貧困問題は、何十年もの間、世界的な問題として残り続けています。
しかし、日本に住む私たちは「貧困問題」が具体的にどんなものかを知る機会は決して多くありません。
この記事では、長い期間に渡って貧困問題に苦しんでいるアフリカの国々に焦点を当てて、飢餓率や原因、解決策から支援内容について解説します。
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アフリカの飢餓人口や現状とは?
アフリカの飢餓人口は世界の各地域と比較しても群を抜いています。
世界の飢餓人口は9億2,500万人と推定されており、その内、サハラ以南のアフリカの飢餓人口は2億3,900万人、北アフリカと中東で3,700万人を数えます。
この数字は世界で7人に1人、そしてアフリカ全体で見ると3人に1人が飢餓問題に直面していることになります。
世界的な飢餓人口の推移を見ると、アフリカのほとんどの地域で飢餓人口が増加しているため、アフリカの栄養不良や飢餓がなくなる食料システムの実現には、より一層の行動が求められるのです。
(出典:日本国際飢餓対策機構 「飢餓を知ろう」)
アフリカの飢餓は様々な要因によるもの
飢餓問題は、単に「食料が足りないから食料支援を増やす」という簡単なものではありません。
そこには、簡単に解決することが難しい様々な要因が絡んでいるのです。
この項目では、アフリカの飢餓問題に関わる複数の要因について解説します。
経済情勢
世界で作られている穀物量は毎年、約26億トンと言われています。
この穀物を本来世界の人口に分配すると不自由なく食事ができるのです。
しかし、実際には穀物が投機と呼ばれる「お金を増やすためのビジネス」として注目され、
これに目を付けた投機家により、食料の価格はどんどん高騰していったのです。
日本では、その年の農作物が不作であった場合も、世界中から食べ物を輸入することで賄うことが可能です。
しかし、このような方法は、開発途上国には難しくなります。
実際にアフリカに住んでいる人が出せるお金の相場と、国際的な相場に大きな隔りがあることで、貧困層は増加の一途を辿っているのです。
(出典:ハンガー・フリー・ワールド「世界の食料事情」)
悪天候や異常気象
開発途上国が多いアフリカでは、農業で生計を立てている世帯が多いのが現実です。
そして飢餓に直面している人々の約7割が農村部に住んでおり、小規模な農家だと言われています。
ここ数年は、世界各地で異常気象が報告されています。
地球温暖化がもたらす環境の変化は、アフリカの農村に置いて不作を招くのです。
しかし、実際に地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の排出は、日本・中国・アメリカなどの先進国が大きな割合を占める現実があります。
私たち先進国が生活で排出する二酸化炭素が、アフリカの飢餓を助長するきっかけになっているという難しい問題が隠れています。
(出典: ハンガー・フリー・ワールド「世界の食糧事情」)
内戦や紛争
アフリカの国によっては、内戦や戦争などによって住んでいる場所を追い出される場合も少なくありません。
全てを失い、歩いて国境を越えようとする難民には、潤沢な食料が必要です。
しかし、実際には国境を越える前に命を落としたり、紛争に巻き込まれて命を落とすケースも後を絶ちません。
このような貧困の要因は、国によって左右されるため、根絶するには長い時間がかかるのです。
世代を超えて連鎖する貧困
食事が取れない状態は、世代を超えて連鎖していく現状があります。
幼い子どもは優先して食べ物を貰うことができますが、新たに弟や妹が生まれた場合には小さな子どもたちを育てるためにさらに食料とお金が必要になるのです。
本来であれば小学校に通うはずですが、妹や弟、家族の食料を確保するために教育を受けずにお金を稼ぐことになります。
しかし、教育を受けないまま働ける仕事は両親の手伝いしかありません。
教育を受けずに大人になることで、スキルを持たないまま小学生から行ってきた仕事を続けるほかないのです。
大人になっても、自分の子どもに手伝ってもらうことで生計を立てる。
この繰り返しが永遠に続くことで、貧困から抜け出せなくなるのです。
内戦で住む国を追われた。
貧困で今日食べるものがない。
そんな現状が、貧困のループを作り出していることも根深い課題と言えます。
アフリカの中で飢餓が深刻な国は?
