アジア(飢餓)

世界で最も人口が多く飢餓人口も最大と言われるアジアの飢餓の現状や行われている支援は?

世界全体を見ると、飢餓状態になっている国や地域とそうでない場所の差が大きいことに気づきます。

特に南アジア地域とサハラ以南のアフリカ地域では人口が多いこともあって飢餓状態率が非常に高くなっています。

そこでここでは飢餓人口が最大と言われるアジアの飢餓について紹介します。

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飢餓とは

飢餓とは食料が継続的に不足することによって栄養不足の状態が続き、健康的な体調の維持が困難になっている状態のことを指します。

多くの発展途上の国の人々が栄養不足の状態に陥っています。

2018年に発表された国連の調査によれば世界で約8億人以上、世界人口の9分の1が飢餓の状態にあるとされており、飢餓人口の約3分の2がアジア地域に集中しています。

また、割合の分布図を見ていくと最も高いのはサハラ以南のアフリカとなっており、この地域だけで飢餓人口の4分の1を抱えています。
ここでは年間約310万人の5歳未満の子どもが栄養不足のために命を落としているとされており、子どもの死亡の原因の45%ほどにもあたります。

こういった国や地域で飢餓になるのは様々な原因が重なっています。
健康に対する知識や教育の欠如、食料の慢性的な不足、それに加えて衛生環境の劣悪さが大きく関係しています。

サハラ以南のアフリカや南アジア地域では、衛生環境が特に整っておらずに屋外排泄を行っているところもまだまだ多いのです。
屋外排泄は虫に刺されるだけでなく、虫や寄生虫などの大量発生も引き起こします

また、病気に感染しやすい環境となるために下痢などにかかりやすいという特徴もあります。

そのためせっかく栄養を摂取しても、吸収されることなく排泄されてしまい、さらに病気の感染が広がるという悪循環を引き起こしています。

(出典: 日本ユニセフ協会 公式サイト)

アジアの飢餓の現状とは

人口が多いところでは飢餓の人口も増えやすいことになり、それぞれの国による飢餓への対応を紹介します。

インドでは21世紀に入ってからの10年間で飢餓の子どもの割合を42.5%から29.4%へ改善しています。

また、中国では2002年に9.2%であった成人の栄養不足の割合を6%に減少、6~17歳までの発育不全の割合も6.3%から3.2%にまで減少させています。

しかし依然として東南アジアや南アジアでは飢餓、発育不全は多く残っています。

そこでは貧困や昔ながらの栄養価の低い食習慣、衛生的ではない水回り、栽培する農作物の少なさなどが原因となって飢餓の状態になっているのです。

こうして栄養不足の状態が続くことでさらに生産性が落ち、より飢餓が深刻になるという状態が続いています。

東南アジアで1,700万人いると言われている発育不全の子どもたちのうちの4分の3ほどがインドネシアとフィリピンで生活しています。
また、ラオスでは子どものうちの4割以上が発育不全となっており、特に農村部の子どもたちのほぼ半分が発育不全です。

貧困により飢餓が起こっている国は多く、東南アジアでは台風などの自然災害も多いことがさらに影響しています。

現在、緊急支援や技術支援などが継続的に行われていますが改善傾向は緩やかです。
サハラ以南のアフリカと比べると大きく改善していたインドなどの南アジアでも、ここ数年の改善度合いは低下してきているのが現状です。

(出典:日本ユニセフ協会 公式サイト)

アジアでは肥満人口も増加傾向に

飢餓状態から栄養不足を起こしている人口が多いアジアですが、肥満人口が多いことも問題となっています。
一見正反対のように思える現象ですが、2017年アジア地域では5歳未満の子どもの2割を超える約1億5,000万人が栄養不足に陥り、5,000万人以上の子どもが急性栄養不足になっています。

一方で5歳未満の子どもの3,800万人以上が体重過多で、成人になっても8人に1人、6億7,200万人以上が肥満状態です。
そしてこの数字は上昇し続けているのです。

