた食糧価格高騰問題や気候変動、バイオ燃料などによる食料安全保障の課題について話し合いが行われたのです。

ここでは世界の食料安全保障のために「緊急・短期的な措置」と「中・長期的な措置」の包括的かつ一貫した対策が必要であるという宣言が採択されました。

緊急・短期的な措置

開発途上国への緊急的な食糧援助や食糧増産のための支援、そういった国が輸出規制によって食糧価格が不安定にならないようにするための措置を指します。

中・長期的な措置

農業分野への投資の増大や国際貿易の自由化促進、食料需給や価格水準といった観点を含む世界の食料安全保障に配慮した持続的なバイオ燃料の生産・利用、気候変動に食料生産システムを適応させるための支援を指します。

(出典:外務省公式サイト)

第2世代のバイオ燃料の開発に各国が取り組む

バイオ燃料はサトウキビや小麦、トウモロコシ、大豆などを原料とし、CO2の排出量を抑えたりすることができるために地球温暖化防止燃料として期待されています。

しかし食料作物を原料として作り出すエネルギーのために、穀物の価格上昇に関係しているという声も多く出ています。

そのために開発が行われているのが第二世代のバイオ燃料です。

第二世代のバイオ燃料は食用ではなく、間伐材、稲わら、トウモロコシの皮、果物の皮などが使用されています。

これらは温室効果ガスの削減に期待できるだけでなく、食料作物を使用しないために穀物の価格上昇を抑えることができると期待されています。

ただし、製造工程が複雑で手間がかかるために、その分野の開発研究が進められている段階です。

また、第三世代のバイオ燃料として、海藻、藻などが使用されたものがあります。
こちらも高い温室効果ガスの削減が期待できるだけでなく、食糧価格高騰には影響しないものとして研究が進められています。
しかしこれも製造工程が複雑になることがあり、完全に実用化して普及するにはさらなる研究が必要とされています。

(出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)

地球全体としての農業生産力の強化が課題

食糧価格高騰を抑え、飢餓を防いでいくためには農業の生産力を向上、生産や破棄コスト・エネルギーを低減させるために食品ロスの減少、新たなエネルギー燃料の研究・開発などが必要です。

とくに途上国においては食料を多く生産し、適切に保存、貯蔵、運搬し、適正な価格で売買をするということができれば、飢餓を防いでいくことにもつながります。
そして研究資金や投資が行える先進国では、食糧価格高騰に影響しない新たな燃料、エネルギーの開発も行われています。

食料価格の高騰は私たち消費者にとっても大きな影響を受けます。
価格の高騰には様々な要因がありますが、過去にあった事例を活かし、私たちの時代につなげるためにどんなことができるのかを考えてみてはいかがでしょうか。

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