アフリカの飢餓の要因をここまで説明しました。
実際には、単に食料支援を行うだけでは解決しないのが貧困問題の難しいところです。
次に、アフリカの中でも飢餓が特に深刻な国について紹介します。
南スーダン
南アフリカの中でも、最も飢餓問題に苦しめられている国が南スーダンです。
2018年2月には、国連の3機関が「持続的な人道支援を行わなければ、南スーダンの人口の約3分の2に当たる700万人以上が、今後数ヶ月で深刻な食糧不足に陥る可能性がある」と発表したのです。
南スーダンが飢餓に苦しむきっかけは、度重なる紛争が原因となっています。
そして紛争が起きる政情不安によって食料生産が妨げられています。
市場は混乱した状態になり、経済悪化と重なって、食糧価格の極端な高騰を招くのです。
主食であるトウモロコシ・小麦粉などの穀物は、到底手にいれることができない金額まで高騰します。
また4月に始まる雨季によって、支援コミュニティと南スーダンが孤立し、医療、教育、食料支援サービスを受けることが難しくなることも背景にあります。
支援物資を届けたくでも、道が舗装されていないために届けることができない現実が、より南スーダンの人々を苦しめていると言えます。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「南スーダン約700万人が深刻な食糧不足の恐れ」,2019)
中央アフリカ共和国
アフリカの中でも、最も治安が安定しない国とされる中央アフリカ共和国。
2017年の時点で、国内避難民の数は60万人と推定されています。
中央アフリカ共和国は、様々な情報から隔絶されています。
道路状況が決して良くない上に、雨季と政情不安が重なり、地方への通行はほぼ不可能です。
また、携帯電話利用も限られており、暴力事件が報道されるまでに事件発生から2日後になってしまうという事態もあります。
この国の紛争の特殊性として、武装勢力どうしの戦闘がほとんどないことです。
彼らは、一般市民や人道支援従事者を攻撃します。
そのため、この国の食料支援などを行うと攻撃を受けることから、多くの組織が撤退を余儀なくされているのです。
単に貧困問題だけではなく、国の情勢によって支援が届かない問題を抱えている国と言えます。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「中央アフリカ共和国 子どもたちにとって世界最悪の国」,2017)
ソマリア
2011年にソマリアを襲った干ばつにより、多くの命が奪われました。
この時期は援助を必要とする人が400万人以上を超え、干ばつから引き起こされる食料価格の高騰、20年以上にもおよぶ内戦が飢餓をさらに拡大させています。
ソマリア南部では6人に1人の子どもが重度の栄養失調であり、人道的な支援がなければ数週間で餓死してしまいます。
また、干ばつは気象に影響されるものであり、これからも起こる可能性は十分に有り得ます。
農業に頼らなければいけない国の事情を鑑みても、私たちの支援は継続的に必要になるのです。
(出典:国際連合広報センター「ソマリア「飢餓宣言」から2カ月。事態はさらに悪化しています。」)
ブルキナファソ
サハラ沙漠の南に位置するこの内陸国も、雨水に頼る伝統的な農業で生計を立てています。
これによって長期間に渡り、雨が降らない干ばつや不安定な天気に影響を受けやすいという問題が残っています。
常に食料不安にさらされている国では、一日1.9ドル以下で暮らす貧困層が大半を占めます。
このような点から、人道支援はもちろんのこと、十分な食料を購入できるように収入を増やす必要があります。
また、5歳未満児の死亡率が高いため、栄養不良の5歳未満児を対象にした定期的な食料支援も必要です。
天候によって、食料調達が左右されるシステムの改善が一刻も早く求められます。
(出典: ハンガー・フリー・ワールド「ブルキナファソ」)
チャド
この国は児童婚が広く行われている慣習があります。
貧困層の多い地域では、経済的な理由から学校を辞めさせ、両親が娘を結婚させることは珍しくありません。