「栄養不良」とは「栄養不足」だけを指すのではなく「栄養過多」の状態も指します。

先進国では運動不足やカロリーの過剰摂取によって肥満が多く問題になっていますが、発育不全の子どもが多い国や地域でも、肥満が増加しているのです。
「発育不全」と「肥満」の両方の割合が高くなっているのは貧困国と呼ばれる国です。

肥満と飢餓の関係性とは

食料が不足しているような貧困国では「次にいつ食べることができるかわからない」という意識が働くために食料が手に入ったときに食べ過ぎるという傾向があります。

貧困国の人々は栄養不足の状態が続いていると体内の栄養バランスやホルモンバランスが大きく崩れています。
基礎代謝や筋肉量は落ち、脂肪が増えています。
そのような状態で食べ物を一気に食べると、体重が急増することが多いと言われています。

世界保健機関(WHO)でも「低体重で生まれたり、幼児期に発育阻害だったりと栄養不足にさらされた子どもたちは、大人になってカロリー過多の食事や運動をしない生活を送った時に、肥満に陥るリスクが非常に高まる」と警告しています。

この状態を改善していくためには、飢餓人口の多い国で食料が安定して供給されるようなシステムを作り上げて、栄養不足の状態を解消していく必要があります。

そうすることで栄養不足と肥満の連鎖を断ち切っていくことができるのです。

(出典:日本ユニセフ協会 公式サイト)

アジアで飢餓が多い原因は?

世界人口の9分の1が飢餓状態にありますが、その中でも2022年ごろには世界最大の人口14億人を超えると予想されているインドでは、多くの飢餓が発生しています。

現在インドでは2億人近くが飢餓になっているとされており、世界で起こっている栄養不足の4分の1がインドに集中していることになります。

しかしインドでは食料の生産量自体が不足しているというわけではありません。
インドの人々が飢餓にならないというだけの量は生産はされているのです。

ではなぜ飢餓が発生するのでしょうか。

それは交通インフラが整備されていない、貯蔵・保存施設が十分ではない、収穫効率が悪いなどの要因が影響しています。
食料があるにも関わらず、これらの対策が大きく遅れていることがインドの課題です。

例えば1990年ごろから2015年までの推移を見ていくと、同じく巨大な人口を抱える中国では栄養不足人口を2億8,900万人から1億3,380万人にまで減少させていのに対し、インドでは1500万人ほどを減少させたにすぎません。

これは他の南アジアの地域にも言えることで、生産したものを適切に運び供給するということができていないことが飢餓を生み出す原因となっているのです。
それに加え、南アジアの地域では戦争や紛争が継続的に起こっており、人々が安定した生活をおくることができない状態になっていることがあります。

これらがアジア地域で飢餓が多い原因と言われています。

(出典:世界不平等レポート「WORLD INEQUALITY REPORT」)

アジアで飢餓・栄養不良が深刻な国とその現状は?

ではアジアで特に飢餓が多くなっている国を具体的に紹介していきます。

アフガニスタン

アフガニスタンでは1970年ごろから継続的に内戦や紛争が起きており、国の発展を著しく妨害しています。

支援活動や国の政策によって、住宅や道路、電気、上下水道などのインフラが整備されても戦闘時の破壊行為により破壊されることを繰り返しているために、一向にインフラが整備されていません。
こういった内戦や紛争が起きると人々は住み慣れた地域に安心して住めずに避難生活を余儀なくされます。

そのような生活では安定して食料を生産できません。

それに加えて大規模な干ばつが起きるなど気候変動の影響もあり食料不足はさらに深刻なことになっています。

さらに、インフラが整備されていないところでの生活は衛生環境が悪いことが多く、感染病などが流行りやすい状態ですがそれに対しても対応が追いついていません。

(出典:独立行政法人国際協力機構 JICA公式サイト)
(出典:日本ユニセフ協会 公式サイト)

インド

インドでは2億人近くが飢餓になっているとされており、世界で起こっている栄養不足の4分の1がインドに集中していることになります。
しかしインドは国土が広く食料の生産が行われている地域と人口が集中している場所がかなり離れているということがあります。

それによって食料の供給にも格差が生まれてしまい、飢餓が大量に起こっている中で、肥満も大量に起きているという状況が起こっています。
これらは安定して食料が供給されないこと、食料を早く安全に運ぶ交通インフラが整備されていないことが原因と考えられています。

インドの各地では食糧や水が危機的な状況に

また、インドでもっとも深刻な問題が水不足です。

インドの国営シンクタンクであるインド行政委員会の報告書によれば、インドの21の主要都市の地下水が2020年に枯渇するという見込みとなっています。

さらにインド政府の中央水委員会も2018年6月の時点でインド国内の貯水池の3分の2で基準水位を下回っていると発表しています。

インドでは、今後さらに人口の増加が予測されており、それによってさらなる水不足に襲われることが予測されています。

そのため人々は安全で衛生的な水を得ることができずに、衛生的ではない水を飲み体調を崩したり死亡してしまう状況に陥っています。

また、水不足によって農作物の生産にも大きな影響を与えています。
農作物が生産できなければ食料が不足することになり、さらに飢餓の状態が増えます。同時に農業を行う人々は収入を得ることができなくなり、貧困状態がひどくなることにもつながるのです。

(出典:WORLD INEQUALITY REPORT公式サイト)
(出典:日本貿易振興機構JETRO(ジェトロ)

北朝鮮

国連世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)の発表によると、北朝鮮で数百万人が飢餓に陥っているとされています。

これは2018年には猛暑や洪水が多く発生したこともあり、農作物の収穫量が490万トンとここ10年で最低の水準となったことが影響しています。
2019年1月からの配給では国民1人あたり1日に300gとそれまでよりも80gが減少しています。

配給されるのは米かジャガイモが多く、野菜を中心とした様々な栄養素が不足しています。
このような理由から、人口の約40%にあたる1,010万人が食料不足に陥っているとされているのです。

(出典:国連WFP公式サイト)

北朝鮮の人口の4割以上が栄養不良の状態に

北朝鮮では国民2,500万人ほどに行きわたるためには穀物生産量が550~600万トンほどとされています。

それに対して2012年時点では400万トン後半ほどであった生産量は2018年時点では500万台まで増加していました。

しかし2018年の異常気象(日照り、猛暑、水不足、急激な豪雨による洪水)などにより食料の生産量が急激に落ち込み、1,000万人以上が十分な食料を得ることができなくなったのです。

飢餓状態の子どもたちに対し必要な支援とは

世界の飢餓状態の子どもたちに対しては様々な支援が行われています。
ここではそれらの支援について紹介していきます。
また、行われている支援に対し私たちが寄付でサポートすることも可能です。

緊急食糧支援

今すぐに食料を必要とする子どもたちに対して緊急で食料を支援するというものです。
現在すでに飢餓状態、栄養不足状態になっている多くの子どもたちに対して食料を届けるということが最優先とされています。

学校給食支援

食料不足が続いている国や地域の学校では給食が提供されず、家庭でも食料が足りていないために弁当なども持たせてもらえないという子どもが多くいます。

そこで学校で給食を提供することを主とした支援です。
栄養価が高い給食で子どもたちの栄養不足の解消を図ろうとするものです。

母子栄養支援

子どもの栄養不足はすでに母親の胎内にいるときから始まっているということがあります。

そこで妊産婦に十分な食事を与えることで母子ともに健康であることを目指すのが母子栄養支援です。

寄付の方法は主に2種類

寄付の仕方には2通りがあります。

その都度寄付を行うという「今回の寄付」と、毎月定額を継続して寄付していくという「毎月の寄付」です。
どちらの寄付も少額から行うことができ、負担のない範囲で参加することができます。

私たちができることを考え、実行しよう!


世界では飢餓で苦しんでいる人たちが数多くいます。

一人ひとりの寄付は少額でも、多くの人が少額の寄付をすることで大きな支援をすることができるようになります。

私たちの住むアジアの現状を知り、身近でできることから行ってみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
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