前段でも説明した通り、貧困には単に食糧が一時的に不足しているものと、社会システム上貧困を抜け出せていない慢性的なものもあります。
教育を受けることで、職業選択の幅が広がり、貧困を抜け出す一つのきっかけになり得ます。
根強く残る慣習が、貧困のスパイラルを作ることもあるのです。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「チャド結婚で夢を奪われる女の子たち児童婚の慣習を終わらせるキャンペーン」,2015 )
マリ
マリ共和国は西アフリカの内陸国であり、7つの国と国境を接しています。
北部は砂漠地帯で降雨量が極めて少ない地域であり、南部では年間降雨量が700mmを超えます。
人口の大半が天気に左右される農業と漁業に依存しており、食料危機に陥りやすい状態が続いています。
また北部地域においてはイスラム過激派により、非イスラムの人々の虐殺、性暴力などが強制され、武装した暴徒が住民の家を荒らし教会を破壊して回ったのです。
これにより、多くの人が故郷を離れ、難民として生活を送っている現実もあります。
貧困は、天候、情勢の不安定などが原因で引き起こされてしまう問題です。
人道支援はもちろん必要ですが、最終的には人道支援を必要としない未来が理想と言えます。
(出典:日本国際飢餓対策機構 「【マリ】深刻な食糧危機と武装勢力の襲撃に苦しむ人々への支援」)
モーリタニア
モーリタニアは毎年、収穫期直前の6月〜9月に、最も食糧が足りなくなる季節「リーン・シーズン」を迎えます。
この時期には、国民の健康状態も極端に悪化します。
そのため、毎年のように食料支援が必要になるのです。
そして、この地域で問題とされているのは、イスラム過激派の活動地域に近いことが挙げられます。
満足に食事を食べることができない人々が土地を離れて過激思想に染まることで、テロや内戦に加担する危険性も高いのです。
農家では現金収入にならないと諦めた人は、フランスやスペインに出稼ぎに出るパターンも後を絶ちません。
そのため、多くの集落の住民は減少し、集落がなくなれば土地は荒れ、砂漠化の進行を余儀なくされるでしょう。
隣国のマリから難民を受け入れていますが、直面する飢餓問題はモーリタニアも決して少なくないのです。
(出典:国連世界食糧計画(WFP)「【日本人職員に聞く】モーリタニア、津村康博さん」,2018)
飢餓で苦しむアフリカの子どもにはどんな危険がある?
ここまではアフリカ諸国の飢餓の現状について説明しました。
次に、飢餓問題によってどんな危険があるのかをそれぞれの項目に沿って解説します。
栄養不良
命を落とす原因の約53%が栄養不良と密接な関係があります。
この現象は栄養が特に必要とされている5歳未満児や妊婦などに多く蔓延しています。
世界には全世界の人々がご飯を十分に食べられる穀物を作成していながらも、交通インフラなどの原因で世界に食料が行き届かない現実が影を潜めています。
特に、病気への抵抗力が少ない5歳未満の子どもたちへの食料供給は、世界規模での問題です。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「子どもたちの命と未来を左右する栄養」 )
病気
飢餓で苦しんでいる国で栄養不良状態の人々が増えることにより、肺炎や下痢性の病気、マラリア、はしか、HIV/エイズなどの病気を発症します。
日本では肺炎や下痢性の病気で亡くなるケースは比較的少ないかもしれませんが、栄養不良である人びとは病気への抵抗力も大幅に落ちています。
また、医療サービスも定期的に受けれない状態の人も多いため、栄養不良から病気になり命を落とす人は増えています。
このような点から、まずは栄養不良状態を根絶することを目標にした食料支援や、降雨量や天候に依存しない食料自給システムを作ることも大切な要素です。
(出典:公益財団法人 日本ユニセフ協会「子どもたちの命と未来を左右する栄養」)
飢餓で苦しむアフリカの人々に必要な支援は?
飢餓によって引き起こされる危険性について解説しました。
次に、そんな飢餓問題に苦しむアフリカの人々に必要な支援について解説します。
緊急支援
飢餓問題が極限まで達しており、国全体に深刻な飢餓が蔓延している場合があります。
このような場合に、各支援団体が寄付金を集めることで、栄養ある食事の提供などを行います。
また栄養不良の子どもたちに対して栄養治療食を提供します。
このように、「今すぐにでも対応が急務である」ことを解決する為に動くことを、一般的に「緊急支援」と定義しています。
学校給食支援
日本では当たり前になりつつある学校給食制度が、飢餓問題に苦しめられている子どもたちを助けることに繋がります。毎日食べる食料ですら不足してしまう状況において、子どもたちが学校に通うことは困難とされています。
しかし、通学している学校に給食があることで子どもたちは家の手伝いなどで教育を奪われる問題から解放される可能性を秘めているのです。
また、食事をとることが子どもたちの栄養不良を減らし、勉強に集中できるため学習能力も向上します。
給食を提供するために、地域農業の生産力を高めるきっかけにもなるプラスのスパイラルができるのです。
給食制度が飢餓問題に苦しんでいる国に広まることで、子どもたちも未来に夢を持って生きるきっかけを作ることができます。
(出典:国連世界食糧計画(WFP)「学校給食支援」)
母子栄養支援
世界では5歳未満の子どもの死因のうち栄養不良が根底にある割合が45%といわれています。
栄養不良で命を落とす子どもの割合はエイズ・マラリア・結核による死亡数の合計を上回る数値です。
小さい子どもたちの栄養不良をなくすためには、母体に宿ってから2歳の誕生日を迎えるまでとされています。
また妊娠前と妊娠中に栄養不良に陥っていた母親から生まれた子どもは栄養不良状態で生まれることが多いため、こちらも負のスパイラスが形成されてしまうのです。
この循環を断ち切るために、より多くの支援が必要です。
(出典:国連世界食糧計画(WFP)「母子栄養支援」)
私たちがアフリカの人々にできる支援とは
ここまでは、実際に支援団体が行なっている活動について説明しました。
次に、日本人の私たちができる支援について簡単に説明します。
継続寄付
日本で流れるニュースは、大きなことが起きた瞬間は大々的に報じられるため、募金が多く集まる傾向にあります。
しかし、慢性的に起きている飢餓問題などは、どうしてもニュースで報道されることが少ないのが現実です。
特に、食料支援については「食料を支援し続けていれば飢餓はなくなる」という簡単な問題ではありません。
飢餓に苦しむ国の人々が、支援に依存しない社会システムの構築を行っていくことが必要なのです。
そのためには、もちろん継続した支援金が必要です。
現地で支援を行う時間がなかったとしても、継続的な募金支援によって飢餓問題に貢献できることを知っておくことが大切です。
都度の寄付
世界では様々な問題が起きます。日本でも大規模地震が起きた時に、世界中から支援を受けてきました。
飢餓で苦しむ国の多くは、天候によって穀物の収穫量が左右される農業に従事している人がほとんどです。
大規模な干ばつに見舞われた場合には、栄養不良者を出さないためにも緊急支援が必要です。
定期的な支援はもちろん重要ですが、継続的な寄付が難しい場合でも、都度の寄付が命を救うことがあることを知ることも大切です。
私たちの寄付はどのように使われる?
私たちの寄付は、飢餓問題に苦しむ国においてあらゆる場面に使われます。
学校給食の提供に役立てたり、妊婦が安心して出産するための止血剤や環境整備、また教育に使われる教材に変わるなど、その土地で医療や教育を提供する様々な用途に活用されます。
直接的な支援から、今後飢餓を増やさないためのシステム作りにお金が使われていくのです。
深刻なアフリカの飢餓で苦しむ人を一人でも減らそう
今回は、アフリカの飢餓問題に焦点を当てて、飢餓率や原因、解決策、支援内容について説明しました。
私たちが感じている飢餓問題に対するイメージと、実際にその国で起きている現状には未だに大きな差が存在します。
まずは、どんなことが起きているかを知ることから始めて、自身に合った支援を行なっていくことが大切です。